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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第5章 唯一神教支部での活動
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戦闘開始

 武装盗賊団は、スラム街の広場の目前にまで迫っていた。ここまで近くに来ると、不気味なコーラスはひどく大音量となっていて、隣にいる(一般の)信徒と話すにも大声を出さなければならないくらい。


 ……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……

 ……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……


 唯一神教の聖戦士たちは、教団信徒を守るべく、道に面した広場の入り口部分で横に広がって整列し、武器を手に身構えている。つまり、広場内への侵入を絶対に阻止しようという態勢。

 他方、武装盗賊団は、いつぞや見た時と同じように、見た目はコミカルに、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶり、灰色のマントを身に着け、灰色の馬にまたがっている。

 なお、武装盗賊団と聖戦士たちは、数的には、お互い30人程度と、ほぼ互角。現状、両者は大型バスの車長程度の距離でにらみ合っていて、お互いの視線と視線のぶつかり合いで火花が飛び散りそうな、そういう状況。


 このような緊張状態の中で、突如として、先刻まで無遠慮かつ暴力的にわたしたちの耳の中に侵入していた不気味なコーラスが止み、武装盗賊団のうち一人が(隊長かリーダー格だろう)、乗っていた馬を一歩だけ前に進めた。

「よこしまなる教えの信奉者たちよ、我々武装盗賊団の創始者の生誕地で、このような傍若無人な振る舞い、これは、絶対に、何があろうと、許されるものではない!」

 戦いの前に名乗りを上げようというのだろうか。でも、何やら少し違うようだ。「武装盗賊団の創始者の生誕地で傍若無人な振る舞い」と言ってるけど、それは、一体、どういう意味だろう。

 教団側からは、チャック支部長が聖戦士の後方から応じ、

「異教徒が何を言う! 唯一神を畏れぬ異教徒たちよ、降参するなら今のうちだ!」

 しかし、緊張しているのか、慣れていないのか、相変わらず声は上ずっている(こんな人が現場で指揮を執っていいのか?)。


「これ以上は問答無用! かかれー!!」

 号令一下、先に仕掛けたのは、武装盗賊団だった。彼らは素早く馬を下り、各々の武器を手に、横一線に並んでいた態勢のまま、聖戦士の横列に向けて突進していった。策が無さ過ぎのようにも思えるが、喧嘩のプロ中のプロである武装盗賊団にとっては、「宗教団体の自警団ごとき、敵ではない」ということかもしれない。

「ひるむな! 応戦だ!! 突撃いぃ!!!」

 一方、聖戦士たちも、チャック支部長の合図を受け、各々の武器を手に「おお」という雄叫びを上げ、武装盗賊団に向かって殴りかかっていく。見た目は非常に勇壮だけど、大丈夫だろうか。突撃の合図も、「相手が仕掛けてきたので、つい、動いてしまった」みたいな感じだし……

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