表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第18章 教団本部前の激闘
177/185

戦いの勝利者は

 サイクロプスは、ツンドラ侯の攻撃により一つしかない目を潰され、通りを転げ回っている。「ほぁぁ~」とか「うぇぇ~」とか叫び声を上げ、見た感じ、とても痛そう。

「へぇ~、あの男、結構すごいんだ。サイクロプス相手に、魔法を使わず完勝しちゃったよ」

 ガイウスは、サイクロプスをやっつけたツンドラ侯の腕前に舌を巻いた。

 わたしも思わず唾を飲み込み、

「ツンドラ侯って……、ムチャクチャ強いのは知ってたけど……、やっぱり、本当に、正真正銘、強いのね」

 と、我ながら、何を言ってるのかよく分からない言い回し。


 ところが……

 サイクロプスが打ち倒されたことにより、事態は収拾の方向に……と、動いたわけでは、まったくなかった。むしろ、混迷の度を深めたと言ってよいかもしれない。

 重傷を負ったサイクロプスは、苦しげに辺りを転げ回り、手近にある構造物(通りに林立する建築物など)を手当たり次第に破壊し、運悪く付近に居合わせた人たちを踏みつぶした。

「こっ、これはっ! なんということだっ!!」

 ツンドラ侯は、今更(本当に)驚いているわけではないだろうが、目を大きく見開いて、素っ頓狂な声を上げている。

 配下の警備兵たちは、ツンドラ侯の周囲に集まって、あれこれと相談しているのか、あるいは、ツンドラ侯の指示を待っているようだ。ただ、ツンドラ侯とわたしの間で結構な距離があるので、詳細はよく分からない。

 サイクロプスは、たった一つの目を潰され、周りが見えていないのだろう。「ふぁっはぁ~」とか「ふぃっひぃ~」とか気の狂ったような声を上げ、転げ回ってムチャクチャに暴れまくっている。ツンドラ侯との戦闘中に比べると凶暴さの度合いは高まっており、さっきより危険な状態となっているようだ。

 プチドラは「ふぅ」と小さく息を吐き出すと、わたしを見上げ、、

「手負いの猛獣は危険というけど…… サイクロプスなら、なおさらだね」

「そうね。でも、ここにいる分には、問題ないでしょ」

 わたしたちがいるのは、ダーク・エルフたちが作り出した魔法の球体の中。その球体は、(サイクロプスの手も届かない)教団本部建物の屋上程度の高さでふわふわと浮かんでいる。わたしとプチドラとダーク・エルフたちに限れば、一応、安全と言えるだろう。

 しかし、そうでない人たちにとっては……


 手負いのサイクロプスは、(周囲が見えているはずがないので、多分、たまたま進んだ方向に存在しただけであろう)唯一神教本部の門を破壊し、頭を教団本部の中庭(あるいは運動場)に向けて倒れ込んだ。

 ちなみに、教団本部の中庭(あるいは運動場)では、武装盗賊団による教団信徒(及び運悪く居合わせた一般市民)への容赦ない虐殺が依然として続いており、辺り一面、血まみれの死体に覆われている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ