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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第18章 教団本部前の激闘
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死闘は続く

 通りでは依然として、ツンドラ侯とサイクロプスの死闘が続いていた。

「こいつは俺様の相手だ! 誰も手を出すんじゃないぞ!!」

 ツンドラ侯は、サイクロプスの「はぁっぽー」という(意味不明の)のかけ声(又は雄叫び)を伴って繰り出される攻撃をかわしつつ、10メートル以上の常識外に長い槍を巧みに操り、攻撃の確実なヒット及びダメージの蓄積を狙おうという作戦のようだ。見た感じ、今のところは「いい勝負」といったところだろうか。

 ガイウスは、サイクロプスの周囲を素早く動き回る(詩的に表現すれば「蝶のように舞う」)ツンドラ侯に目を遣り、

「あの男、体が大きい割には……、と言っても、当然、彼の種族の平均値から見て大きいという意味だけど、俊敏な動きをしてるね」


 よく見ると、サイクロプスの膝から下は、血で赤く染まっていた。その血には、サイクロプスが踏みつぶした教団信徒(及び運悪く居合わせた一般市民)の血ばかりではなく、サイクロプス自身の血も相当程度含まれているようだ。

「おらぁ! どうした!! でっかい図体の割に、見かけ倒しか!!!」

 ツンドラ侯の(勝ち誇ったような)大声が、通りに響いた。ただ、戦いが長時間続いているせいか、少々息が上がっているようだ。

 他方、サイクロプスは、時折、手を膝の辺りに持っていこうとしたり、顔をしかめたり、小さくジャンプしたり、ツンドラ侯の槍による攻撃を相当に嫌がっているような仕草を見せている。形勢は「いい勝負」から、ツンドラ侯やや有利に傾いてきたようだ。さすが、仕事の時間も惜しんで、武芸の鍛錬に励んできた(この前にツンドラ侯に会ったときの話)だけのことはある。


 そして……、なおも激闘は続き(通りではいつしか、ツンドラ侯とサイクロプスの周囲は、教団信徒等の死体を除けばツンドラ侯配下の警備兵ばかりとなっていた)……

 サイクロプスは「ほぉっ」とか「ほぁっ」とか意味不明な叫び声を上げつつ、どうにか局面を打開しようとしているのだろう、超巨大な棍棒を(ムチャクチャに)振り下ろしている。しかし、ツンドラ侯には命中せず、いたずらに周囲の建物や施設を破壊するばかり。

 ツンドラ侯は「はぁ、はぁ」と荒い息づかいながら、サイクロプスの動きを冷静に見極め、

「そこだ! 食らえ!!」

 と、常識外に長い槍を、サイクロプスの巨大な目に向けて投げつけた。

「はぁ! ほぇ!! ほぉぁ~~~!!!」

 サイクロプスはよろめきながら、大きな顔を大きな手で押さえ、ひと際大きな声(悲鳴と言ってもいい)を上げた。

「よしっ! やった!!」

 ツンドラ侯は、短く叫んだ。

 サイクロプスの顔の真ん中にある大きい目には、ツンドラ侯の投げた10メートル以上の長槍が深々と突き刺さっていた。

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