武装盗賊団の御登場
……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……
……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……
武装盗賊団のテーマソングは、更に音量を上げた。わたしもプチドラもガイウスも両手で両耳を塞ぎ、やれやれといった具合に顔を見合わせる。武装盗賊団は、すぐ近くまで迫ってきているのだろう。
通りの先に集まっている教団信徒(及び一般市民)たちは、(既に武装盗賊団が視界に入っているのかもしれない)今やパニックを起こす寸前といった状況。教団本部に向かって逃げてくればよさそうなものだが、本部前には、非常に恐ろしげなサイクロプスが超巨大な棍棒を握りしめて構えている。すなわち、「前門の狼後門の虎」のごとく、進退窮まっているものと思われる。
そして、程なくして……
……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……
……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……
例によっての武装盗賊団のテーマソングに加え、「ひぃー、きゃぁー、助けてくれー、うわぁー、ぐぇー!」等々、教団本部前の通りに教団信徒(及び一般市民)の叫び声が、ひと際高く響き渡った。
ガイウスは遠目に、悲鳴を上げ右往左往している教団信徒たちを眺めながら、
「いよいよ、武装盗賊団の御登場かな」
「そのようね」
わたしは「ふぅ~」と、やや大きなため息。わたしが考えた計画(当初案)では、帝都の警察(その他の武装組織も含む)が教団本部を攻撃する際、どさくさに紛れ、教団の宝物庫もしくは「開かずの間」から金銀財宝を奪ってしまう予定(あるいは目論見)だった。その意味では、今、武装盗賊団が教団本部を攻撃してくれるなら、それは金銀財宝を強奪するための絶好の機会ということになる。しかし、帝都の駐在武官(親衛隊)がいない中では、その「どさくさ」が始まっても、(非常に困ったことに)金銀財宝を運ぶ人がいない。ガイウスたちダーク・エルフに頼むとすれば、分け前を渡さなければならないだろうし……
そうこうしているうちに、通りの先に集まっていた教団信徒(及び一般市民)の一角が突き崩され、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶり、灰色のマントを身に着け、灰色の馬に乗った集団が姿を現した。
「よこしまなる教えを信奉し、我々に刃向かう、愚か者ども! お前たちの罪深さを思い知れ!! 今こそ、帝都に鎮座まします帝国2000万の神々から、怒りの刃を、その身に浴びるのだ!!!」
ここにいる武装盗賊団のリーダー格だろう、先頭にいる団員が、馬上で剣を振り回しながら叫んだ。




