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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第17章 サイクロプス
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交渉は成功

 サイクロプスは、超巨大の棍棒(今まで、尻の下に敷いていた)を握りしめ、立ち上がった。すると、先ほどまでサイクロプスと交渉していたダーク・エルフが、自らの(魔法の杖代わりの)得物に乗り、サイクロプスの肩口まで垂直上昇、わたしの知らない言葉で語りかける。サイクロプスは、そのダーク・エルフの言葉に耳を傾けながら何度かうなずき、その視線を、「あばば」と青白い顔をしているキャンベル事務局長に向けた。事務局長は「ひぃ!」と声を上げ、何歩かあとずさった。

 そして、サイクロプスは、どういうわけかニッコリと、左手でキャンベル事務局長をむんずと捕まえ、自らの顔の高さまで持ち上げた。キャンベル事務局長は悲鳴を上げ、足をばたつかせている。その時、サイクロプスの肩口では、得物に乗ったダーク・エルフが、両腕で大きくマルの字を作った。

 すると、ガイウスは、安堵の表情を浮かべ、

「何はともあれ、交渉は成功か。サイクロプスは味方になってくれたようだね」

 ここで、交渉役のダーク・エルフとサイクロプスで合意(つまり、認識を共通に)したことをまとめておこう。①サイクロプスは、自らがだまされて帝都に連れてこられたことを肝に銘じること、②唯一神教教団は、サイクロプスの故郷への帰還のために協力し、全力を尽くすこと、③サイクロプスは、帰還に当たり、唯一神教のキャンベル事務局長の指揮下に入ること、④帰還のために必要な行為として、帝都の建築物の破壊、住民や警備兵の殺害が含まれること、以上(なお、セキュリティの関係か、「ダーク・エルフ」の名は出てこない)。

 ガイウスの説明によれば、交渉役となっていたダーク・エルフは、先ほど来、以上の合意事項を懇切丁寧に、それこそ幼稚園児にも分かるような言葉遣いやロジックでもって、サイクロプスに説明していたという。


 サイクロプスは、キャンベル事務局長を手に捕まえたまま、ズシーン、ズシーンと地響きを立てて歩き出した。

「進め! 今日はブタ野郎どもに『終局的裁判』だ!」

 久しぶりに聞く「終局的裁判」だけど、それはさておき、キャンベル事務局長は、サイクロプスが自らの指揮下に入ったことを知らされ、ついさっきまで顔面蒼白だったのがウソのように、今やノリノリ・ハイテンションの状態になっている。

 さらに、サイクロプスにも、そのハイテンションが伝染したのか、

「ほっほー! ぽっぽー!」

 と、超巨大な棍棒をたたきつけ、階段状の観客席の一部を破壊してしまった。

 今後の予定としては、とりあえずは、キャンベル事務局長の要望により教団本部に向かうこととなっている。教団本部で聖戦士も招集し、サイクロプスともども万全の体制を整えてから、コーブ事務局次長のいるウェストゲート公の屋敷に向かいたいとのこと(なお、キャンベル事務局長とサイクロプスの間では言葉が通じないので、サイクロプスとの交渉役を務めてくれたダーク・エルフが、通訳の役割を担ってくれることになった)。

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