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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第3章 神祇庁次官
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帝都における宗教界の幹部

 わたしは「帝国2000万の神々(第1巻)」を本箱に戻し、

「今度来るときは風呂敷を持ってこよう」

 と、独り言。用途は言うまでもないだろう。プチドラは不審げな目でわたしを見つめている。


 その時、隣の部屋の方から、ガヤガヤと何やら言い争うような声が響いてきた。隣の部屋といえば、確か総務部だったはず。一体なんなのだろう。ヒマなさそうな職場だと思っていたけど、実はそうではなかったというオチがあるのだろうか(それは困る)。

 しばらくすると、次官室の入口の扉をノックする音がして、

「次官、ちょっと! あっ、あれ? いや、いけません。待って、待ってください」

 と、総務部長の声がこちらまで響いてきた。扉の向こうでは、何やらもめ事が発生しているような様子。面倒なことには関わり合いたくないが、扉はノックのあったその一カ所だけなので、逃げようにも逃げ場がない。

 仕方なく、プチドラを抱いて扉を開けてみると、目の前にいたのは、ゆったりとした白っぽい衣を身にまとった集団に囲まれ、オロオロするばかりの総務部長だった。

 白っぽい衣服の集団は、全員で10人程度。わたしの姿を目にすると、口々に「おお、次官!」とか「話を聴いてください」とか「連中の取締りを」とか言いながら、今度は総部長そっちのけで、わたしを取り囲む。一体、なんなんだ?

 総務部長は「あわわ」と、内心の混乱状態から脱しきれない様子ながら、職業意識のなせるわざか、どうにかこうにか、わたしの耳元でささやく。

「彼らは帝都の宗教界の幹部です。最近帝都で勢力を拡大しつつある唯一神教のことで、話があるらしく……」

 帝都の宗教界の幹部というと、「帝国2000万の神々(第1巻)」に出ていたような神様を祀る神殿の神官たちだろうか。その神官、宗教界の幹部たちが連れだって、「唯一神教のことで話がある」とは、常識的なところでは、陳情か何かだろうか。

「分かった…… いえ、分かったわけじゃないけど、場所を変えましょう」

 わたしは総務部長に適当な会議スペースを用意してもらい、その場に宗教界の幹部たちを招いた。


 会議スペースに全員が席に着くと(なお、神祇庁側からは、わたしと総務部長が出席)、わたしは重々しい口調を意識しながら、

「あなたたちは、帝都の宗教界の幹部ということだけど、今日は一体、何用か?」

 すると、10人程度いる神官のうち、わたしから見て一番手前に(近くに)座っていた人物が、おもむろに立ち上がって一礼し、

「神祇庁次官、本日は、この場にて、我々の意見を表明する機会を与えていただき、ありがとうございました。まずは自己紹介ですが、私は、最高秩序神に仕える神殿において、最高神官官房次長を務めておりますジェフリー・アルバート・コリーでございます」

 なんだか面倒なことになりそうな予感。思わずため息といきたいところだけど、一応、役柄も考慮して、ここは我慢。ため息は、心の中だけに留めておこう。

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