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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
インテルメッツォ
148/185

サイクロプスの頭の悪さの利用法

「サイクロプスの頭の悪さの利用法……よね」

 わたしは腕を組み「う~ん」と、見るともなしに天井に目を遣った。昔から「馬鹿とハサミは使いよう」と言うが、力だけが取り柄のサイクロプスの使い道は、大暴れ意外にないと思う。ただし、なんの目的もなく単に破壊するだけでは、意味も芸もない。ダーク・エルフたちにとっても、もちろん、わたしにとっても、最大の効果を発揮する使い道でなければ……

「じゃあ、こんなの、どうかしら。利用するのは、サイクロプスだけじゃないけどね」

 わたしは、あらゆる可能性を考慮して……みたいに、深く考えたわけではないが、ガイウスやクラウディアと顔をすぐ近くに突き合わせてヒソヒソヒソと、サイクロプス利用法のプランを披露した。


 そのプランとは、すなわち……

 まずは、唯一神教のコーブ事務局次長がお泊まり旅行に出て留守の間に、キャンベル事務局長を焚きつけ、三匹のブタさん(ウェストゲート公、アート公及びサムストック公)殺害テロのための武装蜂起を促す。

 次に、キャンベル事務局長を連れて、ツンドラ侯との対戦のために帝都に滞在しているであろうサイクロプスのところに赴き、サイクロプスに「あなたは命を狙われている。帝都で試合があると言われて連れてこられたのかもしれないが、それはウソで、本当は、あなたをこっそりと殺害する計画だ。ここにいるキャンベル事務局長は、あなたの味方であり、あなたのことを親身になって考えてくれる。この人についていけば間違いはない」と吹き込む。サイクロプスの知的水準が小学校低学年のうちでも劣等生程度なら、証拠や根拠を示さなくても、すっかりだまされるだろう。

 他方、キャンベル事務局長は、サイクロプスという強力な助っ人を得たと思い、大喜びするに違いない。見たところ、キャンベル事務局長の馬鹿さ加減も、サイクロプス(及びツンドラ侯)に引けを取らないようなので、「この機会に、サイクロプスの腕力で(常々憎らしいと思っている)三匹のブタさんたちをグチャッと握りつぶしてしまいましょう」とささやけば、事務局長は調子に乗って、手にした力を行使し、帝都の一等地にあるブタさんたちの屋敷を襲撃するだろう。

 このようにして帝都に引き起こされた混乱を利用して、ダーク・エルフたちは「すべてのエルフの母」の救出活動を進めればいいし、わたしも自分の(あえて言えば)仕事を進めることにしよう。


 ひととおり説明が終わると、ガイウスは「おお!」と声を上げ、

「なるほど、うまい利用法だ。キャンベル事務局長という人物は知らないが、サイクロプス並みの知能なら、とんでもない大馬鹿者だ。きっとうまくいくだろう。早速、そのプランを実行に移す準備をしよう」

 ガイウスはクラウディアとともに、風のように……、ちなみに言えば、ティーセットはそのままに、地下室へと戻っていった。

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