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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第15章 常識を外れた人たち
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神学論争

 一夜明け……

「ふあぁぁ~~~」

 昼前になって、ようやく目を覚ましたわたしは、体を伸ばし、思わず大あくび。

 プチドラは既に金貨の詰まった袋から出て、「イチニーサン」とラジオ体操だろうか、元気よく小さな手足を動かしている。

「マスター、おはよう。今日はゆっくりだね」

「そりゃそうでしょ。気合いを入れて自分で早起きといっても、一日が限度……」

 と、言いかけたところで、わたしはふと腕を組み、

「でも、おかしいわね。最近のパターンなら、アメリアが騒々しく…… まあ、いいか。今日はよく寝られたんだから」


 そして、程なくして、コンコンとドアをノックする音とともに、

「おはようございます、カトリーナ様。朝食……兼昼食をお持ちしました」

 と、パターソンがお盆に食事を乗せて顔を出した。ちなみに、今日の朝昼兼用食のメニューは、帝国南西部の山岳地帯(神話の山地)に自生するキノコを用いたリゾット、南方トカゲ王国から輸入した恐竜肉の生ハム、オクトハーブ自由市名物のウルトラ・ジャイアントケルプのおひたしという、わたしの意識としては非常に質素なもの。

 わたしは、朝昼兼用食を食べながら、

「このリゾット、なかなかいけるわね」

「それは何よりです。取り寄せた甲斐がありました。今度ツンドラ侯と対決するというサイクロプスも、口にしているかもしれませんね。食べる量は、それこそ桁違いでしょうが」

 確か、サイクロプスの棲息(居住)地は、帝国南西部の山岳地帯(神話の山地)ということだから、その可能性は十分にあるだろう。どうでもいいと言えば、どうでもいい話だけど……

「それはそれとして、パターソン、アメリアやアンジェラはどうしてるの?」

「アンジェラたちですか。いやあ、ははは……」

 パターソンは何やら微妙な表情で苦笑している。話によれば、昨日から、アメリアがアンジェラに唯一神教の教義を説明しようとして(布教活動のつもりだろう、多分)、その度にアンジェラが疑問を唱え、議論の末にアメリアが論破されてしまうということが続いているらしい。ちなみに今も、唯一神教の神と教祖様の関係について(すなわち、唯一神教の神が唯一でそれ以外に神がいないなら、教祖様はタダの人ではないのか。であれば、唯一神を信仰しながら教祖様を崇め奉るのは、首尾一貫しないのではないか)、アメリアとアンジェラの議論が続いているという。

「なるほど、そうだったのね……」

 と、わたしは思わず納得。今日、アンジェラが食事を持ってこなかった理由が分かった。


 わたしはパターソンが用意した朝昼兼用食を食べ終えると、宮殿用のきらびやかなドレスに着替え、「よしっ」と少々気合いを入れた。

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