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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第15章 常識を外れた人たち
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馬車は教団本部へ

 わたしは極力、キャンベル事務局長と目を合わせないよう注意しながら(これはつまり、事務局長から「お友達」や「仲間」みたいに思われるのはイヤという心情の表れ)、

「あの~、『ブタ野郎ども』を成敗……ですか?」

「そうだ! 当たり前だ。トンカツにしてブタのえさにしてやる!! そのための聖戦士なんだぞ、そうだ、聖戦士の唯一神の力が、ブタを丸焼きにして地獄の火の中に投げ込むんだ!!!」

 キャンベル事務局長は、自分で何を言っているかよく分かっていないと思うけど、彼の言いたいところを整理すると、聖戦士の使命は信仰上の敵を撲滅することであり、その使命には、「ブタ野郎ども」(ウェストゲート公、アート公及びサムストック公のこと)の屋敷を襲撃して彼らを皆殺しにし、ついでに帝都の宗教界や帝国政府に目に物見せてやることも、当然含まれる。ただ、これまでは戦力的に十分でなく、思い切った攻勢に出るためには、もう少し戦力を充実させる必要があったとのこと。

 そして、キャンベル事務局長は、意味ありげに拳をぐっと握りしめ、

「で、今日だ! おまえが信徒だったとはな。エリート信徒なのは面倒だが……、とにかく、ありがたく思え、今日からおまえは俺の配下、聖戦士に編入してやるからな!!」

「えっ!?」

 わたしは思わず言葉を失い、目が点。この人、武芸の力量はともかく、ハチャメチャぶりにかけては、ツンドラ侯に引けを取らないのではないか。

 その間にも馬車は、教団本部へと続く道を疾走していた。


 そして……

 馬車はやがて、4階建ての堅牢な石造りの教団本部に到着した。

 キャンベル事務局長は、わたしの腕を引っ張り、

「よし、これからレベッカのところに行くぞ!」

 と、半ば引きずるようにして、教団本部の最も奥まった場所にあるコーブ事務局次長の部屋に急ぐ。事務局長と一緒にいるせいか、廊下には、人っ子一人見当たらない。

 キャンベル事務局長は、事務局次長の部屋の前まで来ると、ドンドンドンドンと猛烈な勢いでドアをたたき、

「レベッカ! いい知らせだ、ドアを開けろ、早く!! 今日は拾いものだ、秘密兵器、切り札が見つかったんだぞ。もう、あんなブタと一緒にいることはないぞ!!!」

 口に出した本人でなければ、多分、意味が分からない表現だけど、ともかくもドアが開き、

「一体、なんなの? 騒々しいわね」

 と、コーブ事務局次長が顔を出した。

 事務局次長はわたしの姿を目にするなり、「えっ!?」と少々驚いた表情になり、

「あら、あなた……、それに…… どういうこと? 妙な取り合わせね」

「取り合わせはどうでもいい! あのブタどもを、ギャフンと言わせてやるんだ!!」

 キャンベル事務局長はわたしの腕を引っ張り、ドアをこじ開けるようにして、コーブ事務局次長の部屋の中に躍り込んだ。

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