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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第14章 公園での流血沙汰
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キャンベル事務局長の実力

 唯一神教の聖戦士は武装盗賊団に押され始め、(プチドラの魔法により)助けに入ろうかと思った、その時、

「えーい、まったく、頼りにならんやつらだ!」

 怒気を含んだキャンベル事務局長の声が公園に響いた。事務局長は「馬鹿野郎」とチャック支部長を張り倒すと、両手に1本ずつトゲのついたメイスを持ち、周囲の一般信徒をかき分け、武装盗賊団の前に躍り出た。

 わたしは思わずプチドラと顔を見合わせた。教団内では傍若無人なキャンベル事務局長だけど、それは、「事務局長」という肩書きが物を言う教団内に限った話のはず。


 ところが……

 キャンベル事務局長は、ぶっちゃけ、強かった。

「オラオラオラァ! 群れなけりゃ、何もできない泥棒どもめがぁ!!」

 事務局長は重そうなメイスを軽々と振り回し、いきなり、近くにいた武装盗賊団の団員の頭部を(文字どおり)粉砕した。これには他の武装盗賊団の団員も驚いたのか、何歩か後退。しかし、さすがと言おうか、武装盗賊団は、こういった戦い・喧嘩のプロだけあって、次の瞬間には、武器を構えて戦闘態勢を整えている。

「なんと! キャンベル事務局長、意外とやるわね。タダの酔っ払いと思っていたけど」

 と、わたしは物陰から、思わず感嘆符。

「そうだね。普通に強いと思うよ」

 プチドラも、キャンベル事務局長の戦いぶりをみながら、「うんうん」とうなずいている。ツンドラ侯のようにモンスターじみた強さはないが(だから「普通に強い」という表現か?)、それでも、武装盗賊団と互角に渡り合い、今現在、もう1名の武装盗賊団の団員を討ち取ったところ。

「この調子なら、魔法で助太刀する必要はないかしら」

 わたしは物陰でつぶやいた。このままキャンベル事務局長が大活躍し、武装盗賊団を撃退してくれるなら、面倒がない。

「いや、どうだろうな。キャンベル事務局長は、強いといっても『普通に強い』だけだし、事務局長以外のメンバーの実力には期待できないだろうし……」


 果して……

 戦況はプチドラの見立てのごとく、やはり、「普通に強い」程度のキャンベル事務局長では、いくら頑張ったところで、全体的な戦局を唯一神教側の有利に持っていくことはできなかった。事務局長の奮戦も空しく、唯一神教の聖戦士は一人、また一人と討たれていく。

 プチドラは苦笑しつつ、「ふぅ」と小さい息を吐き出し、

「やっぱりね。こうなると思った」

 わたしも苦笑しながら、同意の意味を込めて無言でうなずいた。

 ただ、こういう流れになれば、安閑としてはいられない。今度こそ頃合いだろう。わたしはもう一度、プチドラを抱いて立ち上がった。

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