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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第13章 毎度の宮殿の奇怪な面々
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ゲテモンのバーベキュー

 パーシュ=カーニス評議員は、突如、笑いをこらえられなくなったのだろう、「ハッハッハッ」と笑い出した。一体、なんなんだろう。わたしはプチドラと顔を見合わせ、見をぱちくり。

 やがて、パーシュ=カーニス評議員は、ひとしきり笑って気分が落ち着いたのか、

「いやはや、失礼しました。面白かったので、つい、笑っちまいましたよ。話を本筋に戻しましょう。その『最悪の場合』とは、ズバリ、ゲテモンパーティーなのです」

「ゲテモン!?」

 わたしはそう言いかけて、言葉を失った。「大盤振る舞い」の出し物は、ツンドラ侯対サイクロプスのデスマッチと、バーベキュー大会ではなかったのか。

「ですから、そのバーベキュー大会における食材が、ゲテモンというわけです」

 言われてみれば確かに、「バーベキュー大会」という表現は、食材を示す言葉ではない。でも……、ゲテモンのバーベキューでは、ある意味、詐欺的ではないか。

 ところが、パーシュ=カーニス評議員は朗らかに、もう一度「ハッハッハッ」と笑い、

「しかし、安心して下さい……と言っていいのかな。実は、ゲテモンになる可能性は非常に低いのです。私としては、ゲテモンでバーベキュー大会が面白いと思うのですが、ツンドラ侯以外は、全員悉く、ゲテモンのバーベキューに反対しているのですよ」

「そうなのですか。よかった……」

 わたしはホッと胸を撫で下ろした。ちなみに、評議員の話によれば、食材については明日の会議で最終的に決定される予定であり、ツンドラ侯以外の出席者の圧倒的多数の意見により、(一般的な)牛肉によるバーベキューに落ち着くだろうとのこと。

「というわけなので、私はこれにて失礼しますよ」

 パーシュ=カーニス評議員は、高らかに「ハッハッハッ」という笑い声を響かせ、宮殿の長い廊下の奥に消えていった。

「マスター、なんというか……、危機一髪なのかな」

 プチドラは額の脂汗をぬぐい、わたしを見上げた。

「一体、なんなんだか……」

 わたしは思わず「ふぅ」とため息。ゲテモンバーベキューの可能性が非常に低いなら、何も、そう面白そうに言わなくてもと思う。ただ、冷静になって考えてみれば、バーベキュー大会といっても出席義務はないのだから、仮にゲテモンに決まっても、なんのことはなかったのだが……


 その時……

「それはおかしいであろう、いくらなんでも!」

 宮殿の長い廊下の奥から、聞き覚えのある声が響いてきた。声色やトーン等々から考えると、その声の主は帝国宰相に違いない。また、宰相の声に加え、もう一つ、これまた覚えのある、どことなくメカニックな声が聞こえた。

「いや、おかしくはないはずです。当社としても、ギリギリのところですからね」

 声のする方向を見てみると、果して、帝国宰相とマーチャント商会会長が連れだって、こちらに向かって歩いてくるところだった。

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