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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第13章 毎度の宮殿の奇怪な面々
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御都合主義的なパターン

 三匹のブタさんたちが立ち去った後、わたしは「ふぅ~~~」と大きなため息をつき、柱を背に、ヘタリとその場に座り込んだ。

「マスター、いつものことだけど、今のは、一体……???」

 プチドラは小さな腕を組み、首をひねっている。このような人情の機微に触れる話は、ドラゴンにとっては理解しがたいのだろう。今は、心底、プチドラをうらやましく思う。

 わたしは「よいしょ」と足腰に力を入れ、立ち上がった。とりあえず、この場を離れよう。前回もそうだったけど、御都合主義的ないつものパターンなら、次には帝国宰相かパーシュ=カーニス評議員に出会うはずだ。


 果して……

「ハッハッハッハッハッ!」

 宮殿の長い廊下に、遠くから、聞き覚えのある快活な男の声が響いた。わたしもプチドラも「ははは」と苦笑し、顔を見合わせる。例によって御都合主義の極みだけど、(ブタさんたちの次の)最初に遭遇するのは、魔法アカデミーのパーシュ=カーニス評議員のようだ。

 柱の陰から廊下に出てみると、よく目立つ白いローブを着たパーシュ=カーニス評議員が満面に笑みを浮かべ、

「ハッハッハッ、これはこれは、誰かと思ったら、ウェルシー伯ではありませんか。この前にお会いしましたっけ。しばらくぶりですな。御機嫌はいかがですかな」

 いつものことだけど、この人は飄々として、まったくつかみ所がない。

「パーシュ=カーニス評議員こそ、元気そうでなによりです」

 わたしは社交辞令としての愛想笑いを浮かべた。ただ、今日の目的は、帝国宰相やツンドラ侯と会って、(ウソ八百に近い)唯一神教の危険性を吹き込むこと。どちらかと言えば、パーシュ=カーニス評議員は、お呼びではないのだが……

「ウェルシー伯、御存知のことと思いますがね、例の『大盤振る舞い』、面白いことになりそうですが……、『が』なんですよ」

 パーシュ=カーニス評議員は、どういうわけか頬の筋肉をぴくぴくとさせ、何やら話をしたそうな様子。素っ気なくサヨナラするのも悪いので、とりあえずは、話に興味を抱いたような感じを出し、

「面白いことですか? それは……」

「いえ、『面白い』というより、『が』の部分が重要なのでね」

 と、なんだか意味深な言い回し。パーシュ=カーニス評議員によれば、「大盤振る舞い」は、普段は剣闘士の戦いが行われる闘技場において、最初にツンドラ侯とサイクロプスの時間無制限のデスマッチが、デスマッチ終了後には闘技場でバーベキュー大会が催されるという。ただ、この話は、一般市民に公示されているということだから、取り立てて言うほどのことはないと思うけど……

「だから、『が』なんですよ。バーベキュー大会が最後の問題点でしてね。その点、まだ決着がついていないのですが、最悪の場合には……」

「はい? 『最悪の場合』ですか??」

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