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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第12章 無理筋の計画
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アメリアのおやつに対する反応速度

 わたしはアメリアを伴って教団本部を出ると、教団の馬車に乗って、わたしの屋敷に向かった。

 今までなんとも方向性が定まらなかった教団潜入捜査だけど、教団に暴動又は反乱を起こさせ、その間に、錠前が3重にかけられた宝物庫あるいは「開かずの間」から金銀財宝を運び出すという基本方針が定まった今は(いかに無理スジであろうとも)、その遂行に向けて全力を注ぐだけ。

 屋敷に戻った後は、とりあえず宮殿に出向いて帝国宰相に会い、唯一神教がいかに危険な連中であるか、この前にコーブ事務局次長から渡された怪しげな書類も使って、吹き込むことにしよう。ただ、宰相が仮にわたしの話を信じるとしても、すぐに(教団に圧力をかける等の)行動を起こすとは思えない。なので、次善の策として、どこかでツンドラ侯を捕まえて、職権を乱用してもらって、唯一神教に対し、あの手この手の嫌がらせをしてもらうことにしよう。ゲテモン屋のフルコースは、覚悟しなければならないが……


 屋敷の門の前まで来ると、パターソンが慌てて屋敷から飛び出し、

「これは、カトリーナ様、今回は、早いお戻りですね」

「早かった? ええ、言われてみれば、そうね。気分的には、あまり早い気はしないけど……」

 確かに、屋敷を出たのは昨日だから、留守にしたのは丸一日。教団本部では結構いろいろなことがあったから、もっと長く本部に居た気がする。

「お姉様、お帰りなさい」

 パターソンに続き、アンジェラも馬車のドアの前でニッコリ。

「お姉様、お疲れでしょう。すぐにおやつを用意しましょう」

「え~っと、おやつですか。よっしゃぁ!」

 と、アンジェラの言葉に(わたしより早く)反応したのは、アメリアだった。


 こうして、わたしとアメリアが屋敷の応接室のソファに腰を下ろすと、アンジェラがお盆の上に3人分のケーキと紅茶を乗せ、

「どうぞ。これは、このところ帝都で評判のパティシエが……」

「ありがとうございます。では、え~っと、遠慮なく、いただかせて……いただきます」

 アメリアは説明を最後まで聞かず、大きな口を開けてケーキにかぶりついた。非常に分かりやすいリアクションだけど、わたしとアンジェラは、思わず目が点。

 パターソンも、「やれやれ」と苦笑しながら、

「まあ、彼女がケーキに夢中になっている間に、ちょっとした情報ですが……」

 彼の話によれば、「大盤振る舞い」の出し物やスケジュールが正式決定され、今朝から一般市民への公示が始まっているとのこと。その内容は、帝都の闘技場でツンドラ侯がサイクロプスと時間無制限のデスマッチを行うとともに、対戦終了後に闘技場でバーベキュー大会を開催するという、この前から何度か部分的に聞かされてきた話。公示が始まったということは、正式決定を経て、開催に向けた準備が進められるということだろう。

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