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第一章五節 強敵の出現早くないですか?

「慎太郎とかいないのは皆、中かしら?」

「・・・たぶん。」

外に脱出できたのは中村舞と高木あやめの二人であった。

二人は店の駐車場の車の影に隠れている。

辺りには5体の吸血鬼がいる。

このまま、時間が経って暗くなれば一斉に襲い掛かってくるだろう。

そこまで待つつもりもないが店の中に入ったままの仲間を見捨てて逃げるのも嫌なので二人はこうして隠れていたのだが現状はどうすることもできなかった。


そのまま、一時間が経過したときであった。

辺りが影で包まれた。

薄暗くなっていた。

勿論、まだ日が落ちるような時間でもない。

しかし、太陽は空になかった。

雲に隠れたのだ。


「あ!もしかして…」

舞の言葉であやめも気が付いたとき、二人の背後には吸血鬼が舌なめずりをして立っていた。

二人の悲鳴が重なった。

吸血鬼は歓喜して走ってきた。


吸血鬼はあやめを押し倒した。

舞は持っていたバットで殴りかかるも別な吸血鬼が出てきて腕を押さえてバットを押さえつけた。


「うらああああああああああ」

近くから人の掛け声と何かが暴れまわる音が聞こえる。

それがドンドン自分達の方へ近づいて来ている。

それに恐怖を感じたが他のある気持ちの方が強かった。

自分に馬乗りになっている吸血鬼もその大声でそっちに気が向く。


「うらぁ!」

あやめの上に居る吸血鬼が横に倒れた。

「獲物を狙っている瞬間が最も隙があるんだよ。ハンターハンターでも読み直しな」

そう言うと右腕に持った剣を走りながら横に振るう。

刀身が吸血鬼の頭を捉えた。

頬の部分の骨が砕ける。

更に上段に構えると脳天に振り下ろした。

剣の重さで勢いを増して攻撃力の増した一振りで吸血鬼にトドメを刺した。

「ま、俺も見たことないんだがなw」


「き、霧人君?」

「うらぁ!!!」

もう一体の舞を襲っている方の奴に向って駆ける。

剣を突き出し、突きの姿勢で突っ込む。

刺さりはしないが吸血鬼は押されて体勢を崩しかける。

霧人は自身を一回転しながら横になぎ払うようにして剣をぶつける。

吸血鬼は腰を折った。

霧人は腕を回転の勢いを乗せてあげ、振り下ろす。

無論、頭部を狙って。

頭蓋骨を砕いたのか吸血鬼は倒れた。


太陽が再び出てくる。

「無事か?噛まれてないか?」

舞を助け起こしながら聞く。

「だ、大丈夫。」

「他の連中は中だな?」

「うん、たぶんだけど」

霧人はケータイを取り出して義姉に電話する。

「監視カメラで位置はわかる?」

「ほとんどは無事みたいね。トイレに立て篭もっているわ。慎太郎君だけ見つからないけど・・・」


「わかった、指示をお願い」

イヤホンをケータイに接続して耳に付ける。

音漏れがないかも確かめる。

「俺は中に入る。お前らは待機だ。日陰には入るなよ」

中に入ると吸血鬼が幾らか徘徊していた。


此方を見ると襲い掛かってくるので窓際に移動する。

すると此方を見向きもしなくなったので明るい太陽の光が目を潰したのだろう。

―――窓際は安全ということか・・・

『トイレは霧人から見て正面を突き進んだ先よ』

トイレは店の横の端っこにある。

義姉の指示とおり進もうとするが気が付く。

外から行ったほうが安全だな…

霧人が外を回って迂回してトイレの横にある入口に向った。

このとき、霧人は考えていなかった。

何故、誰も外にでなかったのか

入口の自動ドアのガラスが木っ端微塵に破られていた。


「おい、皆、出て来い」

トイレの入口から呼びかける。

しかし、返事はない。

その時、背後から声が聞えた。

うめき声のような声にビクッとなりながら振り返る。

そこにいたのは一体の吸血鬼。


青白い身体、赤い目、そして、トラの牙を連想させるような大きな犬歯が口からはみ出ている。

爪も長くなって血が滴り落ちている。


霧人の勘が告げていた。

「今までの奴とは違う!」


柳葉刀を構える。

吸血鬼は襲い掛かってきた。

爪での攻撃を刀身で防ぎながら背後に移動して外に出る。

外におびき出せれば奴は目を使えなくなる。

その隙に倒すしかない。


外に出ると日光が差し込んでくる。

足元に落ちていた石を走りながら拾って投げる。

これでそっちのほうに吸血鬼は走って行く。

                 はずであった。


吸血鬼は真っ直ぐと霧人に向って走ってきた。

霧人は姿勢を低くして襲い掛かってくる手を柳葉刀で弾いた。

「気をつけて!」

佐藤さんが金属バットを手に店から出てきた。


「全員無事か?」

「加奈子ちゃんが・・・重症かも」

「なんだと!?わかった!」

霧人は目の前の敵に集中することにした。


しかし、倒せる見込みはない。

これまでの吸血鬼とは違う。

こいつが佐藤たちをトイレに閉じこもる理由となっている奴であるだろう。



刀身を吸血鬼の方に突き出す。

吸血鬼は身体を翻して避けた。

そして、爪で攻撃をしてこようとした。

柳葉刀の長さではこの敵の真横に刀身がある状態では爪を防ぐことが出来ない。

―――間にあわねぇ!

「借りるわよ。この立派なレイピア」

横から透き通った声が聞えた。

そして、腰からレイピアがなくなった。

霧人の眼前にあった爪は弾かれた。


相沢真由だ。


「だああああぁぁぁぁぁ!!!」

真由はレイピアで連続で突いた。

吸血鬼の肩、額、胸と刺し傷が増えていく。

霧人は前に一歩踏み出て、柳葉刀を振り上げた。

吸血鬼の顎を砕く。

更に真由が横から腕を突く。

攻撃の隙を与える前に霧人は柳葉刀を振り落とした。


頭蓋骨を割る嫌な感覚が手に広がる。

吸血鬼は倒れた。


「やっ、やったか?」

自分でこれ敵の復活かつ俺の死亡フラグだとわかっていたが呟いてしまった。

「はぁはぁ、動かないわ・・・」

「しっかりしろ!」

加奈子が正一によって外に運ばれ、横たわっていた。

肩からおびただしい量の血を流している。

「おい、噛まれたってわけじゃねーよな?」

真由に問うが違うという答えがかえってきたので一安心する。

噛まれたら吸血鬼の仲間入りだ。

仮に抗体を持っていても失血死する。

新たな情報によると吸血鬼に噛まれるときに体内に血が固まらないようにして血を流れやすくする物質が注入されるらしい。

だからそのまま、感染もせずに失血死というのもある。


「慎太郎はやっぱ、はぐれてるようだな…」

トイレから外に出てきた奴らを眺めながら霧人は呟いた。


「き、霧人・・・すまん。迷惑を掛けた」

加奈子が横たわりながら此方を向いて言った。

「大丈夫だ。…近くの家まで運んで人を寄越してくれ。油断するな中に吸血鬼がいるかも知れん」

「お前はどうすんの?」

正一が聞いてくる。

「慎太郎も助けないとな・・・」



「あ、ごめん。……慎太郎、見つけた…」

佐藤さんがスーパーを凝視する。

ガラス越しの店内の自動販売機に隠れる影が一つ。

慎太郎だ。

本人は必死に隠れているのだろうが某スネークがダンボールに隠れているのよりも低クオリティな隠れ方だ。

低クオリティなんか言ったら怒られるな……


「とにかく連れてって治療しろ!」

霧人は笑いを堪えながら叫んだ。

「私も協力するわ」

相沢がズイっとレイピアを片手に出てくる。


「お前、意外と強かったんだな…」

「フェンシングやってたのよ

それにいつまでも引っ込んでは居られないからね…」

相沢は肩に刀身を乗っけてため息を吐く。

「さぁ、助けに行きますか」

霧人はそう言ってガラスを柳葉刀で叩き割って中に入った。

ガラスの砕ける音が響き渡り、相沢は霧人の方をバッと見て正気でない人を見るような目で見てくる。

「何やってんの!?」

「だってだって…中に入るのが怖いんだもん」

「おお、助けに来てくれたのか。スマン」

慎太郎が近くの消火器を拾って駆け寄ってきた。

その背後から吸血鬼が寄って来るが慎太郎は太陽が出てれば目が見えないと鷹を括っていたのだろう。

しかし、その吸血鬼はコレまでのとは一味違った。


長い爪が慎太郎に襲い掛かる。

慎太郎は消火器を前に翳して防ごうとするが消火器は真っ二つに切り裂かれ中から白い消化剤が出てくる。

首もとの襟を掴んで引っ張り、駐車場の中央までつれて来る。

ここならある程度広い。


「てか金属バットは?」

「慌てて落したんだ」

―――冷静そうな慎太郎らしからぬ行動だな……

「来るわよ!!!」


ここまで追ってきたのは目の使える二体の吸血鬼。

この吸血鬼は剣道部でも屈指の実力者を撃破するほどの強さを単体で持つ。

手ごわい相手だ。

対するはレイピア使いのフェンシングを過去にやっていた相沢。

帰宅部、親父の趣味で少し扱いを教えてもらった程度の初心者に毛が生えた霧人。

冷静が売りなのにそれがちょっと危うくなった慎太郎(学級委員長)。

この三人がお相手する!!!


相沢はSAOのアスナ的な闘い方をしますね多分。

ま、アスナが使ってんのはレイピアではありませんがなw

そのうち、霧人君も両手持ちでスターバーストストリーム!とか使うわけないですね。


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