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第一章四節 俺の義姉が技術畑なはずはない

悩んだ結果。

この吸血鬼の正体は生物兵器にします。

神さまがどーのこーのみたいな話は詳しくないので。

かといって生物学も得意でもその道に関して知識があるわけでもありませんが。

「というわけでこれから俺の家へ来て貰おうか」

霧人はそう言った。

が女子たちは全員嫌そうな顔をしている。

それを見た慎太郎が説得を始める。


「現状で最も近くに自宅があるのは霧人だ。そしてもうすぐ日が沈むだろう。」

もうすぐで日が沈み吸血鬼たちが活発化すると知ったら嫌でも行くしかない。

これを聞く霧人も微妙である。

だったら俺だけで帰ってもいいんだけどなーと小石を蹴る振りをしたりする。

「元はといえばアンタがトイレなんかに行かなければこうはならなかったのよ」

黒田が言った。

「ごめんなさい」

先ほど痛い目に遭ったので口答えはしないようにする。

 柔軟さが俺の売りだぜ!!!


「質問いいか?」

田中がカウンターに腰掛けて手を上げながら言う。

「どうやって切り抜けるんだ?」

田中が外を指差すと吸血鬼が扉をだんだんと叩いていた。

「よし、俺が囮になる。田中先輩が開けたら音を立てるので俺に襲い掛かったら委員長が槍で討ってください。」

「わかった」

二人は返事をすると準備した。


「開くぞ!!!」

 おにぎりを冷やしている棚の前に霧人は立って包丁を構えた。

この店内では槍モップは使いずらい。

リーチの短い包丁のほうが向いていると考えた。

田中が開くと二体の吸血鬼が入り込んできた。

一体は霧人に先に向ってきたが横に跳んで避ける。

牛乳パックを掴み、投げたが吸血鬼は音に構わずに襲ってきた。

店内などでは見えるようだ。

それに驚きつつも霧人は冷静さを保って後ろに二歩跳んで距離を取る。

残りの一体は慎太郎によって既に始末されていたようだ。


 吸血鬼が顔を突き出して噛み付こうと向ってくる。

霧人は首を右腕で打って噛み付くのを防ぐ。

右手の包丁を逆手に持ち直して腕を身体の前に戻して首に突き刺した。

更に左手で頭部を掴んで冷蔵庫の棚に頭を突っこませて足を払って体勢を崩す。

倒れたところを足で踏みつけてトドメを刺す。


先に三人以外は外に出ていた。

霧人が出ると吸血鬼が集まり始めていた。

「早く案内しなさいよ!」

吸血鬼が集まりだしたことで恐怖から冷静さを欠いた舞が霧人に言った。

大声で言っていたので霧人はシーっと黙らせた。


 日が随分と沈んできている。

そして、雪による足音がしたりで吸血鬼たちは幾ら別の音を立てても霧人たちに向ってきていた。

コンビニ内でのことから薄暗くても吸血鬼は目が見えてくるかもしれない。

しかし、吸血鬼たちも凍った足場に足を滑らせたりして倒れたりしているのもいた。


「滑稽だな」

田中はそれを見て大層面白そうにしていた。

霧人の家の近くに来て気がついた。

その道には日が差していなかった。

角から見ると吸血鬼は6体ほどいた。


「多いな・・・この先は日が差していない。恐らく、目が見えている。」

霧人は頭痛がした。

只でさえ消耗しているのにこの数を相手にするほどの体力は残っていない。

「どうする?」

慎太郎がメガネを取り、レンズを拭きながら訊いてくる。

一斉に視線が霧人の方に向く。

「待ってくれ、助けを呼ぶ。」

霧人はケータイを取り出しその人が家にいることを願った。


ワンコールでその人物は電話に出た。

「霧人?無事だったの?」

電話の相手は平坦な声で問う。

「うん、俺。今、自宅前の道の手前にいるんだけど吸血鬼が多くて…」

「わかった。準備はしていたのよ?おねーさんに任せなさい。」

ブツッと電話が切れる。

ケータイを懐に仕舞うと皆に言う。

「走る準備だ」


すると大きな音が鳴った。

ベルの音に聞えたがボカロ、銃声、サイレン、人の声などなど色々な音が鳴っている。

吸血鬼が一つの住宅に向ってダッシュを始めた。

「今だ!!!」

霧人は走り出す。

此方に気がついた吸血鬼が二体。

向ってくる。

しかし、速度をより速める。

バットを両手で持ってあらん限りの力で振りきる。

嫌な音を立てて吸血鬼の首が変な方向に曲がった。

前方からもう一体が駆けて来た。

振りかぶるが先に右腕を押さえられる。

左腕で吸血鬼の首と右腕を押さえる。が吸血鬼の牙は肩に向って近づいてくる。

 その時、背後で鳴き声がした。

「霧人、新手だ!」

慎太郎が霧人の相手をしているのとは別の奴の首にモップの柄で押さえている。

吸血鬼の顔が霧人に更に近づくと黒田が吸血鬼の頭を押さえて足を蹴った。吸血鬼の頭が上を向く。

霧人は左腕で右手を押さえる腕を打って右手のバットの柄で顎を叩く。

黒田は後ろに跳躍して包丁を頭部に突き刺した。

それを抜いて下がるのを見ると霧人はバットを両腕に構え、上段の構えを取って、バットを振り下ろす。

吸血鬼は頭蓋骨陥没を起こして地に伏せた。

背後からは吸血鬼が走ってくる。


「走れ!」

慎太郎は倒れた吸血鬼の頭にモップ槍を突き刺して叫んだ。

霧人は白い門を開くと中に入り、全員が庭に入ると閉めた。

玄関に走ってドアを開ける。

鍵は掛かっていない。開けておいてくれたのだろう。

先に自分以外を入れて入ると鍵を閉める。

鍵は4つあるが全て閉め、チェーンも掛けた。


そこで一息つく。

すると正面の階段から一人の女性が降りてきた。

霧人以外は身構えたが霧人は声をかけた。

「ただいま。義姉さん」

「やっぱ無事だったわね」

義弟のことなどまったく気にしていなかった様子で言った。


「霧人の姉さん?」

井上が霧人に肘で小突いて訊く。

「霧人の義姉、沙織です」

とりあえず、リビングに集まる。



各々、ソファに座ったりテーブルの椅子に座ったりする。

「吸血鬼に関する新しい続報は…?」

慎太郎がPCのキーボードを叩いている沙織に向って言った。


「とりあえず、アレは生物兵器みたい。どこぞのテロ組織が海の向こうから持ち込んだもの。」

「まさか、日本でもテロが起こるなんて…」

相沢が信じられないかのように呟く。

「ではアレはウイルスによるバイオハザード?」

「そういうことになるな…」



「この町の現状を知るために近くの店とかをハックしたけど吸血鬼しか見ないわ…」

「ハックって何?」

あやめが霧人に訊いくのを気にするなとあしらう。

「生存者は私達以外は0人ということか?」

加奈子が腕を組みながら問う。

「別な地区は生存者が随分といるようだが…」

「ならそこに行きましょう」

佐藤が提案する。


「俺はもういいや、めんどい」

霧人が言った。

流れでとはいえ自宅に戻ってこれたのだ。

ここで立て篭もるなりすればそのうち一過性の風邪みたいに事態も収集するだろうと思ったからだ。

ハ?みたいな視線が霧人を突いてくる。

「いや、下手に人のいるところに行っても出れないのは同じでしょ?」

「それもそうだが、家族が心配じゃないのか?」

正一が尋ねてくるが二年前に死んでるとだけ答える。


「まぁ、ここまで来れたのはこいつのおかげでもある。自由にさせよう」

慎太郎が言った。

 それで皆は納得したようであった。

少しだけ悪い気がするが自分の命は大切だ。

ここまで行動を共にした仲間と分かれるのも心配だが自分が生き残ればよい。

そう考えていた。


「本気で残るつもりなの?」

相沢が霧人に話しかけてきた。あまり話したことはないが。

「ああ、そのつもりだ。もう生き残りも安全な場所もないさ。」

生き残りは自宅に引き篭もっていて生き残っているなんて奴もいるだろうが。

自分の布団に入り込んで考える。

彼らと共に行くべきか…。行くとしてもどこへ行くというのか?




霧人の家に辿り着いて数日後の吹雪が晴れた日。

「やばい、バレたぞ!逃げろ!!!」

田中が叫ぶのと同時に全員が蜘蛛を散らすようにして逃げた。

現時刻は昼。

食料調達のために入ったショッピングセンター。

一見したところ吸血鬼はいなかったが彼らが中に入るとどこからか湧いて出てきたのであった。

「くっ、まさかこんなにもいるとは…」

太陽に光から逃れるために入っていたのかまったくわからないが。

慎太郎はとっさに近くにあった自動販売機の陰に隠れたが周りの様子は掴めない。

―――どうする!?


食料を調達するために街に出ていたとき。

ケータイが震える。

霧人はポケットに手を突っこんでケータイを取り出した。

左手には柳葉刀をアニメとかに出てくるようなデザインにしたような剣を持っている。

刃は付いていないがこれから義姉にでも頼んでつけて貰う予定だ。

刃は付いていなくても金属で重量なので鈍器としても使える。

親父の趣味で自宅にこういうのがいくつかある。

腰にはレイピアも収めてある。


「何て言ったのですか?義姉さん。」

電話先の義姉の口から驚きのことを言われた。

―――…あのバカ共!!!

すっかり吹雪のことをわすれていた


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