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第一章一節 殺戮の始まり

この話は敵がゾンビから吸血鬼に変わるだけですね



歴史上で禁断の果実というものがある。

それを食したものは日陰の存在となることと引き換えに人間にしては強力な力が得られる。

モンゴル帝国。

チンギス=ハンを筆頭にして全世界の征服とまではいかなかったが征服活動を進めた。

ヨーロッパではワールシュタットの戦い、ワールシュタットは死体の山という意味で彼らの恐ろしさを目の当たりにした。


その悲劇が再び、起ころうとしていた。






事態が起きたのは高2の冬であった。

もうすぐで三年となり一年で大学受験や就職などなど各々の進む道へ向って別れの時がやって来るはずであった。

制服はブレザーである。

容姿は黒髪、セミショート、身長は160超である。あと少しで170なのに何でそこであきらめちゃうのさ!そんな中で私こと常盤ときわ 霧人きりとは……孤立していた。

現在は昼休みである。

一人で机から移動することなく弁当を食べていた。



(きっ気まずい!…こうなってもう一年だけどさぁ…いつまでこうしてるつもりだよ!俺のバカヤロー!!!)


横では女子の一団が楽しそうに食事をしている。

その会話(中身はドロドロ)を聞きながら参考書を出して読む。

別に虐められているわけでもないのだが会話が苦手でこのような状況になっていた。


残りは未だに三十分もある。

―――昼休みってなげぇよ!!!

昼休みの創設者を憎く思いながら教室を出た。

教室の中の明るい空気は一匹狼みたいな状態の俺には辛すぎる。

もう胸が張り裂けていろんな物が出て行きそうだ。


そして、向った先は屋上だ。

ここは生徒は立ち入り禁止であるが霧人はフツーに侵入していた。

初めのころは不良の方々が何かをやっているのではと考えたりしていたが意外といない。

ちなみにこの学校にはしっかり不良のような方々のグループが三つほどある。

どれもまったく縁はないけど。


「はぁー」

一人ため息を付いて落下防止用のフェンスから町を眺める。

ここらへんは住宅街であるからビルはなく、マンションもこの高校から離れた坂の上に幾つかあるだけである。

―――ゲームしてぇ

今日からは学校に泊り込んでの合宿という素敵な行事の真っ最中だ。

普段は放課後である時間も勉強時間に早変わりというわけでゲームなんかはない。


不意に屋上の扉が開いたので霧人は扉の方をバッと見た。

「はぁー、かったりぃ…んあ?」

頭を掻きながらダルそうに屋上に来た男は霧人を見ると驚きの表情を浮かべた。

髪を茶色に染めていて、ピアスをしている。



「お前、だれだ?」

「…霧人」

まさか、ここで不良っぽい人と会うなんて思ってもいなかったので驚いた。

男はへぇーと珍しい名前だなと言った。


「俺は田中たなか 太郎たろうだ」

「ごく普通ですね…」

苦笑いしながらも霧人は答えた。


「言ってくれるな。クラスは?」

「ああ、2年3組だよ」

「俺は3年2組だ」


――先輩だったんだ……

失礼ながら同級生か後輩だと思っていた。


そこでチャイムが鳴った。

「おっと、時間だな。合宿、頑張ろうな」

「そうですね」

―――しっかり、参加してるんだ……

見た目だけで根はいい人なのかもしれないな。

そう思いながら太郎の去った屋上から霧人も去った。




時間は進んで夜になった。

今は自習時間で明日の授業中にあるテストに向けて備えている。

外ではサイレンが鳴り響いていた。

最近は夜に通り魔が横行していて死人が出たりと洒落になっていない。

しかも死人は血が綺麗に抜き取られていたり、殺害方法も様々であって、大変ぶっそうである。


それでもこの時点で気にするものは誰一人としていなかった。



しかし、状況は変わった。

一つの放送が学校中に鳴り響いた。


『校内に不審者が三人侵入しました。現在、校庭で職員が対応しています。

    全職員、生徒を直ちに体育館へと避難させなさい。』


―――不審者?

霧人は覚えがあった。

最近、横行しているという通り魔だ。


担任がなかなか来ないのでこのクラスはどうすればよいか解からずに待っていることしかできなかった。

「お前ら!体育館へ急げ!」

担任教師である。佐藤さとう 祐作ゆうさくが生徒達に呼びかけた。

2年3組の生徒が廊下で出たときであった。



複数の悲鳴が響いた。

まるで断末魔のような叫びや何かが暴れる音が聞こえる。


―――侵入されたか!

校庭に侵入したといった。この学校は校庭側に正門と昇降口がある。

体育館に行くためには昇降口の前を必ず通らないと行けない。

そして、今は校内から悲鳴が聞えた。

昇降口はふさがれたことになる。

避難をしている途中に侵入でもしてきて被害でもでたのか?


この階のクラスは全て避難し終えたようであった。

「先生!」

霧人は意を決して呼んだ。

すると先生は校舎に侵入されたことを先ほどの悲鳴を聞いて、どう対応すればわからないといった様子であった。


「間違えなく。このまま体育館へ向えば鉢合わせます。」

「ああ、だからどうすればとおもったんだが…」

先生は頭を?きながらいった。


「上へ上がりましょう。」

「上?上でどうするんだ?」

学級委員長である高橋たかはし 慎太郎しんたろうが霧人に向って問う。

慎太郎はメガネを掛けた、黒髪ショートといういかにも委員長といった感じの人物だ。



「屋上です。鍵を掛ける事も可能ですし、あそこなら安全に行ける筈です。」

霧人は落ち着いて説明した。

「しかし、鍵が…」

などと先生は渋っていたが霧人が鍵が開いていることを説明すると先生もこのままいてもどうしようもないと判断したのか屋上へ行くようにと言った。



階段を上がり始めると下から足音が聞えた。

霧人はその足音を聞いて身構えたが現れたのは生徒であった。

「ハァハァ、上がってくるぞ!!!」

その生徒はそういうと霧人たちを押しのけて階段を上がっていった。

それを追う形で2年3組全員が走り出した。

避難訓練では

しゃべらない、おさない、あせらないとかと習ったりするが皆は押し合いへし合いで階段を上がっていく。


霧人は先に上がった下から来た生徒の真後ろを走り上がっていた。

屋上の扉に着いたときに下から悲鳴が聞えてきた。

霧人は屋上に出ると落下防止用のフェンスに近づいて体育館の方と校庭を見た。

どちらも暗くてよく見えないが体育館の前に血の水溜りが出来上がっているのは見えた。

その赤い水溜りを見ると思わず匂いはここまで漂ってきてもいないのに鼻を覆った。

リアルな血だ。


屋上の扉が閉められた音がした。


「おい!何で閉めた!祐作先生とうちのクラスの生徒もまだ来てないんだぞ!」

学級委員長が先ほどの生徒に詰め寄る。


その生徒は呟いた。

「無駄だよ。間に合わない。」

霧人が扉の方に近寄ったときに一枚扉を挟んだ向こう側から断末魔が響いた。

何かを噛み千切るような音とやめてくれ!と叫ぶ祐作先生の声が聞えた。

屋上に逃げてこれた女子の多くが耳を塞いだ。


「わかったろ?」

生徒はその声を聞いた慎太郎に言った。

無言で慎太郎は項垂れた。


逃げてきた生徒は自分も入れて20人に減っていた。

16人、校舎内に残っていることになる。

今は冬。

雪まで降り出してきた。

―――長期、この場にいるのは得策ではないな…


霧人は雪が降っていなかったからここを提案したのだが降ってこられるとは思っていなかった。


「委員長、雪はまずいな・・・どうする?」

凍傷や低体温症などというものが頭を過ぎった。

霧人が慎太郎に話しかける。

「む、警察に先ほどから掛けているのだが…通じん」

慎太郎は携帯電話を弄りながら言った。


「警察に……?」

霧人は状況がまったくもって読めない。

すると霧人は女性とがフェンスの近くで不審者が校舎の昇降口から出てきたようであった。

その不審者は三人出てきた。

昇降口の明かりがついているおかげである程度見えた。


両手はフリーで武器も何も持っていない。

しかし、身体の至る所に血が付着している。

―――凶器は置いてきたようだな……

霧人はそう判断すると不審者は去ったようなので校舎内に入ることにした。

警察も教師が呼んでいるだろうから問題はないだろう。

屋上の扉を開けようとしたとき霧人!開けるな!と怒鳴られた。

誰が怒鳴ったと相手を見ると先ほど逃げてきた生徒だ。ただ一人、不審者を見た人。

そして、今、顔を見て分かったが屋上で昼に会った男であった。

田中先輩だ。


「奴らは化けもんだ…」

「?」

霧人は先輩の気が狂ったと思った。


慎太郎も霧人と同意権らしく怪訝そうな目つきで先輩を見た。

同クラスの女子や男子もみんな同じような目で見ていた。

慎太郎は不審者は三人で全員、校舎から出て行きましたと田中を扉から退けると開けた。


校舎の中は嫌に静かであった。


しかし、入った途端に血生臭い臭いが鼻を突く。

目の前には生徒が倒れていた。

霧人は近寄ってみると口から血を吐いていて、目が開いたまま死んでいた。

脈がなかった。


慎太郎が遠巻きに霧人に生きているか?と尋ねた。霧人はが首を横に振るとそうかと言って辺りを見回した。

「まさか全員、殺されちまったのか…?」

霧人は惨劇を見て、気分を悪くしたが下に下りることにした。

体育館に向わないとならない。


背後では吐瀉物の音がする。

誰かが吐いたのだろう。

こんなに血生臭いなら仕方ないだろう。



霧人は階段を下りようとするとうめき声が聞えた。

霧人は生存者がいたとうめき声を出して倒れている生徒に駆け寄った。

男子生徒であった。

肩から血がこびり付いていたので出血していると思って生徒のネクタイを取って、肩に巻きつけてやる。

―――噛み付かれた跡?

生徒の肩には噛まれた跡があった。

人間の歯形に二本だけやけに深く刺さっていた。


そして、血色が悪い。

別の死体を見た。

どの死体にも噛み付かれた跡があってやけに出血が少ないと思った。

実際に首から血を吹くような場面は見たことがないので分からないが首に傷があるのに出血量が少ないのかそんなに汚れていない。

血生臭い正体は身体を掻っ捌いた跡であった。


「キャッいやっ!やめて!!!」

同じクラスの女子の声が背後から聞えた。

「上条!!!」

上条という同じクラスの女子が男子生徒に襲われている。

馬乗りに近い感じになっている。

襲っている生徒は倒れていた生徒だ。

腹が開いているというのに動いている。

「テメッ!何してやがる!!!」

同じクラスの男子、吉田が殴りかかった。


――容赦ねぇ……

吉田が怪我をしていて倒れていた生徒に躊躇なく殴りかかるのを見てそう思った。

その時、何かが迫ったのを感じた。

目の前にネクタイを巻いてあげた生徒の顔が迫っていた。

「起きて大丈夫なのか?」

心配になって声を掛けるもこの生徒も襲い掛かってきた。

腕を伸ばし、霧人の肩を掴んだ。同時に顔を近づけてくる。

咄嗟に霧人はその顔が接近するのを防ぐために顔を掴んだ。


すると肩を掴む腕が外れ、生徒は階段を転げ落ちていった。

「だから言ったろ」

片足を上げた体制で田中が言った。

背後では慎太郎が屋上に戻るように叫んでいる。

上条と吉田が倒れていた。

二人とも首の辺りに血がこびり付いている。

襲っていた生徒は此方に向かってきていた。


「霧人!早くしろ!」

田中が霧人を引っ張るようにして屋上へと連れて行く。

霧人と田中は襲ってくる生徒にタックルをかました。

霧人たちが入ってくると同時に慎太郎が鍵を閉めた。


「ハァハァ…ふぅー。なんなんだ?あいつら?」

霧人は慎太郎に言った。

慎太郎は冷静に俺が知るかというと話し出した。

「奴らは理性を失っているようだった。それに怪我をしても動けていた。何かの薬物による効果か?」

「タイミングもおかしいな。不審者に襲われた後だ……。」


「あいつらが何かを仕掛けたのか?」

パトカーのサイレンが聞えてきた。

「救助か?」

慎太郎が呟いたが違った。


『住民の方は速やかに建物の中に避難してください。現在、暴徒が街中に出没しています。』

そのようなことを言いながら警察のパトカーは去っていった。

「警察も対応し切れていないのか?」

「わからないが…やばい状況だ。」


霧人は校庭を眺めるとため息をつく。


ゲームのお預けは長くなりそうだ……

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