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無くて七癖~ウザ眼鏡から素敵眼鏡に婚約者が変わりました~  作者: 砂臥 環


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7/10

⑦プルプル嬢はプルプル訴える

 

 プルプル嬢は悲痛な感じでプルプルしながら、私に訴え続ける。


「エスコートなしだなんて、惨めです……! もう彼は貴女の婚約者じゃないんでしょう!!」

「そうだけど……そんなの私に言われても困るわ」


 そう答えた通り、こちらにしてみれば『何故私に?』でしかない。

 それこそ自分で『彼は貴女の婚約者じゃない』と言っているというのに、なにをイキナリ、という。


 件のパーティーに呼ばれていた人は多く、同情的な視線を向けられたものの、それが私にか彼女にかは不明だが……いずれにせよ居心地の良いものではない。


 私は彼女とそれ以上話す気はなく、さっさと家に帰った。



 家で私を待っていたのは、領地にいる父からの手紙。

 そこには『侯爵様から、ホレスを卒業パーティーに男爵令嬢のエスコート役として参加させても平気か、と相談された』という内容が書かれていた。


(成程……プルプル嬢の行動はこの為の布石ってところかしら?)


 ホレスは大人しく罰を受けており、男爵令嬢も問題行動を起こしていない。

 それに彼はどのみち留年が決定している。エスコート役として参加したところで、大きい顔もできないだろう。


 だがこの先を考えるなら意味はある。

 男爵家に婿入りしたところで、向こうは領地も持たない商家。今までの教育はあまり役に立たず、人間関係だけが命綱になる。

 もし更生しているのであれば、親としては今までの縁をなんとか繋ぎ、私と和解しザカライア様とも不仲ではないことを示す為に、『卒業パーティーには出してやりたい』……と思うのも仕方ないところ。


 その一方、侯爵様は『勿論、キャスリーン嬢の気持ちが一番だ』とも仰っているそうで、『もし了承してくれても、ふたりには当日厳しい監視をつける』とのこと。


 勿論、私にしてみればプルプル嬢の言動は却って印象が悪かったけれど、それはそれとして。

 衆人環視の中あそこまで言われてしまっては、寛容さを見せるべきだろう。

 元より彼等になにができるとも思ってはいないので、許可してやってもいい。


(それにザカライア様のお披露目にいい機会だわ。 兄想いな彼にはちょっと酷かもしれないけれど、上下関係をハッキリ周知させることも必要だし)

 

 とても真面目で優秀なザカライア様だが、スペアの立場を受け入れ、子爵家で過ごしていた彼には自信が足りない。

 前に出ようとするタイプでないのは、いくつかの魔道具が商品化されているのに、開発者の名が伏せられていることからも窺えるところ。


 嫁いだ後サポートをする気はあるし、控え目なところも素敵なので『変わって欲しい』とまでは思わないけれど……私が彼自身に『貴方は魅力的だ』ということを、もっとわかって欲しかった。


 それでも少し懸念部分を考えた末、『監視はしっかりと頼む』と念押した上で、ホレスの参加を許可する返事を書いた。


 ──しかし、卒業パーティーの日。

 私はこの判断を後悔することになる。





「じゃあアンジェラ、また後でね」

「ええ。 貴女のドレス姿、楽しみにしているわ!」

「ふふ、私もよ」


 卒業式は午前中に終わり、昼過ぎから行われる卒業パーティーの用意をしに、タウンハウスへと戻る。

 既に王都にいる筈のザカライア様だが、帰った時にはまだ家へ来ていなかった。


(昼食と重なるくらいの時間帯だから、遠慮なさっているのかしら?)


 最初こそそう思ったものの、私の用意が終わってもまだ来る気配がない。

 客人としていらっしゃる際には、常に作法に則りきっちり5分後に来ることから、いつも早目に用意していると思われるだけに、流石におかしい。


(そうだわ、ブローチ……!)


 制服から外し、置いていたブローチを取りに机に向かう。

 パーティーでは常に一緒にいるつもりだったけれど、一応持って行くべきかザカライア様に尋ねるつもりでいたのだ。


(範囲はどれくらいかしら……届いて……!)


 そう祈りながら手に取ると、私が操作するより先に声が聞こえてきた。


『キャシー……キャシー!!』

「──えっ?!」

『キャシー! 僕の声は届いているか?!』

「届いているわ! でもなんで貴方が(・・・・・・)?!」


 ザカライア様ソックリ(・・・・)の声。


 だが魔道具から聞こえてくる、私を『キャシー』と愛称で呼ぶそれは、間違いなくホレスのものだった。


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― 新着の感想 ―
えっ、ザカライア様になにが……!?
 ん〜、おっと、予想書いちゃうところだった(^_^;)
えーーー!?!?!?
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