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4章 復活→??

 目を覚ますと、やはり転生の始まりと同じベッドに寝ていた。

 

 傍らには、あの魔人の女性がいる。


 まずはここからか。


 ベッドから体を起こすと女性に向き直る。


「ま、魔王様…ご無事ですか?」


 不安そうな視線を向けてくる。


「ああ、だが…戦いの後遺症か…記憶がほとんどなくなってしまった。お前は俺の部下か」


「はい! 私は魔王様の秘書を務めていますレビィア・ターニャでございます。思い出しませんか」


 魔王の記憶が突然湧いてくる…………ようなことはなく、まったくない。


「すまない。まったく記憶にない」


「魔王様が謝ることではありません。一体、何があったのですか」


「いつもの部屋にいると、勇者が現れ、強烈な一撃を受けたのだ。だが、勇者は倒して、あの部屋にいるはずだ」


「なんと…すぐに探すように指示をします」


 ターニャは急いで外へ向かう。


「待て! 勇者の亡骸は……丁重に葬ってやってくれ」


 ターニャは神妙な顔でうなづくと、部屋から出ていった。


 これからどうしたらよいか…魔王の願いとは一体何なのか。


 考えを巡らせても、答えを出てくることはない。


 神とやらが言ったように、魔王として生きていくしかないのだろう。


 そう考えが決まると、俺はベッドから体を起こすと、ターニャの元へ向かった。


 ◇ ◇ ◇


 魔王の部屋に着くと、部屋から魔物が亡骸を運んでいるのが見えた。

 

 心の中で、自分への弔いをすると、部屋の中にいるターニャに声をかけた。


「ターニャ、記憶を戻すために、魔王の部下に会いたい。集めてもらえるか」


 ターニャは少し考える仕草をした。


「魔王様、今は人間との戦争中なので、有力な方々は前線にいます。ここに残っているのは後方支援の兵卒くらいですね。非戦闘員の文官は危険のない辺境伯領にいます。記憶のことは非常に大切ですが、まずは人間との戦争をどうにかしないといけません。何かお考えはありますか」


 なるほど……人間との闘いを止めなくては、始まらないということか。人間との和平をすると言いたいが、果たして魔物たちは受け入れてくれるだろうか……うまくいかなくても死ぬだけか。


「ターニャ! 今すぐ人間側と和平を結ぶ」


 ターニャは驚愕して掴みかかってくる。


「魔王様! いくら記憶を失っているとはいえ、それは断じてあり得ません。そもそも、この戦争は()()()()()()起こした戦争ですよ!」


「なんだと! 魔王から戦争を仕掛けたのではないのか!?」


「ふざけないでください! 人間どもが急に国境を越えてきたから戦争になったのです。しかも、勇者などという暗殺者を魔王様に仕向けて」


 どうやら魔物側と人間側での認識が違う……魔物が人間たちを襲うから、人間たちは魔王を敵と見なして戦っている。俺も王から国境を越えた魔物を倒すために戦い、そして元凶を倒すために魔王を打ちにいった。


「ターニャ、確認だ。魔物たちは国境を越えたことはないのか」


「もちろんです。前線は国境からこちら側に大きく後退していますし、開戦のときには前線近くに人間はいました。開戦前であっても国境を侵すような真似は厳罰となっていますので、誰も致しません」


 となれば、魔物の中の無法者が勝手に国境を侵したのか? それはない…人間側の認識では魔物の軍勢が国境を抜けて攻めたからだ。無法者が軍隊になれば、ターニャが知らないのが不明だ。


「ターニャ、俺自ら前線に向かう! 支度をせよ!」


 しかし…と食い下がるターニャを強く見据えた。


「わかりました。まずは前線の将軍のもとへ参りましょう」


 そういうとターニャは俺を連れて部屋出ると支度を始めた。


 魔王の願いはわからないが……この戦争には裏がある。それがわかった。まずはそこからだ。


 先は見えないが、希望に向けて歩みを進めた。 

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