明日のギャルナロク
「なあ彩羽。明日地球って滅ぶらしいよ」
「は?マ?」
「うん。なんかデカい隕石が来るんだって。ニュースで言ってた。もう無理っぽい」
「えー明日? 短っ。もっと余裕欲しかったわ」
放課後のコンビニ前。
制服のままアイス食いながらスマホ見てるうちら。
世界の終わりはまるで明日の天気みたいに知った。
「ガチなん? やば」
「ね。もしほんとに明日で終わるなら今日何する?」
「んー……カラオケしてプリ撮ってスイパラ? あ、焼肉のがいいかな?」
「や、それ滅ぶ感なくね?」
「たしかに」
少し考えて彩羽が笑う。
「じゃあさ、付き合ってみる?」
「は?」
「地球滅ぶんでしょ。なんか、彼氏とか彼女とか欲しくね?」
「……え、ガチ天才きたんだが。うわなんか今めっちゃ急に欲しい」
「今からうちら彼女ね」
「おけ。よろしく彼女」
軽くハイタッチして笑い合う。
恋とか好きとか、そういうのは置いといて、ただやってみるだけ。
世界が終わるなら、何でも試してみたかった。
何でも……と言いつつも、べつに大したことを思いつくわけでなく、ショッピングモールをぶらついたり、クレーンゲームにお小遣いをつぎ込んだりの放課後の一瞬。
いつもとおんなじじゃない?なんて二人で死ぬほど笑った。
風が当たって指先が少し冷たくなって、それをどちらからともなく繋ぎ合った。
「ねえ亜里沙、彼女っぽいことって何すんの?」
「うーん……キスとか?」
「やってみる?」
「いいけど、笑うなよ」
「笑わんて」
軽く触れた唇。
やらかすぎ。
てかガムの味するの笑う。
あ、笑っちゃった。
「……なんか普通に出来たことない?」
「うん。意外と」
一応えっちもした。きもちかった。
恥ずかしいし初めてすぎて上手い下手はわかんなかったけど、でもそれよりも、ベッドの上で二人でいる嬉しさのが勝った。
そして、朝が来た。
カーテンの隙間から光が差す。
それが朝日なのか、燃え落ちる空の色なのかはわかんなかった。
「ねえ彩羽」
「んー?」
「うちら、まだ生きてるんかな」
「さあ。どっちでもよくね? 一緒なら」
「それな」
一緒に笑って、もう一度手を繋いだ。
音も匂いも、全部が夢みたいにぼやけていく。
地球が終わったのか、終わってないのか、それは誰にもわからない。
けど、その日の朝はなんだか特別な気がした。
終末百合、いいですよね。




