第7話 テラフォーミング
美味しそうな野菜が沢山あったが、生で食えるものと、普段から買って使っているものだけを収穫して帰った。
生で食えそうなのは、トマト、キュウリ、大根、キャベツ。それ以外に、玉ねぎじゃがいも人参、白菜、ピーマン、ナス。これだけだ。
かぼちゃの攻撃が一番痛かったんだが、折角立派なかぼちゃが現れても使い方が分からん。ナスはそのまま切って食えるんだっけ?ほうれん草は生で食っちゃいけないはずだ。クリスタルの戦士になってしまうと聞いたことがある。
後はよく分からん。かぶっぽいのとかでかいキュウリ?中華っぽい野菜もあったが、使いこなせない。
とりあえず生野菜を食べよう。ドレッシングなんて無いからケチャップだ。ケチャップさんは何にでも合う万能調味料。
他のものはラーメンにぶち込んでおけばいいだろう。いいアクセントになる。
それにしても、なぜゴーレムのいた場所が畑になっていたのか?
ゴーレムが畑を作っていた可能性はある。だがそんな動きには見えなかったし、昨日俺が荒らした時には草も生えていなかった。
あの土団子が怪しい。スライムが硬貨になり、野菜モンスターが美味しい野菜になったんだから、土人形だって何か有用な物になったんじゃないか?例えば、作物が育つ魔法の土とか。
試してみたいが、土人形はもういない。土が剥き出しになっている場所を探せばいるんだろうか?
でもあんまり離れたくないんだよなぁ。土人形がいたところは小さいけど丘になっていたから見えやすかったし、丘の上から遠くを見渡すことが出来た。まったくの平地だと少し歩いただけで入口が見えなくなってしまう。
土が剥き出しの場所なんてあの丘からも見当たらなかったし、かなり遠くに探しに行くしか無いか?
ん?草原にはスライム、土の上には土人形、それが耕されたら畑の野菜たちがいたわけだ。ゲームでもよくあるじゃないか、モンスターの棲み分けだ。
なら、草原の草を剥がせば?
試してみよう。
再び草原にやってきた。地面には草が生え散らかしている。
ブチッ。草を掴むと千切れた。
抜けるのではなく千切れた。つまり、しっかり根が絡み合った良質の芝というわけだ。であれば簡単。
「セェェイ!」
手刀を地面に突き刺し、表面の芝をガッチリ掴む。それを思い切り引き上げた。
べりべりぶちぶちと音を鳴らしながら、カーペットの様な芝が剥がれた。下には黒い土。よしよし上手く行ったぞ。
スライムに邪魔をされながら、5m四方くらいの土の地面が出来た。土人形は湧いてこないが、これでしばらく待ってみよう。
ぼけ~っと眺めていると、周囲のスライム達がもぞもぞし始める。
何事かと眺めていたらパッと色が変わって、またぽよんぽよんと跳ね始めた。
赤スライムに入れ替わっていたんじゃなくて、赤くなってただけなんだな。
スライムは平和な気持ちで見ていたのに、赤スライムを見ると倒したくなる。暇していてもしかたないので、赤スライムを狩っていくことにした。
そうして30分ほど赤スライムを狩り続け、ついに出た。スキルオーブ。
「やっぱり500体討伐だったか。会いたかったスキルオーブ」
パチンコ玉サイズのオレンジ色の玉は、手のひらに吸い込まれていった。
さて、どんなスキルかな?
急に頭の中がかき混ぜられる。知らない記憶がねじ込まれ、ずっと知っていたかのように居座る。
手に入れたスキルは「変身」だった。スライムが変身してたからか?
「変!身!」
手に入れたスキルをノータイムで使用する。俺は超絶美少女なVtuberのアバター姿となった。
「あぁ!ふ、服が!」
細くなりすぎて着ている物が脱げてしまった。いかん、このままでは秘密のベールを暴いてしまう!それはなんだか裏切り、騙し討ち、酷い行為のように思える。
「変!身!」
急いで変身した。この時俺の頭に浮かんでいたのは、何故か松平のけんちゃんだった。
まあいい。俺の心の平穏は守られた。
安心して顔を上げると、芝を剥いだ土のところに土人形が湧いていた。
「成敗!」
胸の部分を踏み潰すと、硬い何かを踏み潰す感触。ここにコアがあるんだ。
土団子に変化するのを確認して満足した。とりあえず取っておこう。
俺が手を加えたことで変化が起きた。ここに畑を作ることも出来るし、きっと他のことだって出来るはずだ。
ここに俺帝国の建国を宣言します。




