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第28話 天候操作は危険な遊び

 ガッツリと飯を済ませ、わざわざ着替えてからホームセンターにやってきた。

 猫の砂くらい通販でも良かったんだが、開発が行き詰まりかけているのでヒントを探しに来たんだ。


 そして早速、店の入口周辺の園芸コーナーを見ていてリアカーを売っているのを見つけた。

 ド田舎なら分かるが、一応アスファルトに覆われたここでリアカーなんて売れるのか?まぁそれはいいとして、手押しのシンプルな物だが猫の砂を運ぶ程度ならこれで十分だろう。


 店員に声をかけ、一旦購入を済ませてから他の買い物をして荷物を乗せて帰ることにした。


 そして猫の砂を見に来たわけだが……。


「鉱物系?」


 一概に猫の砂と言っても、素材は色々ある。

 もっとも一般的なのは鉱物系の砂。軽くて価格の安い木質・紙質。尿をスルーして下のマットで受け止めるタイプなど。


 鉱物系って、砂も鉱物といえば鉱物だよな。砂浜の砂なんかは海洋生物由来の物も多いハズ。

 適当でいいんだろうか?適当でいいや。思ってたのと違う物になってもそれはそれで有り。


 カートに載せられる分だけの鉱物系猫砂を購入した。

 預かってもらっていたリアカーに積み替えてさあ帰ろうとした時、園芸コーナーの隅に砂利や砕石が売っているのを見つけた。


 意外と本格的な店だったんだろうか?こんなの一般的に売ってるものなの?

 砕石を敷き詰めたら岩場が期待できるんじゃないだろうか?

 砂利は……なんだろ?

 全部はリアカーに載せられないので、砕石だけ購入してえっほえっほとリアカーを引いて帰宅した。


          ◇◆◇◆◇


 アパートの階段ではリアカーを持ち上げて運んだんだが、隣人に見られてギョッとされてしまった。こんな時間にウロウロしてんじゃねぇよ働け。

 部屋の前にリアカーを置いて中身を運び込み、最後にリアカーも横倒しにしてなんとか家に入れる。だがトイレのドアは通れないな。


 部屋は未だに送電が復旧していなかった。駅前は早々に復旧していたのに、どういうことだよ。迷惑な話だ。


 さて、一息入れたいところだが、昼の部を頑張っていこう。


 ひとまず砂を草原に運び、ただの土エリアに撒く。

 土人形たちを水鉄砲で蹴散らして撒き始めたまではよかったが、これ全然足りなくね?

 ちょっと計算してみよう。


 買ってきたのは5リットル入りを10袋だ。つまり50リットル。

 縦横5メートル、25平方メートルに砂を敷き詰めるわけだ。厚さ1メートルなら25立方メートルで当然25キロリットルが必要になる。0.01メートルなら250リットルだな。


 そうだ。綺麗に厚さ1cm平均でも猫砂が50袋必要になるのだ。ふむ。


「土木って大変だなぁ」


 保留!




 午前中に集めた毒を海エリアにどくどく流す作業を始めた。

 海エリアは一番低い位置、レベル1としようか。その高さだったんだが、蜂蜜をばら撒いたおかげで二段階ほど盛り上がっている。もちろん水源からここまで全部だ。


 隣接するエリアも盛り上がっているが、これ気をつけないと水が漏れるかもしれないな。

 全体に育てていくにしても、なるべく谷っぽくなるように気をつけよう。

 ん?でもそうなると橋の長さはエリアを丸々またぐ必要があるから……、まぁそうなってから考えよう。


 しばらく海に毒を流し続け、浮いてくる魚をペシペシ陸に飛ばし続けた。


 ポンッ!


 現れる海鮮。そしてついに出たスキルオーブ。


「天候操作……いきなりスケールの大きいのが来たな。流石は海」


 天候操作。なんだか雷で攻撃とか出来そうなスキルだが、基本的に温度と湿度を弄る物のようだ。

 当然湿度を上げる為には水が必要になり、温度を上げるには熱が必要で、下げる為には熱を移動させる必要が……無いんだなこれが。

 わりと凄いスキルだわ。


「熱波!」


 お試しでスキルを発動すると、即座に草原全体が熱波に包まれる。同時に体から大きな力が抜けていった。

 燃料は俺の中のMP的な何からしい。数値化されてないし慣れてもいないのでさっぱりわからん。


「灼熱波こい!」


 更に気温が上昇する。

 日本の夏とは違う。カラカラに干からびた強烈な熱波。

 呼吸が苦しい。目が開けていられず、頭もクラクラしてきた。

 すぐに解除するが、天候が元に戻るわけじゃないようだ。これは不味い。


 ひとまず水鉄砲を発動して体に水を掛けるが、まさに焼け石に水。


 ポンポンポンっ!


 周囲のスライム達が消滅してアイテムに変わっていく。このままではまた花畑が成長してしまうぞ!


「雨だ雨!雨ふれー!」


 猛烈な熱波の中で雨を呼んだ。当然それは通常よりも大きな力を必要とするわけで。


「あ、あらら」


 目の前がブラックアウトする。

 モンスターたちのいるこの場所で気を失うことの恐怖、黒スライムに出会う恐怖が心の奥から吹き出してきた。


 それでも俺は一歩も動くことが出来ず、その場で意識を失ってしまった。

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