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第25話 ドラゴニア

 ドラゴンになれば空だって飛べる。いつからそう錯覚していた?

 俺は飛べなかった。飛べない竜はただの竜だ。ヤケクソで道路を突っ走った。


「ギャーーー!」

「タスケテー!」

 人々は恐怖し逃げ惑う!すわ世界が終わる日か!それとも……!


 こうなる展開を予想したんだが、人々はギョッとしてこちらを3度見した後にスマホを取り出して撮影するだけ。

 つまらん。これが今の御時世か。本当の恐怖を教えてやろうか?やらんけど。


 やることがないので仕方なくす◯家に入り、食券を購入した。店員に直接注文しなくていいからなんとかなるだろう。


「はい牛丼並でぇす」


 なんとかなった。

「迷惑なYouTuberだなぁ。こわいなぁかかわらんトコ」こんな感じなんだろう。


 想像していた展開とは違うが、別に意味があってやっていることではないしいいか。

 今日の俺はドラゴンの皮を被ったただのおっさんなのだ。誰も構うでない。


 飯を食って店を出た。本当は腹なんて減ってなかったので満足感はない。

 特別うるさいバイクも無いし、人攫いも無い。ただこちらに向けてくるスマホがウザイだけ。

 こいつら本当に平和ボケしてるな。


 今の俺は着包みなどでは無い本物のドラゴンだし、こいつらの命なんて何とも思ってない。気まぐれで町ごと燃やしても何にも感じないだろう。

 そのスマホの反射が眩しかったらまとめて殺すくらいの存在なんだぞ?


 ……やっぱりこの世界は俺には合わない。向こうの世界、一人ぼっちのあの世界が俺には相応しいんだ。

 それは構わない。俺自身の選択だ。だが、俺を珍獣のように眺めているこいつらは?

 俺とは別世界の存在の癖に、俺を眺めて楽しんでいるのは違うんじゃないか?


 理屈なんて無い。ただイラついているだけ。そう自覚しているのに、自分の中で憎悪が一気に膨らみ、弾けようとする。

 あぁそうだ。こいつらの残骸を草原に撒いたら、何かに変化するのか知りたかったんだ。実験しよう。


「ド、ドラゴンさん!ほ、ほ、ほんものッスか!?」


 動き出そうとしたその時、横から声が飛んできた。

 少女だ。左目には十字架があしらわれた眼帯を巻き、右目は明らかにカラコンを装着して赤く光っている。それを隠すような長い前髪、後ろにもクッソ長い髪がゆらりと垂れている。


 間違いない、中二病だ。暗黒に囚われし最強の邪竜を見つけてしまって思わず声をかけたのだろう。

 俺の対応なんて決まってる。


『あんぎゃああああああ!!』


 声を上げて体を膨らませる。

 5m、10m、20mまで大きくしてからもう一声。


『ゴアアアアアアアア!!!!!』


 スマホを掲げていた連中も腰を抜かして逃げ出す。

 厨二病少女はその場に倒れこみ、声も出ない。


『我と契約して世界を滅ぼしてよ』


「は、はい!」


 はいじゃないが。

 俺はその返事を聞いて、世界の終わりを予感しながら流水キックで飛び去った。

 大量の電線が絡んで引き千切れ、町は大パニックになったようだ。


          ◇◆◇◆◇


 人気の少ないところでシュッと猫に変身して家に帰った。素っ裸だしね、仕方ないね。

 町が混乱しても知ったこっちゃないが、橋が届くのが遅くなるのは困るな。

 そんなことを考えながら部屋に入ったら、明かりがつかなかった。

 辺り一帯停電してしまったようだ。迷惑な話だよ。


 仕方ないので草原へ。入ってすぐに目に入るのは3*3マスの巨大な花畑。

 花畑……のはず。何メートル伸びてるんだろう?5階建てのビルくらいの高さはあるぞ。

 これ以上伸びたら本当に手に負えなくなる。炭火で焼けなくなったらあの蜂達と戦うのは本当に厄介だ。


 などと考えながらスルーした。

 目的は畑だ。少し離れた場所にある。

 畑も近くに作ればいいんだが、少し手間がかかるんだ。湧き出す土人形を湧かなくなるまで倒し続けるか、土団子を回収しておいて十分に集まったら土に撒けばいい。

 これを中途半端にすると花畑が出来てしまう。


 花畑からは土人形が湧かないので土団子が手に入らない。他のドロップをいくら吸収させても畑にならず上に伸びるだけだ。


 とにかく畑のモンスターを倒す。

 地面の高さは最低ランク、野菜たちが飛び出して体当たりするだけの楽なエリアだ。

 ここも高くしたらスイカとかメロンがでたりしないかな?

 片っ端から野菜を叩き潰してそのまま放置する。リポップが遅く、スキルオーブが出たのは、もう夜が近い時間だった。


「自然治癒?」


 自然に治癒するならそれはスキルじゃないのでは?そんなスキルを手に入れた。

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