第21話 川
さて、今日は川を作ろう。
普通に考えたら川を作るなんて大変な作業だけど、おそらく水を流しておけば自然と川になると思うんだよな。
池も、水を貯めて放置すれば自然な池の姿に変わった。水源は謎だ。だからきっと川もなんとかなる。
まずは川床を作っていく。真っ直ぐでいいだろう。ただただ掘っていけばいい。
5×5が1マスなのは分かっているので、何マス分の川にするのかが問題だな。
やりたいことを考えてみる。まず一番は、新種モンスターからの新スキルだ。
次に、新たな地面を生み出すために利用したい。
急流と通常で分けるべきだろうか? 落差はあるから簡単に作れるよな。
それならまず滝か? 1マス目が滝、2マス目が急流、3マス目が普通の川か?
扇状地や三角州はあまり関係なさそう。三日月湖はどうだろう? そこまで細かいのはなさそうな気がする。湖と池は違うと思うが、湖はまた今度挑戦してみよう。
ダム、堤防、河川敷、湿地、海、水場……いろいろあるよな。
そう考えると、そこそこ長いほうが良さそうだ。
よし、しばらく無心で掘ろう。
川を掘り始めた。1メートルで岩盤なので、それほど深くはない。
俺が入れる程度、幅1メートルほどで、確認しながら真っ直ぐ掘り進めていく。
力は有り余っている。スコップが折れない程度でセーブしながら、ザクザク土を放り投げていく。
ざっくざっくざっくざっくざっく。はい、飽きたー!
でも続けよう。魚が欲しい。池の魚も、いろいろな魚が。もっと言うと海の魚が。
昼まで一心不乱に掘り続け、人間を越えた力で50mほどの川を掘れた。
ものすごく腹が減ったので、変身して「すたみな次郎」へ向かう。
二度と行かないと言ったな。あれは嘘だ。今日は時事ネタに合わせて、「お米を買ったことがない人」に変身した。
この姿で俺は米を食うぞこのやろう。米ラブの旗を打ち立てるのだ。
今日も食い尽くし系おじとなり、何も悪いことをしていないのに食いすぎで出禁になった。
馬鹿め。お前たちが出禁にしたのは本当の俺ではない。
帰りに買い物に寄って、大量の塩ほか色々と買って帰った。
戻ってから、今度は川の終着点を掘る。
なるべく大きなものにしたいのだが、川を掘るのと違って余った土のやり場に困る。
夕方までがんばったが、3×3マスほどが限界だった。
最後に、出発点の池に穴を開けて水を流して終わり。
今日はおしまい。ぐぅ。
翌日。
心配しながら扉を開けたが、ちゃんと川になっていた。
川幅は広がって3mほど。それが緩やかに流れ、終着点の大きな池に流れ着く。
流れが滞ることはなく、終着点で溢れることもない。まぁ、今さら驚くこともないか。
今日は川に段差をつけていく。
終着点も広げたいが、まぁそれはまた今度でも広げられるだろう。たぶん。
最初に炭を手に入れて燃やし、花畑に放り込んだ。そのドロップを川に投げ込んだ。
蜂蜜は蓋を締めたままなら沈んでくれる。
目標は、1マス目が5m、その後4、3、2と減らして、残りは最後まで1だ。
これで急流ができると思うんだよな。1マス目も滝っぽく整えてみよう。
ささっと作業を済ませたあと、水が溜まっている終着点に大量の塩を流し込んだ。
もちろん海をイメージしてだ。海といえば塩水。単純すぎて情けない気持ちもあるが、とりあえず試してみようじゃないか。
ここはなんだか俺の意思を反映してくれる気がするんだよ。だから俺がこれを海にする行為だと考えれば、ちゃんと海に変わってくれる気がする。
海ができれば海魚が、ウニやホタテも採れるんじゃないか? すごく楽しみだ。
さてお昼。
今日はフライドチキンを作るつもりだ。
まずは新鮮な鶏肉を捌く。ももと胸以外は草原にリリース。
水に塩と砂糖を適当に溶かして、肉を漬けておく。
卵を溶き、同量の牛乳と混ぜておく。
そして唐揚げの粉だ。「伝説◯唐揚げ」を使う。これを片栗粉と半々に混ぜて、軽く塩コショウを足す。唐揚げ粉は卵にも混ぜておこう。
準備完了だ。いつもの鍋に油を入れて火をつける。
うちのコンロには温度を測る機能はないが、まぁ適当で大丈夫だろう。
水に漬けておいた肉を取り出し、卵と牛乳を絡ませる。それからたっぷりと粉をまぶし、さらにこれをもう一度繰り返す。
分厚い衣の層が出来上がる。衣にガッツリ味がついているのがフライドチキンだぜ。
これをじっくり揚げた。カリカリ衣のフライドチキン。衣が脂を吸いすぎて気持ち悪くなった。
余った素材と使い終わった油は草原にポイ。汚れ物は浄化でホイ。
持つべきものは異能なんだよなぁ。