ジャガイモパーティ!
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──ジャガイモパーティ!
ミニトマトの栽培やジャガイモの試験的な栽培を始めて結構経ち、安定した収穫が望めるようになってきたときである。
「ねえ、ジン。ジャガイモってどう食べるの?」
リーゼがたっぷりと収穫されたジャガイモを見て尋ねる。
ジャガイモは今のところ、グリムシュタット村ではあまり食されておらず、食べ方も確立されていなかった。
「そうだね。マッシュポテトにしたり……」
他にどんな料理があるだろうかと俺は首をひねる。
ジャガイモ料理というといろいろとある。だが、どういう料理ならばこっちで受け入れられるのか、具体的なレシピはどのようなものだろうかというのを俺は全く把握していなかった。
「ちょっと調べてくるよ。ただ煮ても食べられるんだけど、せっかくなら美味しくいただきたいしね」
「うん!」
リーゼにそう言い俺は一度日本に戻ってジャガイモ料理について調べる。
ポテトサラダの他にもいろいろな料理があり、俺はそれらのレシピをスマホに保存して必要な調味料や料理道具などを仕入れ、再び異世界へ。
「リーゼ。調べてきたよ~。早速、作ってみよう」
「了解! 手伝うよ!」
「それから村の人を集めて試食してもらわないとね」
それから俺たちはジャガイモ料理をせっせと作り始めた。いい香りがリーゼの小屋の中に広がり、料理を作っている俺たちもお腹が減ってきたぐらいだ。
しかし、リーゼと一緒に料理をするのは楽しい。何だが俺たちが新婚カップルであるみたいな妄想をしてしまう。リーゼと一緒に過ごせるなら、日本に戻れなくてもいいかもと思ってみたりも……。
「よーし! できた! これを集会場に持っていこう!」
「おーっ!」
それから味見して問題がないと分かり、完成したジャガイモ料理を俺たちは集会場に運ぶ。
「何だろう?」
「いい匂いがするねぇ……」
香ばしい香りが漂うのに村の人たちは自然と集会場に集まってきた。
「皆さん! 今日は新しい作物であるジャガイモの料理を試食してもらいたいのです! どうか集会場に集まって一口でいいので食べてみてください!」
「美味しいよ~!」
俺とリーゼはそう宣伝し、村の人たちは集会場に入る。
「ジンさん、これは?」
「ジャガイモのポタージュです。美味しいですよ」
「へえ。普通のスープとは違うような……?」
まず村の人が味わったのはジャガイモのポタージュ。とろみのあるスープを口に運び、村の人はびっくりする。
「これは美味しいよ、ジンさん! とろみがあって味付けも丁度良くとても美味い! これならいくらでも食べられそうだ!」
「あはは。気に入っていただけたなら何よりです」
「あとで作り方を教えてくれるかい?」
「もちろんですよ」
村の人たちはまずジャガイモのポタージュを気に入ってくれたらしい。
「こっちのも美味しいよ~」
「それは何だい、リーゼロッテさん?」
「これはポテトサラダ~!」
ジャガイモをゆでたあとに潰してマヨネーズなどで味付けし、ベーコンをなどを混ぜたシンプルな一品。サラダを名乗っているが、あまりサラダではない。
「おお。これは……美味い! これまで食べたことのない味だ……!」
「これはお腹にも溜まっていいね! 満腹になれそうだ!」
ポテトサラダも村の人たちは気に入ってくれたようだ。
「他には何があるんだい?」
「まだまだありますよ。今度はジャガイモのチーズグラタン風です」
俺たちはそれから様々なジャガイモ料理を楽しんだ。村の人たちはどの料理も気に入ってくれて、ジャガイモを栽培すればこれが食べられるということを知ったのだった。
「私たちもジャガイモを育ててみようかしら?」
「ぜひぜひ。種芋は無料で差し上げますよ」
「まあ、ありがとう、ジンさん!」
それから俺たちはジャガイモ栽培の際の注意点などを栽培を希望する村の人に伝え、村の人は真剣にそれを聞いていた。
「あら。何かいい香りがすると思ったら、何をしているのですか?」
「ニナ様。ニナ様もジャガイモ料理、試食していかれませんか?」
「ジャガイモ。ああ、あの飢饉に強いという作物ですね」
ニナ様はそう言って興味を持ち、まだ残っていたポテトサラダを皿に盛った。
「ん……! これは……まさか胡椒ですか!?」
ニナさんはそう言って驚く。
「え、ええ。胡椒は入っていますけど、それがどうかしましたか?」
「胡椒はこの辺りでは大変珍しいのですよ、ジン。南方から輸入しなければ手に入らないような品ですから。輸入する過程でとても高い値段がついてしまうのです」
「そうだったのですか……。全然知りませんでした……」
「しかし、そんな貴重な品である胡椒を使った料理と言うのは……本当に美味しいですね! 胡椒がアクセントになっていて……飽きさせない味わいです!」
ニナさんそう言って満面の笑み。
「リーゼは胡椒のこと、知らなかったの?」
「そうだねぇ。胡椒って食べたことなかったから……」
まあ、知らなければ驚きようもないか。
「お父様にも是非とも試食してもらわないといけませんわ。ジン、まだジャガイモはありますか?」
「ええ。たくさんとれましたので」
「それは何よりです」
こうしてジャガイモはグリムシュタット村の人々の間に確実に広がっていったのだった。ジャガイモのおかげで飢饉が回避できれば……嬉しいな。
* * * *
それから俺はジャガイモをアルノルトさんたちにも試食してもらい、アルノルトさんはお酒に合いそうだとポテトサラダを気に入ってくれた。
「こういう異世界の作物でこっちでも栽培できそうなものは他にないかな?」
ジャガイモが成功したので、リーゼはさらにいろいろな作物を栽培したがっていた。
「う~ん。こっちでも栽培できそうなものか。探してみるね」
「お願いね、ジン」
こうやって異世界でリーゼと一緒に農業をするのもなかなかに楽しいので、俺自身いろいろと試してみたいことはあった。
特にアルノルトさんが新しい領地を得て、土地に余裕が生まれたので試せることは増えてきた感じだ。
日本に戻った俺は俺は環境に強い作物と言うのを探し──。
「おお? これならいいんじゃないかな?」
俺はとある作物に目を付けた。
それはサツマイモだ。
これは歴史的に飢饉を防いできたとても強い作物であるとネットには書いてあった。確かに食料不足だった第二次世界大戦でもサツマイモはよく食べられていたと聞いたことはある。
それに何よりリーゼと一緒に焼きいもでお茶をしてみたかった。
「よし。次の作物はサツマイモに決定だ!」
というわけで、俺はサツマイモの苗を買って異世界へと戻った。
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