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第9章:日本、清の心を掴みアジアを変える

1855年、清王朝、北京。

日本と清の協定が結ばれてから半年。2025年の技術と経済力を持つ日本は、清の広大な市場を着実に手中に収めつつあった。アジアの勢力図は揺らぎ始め、かつて欧米列強が支配したこの地域に、新たな風が吹き込んでいた。


日本の使節団は、清の首都北京や商業都市上海に拠点を構え、高官たちとの関係構築に乗り出した。外務省の田中は、咸豊帝の側近である李鴻章に接触し、こう持ちかけた。

「李様、貴国と我々の交易が進めば、貴殿にも大きな利益がありますよ。これを見てください」

田中が差し出したのは、日本の「自動車」だった。李鴻章は怪訝な顔で眺めたが、試乗してみると目を輝かせた。

「馬なしでこれほど速いとは…! 我が屋敷に欲しいぞ」

「それは簡単です。貴殿が日本の品物を上海で広めてくれれば、毎年5台進呈します。さらに、交易の利益の1割を貴殿に」

李鴻章はニヤリと笑い、頷いた。

「よし、日本と組む価値はあるようだな」

同様に、日本は清の地方官僚や商人にも接近。絹や茶の輸出を増やす代わりに、機械や医療品を安価で提供し、その利益の一部をキックバックとして渡した。

上海の商人、王福は日本の「トラクター」を手にこう叫んだ。

「これで田畑が倍の速さで耕せる! 日本がくれる金で屋敷も建てられるぞ!」

清の高官や有力者は、次第に日本の経済的誘惑に取り込まれていった。


日本の戦略は功を奏し、清の市場に大量の商品が流入し始めた。

都市部では、「トヨタ」の自動車が官僚や富豪のステータスシンボルに。農村では「トラクター」が農業を効率化し、収穫量が急増。

「日本の薬で病が治った!」

医療品も普及し、アヘン中毒に苦しむ民衆が救われ始めた。日本の「カップラーメン」まで市場に現れ、庶民が驚きつつも夢中になった。

「湯をかけるだけで食えるなんて、日本人は天才だ!」

一方、清から日本への輸出も拡大。絹、茶、鉱物が日本の港に山積みされ、日本の産業がさらに加速した。清の経済は日本の技術と結びつき、近代化の兆しが見え始めた。


日本の影響力拡大は、アジア全体に波及した。

清が日本の技術を取り入れる姿を見て、隣国の朝鮮や東南アジア諸国が興味を示し始めた。日本の使節団はこれらの国にも接触し、「我々と組めば欧米から守れる」と説得。

朝鮮の李氏朝鮮では、日本の提案に一部高官が乗り気になり、

「日本が清を動かしたなら、我々も乗るべきか?」

と議論が始まった。

一方、欧米列強は危機感を募らせた。

イギリス駐上海領事は、本国に急報を送った。

「日本が清を掌握しつつある。自動車と機械で市場を席巻し、我々の貿易が押されている。対抗策が必要だ!」

フランスやロシアも動き出し、日本への警戒を強めた。だが、日本の飛行機と軍艦の力を目の当たりにした彼らは、正面衝突を避け、様子見に徹した。


清の朝廷でも変化が起きた。

李鴻章のような現実派は、日本との関係強化を主張。

「日本は我々に富と力带来す。イギリスより頼りになるぞ」

保守派の琦善は反発したが、日本の利益に浴する高官が増え、声は小さくなった。咸豊帝も、日本の医療品で健康を取り戻しつつあり、

「日本は我が朝貢国として忠誠を尽くすなら、悪くない」

と穏やかになっていた。

日本の田中は、東京で林に報告した。

「清の高官は金と技術で懐柔済み。市場は我々の手中にあります。欧米より我が影響が上回りましたよ」

林は笑顔で頷いた。

「アジアは我々の時代だ。次はインドか、それともロシアか?」

日本の視線は、さらに広い世界へと広がりつつあった。

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