第19章:日米、アメリカ大陸を染める
1857年秋、アメリカ合衆国、ワシントンD.C.
アフリカへの進出を成功させた日本と、「日米相互防衛条約」で結ばれたアメリカは、次なる野望としてアメリカ大陸の制覇に動き出した。2025年の技術と経済力を持つ日本と、アメリカの地政学的地位が結びつき、カナダ、メキシコ、中南米を日本の勢力下に引き込む圧力が始まった。ペリー提督の開国が、ここまで世界を変えるとは誰も想像していなかった。
ワシントンで、ペリーはアメリカ政府と日本の使節団を招き、会議を開いた。
「諸君、日本との同盟は我々に無限の可能性をもたらした。今こそ、アメリカ大陸を我々のものにしよう!」
外務省の田中が地図を広げ、林美咲大臣と共に提案した。
「我々の技術と軍事力で、カナダ、メキシコ、中南米を押さえます。アメリカが前面に立ち、日本が裏で支える形で進めましょう」
アメリカ大統領ジェームズ・ブキャナンは頷いた。
「日本の力なら可能だ。カナダはイギリス領だが、もうイギリスに力はない。メキシコも中南米も、我々の影響下に入れよう」
日米は共同で動き出し、アメリカ大陸の制覇計画がスタートした。
最初に標的となったのは、イギリス領カナダ。ニューヨークから日本とアメリカの使節団がトロントへ向かった。ペリーがカナダ総督に宣言した。
「イギリスはインド沖で日本に敗れ、もはや貴方を守れん。日本とアメリカの同盟に入れば、貴方の土地と民は繁栄するぞ!」
総督エドモンド・ヘッドは動揺した。
「我々はロンドンに忠誠を誓っている。日本如きに屈する気はない!」
だが、田中が「いずも」の映像を見せ、戦闘機が上空を飛ぶと、ヘッドは息を呑んだ。
「これが…日本の力か?」
アメリカは経済的圧力を加え、日本の「トヨタ」や「ホンダ」をカナダに流入させた。トロントの市民は、
「日本の車のおかげで暮らしが楽だ! イギリスより日本の方が良いぜ!」
と歓迎。総督は孤立し、ついに折れた。
「…日本とアメリカに従う。だが、イギリスに何と言えば…」
「我々が処理しますよ」
田中の言葉通り、カナダは日米の勢力下に入り、木材と毛皮が日本に流れ始めた。
次に、メキシコ。アメリカは国境を越え、メキシコシティに使節を送った。ペリーが大統領ベニート・フアレスに提案した。
「貴国は貧困と混乱に苦しむ。日本とアメリカが貴方を救う。技術と軍事支援で貴国を強くするぞ!」
フアレスは警戒したが、日本の「トラクター」と医療品を見せられ、心が揺らいだ。
「我々は欧米に搾取されてきた。日本は違うのか?」
田中が笑い、映像でアフリカや清の繁栄を示した。
「我々と組んだ国は皆、豊かになった。メキシコもそうなるよ」
アメリカ軍が国境に展開し、日本の艦船がメキシコ湾に現れると、フアレスは決断を迫られた。
「抵抗すれば滅ぶ…日本とアメリカに従うしかない」
メキシコは日米の勢力下に入り、石油と銀が日本に供給され始めた。
中南米でも同様の動きが。パナマ、コロンビア、ブラジルに日米の使節団が次々と到着。ペリーが現地指導者に宣言した。
「欧米は貴方を奴隷にした。我々が解放する。日本とアメリカの力で、貴方の国を豊かにしよう!」
ブラジルの皇帝ペドロ2世は、日本の「戦闘機」と「ラジオ」に驚き、
「これほどの力なら、欧米より日本の方が頼りになる!」
と応じた。
アメリカは軍事圧力をかけ、日本は経済支援を展開。「カップラーメン」や「ソニー」の商品が中南米に溢れ、市民が熱狂。パナマの商人は、
「日本の物のおかげで儲かるぜ! アメリカと日本万歳だ!」
と叫んだ。中南米諸国は次々と日米の勢力下に入り、コーヒー、ゴム、銅が日本に流れ込んだ。
ロンドンでは、カナダの離反にイギリス政府が崩れ落ちた。
「我が最後の植民地が日本に奪われた…帝国は終わりだ!」
フランスやスペインも、中南米の喪失に嘆いた。
「日本とアメリカの連合に、我々は勝てない…」
欧米諸国は、アメリカ大陸での影響力を完全に失い、なすすべなかった。
パリやベルリンでは、
「日本が大陸を制覇した。次は我々か?」
と恐れが広がり、ロシアはシベリアの防衛を急いだが、日本の勢いに圧倒された。
日本はアメリカ大陸に拠点を拡大。ニューヨークからパナマまで、日本の艦船と企業が進出し、交易網を強化。アメリカは日本の技術でさらに発展した。
軍は日本のイージス艦を導入し、市民は「アニメ」と「寿司」に夢中。経済は日本の商品と中南米の資源で成長し、ワシントンの議員は、
「ペリーの開国が我々をここまで押し上げた。日本との同盟は最高だ!」
と賞賛した。
東京で、ペリーは林と田中に感謝を述べた。
「俺が開いた日本が、アメリカ大陸を制した。夢のようだな」
林が笑い、グラスを掲げた。
「提督のおかげですよ。次は世界の残りをどうします?」
ペリーは頷き、呟いた。
「日本とアメリカで、世界を握る。それが俺の最後の冒険だ」