本気で奪いに行くから
用意が終わると私は月桜公園に来た。時刻は七時半。
その時、目の前に蛍が居た。何年も会ってなくても分かる。私の大切な友達。
「蛍!」と呼ぶと彼は「夏純、久しぶりだな」と彼は言った。
私が泣いていると「どうした?やっぱ俺なんかと会いたくないよな」と言われ
「違う。会えて、また会えて安心したのっ!」と私は言う。
蛍が目を見開く。
そして「ごめんな。たくさん辛い思いさせて」と言ってそっと優しく抱きしめられた。
私は必死に言葉を探す。
「私の方こそごめん。
恋なんてした事ないのに友達として好きだしって気安く付き合った。
だから、きっとばちがあったんだよ。
蛍は悪くないよ。蛍はめっちゃ被害者だよ!」と伝える。
こんな事、言ったらきっと嫌われると思う。
でも、それでいい。
もう、誤魔化さない。嘘なんて吐かない。
蛍をこれ以上傷つけたくないから。
蛍の事、好きだよ。大切だよ。
でも、それはあくまでも友達だから。
できれば、友達に戻りたい。
無理なのは重々承知だけれど…。
伝えるだけならいいかな…?いいよね。
「私、蛍とできれば昔みたいに友達になりたい。
蛍がそれで辛くなるなら全然、いいんだけどさ。
こんなわがまま言える立場じゃないのも知って―」言いかけた言葉を遮るように蛍が
「いい。また、友達から始めても…だけど、勘違いするな。俺はお前の事、本気で奪いに行くから」と言った。
えっ?と呟くと
「もう迷わないから」と蛍は私の瞳をじっと見つめて言った。
真剣さがとても伝わって来る。
だから私も、もう迷わないと決意したの。




