幸せだと思える場所を大事にしたい
放課後になりいつものようにアイドル部に向かう。
着くと櫻羽先輩しかまだ来ていなかった。
「櫻羽先輩、こんにちは」と言うと
「やっほー!夏純ちゃんは今日も可愛いね」と言ってくる。
チャラいと思っていると櫻羽先輩は「そういえば、なんか辛い事でもあった?」と聞かれ固まっていると「遠慮せずに言ってみてよ」と言われ悩みながら話した。
木村さんの事を。
櫻羽先輩は「そっか、辛かったね。
木村って可愛い見た目なのにさ、そんなに心が醜かったらほんともったいないね」と言ったの。
本当にこの人はチャラいんだからと思っていると櫻羽先輩が急にそわそわしながらこんな事を言ってきた。
「夏純ちゃんってさ、土日予定空いている?」
私が首を振ると「そ、そっか!」と言って黙ってしまった。
小夜君がやって来て「なんで七夕さんが来ているのに風神は来てないんだ」と言った。
私は「まぁまぁ。忙しいんじゃないの?」と言うと「風神を庇うんだー」と言われ「そ、そんなんじゃないし」と慌てて言うと「顔に出過ぎ」と言われる。
小夜君ってば今日、なんかサバサバしてない?
でも、楽しそう。
直後、彼は「うわっ!櫻羽先輩いたんですね」と微笑みだした。
・・・櫻羽先輩の存在忘れていたの⁉と驚いていると櫻羽先輩は、
「小夜って夏純ちゃんの前ではサバサバしているんだね」と言った。
すると小夜君は「何の事かなー?先輩の見間違いではないでしょうか?」と言う。
さっきの態度と違い過ぎて私は笑ってしまう。
そこに風神君もやって来て
「お前ら何笑っているんだ?」と言って来るから「さぁね」と答えると
「仲間外れかよ!」と拗ねてしまった。
小夜君がクスクスと笑っている。
私もついまた笑い出してしまう。
こんな日々がずっと続いてほしいと思った。
そこに朔がやって来て「今日の夕食何がいい?」と聞かれ私が悩んでいると
「ハンバーグとパスタ」と風神君が言い朔が「お前に聞いてない!」と言うから皆、大爆笑していた。
そして、私が「じゃあハンバーグとパスタ作って風神君も一緒に食べようよ」と言うとまた皆が笑う。
風神君は「いいの⁉」と喜んでいる。
朔は「仕方ねぇな」と言い帰って行った。
小夜君が「夏純ちゃんってほんと風神に甘いよね」と言うけど無視する。
風神君はまだ信じられないと喜んでいる。
その時、嫌な記憶を思い出す。
今朝の木村さんの言葉と態度を。
櫻羽先輩が「そんな悲しそうな顔して…木村のせい?」と聞かれ黙っていると
「夏純ちゃんは人のせいに出来ないんだったな…本当にいい子なのに幸せになれないなんて…」と呟く櫻羽先輩に私は「幸せだよ」と震える声で言うと
「優しいね」と櫻羽先輩は言った。
なんで信じてもらえないの?
私は本当にこの場所に居られる事が幸せなのにと思っていると風神君が「なんで泣いているんだよ」とハンカチを顔に押し付けられた。
風神君の優しさに触れたとたんどんどん涙が溢れて私は声をあげて泣いていた。
悲しみと嬉しさと幸せで涙が止まらない。
泣き止むまで彼らは優しく傍に黙って居てくれた。
泣き止んだ頃には時刻は四時。
櫻羽先輩が「帰るか、今から皆で雑談でもするか、どうする?」と聞かれ私は、
「皆で雑談する」と言ったら櫻羽先輩は私の頭を優しくなでてくれた。
まるで、儚いものに触れる時のような優しさに驚いていると
「夏純ちゃんは優しくて、涙もろくて、すぐに一人で解決しようとする」と櫻羽先輩が言った。
彼は息を吸うと何かを決意したように、
「俺とLINE、交換してくれない?」と言った。
へ?と思っていると
「僕も交換したい!」と小夜君が言い「俺はもちろん交換な!」と風神君が言う。
私は頷いた。皆の事、大切だから。好きだから。
もう、迷わない。
女子に嫌がらせを受けないように生きる人生なんてつまらない。
幸せだと思える場所を大事にしたい。
もう、間違えたくない。
本当のあの時の間違いは大切な彼との居場所を自分で失った事だったのだ。
だから、今度の日曜日それをしっかり伝えて、謝るんだ!
また蛍と友達になれるかな?なれなくてもいい。
どっちにしろ謝らなきゃ。
自分勝手な私のせいで蛍を酷く傷つけたもの。
許してもらいたいんじゃない。
ただ、伝えたいんだ。私の気持ちを。
とんだ自己満足かもしれないけれど。
風神君が「じゃあ明日の予定、LINEで教えるからな」と言って帰って行く。
櫻羽先輩はニコっと笑いかけると「夏純ちゃんまたな」と言って帰って行く。
私は小夜君と二人で今日も公園に向かう。




