新しい朝
「貴ちゃん、貴ちゃん、貴ちゃん、貴ちゃん」
ワタシは自室のベッドの上に寝ころがり声を上げていた。
「ワタシのことちゃんと覚えていてくれた! うれしい! 」
昨日は嬉しさのあまり、思わず飛びついちゃったけど。
貴ちゃんのお友達にも紹介されたから、もうワタシも貴ちゃんのグループね?
カッコよくなった初恋の人に再会できて、ワタシ有頂天になってるけど、何か忘れてない?
貴ちゃんの交友関係。
高校からの友達は分かるけど、その前は?
なんせ6年間もブランクがあるのよ?
何もないわけがない。
その辺をクリアにして早くお付き合いしたいなぁ。
「そうだ、いずみちゃんに相談しよう」
いずみちゃん、円山いずみ。
小学校からのワタシの親友。
今までもいろいろと相談事をしてきた仲。
高校入学のお祝いに買ってもらったスマホで連絡する。
プルルルル
『はい』
「あ、いずみちゃん? ワタシ由貴。あのね、あのね」
『なんだよ? 騒々しい』
「た、貴ちゃん、ワタシのことちゃんと覚えていてくれたんだよ」
『ほう、それは重畳』
「でね、ワタシこれからどうしたらいいかな? 」
『よきに はからえ』
「むぅ。ワタシは真剣に悩んでるんだぞ! 」
『だからよきにはからえと』
「ムキー! いずみちゃん酷いよー」
『で? その姉小路君とどうしたいの? セックス? 』
「ち、ち、違わないけど、違うの! ワタシは貴ちゃんのことをもっと知りたいの。6年間もブランクがあったわけだし.......」
『確かに6年間は長いよねー。姉小路君にとっても、由貴にとっても』
『でさぁ、由貴。あなたこの6年間のこと、包み隠さず姉小路君にいえるの? 』
「! 」
『ならさ、姉小路君も同じなんじゃなの? 少なくとも言いたくないこと、知られたないことはあるだろうからさ』
「でもさ、いずれは話さなきゃならないことだよね? 」
『由貴は知ってるよね? あの頃誰が誰を見ていたか』
『私は由貴の想いは届いて欲しかった。でも、初恋は実らないものだから......』
いつのまにかワタシの視界はぼやけていた、涙で。
そう、ワタシは知っていたんだ。
当時、貴ちゃんが誰を見ていたか。
そして、ワタシの初恋は決して叶わないものだということを。
でも、嬉しかったんだ、あの《貴ちゃん》に再び会えたことが。
そうだよ、今度はワタシの番だっていいじゃないか!
そして次の日、新しい朝を迎える。




