記憶
「お、おはよう。あ、姉小路君」
俺は突然の挨拶に驚いた!
そこには件の美少女、中村由貴がいたからだ。
「お、おはよう。中村さん」
「おはよう。中村さん」
大林も挨拶する。
「俺の名前なんて良く覚えとったなあ?」
「はい! だって姉小路って苗字珍しいじゃない?」
「やっぱりそうだよなぁ。どこかのお公家さまみたいだよな。」
俺は大林の頭を叩いた。
「うるせ」
「姉小路君は、もう大林君と仲良しなんですね?」
「昨日、カラオケ行った仲だよなー」
「まぁな」
「じゃあ今度、ワタシも連れていって下さいねー」
「えっ?」
「えっ?」
「約束ですよー」
そう言って件の美少女、中村由貴は自分の席に戻って行った。
チャラ男達の視線が痛い。
数日後の放課後。
俺は空き教室で大林典人、そのダチ島田康之、常石都と下らない話をしていた。
そこへ件の美少女、中村由貴が現れた。
「あ、姉小路君、ここにいたんですか?」
「おう」
「あ、あのですね、大林君、姉小路君を少々お借りしても良いですか?」
「えっ? あ、ああ、別にいいけど......?」
「姉小路君、じゃあちょっと来てください」
急に手を引かれる。
「えっ、えっ? ちょっ、何なん?」
俺は件の美少女に連れられ、屋上に来た。
「あ、あのね姉小路君。聞きたいことがあります」
「はい」
「貴方の記憶の中に松川茜という幼馴染はいますか?」
「松川? うーん。居たような居なかったような......」
俺は嘘をついた。
俺は覚えている、松川茜という美少女の幼馴染が居たことを。
「じゃあ、貴方の記憶の中に中村由貴という幼馴染は居ますか?」
「......なんて言うたらええんんかな? 今は居るよ......」
「.......」
「由貴ちゃん? やっぱり由貴ちゃんやんな? あまりにも別嬪さんになってたからわからんかったよ」
「た、貴ちゃん!」
いきなり抱きついてくる、件の美少女、由貴ちゃん。
「ずっと、ずっと会いたかった。連絡取れなくなってごめんなさい」
「仕方ないよ。2回引っ越してるし」
「でも会えた! 貴ちゃんに会えた!」
「うんうん」
再会を喜び合う二人に三つの怪しい影が迫る。
「何覗いてるんや? 大林、島田、常石」
「ちっ、バレてたか」
「わりぃ、わりぃ」
「何か気になっちゃってさ」
「この際だから、ちゃんと紹介しろよ?」
っと、隣のクラスである島田が言う。
そして、俺は言う。
「6年ぶりに再会した幼馴染の中村由貴や。よろしゅうな」




