すべては白日の下に
貴ちゃんを家に上げた。
もう逃げられない。
飲み物を持って自分の部屋に入る。
そこには、今まさにカーテンを開けようとしていた貴ちゃんがいた。
「やめて!」
ワタシは思わず大きな声を出していた。
貴ちゃんは突然の事に驚いている。
ワタシは消え入るような声で
「お願いだから、カーテンは開けないで......」
と言った。
「由貴ちゃん?」
心配そうに見つめる貴ちゃん。
ワタシは覚悟を決めた。
「あ、あのね、ワタシは......貴ちゃんがずっと好きだったの。ずっと、ずっと前から」
「ワタシの初恋、幼稚園の頃から、貴ちゃんをずっと見てきた」
「でも、貴ちゃんはワタシの事なんかちっとも見てくれなかった」
「貴ちゃんは......こともあろうか松川茜、茜ちゃんばかり見ていた」
「ワタシは悔しかった。苦しかった」
「たまたま家が隣り同士、産まれた年が同じだっただけで、ことあるごとに比較され、好きな人は取られ、ワタシはいつも負けっぱなしだった! 」
「ワタシはずっと惨めだった!! 」|
「でもね、そんな時に転機が起こったの......」
「茜ちゃんが交通事故で亡くなったの。中学二年の時よ」
「みんな悲しんだ。ワタシもそのはずだった。でもね、ワタシはホッとしたんだ」
「もう、比較されるとはないんだって」
「そして全てが忘れ去られたと思ったあの時、ワタシは貴ちゃんに再会したの」
「やっとワタシの番が回って来たと思ったわ」
「だってそうでしょう? 比較対象は居ない、大好きな人は戻って来た」
「あとは貴ちゃんが茜ちゃんを忘れたままで居てくれれば良かったのに.....」
ワタシは泣いていた。
「カーテンを開けてみれば分かるわ! 茜ちゃんは、もう居ないんだって!」
ワタシは泣き叫んでいた。
近寄ってきて、ワタシの正面に立つ貴ちゃん。
貴ちゃんがふと尋ねる。
「じゃあ、俺が見た松川茜は何だったんだ? それこそ幻覚、幻影か何かか?」
「違うわ」
「それは蒼ちゃん、松川蒼。茜ちゃんの双子の妹」
「えっ?松川って双子だったのか? 全く知らなかったんだが......」
「そうだろね。蒼ちゃんは小さい頃から体が弱くて、地方の療養所にずっといたから、ほとんどの人が知らないと思う」
「最近だよ、元気になって、東京に戻って来たの」
「そうか......」
「......」
「それで、由貴ちゃんはどうしたいんだ? 」
「......いろいろ溜め込んでたことを貴ちゃんに話したら、何かスッキリしちゃった」
「さよか」
「うん」
「由貴ちゃん、何かいろいろごめんな。ほんま、ごめん」
「いいよ、もう......」
「想いは伝えたし、たぶん振られるし」
「......」
「な、なに?」
「あのな、由貴ちゃん決して負けっぱなしってことはないんやで?」
「ふぇ?」
「変な事言うから変な声出ちゃったじゃない!」
「ははは。」
「俺なわかったんや。6年たった今やから気づけたんやと思う。今、大事なのは由貴ちゃんやって」
「そやから、俺と付き合ってください」
「えっ? でも、本当にいいの? 貴ちゃんは今でも茜ちゃんの事忘れられないでしょ? 茜ちゃんの双子の妹いるのに?」
「俺、思ったほど初恋ってヤツに拘りはないんだわ。きっと」
「それに......」
「あ、あいつは妹であって、松川茜じゃない。それに……俺、由貴ちゃんの事ほっとけ無いしな」
「まぁ、何はともあれ、これからよろしくな」
「うん。やっぱり優しい、ワタシの貴ちゃん、大好き!」
ワタシは思わず抱きついていた。




