幻視
中間テストの最終日、いつもの4人組で息抜きをして帰る途中に、俺は幻覚を見たんや。
よくわからんけど、何処ぞのお嬢様学校っぽい制服を着ていた。
それはそれは、とても見目麗しいお嬢様だった。
ただ、何となくある既視感。
そう、思い出した!
「松川茜」
そうだ、思い出した。
俺の初恋の相手、松川茜を。
俺は怖くて聞けなかったんや。
由貴ちゃんに。
「松川は今なにしてるの?」
知らないはずはない。
だって由貴ちゃんの家と松川茜の家は隣り同士なんだから。
でも、今日、出会ってしまった。
記憶を頼りにネットで制服を調べる。
あった。
案の定、某有名お嬢様学校やった。
そうか、優秀な彼女はお嬢様学校に進学していとったんか。
何だか嬉しくなって、由貴ちゃんにメッセージを送った。
『今日、偶然松川茜を見かけたよ。彼女、某有名女子高に通ってるんだね?』
既読はすぐに付いた。
だがしかし、返信のメッセージはその日来る事はなかった。
試験休みのため、2日間登校しなかったので、由貴ちゃんと話をする機会はなかった。
明けて登校日。
早速由貴ちゃんに話を聞こうと思っていたが、彼女は学校を休んでいた。
仲良しグループも理由は知らないらしい。
放課後、由貴ちゃんからメッセージが届いた。
家に来て欲しいとのこと。
なんやろ?
6年前のうろ覚えの記憶を頼りに、彼女の家に行こうとして迷った。
似たような家が密集する住宅街、恐るべし。
住所を教えてもらい、地図アプリで何とか到着した。
私服の由貴ちゃん、なんとなく新鮮。
眺めていたら、上がるように言われた。
ご家族はいないのかな?
「あ、今お母さん買い物行ったから、しばらくかえらないよ?」
エスパーかな?
「お邪魔します」
俺は中村家にお邪魔する。
良く考えたら、小さい頃に遊びに来たことあったな。
「ワタシの部屋分かるよね? 2階の突き当たり」
「飲み物とって来るから、部屋で待ってて。あ、引き出しの中はあまり見ないでね?
恥ずかしいから」
あまりってことは見てもいいんだ。
なるほど。
いや、見ないけどね。
部屋に入る。
年頃の女の子っぽい部屋。
だが、窓には部屋模様に不似合いな、暗い色の厚いカーテンが掛かっている。
確か、あの窓の先は「松川茜」の部屋だったはず。
俺は暗い部屋に光を取り込む意味で、カーテンを開けようとした。
「やめて!」
部屋の入り口には、由貴ちゃんが青い顔をして立っていた。
「お願いだから、カーテンは明けないで......」
いよいよ、クライマックス(?)です。




