帰ってきた男
小学3年生を卒業した年の春、俺の家族は住み慣れた西東京の街から、九州は福岡県の某市に引っ越すことになったんや。
父親の仕事の都合。所謂転勤や。
あれから6年、2回の引っ越しを経て、俺の家族は再び東京に舞い戻ってきたんや。
以前に住んでいた西東京の街ではないが、とにかく東京に戻ってきたんや。
6年前の引っ越し当時の俺はスマホなど当然持っているわけもなく、幼馴染、クラスメイト達との連絡手段は当然手紙やった。
マメに書いてくるヤツも居ったけど、6年と言う月日はお互いを疎遠にするには十分な時間であった為、俺は仲間達との絆と連絡手段を失ったんや。
そんなこともあり、俺は新たな気持ちで「私立桜尾高校」に通うこととなった。
入学式当日、掲示板で自分のクラスを確認し、教室に移動した。
数年間だが関西地方に住んでいたこともあり、話し言葉に関西訛りがついてしまっていたため、ちょっと自分からは話しかけにくい。
なので、クラスメイト達を観察していたら、物凄く可愛い子が一人居ることに気づいた。
名前は.....ちょっと判らんな。
まぁ、時期に自己紹介で分かるやろ。
入学式の為に講堂に移動する。
途中、隣のクラスにも別嬪さんが2人居るのを確認した。
わざわざ見に行った訳やないで、偶然や偶然。
講堂に移動し、校長先生やらPTA 会長やら生徒会長やらの挨拶や話を聞いて、教室に戻ってきた。
担任が来るまでの教室は、少しざわついていた。
当然、件の美少女の周りには、既にチャラそうな野郎共が群がっている。
クラスカーストとかあまり考えたくなかったけど、なんか手を打った方がええのかも知れんなあ。
なんて考えていたら、担任が来た。
担任は高田玲子先生。身長165センチで未婚の28歳。
結構美人でスタイルも悪くないと思うけど、どことなく残念な匂いがするんよなあ。
クラスメイトの自己紹介が終わって思ったことは、このクラス、男女ともに顔面偏差値が高いな。
とりわけ、女子の一番は、件の美少女。
名前は中村由貴。
?
「? 中村由貴? 」
そう、俺は思い出したんや。
6年前に引っ越したせいで、縁が切れてしまった幼馴染の名前を。
幼稚園から引っ越した小学3年生までの5年間、ずっと同じクラスで、仲もよかった幼馴染をどうして今の今まで忘れていたんやろう?
確かに顔には面影があるけど、かなり変わってしまっていた。いい方に。
あれじゃあ、わからへんわ。
当然、彼女も俺がここに居ることに気づかないし、最悪忘れてしまっておるかもしれん。
それに話しかけようにも、チャラ男達の人垣に阻まれてるし、俺のことなんか忘却の彼方なのではないかなんて思うと、俺の勇気はなえてしもうた。
そんなこんなで、ぼーっとしていると後ろの席の男子に声をかけられた。
「なあ、今日これからヒマか?」
「もしよかったら、これから遊ぼうぜ?」
「あ、オレ、大林典人。自己紹介したから覚えてるよな?よろしく!」
「俺は......」
「覚えてる。エセ関西人の姉小路貴康。何にせよよろしくな!」
「こちらこそ、よろしく!」
東京に戻って、はじめての友達ができた。
「でさあ、隣のクラスに同中のダチがいるんだけど、そいつらも一緒でいいか?」
「ああ、べつにかまへんけど?」
「おーけー、おーけー。じゃあカラオケで行こうぜ。ダチ誘ってくるから、靴箱のところで待っててくれ」
俺は荷物を纏めて、一階の玄関口へと向かった。
はじめての作品です。
とにかく、ノリと勢いで貫徹して書きました。
エピソード自体は短いですが、最後まで読んで頂いて、感想などいたただけたら、とても嬉しく思います。
よろしくお願いします。
短いですが、一応続きものです。




