白い部屋の会議⑤
「それではこれで私からの説明は終わります。」
そう言ってエミルは着席した。
「それではこのことについて、何か意見はあるか?」
森の番人が参加している人々に言った。
特に意見などは無いだろう。いつもなら意見などは出ず、それぞれ最近の状況、東の森がどうしたとか北の沼がどうしたという話をして閉会となる。きっと今回の話し合いもそうなるだろうと、エミルがそう思った次の瞬間、小人の1人が手を挙げた。
「あのー。すみません。いいですか?」
「発言を許す。」
森の番人が厳かな声で言った。
小人は少し困ったような調子で言った。
「私たちの住んでいる大木なんですけど。」
「おお。南の平原の?」
森の番人が身を乗り出して聞く。
「そうです。その中にある樹齢300年のワシカの木に住んでいるんですが。」
ここで小人は周りを少し見回した。
「とても狭いんです。小人の数がだんだん増えちゃって、今の広さだと足りないんです。私たちより更に小さい小人も増えて、一つの洞では暮らせなくなりました。私たちのために、もう一つ洞を準備してください。」
森の番人は、
「おお、そうか。さらに小人の数が増えるのはいいことだな。早速、洞を増やそうではないか。」
と軽々しく言ったが、内心エミルは納得できなかった。