7話、一般JK、忍び込む
あれ......VRゲーム、どこに行った.......!?
家に帰るとすぐに布団に倒れ込み、泣く。
剣斗を怒らせちゃった.......。
私、もう嫌われちゃったかな.......。
そう思うとさらにぽろぽろと、壊れた蛇口のように絶えず涙が溢れてくる。
私があの時剣斗を叩かないでいたらこんなことにはなっていないのかな......
でもさ?剣斗も剣斗でひどいよね!?
いつもあたしを遠ざけるんだもん!!
無視もしたし!!!!
少しくらい構ってくれてもいいじゃない!!!!
そう思うと涙は止まり、涙の代わりに沸々と怒りが湧いてくる。
居ても立っても居られなくなり、剣斗の家に向かう。
剣斗の家はすぐ近くなので突撃する!
鍵は昔、剣斗のお母さんが合鍵をくれた。
......ニマニマと笑いながら、
「避妊はちゃんとするのよ〜」と言いながら.......。
ま、まだそんな関係じゃないし.......!!!
気持ちを悟られているのを知って恥ずかしくなったが、私の恋路を応援してくれているようでとっても嬉しかった。
昔のことを思いながら歩いていたら剣斗の家までついていた。
剣斗は今何をしているのだろうか。
意を決して、いざ!!!
剣斗の家の中はとても暗く、剣斗がいるのかどうかすら怪しかったが、靴があるのでいるのだろう。
他の部屋を一通り見た後、剣斗の部屋の前まで来た。
他の部屋にはいなかったので、100%ここにいるのだろう。
ふと、私は何をしに来たのだろうと我に返る。
.......あれ!?私、何をしに来たんだっけ!?
あれれ??ほんとに私何しに剣斗の家に来たの!?
そういえば、謝るために来たんだった.......。
落ち着いて考えてみると、真っ暗な家の中を忍び込んで夜ば......違う!そんなんじゃないから!!!
感情のままにきちゃった......
あ、謝るのは明日にしてまずは撤収しなきゃ......
誰かが見てたらまずいし.......
「あらぁ?唯ちゃんじゃな〜い!どうしたのぉ?剣斗の部屋の前で固まっちゃってぇ......もしかしてぇ?よ・ば・い?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
ギギギ...と音のつきそうなほどゆっくり振り返ると、やはりというべきかそこには”いい”笑顔をした剣斗の母の麗華さんがいた。
麗華さんは暗闇からでもわかるほど口角を釣り上げ、目を爛々と光らせながらこちらを見ている。
「お、お久しぶりです麗華さん......久しぶりに子あったのにこんなこと言うのはどうかと思うんですけど......
今夕方ですけど、な、なんでご帰宅なさったんです?」
麗華さんはとても忙しいことは、私は知っている。
いつも剣斗は留守番していたので、親がうちによく招待していたりした。今はしてないけど。
「ん〜そ・れ・はぁ!息子の貞操のピンチの予感がしたから、抜け出してきちゃった☆」
高校生の息子がいるとは思えないほど若々しい顔で笑う。
ってそんなことより!
「そ、そんな目的で来てません!!!」
「えぇ〜?なんでぇ?シチュエーション的にはすごく美味しい展開でしょう?親はいない、真っ暗、この状況で多分今も音沙汰もないから剣斗は寝てる......絶好のチャンスじゃない!裸でベットに入りさえすれば既成事実ができるわよ!?あ!わたしがいるからダメね!待っててね!1時間くらい離れるから!!」
「だ、大丈夫ですってぇ!!!」
セクハラで捕まらないかな......
「それで、唯ちゃん。なんでうちに忍び込んだのかしら。詳しく聞かせてくれる?合鍵あげたのは覚えてるけど、今まで唯ちゃんは使ってこなかったよね?」
さっきのいやらしい笑みとは打って変わって、できる大人の顔で問い詰めてくる。
いつもこうだったらいいのに.......
今朝のことを伝える。
すると、麗華さんはため息をついた。
「はぁ〜ごめんねぇ、うちの息子が朴念仁で......ったく、誰に似たのやら.......」
急に麗華さんは勢いよくドアを開け、剣斗のお腹を殴った。
「起きろ!愚息ぅ!!!」
剣斗は顔を青くしながら飛び起きた。大丈夫かな?
「母さん......!?なんで...はぁはぁ...ここに......てか鳩尾......きんし......」
「関係ないね!」
剣斗の息が落ち着くのを少し待つ。
すると、剣斗は私にようやく気付いたみたいだ。
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作者がニマニマします!!!