3話 変人侍、人を見る
今日はFGSを始めたから初めての金曜日だ。
つまり、今日が終われば丸二日ほどのやり込む時間ができたということだ。
隣の家から唯が出てこないことを確認しつつ家を出て学校に向かう。
もう脳内は来たる土日に向けて何をするべきかをひたすらに考えていた。
(まずは近くの街に向かうか......でも最初の街ってなんか設備があんまり整っているイメージないから次の街いくとして......推奨レベルはいくつなんだろうか?あ、そうだ装備も一新しないとな。ノリで日本甲冑選んだはいいけど見た目も暑苦しいから着流しとか探してみるのもいいけどな。昔のアニメでも当たらなければどうということはないって言ってる人いるらしいしな!攻略サイト見ながらゲームするのは風情がないから卒業するとして、ステフリとかも考え始めないとゴミになるからなぁ......やることがたくさんあるっていいな!)
思考は暴走機関車並みに止まることを知らない。
「け〜んとっ♪」
後ろから誰かに抱きつかれた。まぁ、こんなことをするのは唯だけだからもう誰がしてきたかはすぐわかる。
が、それはそれとしてこの場面は非常に悪い。柔らかく温もりがある双丘が直撃してるからとかではなく今野場面を同じ高校のやつに見られたら物理的にも精神的にも社会的にも死んでしまう。スリーアウトだ。
「やめろ、誰かに見られたらどうするんだ」
「いいじゃんか......」
塩らしくなったがどうせ猫を被っているだけなので気にもとめず、俯いたままの唯を置いて一人そそくさと学校に向かうのであった。
残された唯が泣いていたことに気づかないままに。
今日一日、警戒して過ごしたが朝の件は誰もみていなかったらしく、誰かに問われることも、何かを言われることもなかった。ただ、唯の目が赤く腫れていたので女子たちが騒いでいた。まぁ、目にゴミでも入ってしまったのだろう。
学校では特に何事もなかったので家に帰ってから安堵の気持ちがどっと押し寄せてきたので自室に向かい、目を瞑る。
目が覚めると、先ほどまでは目の覚めるような茜色だった空が夜色に染まっていた。
今日も今日とて親は帰ってこないであろうから、料理は手抜きでも問題はない!
早速冷蔵庫に貯蓄してある十秒でエメルギー補給できるブツを吸い込み、エネルギーチャージしてからFGSの世界にログインする。
目指すは本来ならばチュートリアルの次に向かう街、『セカン』だ。
目指す理由は二つ、一つは一般プレイヤーと俺は違うぜっ(キリッ)をやりたかったのと、戦闘だけできればいいので、街についての情報は買い物だけできればいいので、そこら辺は感覚で学べばいいと思っているからだ。
向かう途中にゴブちゃんの首を切り落としつつ『セカン』に向かう。
街に近づくにつれ、他プレイヤーの姿がちらほら見受けられた。
装備もあからさまに初心者というプレイヤーもいれば、初心者装備に比べたら少しおしゃれな装備を身につけているプレイヤーもいる。
初めてみる他プレイヤーの姿に軽い感動を覚えていると、街が見えてきた。
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