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第一階層ボス『ロード・オブ・コボルト』攻略戦

第一階層ダンジョン『深淵につながる森林』の前でリーダー格であろう人物が口を開く


「作戦の説明と第一階層ボス『ロード・オブ・コボルト』の能力についてもう一度説明を行う」

「作戦としては至極単純だ。壁役1人がロードの攻撃を抑え、減ったHPをヒーラー2人が回復、スキができたらアタッカー2人がキックを行う」

「ロードはβテスト時点ではHPが少なくなると武器を曲刀のタルワールに持ち変え攻撃パターンが変化する」

「ダメージ量からして飛び蹴りを二度当てれば、武器の持ち替えが発生する。持ち替え時の隙きにもう一度キックを叩き込むとロードは倒れるはずだ」



「質問は無いか?」



「あの。どうして壁役やヒーラーが必要なんでしょうか。全員でクレイモア八刀流で飛び蹴りを行ったほうが良い気がするんですが」

指と指の間にクレイモアを挟んだ少年が人物が周り人にクレイモアが当たらないように、おずおずと手を挙げる。



「ああ、君は飛び入りで説明をしてなかったね。幾つか理由はあるんだ」

「1つ目はβ版とは状況が変わっている可能性がある、2つ目はdps制限あるいはダメージ上限が設けられている可能性があるため」

「3つ目、これが一番の理由なんだけど、この世界で死んでもリスポーンはするけど現実世界では死んでる可能性があるため」

「僕は3つ目の理由から僕は誰一人として死なせたくはない。dps制限あるいはダメージ上限が設けられている場合、全員キック構成だと詰んでしまい全滅は必須」

「だから、どういう状況になってもできるだけ死なないように、MMOの王道に従いこの陣形にしたんだ。」

「壁役が足りないからdps制限あるいはダメージ上限があった場合は、もう一人のアタッカーであるASUKAさんにはクレイモアを捨ててもらって回避盾になって貰う予定だ」



ASUKAと呼ばれた、もう一人のクレイモア八刀流が無言でゲーム内にあるジェスチャーをおくる



「たったこれだけの理由だけど、その説明で大丈夫かな?」



「はい!大丈夫です。……覚悟は決まりました。行きましょう!!」



リーダーは無言で頷き、ボスエリアに突入する

大きな円上のエリアには4mぐらいはあるであろう巨大なロード・オブ・コボルトが立っていた

ロード・オブ・コボルトの話を無視してリーダーは素早く辺りを見回す



β版の時とは違いお供のコボルトが3体いることに気づく

「お供がいる!壁役の僕はボスの引きつけ、ヒーラーは僕の回復、アタッカーはお供の排除!お供がやられなかったらダメージ上限があるから、ASUKAは回避盾を頼む!!残ったコボルトはヘイト上、おそらく僕に来る。来なくても1撃は耐えれるはずだからそのまま残りのお供を倒して!!!」




その指示が飛んだ瞬間にロードが咆哮を上げ戦闘が開始される。

アタッカーが走り……出さず飛び蹴りを連打してお供コボルトに近づく、お供コボルトの攻撃が入る瞬間に飛び蹴りが先に命中し……お供のコボルトを一撃で倒した。



「ダメージ上限は……ない!!!」



少年がそう叫ぶのと同時に残ったコボルトとロードが攻撃を行う。

その攻撃も……リーダーは耐えきった。



少年が残ったお供コボルトを倒し、ASUKAが飛び蹴りでロードに近づいていく

壁役でもあったリーダーが攻撃を受けながら、アタッカー二人の攻撃が当たるようロードの位置調整を行う



3回目のロードの攻撃に合わせるかのように二人の飛び蹴りが命中する

「ダメージは……どうだ!!」

攻撃を受け流しロードのHPを確認する。

HPは……二人の飛び蹴り分の数値が減っていた。



「dps制限も……ダメージ上限も……ない!」



その言葉と共にロードが大きな咆哮を上げ、棍棒を捨て、腰から刀を取り出し武装変更した。

「だが!武装変更のスキはそのまま!!」



そう叫び二人の飛び蹴りが炸裂し、ロード・オブ・コボルトは地に伏した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



一度パーティーを解散したのだろう、決戦があった場所にはリーダーと少年しか残っていなかった。



「第一階層突破しましたね……これがあと何戦もあるんですよね?」

「ああ、しかも此処から先はβ版の情報もない。飛び蹴りによる攻略法も階層を突破し続けていけばいつかは火力不足になる」

「……」

「そう暗い表情をするな。とりあえず半分まで行けば多分脱出の目処が立つ」

「え!?」



勢いよく振り返り少年が装備しているクレイモアがリーダーに当たる。システムの関係上ダメージは入らないが少年は頭を何度も下げた。



「今こうしている現在でも掲示板で幾つもの不具合が報告されている。おそらくだが今回の多刀流不具合以外にも、もっと多くのゲームの根源を揺るがす不具合が存在すると思う」

「なるほど、中盤辺りで開放される上級職を用いたバグとかを狙っているんですか?」



リーダーは首をゆっくりと振る



「勿論それも含まれるけど、そういった具体的なものじゃない。序盤でこんな単純な不具合が見つかるんだ。このゲームはマトモにデバッグされてない」

「そういったデバッグされてないゲームは後半に行けば行くほどガバが多くなる。その穴を一つ、あるいは複数見つけてあらゆる方法で脱出を試すんだ」


「エリアすり抜けからの最終階層到達やデバッグルーム到達、即死バグや直立バグを用いたボス撃破、今回みたいな超火力バグ」

「そして不具合を修正しようとしたアインがミスを犯し、それ経由で脱出できる可能性」



「とにかく進めることで、その可能性が大きくなる。多分序盤は作りこんであると思うからこういうエリアすり抜けとかは無いだろうけど、中盤から怪しくなってくると思うよ。だから半分まで行けば多分脱出の目処が立つって言ったんだ」



「なるほど……」

怪訝そうな顔をリーダーに送る。今の発言は『開発関係者』と思われてもおかしくはないだろう。


「僕は……上と下、両方から血を流したことがある別ゲーム会社のデバッガーの一人だよ。安心して欲しい。最近は趣味で最終幻想のデバッグなんかをしていた。」




そもそもリーダーの言う通り新しいエリア、新しい武器・防具・アイテム、新しい職が手に入れば更に多くの不具合が見つかるだろう。

少なくとも決死隊と言う名の攻略組は一人でも多く居たほうがいい。そう思い少年は警戒を解いた。




「そう言えば、君の目的はなんなんだい?これに参加するぐらいだから何か現実側でやりたいことがあるんだろう?」

「あー、えーと。その言い難いんですが……名前変更したいんです。その、名前変更できる改名の神殿が16階層にあるみたいでそこまで駆け上がりたいんです」

「あ、あー、なるほどね」



少年の頭の上に浮かんでいるのは『†漆黒の堕天使KIRITO†』の文字



「僕はこの名前気に入っているんだけどねえ」

そう言って自分の名前であるFelicaという名前を指差す



「俺は嫌ですよ!!KIRITOって名前結構いるんで、漆黒(笑)とか堕天使(笑)とか呼ばれるんですよ!!」




ハッハッハとリーダーの笑い声が第一階層に響いた



◇◆◇◆◇第一階層攻略完了◆◇◆◇◆


ロード・オブ・コボルト

HP4500 MP0 攻撃150 防御30 魔力0 魔防10 お金4500 EXP4000


深淵につながる森にいるコボルトの王

第2階層『ソマリアの砂浜』に続く転送門を守っている。

光り輝く転送門はコボルト王にとっては大きな宝石として見え時折宝石を愛でるような仕草を行う

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