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呪殺夢  作者: FROGGER
9/22

四夜目 1

 運転手に揺り起こされて目が覚めた。


 大きく伸びをした後、痛む体を動かしながら車を出る黒士。


 草原の真ん中に止めたパトカーから、むき出しの土が二本、轍のように続いている。


 これでは廃村ではなく遺跡である。


 この地図で合っているのかと不安だったが、とんだ無駄足だったらしい。


 跳津を起こした運転手が、地面から石を拾って草原に投げた。



 トプン



 顔を見合わせた黒士と跳津が運転手に向き直った。


 「ご覧の通りです。 恐らく、草原の中に底なし沼があるんでしょうね。 一歩でも踏み外したら最後、私ゃ怖くてこれ以上行けませんよ?」


 険の入った顔で淡々と語る運転手。


 「分かった。 轍は安全らしいから、徒歩で行く事にするよ。 ありがとう」


 このまま引き返すと思っていた運転手は一瞬ポカンとして、観念したように首を左右に振る。


 運転手はパトカーに積んだ荷物の搬出は手伝ってくれたものの、きびすを返すような勢いで運転席に座った後は、轍をなぞるように慎重な運転で去った。


 後に残された黒士と跳津は、二人では抱えきれない荷物を前に困っていた。


 「とりあえず、荷物はこのままにして歩こう。 轍に沿って歩くだけだから迷う心配は無いし、村の道路だとしたら、どこかの建物に続いている筈だ。 少し歩いて何も無かったら、最悪ここで一泊だな」


 荷物の山からテントと寝袋を取り出して、黒士が言った。



 轍を歩く事一時間。


 神社らしき立派な建物が見えた時は、心底ほっとしたものだった。


 時計を見ると、午前九時近く。


 轍もいつしか車が安全に運転出来る幅になっており、境内を借りたらUターンも出来るかも知れない。


 すがる思いとはこの事だ。


 二人は足取りも軽く神社へと歩くのだった。

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