二夜目 4
危険物を取り扱うように慎重な物腰で、改めて厚紙を机から移動させた後、カバンの中身を机に並べる国士。
「昨日の今日だから、今回は状況説明くらいしか出来ない。 このハガキと編集長のカルテ、あとは三人の近況報告」
そう言いながら一つ一つ指さし確認する国士。
「とにかく情報が少なすぎるんだ。 俺の方は朝帳ジャーナルのツテと情報交換者達で調べるけど、警察の方でも何かあるかも知れないから頼んだぞ」
そう言って二人は一旦別れる事にした。
到着した覆面パトカーに乗り込もうとした国士は、ドアが開いた瞬間に崩れたダンボールの箱にぶつかった。
「ああ、すいません。 そっちは資料の束がありますから、こっちの方から乗って下さい」
運転手が慌てて声を掛けたが、遅すぎた。
ダンボール箱の中身が地面に盛大にぶちまけられる。
慌てて三人で資料を拾い集めていると、ふと国士の動きが止まった。
「これは」
「資料用に書いた犯行現場の地図ですが、何か?」
国士は、カバンからハガキを張った厚紙を取り出して見せた。
「これを見ろ。 ぴったりとは言わんが、雰囲気が似ている。 ハガキを破った跡、これ地図に見えないか?」
言われてみると雰囲気が似ている。
「この曲線なんか、海岸線に見えなくもない。 なかなかシャレた招待状だな」
そう言いながらコピーを取りにコンビニへと足を運ぶ国士。
こうして警察と出版社の共同捜査が始まった。