さあ突入しよう!
その後も上ではボクに対する狙撃で大騒ぎに成ってるけどレース自体は続行されてた・・・まあ狙撃されたボク自身がピンピンしてる上に、ミューズと思われてた人物が実は悪名高いボクだったので別の意味で大騒ぎの原因に成ってるけど問題にはされて無いらしい。
しかし今朝の朝刊はボクが太股はおろか下着まで露わにし銃を抜いた所が激写されデカデカと掲載されてる、おまけに撮影の角度的にアレが目立た無かったらしくボクが女の子だった説がマタ再燃・・・もう許してお願いだから!
ところで・・・ボクがドレス着てた時に翻ったスカートの中アレで下着が盛り上がってる所が目立た無くて確認されなかったのは、角度が悪いんじゃ無くて小さいからだろうと言ったり思った奴いるか?
いたらスグ名乗り出て来い今なら男なら半殺しで許して上げる、ただし女の子なら手加減無しのオシリ100叩きの刑だ!
まあ冗談は置いといて・・・
ボクはカーニヴァーを当局に引き渡し3日してからスターシップに戻る・・・取り調べと言うか事情聴取と言うか、そう言うのに時間を取られたからね!
その時まだドレスの侭だったりしたので警察署で用意してくれた服に着替えてカジュアルな装いに、ちなみボクに着せる服を選ぶのに警察署の女性職員の間でチョッとした内乱が起きたと言う・・・知らなかったけど結構ボク人気者らしい
そして船に帰った途端に心配してたミューズとイリスが抱き付いて来たけど、彼女達を宥めてからボクは如何にも怒ってる風な自分を演じながら・・・・・
「どこかでボクがミューズに扮してた事がバレていたらしい・・・廃教主義者でテロに関わってる懸賞金付きの奴等を何人か捕縛したから、仕返しにボクの事を狙って来やがったんだな!」
と言う事にしていた。
「でも何で❝お兄ちゃん❞が❝お姉ちゃん❞に扮してる事がバレちゃったのかな?外見までソックリどころか全く同じに・・・・・」
ボクは黙ってネット記事をタブレットに表示させる・・・先古代文明の❝忘れられ物❞を模したタブレットはボクのデザイン、今ではファルデウスの友好国の中で一大ブームに成っていた。
「えっ・・・何々?やっぱりキャプテン・キッドは女の子、現在ミューズ様に扮してるのはキャプテン・キッドの可能性が高い!その証拠に髪の色がミューズ様より若干だが金色を帯びており・・・・翻したドレスの中には下着の膨らみは確認出来な・・・キャッ♪」
「そんな細かい所まで自分で調色 出来無いんだよ髪の毛は!」
と言いながら情報をリークしたのはボクに命じられたアリスだったりして、まぁこれでミューズは自分の身代わりにボクが狙われた訳じゃ無いと完全にでは無くとも信じてくれるんじゃ無いだろうか?
「覚悟しとけよ・・・アイツ等の所為で散々苦労して鎮火させた❝キッド女性説❞が再び炎上し始めたんだから」
「そこは悪乗りして太股に銃を色っぽく隠してた、お兄さまが悪いんじゃ無いかな・・・あわわ・・・セクハラ反対、お尻叩きは暴行案件ですぅ~~~~~っ!」
ミューズを捕らえて可愛いオシリを軽く数発引っ叩き、ボクはS心とエロ心を充実させてから・・・
「ちょっと爺ちゃんの所に行って来る・・・オマエが間違って狙われる可能性も有るんだから、こっそり外出しようモンならガチでオシリ百叩きだかんな!」
そう言い渡すとチョッと拗ねた感じで両手を後ろに回し、お尻を庇いながら「解ってますよぅ・・・」と言うミューズが最高に可愛かった♪
「でもそれなら お兄さま何か真っ先に狙われるんじゃ・・・・・」
「半端なテロリストや、そいつ等の雇った殺し屋にボクがやられると思うか?」
と聞き返す・・・だけど今度はミューズの方が怒った貌をして、腰に手を当て怒ってる事をアピールしながら・・・・・
「お兄さまだって油断は大敵、敵の方にラッキーショットが出る可能性だって有るじゃ無いですか?」
と言われてしまう・・・まあ一理ある事は確かなんだけど、
「ボクが油断すると思ってる?」
「そうは・・・いえ今言ってる❝ボクが油断すると思ってる?❞だって慢心の表れでは無いでしょうか?防衛上は警戒し過ぎるって事は無いかと思いますけど?」
ぐうの音も出ない。
「分った分かった、さてと爺ちゃんの所に行ってアリオスさん達が何か掴んだか聞き出さないと・・・イメンケさん悪いけど車お願い出来る?」
ボクはスターシップやスターライダー・バイクの運転は自信あるけど、まだ車の運転には自信が無い・・・慣れてる人に運転して貰うのが一番安全だと思う。
「キッドさんに買って頂いたんだし喜んで貸しますよ?それで少しは練習しないと・・・・・」
「ボクみたいな子供が高級車を乗り回してる所をパパラッチされたら外聞悪いでしょ?幾ら合法的に運転出来るとしてもさ・・・」
ボクは見た目マダ10代前半で高級車を乗り回すのは外聞上チョッと、とにかく子供のボクが高級車を乗り回してるの見られたら周囲から良いイメージに受け止められる事は無いんじゃないかな?
英雄と言われて良い気に成ってるとかさ・・・・・
「そう言う事なら運転手だって喜んでするけど、難儀ですね英雄と呼ばれるのも・・・でもドコかで練習位してても損は無いかと思いますよ?」
そう・・・この世界には基本 年齢による運転資格を制限する法は存在しない、と言うより免許と言う概念すら存在して無いのだ!
マアそうじゃ無きゃボク自身が逮捕・処罰されてるよ・・・あらゆる乗り物は高度にオートメーション化されて運転は容易に成ってるし事故も予防され、特に宇宙船は天文学的に広い宇宙を航行してる宇宙船同士が接触事故を起こす心配は普通の航行中は無いからね!
つまり分別さえ付けば小学生にだって可能なんだ・・・まぁコレは通常の小型船の運航に限られる話、大型船の操縦や艦船での戦闘それにレースへの参加には高度なテクニックが必要だし接触や事故など当たり前、でもボクみたいな異例中の異例でも無ければ子供が戦争に参加する事は無いしレースみたいなのは適性を外部委員会が細かくチェックする。
「そうだね・・・今度暇を見付けて練習位は、と言う事で今回はお願い」
「お任せ下さい♪」
イメンケさんが立ち上がると何故かアノンさんも立ち、そして・・・
「じゃあアタイ達が護衛に・・・」
ジョシュアさん達が名乗りを上げてくれた・・・丁度良い、ジョシュアさんには一言言いたい事が有るんだよな!
ボクがイメンケさんに買って上げたのは地球ならセダンとかリムジンと言われるタイプの車、運転席と助手席の後ろに向かい合って2列目と3列目のシートがある3ボックスの大きな車だった。
その一番後ろの席でボクはジョシュアさんを膝の上のに乗せてオシリを叩いてる!
「ゴメンなさいっ!ゴメンなさいっ!ゴメンなさいっ!テロリストに狙われてる旦那を賭けの対象にしてゴメンなさいっ!でもアレは冗談だったんだよ、現にジュリアの旦那と賭けを成立させて無いんだから・・・・・」
「そう言う会話するコト自体が不吉なの!フラグって言葉知らんのだろうけど・・・教えてあげる前に、こんな不謹慎な冗談を二度と言わない様にオシオキだっ!」
更に力強くお尻を引っ叩きジョシュアさんを本気で泣かせてやる!
「あ~~~ん勘弁してよ旦那、もうしないからぁ~~~~~っ!」
本気で泣いてるジョシュアさんをトマスさん達はクスクス笑いながら見てる。
まあジョシュアさんも不良っぽいけど結構可愛い見た目してるしね、ズボンと下着を膝まで下し引ん剝いた尻をボクは割と本気で怒りながら叩いて折檻してる。
もちろんオシリの感触を楽しみながらだけど、そんな光景をトマスさん達も下心丸出しで見物してるのだ。
「この位で勘弁してやるけどボクに限らず殺し屋に狙われてる事を賭けの対象にするなんてマネは・・・・・」
「もう二度としないよ~~~~~っ!」
本気で反省してる様だから勘弁してやることにした。
「で・・・カーニヴァーから聞き出した情報じゃ・・・・・」
「高級リゾートの島を借り切ってボクが頭を撃ち抜かれる所を楽しみで待ってたんだろけどね・・・失敗したんだし今頃悔しがってる筈、マアそれ以前に奴等は最優先で逃げる選択をするべき何だけどね!」
カーニヴァーは奴等の潜伏場所まで知らなかったけど貴重な手掛かりを持ってた・・・その手掛かりを元にイメンケさんとアノンさんがマルドゥースの外道たちの潜伏場所を見付け出した、あとはボク達で叩き潰せば良いだけだったのだ!
最も聞きだしたと言うには語弊が有るのは確か、αトライシクルに掛けて騙すと言うか情報を聞き出し判別したんだから!
「そう言えば態々こっちに来なくても話は合わせてやるから、とっとと奴等を片付けて来い。どうせ止めたって敵の本拠に乗り込んで全員蹂躙して来る気なのだろ・・・と陛下から連絡が入ってますよ」
「ボクと言う人間を良く解ってらっしゃるじゃない♪」
いつもの高機動戦闘服に身を包んだボクは、新型拳銃に更に新造した新型アサルトライフルと小型マシンガンを装備して来た・・・いや~~~この高機動戦闘服に合う様SFチックなデザインの銃で揃えコーディネートしたかったからね。
「キッドさんって非常識に戦闘能力高いのに、見た目で装備を揃えるとか凄く素人臭い子供じみた選択ばかりしてますよね?」
「五月蠅いな、まあ自覚はしてるけど!」
元々素人同然いや素人そのモノだったんだから!
「でもさアタイ達に4人にイメンケさんとアノンさん、それにキッドの旦那を加えて7人だけ・・・そんで敵の本拠に乗り込むには、いくら何でも少な過ぎないかな?」
「おや随分と弱気だな、普段のジョシュアらしくないと思うんだけど?」
すると今度はジョシュアがボクをジト目で見て、
「カーニヴァー程の手練れはいなくたって本職の殺し屋が十数人、更にチンピラに毛が生えただけと言えマトモな武装をした私兵が200人前後と、
それ以外にも同数の使用人が居て戦闘能力は未知数だけど旦那の首に大金賭けたら一発狙いに来るんじゃないかな?」
そう言うとボクの両眼を見透かし、
「この状況に7人ぽっちで乗り込むなんて普通は考えない、旦那だから考え付いた様な無茶苦茶な作戦なんだかんな!」
「じゃあ何でジョシュアは乗って来たのさ?」
するとジョシュアは得意げに、
「だって旦那の御陰でレギュラーグリット獲得出来たし、そんな恩人を危ない目に会わせたりするの申し訳ないでしょう?それにキッドの旦那に何かあったらミューズの姉さんが悲しむ・・・・・」
ジョシュアは先のレースで2位以下に大差をつけて優勝し、ファルデウスと主に親しい国の間で主宰されてるスターライダー・オーバーブレイクレースのレギュラー出場資格である❝レギュラーグリッド❞を取得した。
これで当分は予備予選的なモノから参加する必要は無く成り、スケジュール的にも財政的にも大分楽に成ると言うが勿論だけど戦績が悪ければ・・・今言うのは止めといてあげよう。
「イヤそこ迄ボクの事を無謀だと思われてるのは心外なんだけど、抑々ボクだけじゃ無く皆の命だって賭かってるんだよ?それなのにボク達だけで乗り込む様な、そんな薄情な雇用主だって思われてるのかな」
マァ皇帝の爺ちゃんに関してはボクだけは簡単に死なないと思ってるみたいだけど、それでも不死だとまでは思って無いし嫌味を言いながらもミューズの次にボクを心配してくれてる・・・だから彼を送って来てくれたんだろうけどね♪
「ソッチも満席みたいだな・・・余裕があるなら乗り移ろうかと思ってたんだが、それにしても良い車じゃ無いか?帰りはソッチに乗せて欲しい・・・」
眼の前に労働者を満載したトラックが走行しており、その荷台に乗ってたリーダーらしい老人が拡声器の様な物を使ってコッチに向かい怒鳴っている。
怒鳴っているのはウェルム少将ご本人、そして如何見ても酔いどれや肉体労働者にしか見得ない彼等は宇宙海兵隊だったりする!
「か・・・彼等が来る事を旦那は知ってたのか?」
「と言うよりボクが呼び寄せたんだよ。まぁ爺ちゃんもボクに任せたら敵は皆殺しに成ると思ってるみたいだし、ファルデウスなら兎も角ボクが他国でジェノサイドしたら庇うのが難しいし面倒だと思ってるんだろ」
これは方便と言う奴だろう・・・確かに今回の件でもボクは相当頭に来てるから邪魔する奴が居たら皆殺しにしちゃうかも知れない、それを止めるには歴戦の兵であるウェルム少将は適任だ。
でもウェルム少将が来た理由はボクに虐殺をさせない為じゃ無い、ミューズに手を出した主犯の2人だけはボクの手で確実にブチのめさせる為の露払い役に来たのだった!
「覚悟しろよ・・・タダじゃ済まさない、ミューズの命を狙った代償は場合によってはオマエらの命で払って貰う!」
そう心の中で呟くボクだった。
もう一台のトラックが港湾部に先行してた、税関上の問題が有って別行動だったそう・・・マアこの国の許可が有ったとしても積載物が武器弾薬など戦闘装備だからね♪
そして港に着いた途端に労働者たちの背筋が伸びて雰囲気が変わると手際良く荷物を下ろしながら分配し装着・装備して行く・・・するとアッと言う間に兵士に早変わり、当然ボク達もトランクから残りの装備を出して武装をして行く。
「用意は出来たか?」
完全武装したウェルム少将、老人で少々お腹が出てるクセに筋骨隆々と言う感じで逞しい。
「と言うよりボクはウェルム少将の部下と有能な指揮官を貸してくれって爺ちゃんに頼んだんだけど・・・・・」
「ワシじゃ不満か?」
ウェルム少将がアップで迫ってくる・・・爺のアップしかも圧の強いのは見苦しい、ボクにアップで迫って良いのは若くてカワイイ女の子に限る!
「いや別に不満は無いけど一応アンタは艦隊司令官で提督と呼ばれる立場だろうが!こんな所で現場の指揮を執ってる場合じゃ無いだろうに、ボクは現場の指揮に慣れてる部隊長とその部下一個小隊ほど貸してくれと・・・・・」
するとウェルム少将は得意そうに、
「だからワシが来たのだろうが、ファルデウス宇宙軍で最も有能なワシが♪」
呆れて何も言えん・・・だけど言ってる事は間違ってはいない、ボクの知る限り彼が非常に優秀な現場指揮官で地に足を着けて戦う戦闘に置いては最も優れてるのは事実だった。
「こんな爺が何で艦隊司令を・・・・・」
「ドサクサに紛れて人を爺呼ばわりするんじゃない!さあサッサと出撃するぞ!」
そう言うとボクを海岸まで引っ張って行き、
「航空機じゃ目立って逃げを打たれるからな・・・今回はコイツを用意した」
そうウェルム少将が指し示した先に在ったのは、砂浜に鎮座する2台の水陸両用装甲車イヤこの場合は機動揚陸艇とか上陸用舟艇それとも兵員輸送車と呼べば良いのだろうか?
主目的が兵員輸送な為か比較的小型それでも大きなバスかトラック程度の大きさと形状をしてて、上面はカーボネイトかアクリルの様な柔軟性の有る透明な素材で覆われており荷台は座席が並んでいた。
しかしこれで居て中々耐弾性能は実弾・光学兵器ともに高く下手な金属製走行車より頑丈に出来てるそう、しかもシートの一列ごとにガルウイング状のドアが付いており搭乗員の乗降が迅速に行える様に成ってるそうだ。
「イヤそれなら屋根など取っ払って剥き出しの荷台にした方が乗り降り早いだろ?それともソレを補って余りある程の防弾性能でも持ってるのか、この屋根は・・・・・」
そりゃこう言うアクリルっぽい素材って意外と頑丈なのは知ってるけど、地球でも防弾ガラスにアクリルや透明のカーボネイトを使ってるし、後者に至っては最新戦闘機の風防にも使われてるんだ今の地球では。
「そんな事したらワシもオマエも皆 溺れ死ぬぞ?それとも酸素ボンベ背負って乗り込むか?」
「何だコレ潜水艇なの?」
道理で屋根が付いてる筈だ・・・でも確かに考えてみたら敵に気付かれず乗り込むのに水中からと言うのは打って付け、水上を航行する船より目立たないだろう。
「まあ水深30(m)位しか潜れないし抑々海岸近くに来たらそんなに深い場所は無い、しかし上陸する事を前提にしとる揚陸艇なら十分だろう航空機かドローンで真上から見られない限りは目立たないしな」
「いや監視用のドローン位は飛び回ってるんじゃない?これからボク達が殴り込みかけるの、皇女暗殺を目論んだテロリストのアジト何だけど・・・・・」
しかも計画は失敗したんだし思いっ切り警戒してると思うな?
しかしウェルム少将はニッカリと笑って・・・・・
「そこは経験と勘と運で・・・・・」
冗談じゃ無い!
「経験は大事だし勘もマァ長年培って来た経験からだろうから納得しても良いけど運ってのは何だよ。あっ!さてはウェルム少将、博打的な要素を楽しんでるんじゃ無いだろうな」
「楽しいだろ?」
悪びれた様子も無く堂々と言いのける爺に、
「そんな物騒な揚陸艇乗りたく無ぇなぁ・・・・・」
思わず本音が出てしまったが、そんなボクの肩を抱きながらウェルム少将は揚陸艇にエスコートし・・・
「自分の命をチップにした最高の博打を楽しむ事が出来るぞ」
と宣った。
そう言う風に言ってたのは口だけで実際に運で作戦決行する様な馬鹿な爺様に艦隊司令官が務まる筈が無い、この揚陸艇?揚陸戦車?は薄暗くなった夕刻の海中をソナー等を駆使して島に向かっている。
「上陸前には衛星や偵察で得た情報を元に綿密な計画を立ててる、そもそも本気で運を天に任せた作戦など決行すると思うか?」
真っ暗な中でウェルム少将が言った・・・上面は素通しなので車内と言うか艇内も全く明かりが灯っていない、全ての情報は操縦士の密閉型ヘッドセットの中にのみ表示されている。
「爺ちゃんの家臣なら十分やりかねない」
「おぅ陛下には一言一句間違い無く告げ口しておくぞ!」
そう言うとボクの顎を大きな手で下から掴み頬を押して口を開かせると、その口にビスケットを捻じ込んだ・・・ボクもヘッドセットで上陸する島の情報を確認してるからだ。
「ワシ等は砂浜から上陸し一気にホテルに肉薄、その上で正面から戦闘行動を開始し展開する」
「でボクは如何動けば良い?」
ここは専門家の指示に従う事にする。
「この揚陸艇にワシ等が展開した後も残っててくれ・・・そのまま側面に移動し、こっちが敵の目を引き付けてる間にホテルの搬入口に突っ込む」
「そんな露骨な陽動は流石に気付くんじゃない?」
ホテルの搬入口にはシャッターが下りてる、悠長に開けてられ無いだろうから揚陸艇で突っ込むのは仕方無い事だった。
「ワシ等が正面から殴り込みを掛けてるんだぞ?そっちに手勢を廻す余裕は与えない、まぁ完全には留められんし多少は向かうだろうが」
ボクは水筒の紅茶でビスケットを流し込みながら、
「敵は破落戸と言えチョッとした軍隊だよ・・・少なくとも装備だけは」
最新情報で戦車まで隠し持ってる事が判明してた。
「ナニ言っとるコッチは本職の軍人だ」
「そりゃそうだけど・・・・・」
確かに本職の軍人に寄せ集めのチンピラが勝てるとは思えないけど、だからと言って素人が放った戦車砲だって当たれば軍人だろうが殺せるものだ。
「いやワシ等だって携行装備で戦車と撃ち合う気は無いぞ、この揚陸艇だって多少の武装はしてるが、それでも戦車に比べれば火力も装甲も大分劣る」
「だから心配してるんだよ、正面切って撃ち合えばコッチの被害だって出かねないだろ?」
防弾仕様と言え透明の車体の屋根部が戦車砲に耐えられるとは考え難い、日が暮れる迄は結構良い海底観光が出来たと内心楽しんでたんだけどね。
戦車の砲を直撃させられたら透明でない下半分の部分だって心許ない、つまりこの揚陸艇は前面に押し出して盾に代わりには出来無いと言う事に成る。
「そこを何も考えとらんと思っとるのか?安心しろチャンと考えてる、航空機や大部隊じゃ押しかけられ無いと言うだけで・・・・・」
「上陸地点が見得て来ました!突入してもよろしいですか?」
ウェルム少将はニヤリと笑ってから、
「突入だ!」
と告げる・・・2台の揚陸艇はビーチに向かって全速力で前進し、そして砂浜に乗り上げると防弾タイヤとジェット推進で更に進む。
完全に水から上がると敵の見張りも騒ぎだし、そして手持ちの火器で応戦し始めると・・・・・
「いきなり警告も無しに攻撃か・・・ならコッチも手加減の必要は無いよな?」
この揚陸艇シートの先頭は操縦席だが2列目は機銃手の席に成ってる、こちらも上方装甲が展開し機銃を出すと各席の左右で側面と上面がガルウイング状に開口する。
「遅れたら罰ゲームだぞ、さっさと突入しろ!」
副隊長的な人が怒鳴ると素早く規則的に突入部隊が降車しボク達は車に取り残される。
「皆すぐ降りられる様に窓際に・・・」
そう言いながら運転手の人が扉を締めながら発進させる。
「でも戦車が守ってるのホテルの周辺だろ?ウェルム少将たちは放って置いて良いの、いくら部隊がウェルム少将筆頭に脳筋の集まりでも流石に手持ちの火器で戦うには・・・・・」
「少将に聞かれたらカミナリ落とされるぞ・・・・・」
「ウェルム少将は流石に脳筋でも戦車に軽火器で挑むほど愚かじゃ無いよ」
車に残ってたしてるウェルム少将の部下で運転手とナビそれに機銃手の2人は笑いながら言った。
「でも戦車とかは持ち込んで無い筈、なら・・・大気圏外からノーダーか?」
「当たり!」
上空 恐らく大気圏外から榴弾形の塊が突入し、大気圏に突入後パラシュートを開いて降下して来た・・・そして上空数十メートルの所で外部装甲を展開し、中から十数機の新型アサルト・ノーダー❝キャリパーン❞が飛び出して来た。
しかも・・・
「キャリパーンを率いているのは❝エクスカリバー❞だな、と言う事はロイヤルフェンサー第一艦隊のジュリアさんだ・・・あの人は艦隊司令官なのに何をしてるんだ!」
呆れて溜息が出て来るボクだった。
ボクの造った人型戦闘機アサルト・ノーダー❝エクセリオン❞は、性能が高いモノの使い熟すにはクセが強過ぎるピーキーな機体だった。
それで誰にでも扱い易くソコソコ強い機体❝カブリヌス❞を造ったんだけど、皆が操縦に慣れて来ると今度はエクセリオンまで行かなくても、もうチョッと高性能な機体が欲しいと言う意見が出始めたんだ・・・特に腕利きの操縦者からね全く勝手で我儘だよな!
ただ何だかんだ言ってもポップさんは軍人で同時に優秀な技術者、カブリヌスは量産性も考慮した設計に成ってる為そぎ落とせる部分は徹底的にそぎ落とした。
そうなると当然だけど簡略化や生産性維持の為に犠牲に成る部分は出て来る、火力・機動力・耐久力・戦闘持続力に防御力などがね・・・でもポップさんはパイロットの帰還率を最優先で防御力関係に関しては一切妥協しなかった。
対弾性能に緊急時の脱出機構それに脱出後の帰還方法などをね・・・だからカブリヌスが扱い易い事と生産性が良い事以外に今一性能に満足出来無く成られるのも当然で、特に前線で矢面に立つ艦隊や特殊部隊などから高性能機を欲する要望が届くのも時間の問題だったのだ。
だからボクとポップさんはカブリヌスの高性能機❝キャリパーン❞と更に指揮官・特殊部隊専用の超高性能機❝エクスカリバー❞を開発してた。
ちなみに基に成ったエクセリオンはボクの造ったモノじゃ無く❝彼❞の作品、そもそも先古代文明の時代には二足歩行の人型機動兵器は存在していた。
エクセリオンって名前はボクが付けたけど・・・ちなみにノーダーの名前は全てアーサー王伝説の聖剣❝エクスカリバー❞から拝借したモノ、カブリヌスもキャリパーンもエクスカリバーの別名で、そもそもエクスカリバー自体が「超越した剣」と言う意味、そして❝エクセリオン❞は「超越者」とか「超越物」と言う意味に成ってる。
「ジュリアさんめ・・・キャリパーンは兎も角エクスカリバーや当分表立って使用しない様に言っといたのに、慣熟訓練はしといた方が良いでしょうとか言って無理矢理持ち出したの忘れてんのかな!」
マァそんな事は無いだろう・・・これが爺ちゃんやアバ元帥の辺りから「軍事機密だから」と言う理由で秘匿する様に言われたら、ジュリアさんは敵に捕まって逆さに吊るされたって、それどころか殺されたって絶対に口には出さない!
でも今回秘密にし様と言ったのはボクの独断で、エクスカリバーとキャリパーンをロイヤルフェンサー第一艦隊に配備する交換条件だったのだ!
「まだ実戦データーが揃って無いのに、こんな状態で公開されたら他の部隊からだって早く配備しろとセッ突かれる!だから秘密にしといてと言ったのに・・・余所の娘さんだし貴族の御令嬢だし艦隊司令官何て立場の人だし地位も有るから遠慮してたのに・・・・・」
これはジュリアさんも❝お尻ペンペン解禁❞にし無いとダメかなぁ・・・そんな事を考えながらボクは操縦者いやもう陸上だから運転手かな?それに機銃手の人と相談しながら突入し易そうな場所を探してる。
ボク達の乗った揚陸艇は揚陸戦車に変形(と言っても船艇が平らに変形し、上面が展開して機銃と下部側面から車輪を出しただけ)して建物を廻り込んでるけど、アサルト・ノーダーの襲来と、ウェルム少将たちの激しい攻撃にコッチの動きに気が付いて無い様だ。
「と言っても敵だって指揮官や監視者も居るだろうし監視カメラやレーダー的なモノだって装備してる筈、今はウェルム少将やジュリアさんの相手で動けないけど指揮官的な立場の人間が指示を出せば・・・・・」
「コッチにも人手が廻される筈です!急ぎましょう・・・・・」
当初 突入予定だった搬入口は戦車が一台配備されてる、揚陸戦車で突入を掛けるのはリスキー過ぎると思われた。
だが次の瞬間 戦車に着弾して爆発炎上する・・・流石に指揮官だけあって先見の明があるジュリアさんがキャリパーンを一機廻してくれたのだ。
「突入だ・・・あのシャッターなら?」
「余裕でブチ破れます!」
紙の様にシャッターを切り裂き破りながら突入した。
側面から出られ無かったら前面が展開出来ると言われてたけど、そんな事する必要無く側面のガルウイング状の扉が余裕を持って展開出来た。
「降車っ!」
とボクが叫んだ時にはジョシュアさん達は飛び降りて4人で周囲を警戒、ボクも飛び降りて銃器を構えると続けてイメンケさんとアノンさんも続いて来た。
「一気に最上階まで突破するよ!」
「え~~~っ!このホテルは80階建てですよ?」
・・・・・それは確かに疲れそうだ。




