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9回裏そしてゲームセット、当然 勝者はボク達さ!

何時も誤字指摘ありがとう御座いますw


けっこう多くて困ってるんですが、中には私が意図的に使ってて直さない常用外の用法も有ります。

そう言う時は直して無いのですが、ご気分を害されないようにお願いしますね?

 敵の陣形は無茶苦茶だったが、それはそうだろうと思う・・・はるか後方で早々迫って来ると思って無かった艦隊が、既に手の届く距離まで近付いてるのだから!

 こちらは既に射程距離に入ってたけど敢えて前進を続けて敵に突入、ジェリスさんは肉薄し擦れ違いながらの砲撃戦を展開する気らしい。


「敵が攻撃を始めても肉薄するまで耐えろっ!敵艦隊内に突入後、擦れ違いながら艦砲射撃を・・・」


 敵艦隊の向こうにはスターシップが在り正面から撃ち合ったらミューズ達に当たる可能性が、それなら自らの手で皇女(ミューズ)に当てるより敵の砲撃で傷付く方がマシと考えた様だ。

 艦隊の位置は互いにリンクしてるから本来ほゞ同士討ちは起きないし、そのリンクは勿論スターシップも共有してるのだが・・・それ等を考慮した上でスターシップの性能とボクやミューズの反応速度を始めとする能力が高過ぎ、その為にコンピューターが予測する危険範囲が滅茶苦茶広く取られて仕舞うのだ!

 そう成るとファルデウス軍側からの攻撃範囲を大分狭められてしまう・・・だったら内部に入ってでもミューズを軸線から外したいのだ!


 ただ・・・正直言えば艦隊を構成する艦の性能と搭乗員の練度や士気、ドチラもコチラの方が高い上に桁が違い過ぎる。

 特に前者が・・・敵より強固なシールドを持ち強力な火砲を備えている、これなら突入戦やっても被害は少なかろうと考えてる節は有る。


「いや安心して下さい♪直撃コースで狙われたって、コッチで躱せば良いだけの話ですから・・・・・」


「そう言う変態的な戦闘航行が出来るのは君だけだからね!」


 珍しくジェリスさんに声を荒げられてしまった。


「敵艦隊内に突入、全砲台は発砲開始っ!」


 続いてジェリスさんの号令がすると後方で光が点滅、と同時に

スターシップからの砲撃が弱くなる。


「ロイヤルフェンサー2に当てない様に慎重に成ってる、ならミューズはボクの真似はしない・・・よしジェリスさんの艦隊が敵艦隊に喰らい付いた!」


 彼女の操船スキルは失礼ながらボクほど高いは無く、敵の中に飛び込んで暴れ回りながら逃げ回る何て器用な真似は出来無い。

 マッチョな身体は持って無いけどボクを|敵の中に飛び込んで暴れ回る《スタローンやシュワルツェネッガー》タイプだとしたら彼女は精密な狙撃手(ゴルゴ13)タイプだと言える!

 それをチャンと理解してるミューズは、このまま砲撃戦を繰り広げながら迂回してジェリスさん達に合流し様とする筈だ。


「いや移動中にバレるのでは?」


「確実にバレるよ、でもバレた所で敵に何か出来るかな?」


 彼女が乗ってるのはスターシップ、いやエルミスⅡだったとしても敵に合流を阻止出来るだけの力は無い・・・何せ火力も防御力も機動力だってスターシップが上なのだから!

 現に次々と敵を沈黙させてるスターシップに対し、敵の砲撃はスターシップのバリアシールドを減退させる程にも打撃を与えて無い!


「ミューズ様に伝言を・・・いや必要は無いかな、敵の攻撃を躱しながらミーモットの進路を塞いでる」


 先程の会話にも出てたけどミーモットは自分の口を塞がれる事を恐れて少し離れた位置に布陣してる、つまりイザと成ったら自分だけ尻尾を巻いて逃げ出す積りなので敵も守る姿勢を崩す事が出来ない。


「この間にボクはと・・・・・」


 今回ボクのノーダー❝エクセリオン❞には背中に大きなロケットブースターと増槽、そして右手には大型のリニアランチャーが試験的な物と言え史上初の本格的な対艦戦闘用の装備である。

 敵がマダ元気な内にミーモットを捕らえ同時に敵の首脳陣に打撃を与え降伏する気にさせないと成らなかった。


「一番近い敵の旗艦をロックオン・・・ミューズは?」


「流石ミューズ様です・・・キッド様の動きを見、即座にミーモットの逃走経路を塞ぎにかかりました」


 良い子だ・・・後で褒めて上げないとね!


「さてソロソロ真面目に行きますか?」


 ボクはエクセリオンのブースターを吹かして敵の艦に、コッチを向いてる砲口が光ると同時に横へ移動し掠める艦砲を躱しながら敵のシールドに突っ込んだ!


「んぎぎ・・・・・」


 ほゞ直角にバリアに突っ込んで中和シールドを張りながら敵のシールドに食い込むが、敵のシールドを破る前にチャージが終わりそう・・・仕方なく横に移動するとエクセリオンの横を荷電粒子砲が貫いた!


「もうチョットで中に入れたのに・・・んっ?」


 敵艦のバリアシールドを途中まで破った状態で横に移動したら動きに合わせ敵のシールドを切り裂いて、その大きく裂けた切れ目から味方の航宙戦闘機が中に突入する。


「ボクが開けた穴なのに・・・・・」


「そんな事を言って無いで次の敵艦を・・・・・」


 まあ彼等の任せておけば大丈夫、アリスに言われたボクは次に近い敵の旗艦らしいのへ向かってバーニアを吹かすのだった。




 2隻目の艦の時も背後に味方の航宙戦闘機が控えてたのでシールドを切り裂いて後を任せ、3隻目で漸く自分で自ら飛び込んで敵艦の甲板に降り立つと戦闘ポッドを撃ち落としながら艦橋を狙い撃つ・・・艦橋は強固なバリアシールドが何重にも張られてたが婆ちゃんとポップさんの新作❝リニアランチャー❞は一発で艦橋を下から撃ち抜いた。

 更にコチラは甲板に降りてるのも関わらず砲塔が転回し驚いた事にボクを狙って砲撃して来た!


「いや正気なの?」


 時間を傷付けながらの攻撃にボクは呆れながらも砲塔を攻撃、破壊した所で他の砲塔が展開してボクを攻撃して来たので・・・・・


「悪いけどキミ達の命を尊重して自分が死ぬ気は無いんだ・・・・・」


 ボクは次に攻撃して来た砲塔で無く自分の立ってる場所、つまり甲板にリニアランチャーの銃口を向ける・・・この先はエンジンブロックだ!


「恨むなら自分の上官を・・・んっ?」


 砲口からエネルギーをチャージしてる証である光がフッと消えた。


「ジェネレーターを停止させました!降伏するので撃た無いで下さいっ!」


「じゃあ何で艦砲がボクを狙ってるの!」


 予備用のバッテリーかエネルギー経路が有ったのだろう、再び砲口が光を帯び始めるが信じられない事が起こった。

 対空?対宙?とにかく機銃砲台の類や他の砲塔がボクを狙ってる砲に照準を合わせ発砲、自分の艦についてる砲塔だと言うのに徹底的に攻撃し爆発四散させる・・・これは珍しい光景なんて喜んではいられない!


「あんな強力な攻撃が出来る敵機に取り付かれたんだ降伏も仕方無いだろうっ!なのに・・・」


「あの砲塔の砲撃士官は高官の縁者だっ!どうしても手柄が欲しかったんだろう、だから直接攻撃を指揮できる部署に配属するなと言ったのに・・・・・」


 敵の通信から内情暴露が・・・・・


「こちらは降伏する、我が艦だけでなく全艦隊でだ・・・いくら命令だからって、こんな戦いやってられるか!」


 如何やら本物の軍人さんの様、ひょっとしたら自分達が人身販売関与の証拠消しに使われてる事に気が付いてるのかも知れない。


「ムカ付いてるのでエンジン撃ち抜いたろかと思ったけど、降伏してくれるなら撃沈はしない・・・ただし許可無くジェネレーターを再起動したら・・・・・」


「心得てる」


 ボクは攻撃を中止しジェネレーターが完全に停止したのを確認し、その敵艦から離れると次の獲物に・・・コチラは甲板に降り立って砲塔2つ潰しただけで白旗を上げる。


「まともな対艦戦闘能力のある機体に取り付かれたら、こんな物なのかも知れないな・・・・・」


 そう独り言ちながら次の艦へシールドを突き破って艦橋を目指すと攻撃が、躱しながら何とか肉薄すると艦橋に攻撃・・・この敵は抵抗を止め様としないので火砲を次々と破壊し離脱する。


艦橋(ブリッジ)を破壊された所で諦めろよ、折角エンジン直撃は見逃してあげたのに・・・・・」


 火を噴きながら敵艦が爆発すると次の敵を探す、だが狙う事無く敵から降伏の申し出があり国外からの敵は次々とジェネレーターを切った・・・なら次に狙う相手は残ったマルドゥースただ一人!

 何だけど・・・・・


「とてもじゃ無いけどミーモットに戦闘における才能があるとは思えない、そしてミューズは曲がりなりにもボクの相棒で数々の戦場を潜・・・・・」


「当然ミーモットの船は行動不能ですよ、ただ・・・・・」


 ボクの言葉を途中で途切れさせてしまった。


「ハイ言葉が無くなりますよね、一体如何やったらコンナ風に出来るのでしょうか・・・・・」


 と言ってるアリスの本体はスターシップにあり、こう成った経緯は最初から見ている筈ナンだけど・・・・・


「と・・・取り敢えずスターシップに戻りましょう」


 アリスが誤魔化すように言ってるけど眼下に広がってる艦隊は悉く黒焦げに成っており、それどころか武装や外部の装備は全て破壊されている・・・人間に例えたら両手両足を引っこ抜いて大火傷させた感じ、自分でも例えて自分で気持ち悪く成って来た!


「イヤそう言う訳には行かんだろ?先ずは敵が抵抗しない様に武装解除、それに主犯を拘束して収監させ無いと・・・・・」


 残念ながら仕事は終わっていなかった。




 と言いながらも半日もしない内に全てが終わった・・・ミーモットと鉱山惑星の運営責任者、それに地熱プラント暴走時のドサクサ紛れたミーモットの人身販売に関わった者は全て収監した。

 特にミーモットは最後まで汚らしく騒いでいたんだけど、同じ貴族と言う事で2人だけで話したいとジェリスさんに要求・・・まあ何か取引を持ち掛けたのは想像に難しく無かったがラグナレクの客室から引き摺り出された時は顔の形が変わっていた。


「誰かコイツを廃棄物保管庫に放り込んで置いてくれ、可燃物の方だぞ!」


 完全にゴミ扱いである。

 その後 国外から乱入した応援だが各艦の責任者を強制的に集めると、やはり7割方が上から命じられ無理矢理来させられた軍人だった。

 彼等はミーモットと美女の回収もしくはミーモットの口封じと証拠隠滅を命じられてたが、元々この仕事を拒否した者も多く・・・それでも脅迫とかで無理矢理来させられてたので自分から進んで情報を提供してくれた。


「もうコッチはジェリスさんに任せても良いかな?」


「あぁ他のロイヤルフェンサーも終結したし大丈夫、キッド君も自分の船に戻ってユックリ休むといい」


 と言われたので、やっとスターシップに戻ったんだけどさ・・・


「ええい止めんか!」


 でスターシップに戻ったらボクの眼の前でアノンさんにミューズにイリスの3人が揃って白装束で土下座・・・前の2人なら解るけど何でイリス迄と考えた所でイリスもミューズ役で捕らわれてた、ただ外聞が悪いから止めろと言ったけど全員無罪放免って訳には行かない。


「キミ達3人を裁く前にハッキリさせとこう、この計画を考えたのはアノンさんだね?この計画を考える悪辣さをミューズは持って無い」


「は・・・」


「はい・・・」


 ミューズとアノンさんの2人が蚊の鳴いてる様な声で答えた。


「先ずイリスは無罪だから立ちなさい、どうせミューズとアノンさんに(そそのか)されたんだろうしボクも叱る気は無いから」


 ホッとした表情で立ち上がりボクの横にトコトコ歩いて来るとジャケットの袖を掴む。

 まあイリスもボクのオシリ叩きを本気で怖がってるし、皆の前で叩かれたくは無いだろう・・・ただソレを覚悟の上で手伝ったのはミューズに必要だと説得されただけなのだ。


「続いて・・・」


 ゴクンと唾を呑む二人にボクは、


「ボクを変態の囮にと言う作戦が有効的なの解ってるし、そもそも鉱山惑星でボク自身が使ってるんだから文句を言わない。まあ面白くは無いし滅茶苦茶アタマ来てるけど・・・・・」


 いくらボク自身で無いと言っても、いやミューズを変態の餌にと言うだけで虫唾が走ってミーモットに対する殺意が膨れ上がる!

 まあ爺ちゃんの事だから少なくともココでボクが殺すより、圧倒的に悲惨な眼に会わせてくれると思うから生け捕りで良いけどね♪


「と言う事で囮作戦については叱る積りは無い」


 ホッとした顔をする3人だったが、


「叱る積りは無いけどミューズは後で意地悪します・・・・・」


「許して下さい~~~っ!」


 ミューズが可愛らしく泣きながら縋りついて来た!

 でもミューズ君、キミは間違ってる・・・そんなに可愛らしく泣かれたら逆にボクの意地悪心がムクムクと♪


「イヤ~~~良かったキッドさんが話の分かる方で、これで安心して・・・」


「あっ、アノンさんは有罪ね!」


 振り返ったボクは般若の笑みを浮かべてたに違いない、アノンさんに背後でコッチ見てたアイギスさんとジェイナス婆ちゃんが思いっ切り顔を引き攣らせ引いている。


「なっ、何でですか!」


 抗議するアノンさんに、


「百歩・・・いや130歩ほど譲ったけどボクを変態の玩具として売ろうとした事は許したげる、本当に売ろうとしてた訳じゃ無いし有効な手だったことは確かだから」


「キッドさん・・・微妙に器が小さいんだよな」


 (やかま)しいと思いながらボクは立ち上がってポキポキ指を鳴らしながらアノンさんに近づいてく!


「でもさ・・・その時アノンさんは、ボクに扮したミューズの一体ドコを掴んだ揉んだ!?」


 一瞬キョトンとしてるアノンさんだったがボクが何にヘソ曲げているのかを察すると・・・・・


「お待ち下さい、キッドさんは誤解してます私は無実です!」


 そう言うとアノンさんは白装束のミューズの背後に回り込むと、思いっ切り胸元を左右に開いたのだ!


「殺されたいのか貴様ぁ!」


「だから良く見て私が揉んだの、この上から何ですってば!」


 そう言えば胸元からTシャツみたいなの覗いてたけど、どうせ日本人いや地球人でも無い彼等が勝手に時代劇見て複製しただけだと思ったから気にしなかった。

 確かに身体にピッチリとフィットしてるTシャツと言う感じだけど・・・・・


「そんな薄いTシャツ一枚、挟んだからって・・・・・」


「だからタダの着衣じゃ無いんです!ボディーアーマーです!堅いんです!」


 そう言ってミューズの胸板の辺りを叩くとコンコンって硬質な音が立った。


「この上からなら揉んだって問題は無いでしょ?」


「その後アンタ何処に手を伸ばした・・・・・」


 更に危険な場所に手を伸ばしといて・・・・・


「それもご安心下さい!」


 そう言うとアノンさんは何とミューズの袴を下ろし、おへその辺りまで小袖の裾を捲り上げる・・・うん流石にボクも開いた口が塞がら無かったよ!


「こちらも同じボディーアーマーで上から触った所で・・・・・」


 得意げに説明しながら曲げた人差し指の第二関節の外側で、ミューズのパンティ状のボディーアーマーの下腹部を叩きコンコン音を立てるアノンさん・・・アンタ殺し屋を続け過ぎて何処かに一般常識を忘れて来て無いか?


「私がキッドさんの大切な人にセクハラを働く筈が無いじゃ無いですか♪」


 うんオマエ一般常識どっかに置き忘れて来てるよ!


「アノンさんに二つ言わなきゃ成らない事が有る・・・」


「ハイッ!」


 アノンさんの貌に緊張が走る。


「君の言い分を認め様・・・ミューズがボクに化けてる間のセクハラ行為に関しては無罪、ボクは君に一切のペナルティを求めない」


「やったぁ!」


 船から降りろと言われるのが怖かったのか、思いっ切り安堵した声を上げガッツポーズのアノンさん!


「そしてもう一つは・・・」


「もう一つは?」


 少し余裕を取り戻してるアノンさんだったが・・・


「死ぬ前に止めて上げるけど極力自分で頑張ってね!服を剥いて下着を露にするのってセクハラどころの騒ぎじゃ無い、ボクは罰を与えないけど代りにミューズは止められないから!」


「えっ?」


 ボクのセリフと同時に気配を感じたアノンさんが振り返ると、そこにはもう拳を振り上げたミューズが迫っており・・・そしてアノンさんの顔面をグーパンで見事に振り抜いた!


「何てコトしてくれやがってるんですかぁ~~~っ!」


 吹き飛んで壁に激突したアノンさんの胸に馬乗りになり、胸倉を掴んだまま顔面に握り拳の連打を打ち込むミューズさん・・・ミューズさんアンタ女の子なんだから男性の顔面にグーパンなんて止めなさい!


「アンタ女の子のパンティー晒して無事に済むと思ってたの?」


「イヤだからコレはパンティーでは無くボディーアーマーで、ひぃぃぃぃ~~~~~っ!」


 哀れなアノンさんの悲鳴が・・・でも本気で怒ってるミューズを落ち着かせる為、可哀想だけどアノンさんには犠牲になって貰おう。

 するとイリスまでミューズの隣に行って・・・・・


「どうせ私はミューズお姉ちゃんより更に胸が無いですよ!」


 イリスまで参戦しアノンさんの顔に爪を突き立てる!


「そもそも私がお兄さまのオマケって幾ら何でも言い方ってモノが、お兄さまは男の子よ!何で女の私がオマケにされて・・・・・」


 ミューズのプライドも一緒に傷付いたらしい・・・その原因であるアノンさんは可哀想に美少女と美幼女二人係りで襲われてるけど、そもそも悪いのは彼の口とセリフの選択で口は禍の何とやらって慣用句がピッタリの人である。




 イメンケさんとアノンさんは二人とも容姿が整ってて端正な二枚目、だけどアノンさんの方が幼いと言うかアイドル顔と言うか女性が好みそうな感じの顔をしてる・・・けど今は面影も無くボコボコにされてて、その姿でミューズとイリスににオベッカを使い倒していた♪


「そ・・・粗茶に御座います・・・」


「それ・・・私のお茶じゃ無い?」


 この光景ボク見た事がある気がしてジョシュアさんを見ると彼女は赤面しながら顔を背けた。

 だけどアノンさんアンタ本当に器用だな・・・お盆を持ったアノンさんは台所から匍匐前進の様に這ってリビングに来たんだけど、背中に一人の老人を乗せしかも逆エビ固めを決められながら這ってるんだ!


「貴様ミューズの下半身を剥いただとぅ~~~~っ!」


 地の底より響く怨念の様な声で皇帝陛下が言った・・・ロイヤルディフェンサーに警護されながらマルドゥース子爵領に来た爺ちゃんは、アノンさんの所業を婆ちゃんから聞いてミューズにボコボコにされた彼を更に痛め付けている!


「あああ・・・せ、背骨がぁぁ~~~っ!」


「ミューズを剥いて、この程度で済むと思っておらんだろうな?ほ~~~れ♪」


 ぐいっ!


「ぎゃぁぁぁ~~~~~っ!へ・・・陛下お歳の割に、ご健康そうで何より・・・・・」


「お前は若い癖に身体が硬いのぅ・・・もっと鍛えるが良い、殺し屋だって身体が資本じゃろ?」


 まあ驚かないけど、やっぱりアノンさんの正体には気付いてた・・・それとも新しい奴が増えて調べたのだろうか?

 するとミューズがポキポキ指を鳴らしながら二人に近付いて・・・・・


「お爺さま、そう言う事を大声で言うの止めて頂けません?」


「おぅそうじゃった、スマンスマン」


「ぎぃえぇぇぇ~~~~~っ!」


 最後に思いっ切り捻ってから立ち上がり、伸びたアノンさんの背中を踏み躙ってる爺ちゃんに聞いて見る。


「で今後の予定と言うか進行は?」


「コロニー❝エンドラ❞に避難してる鉱山惑星の入植者をここに、鉱山惑星は火の球だが無理矢理冷やせば軽い氷晶鉱は浮かび上がるから採取は簡単に成るだろう。その上で再度テラフォーミングを・・・まあ採取だけなら爆散させた後の方が容易だったろうけが、そんな事の為に自然惑星にまで改良出来る星を潰すなんて馬鹿々々しい」


 本当にパワフルな爺ちゃんだなぁ・・・


「そうじゃ無くて罪人や捕虜の方は・・・」


「ミーモットは無期公開懲役刑じゃ♪人目に付く様な場所で強制重労働刑、惑星崩壊を知りながら隠した者と人身販売の関係者は全員同じだ」


 思った以上に悲惨な目に会ってて何よりだ!


「国外から攻めて来たのは結局6つの星間国家の8つの勢力から・・・・・」


「2つの国から2団体来たんだ?」


 と思ったら、


「いや一ヶ国が3団体寄越した・・・ノスモ-だな、他にも敵対的は国から3・友好国から2・・・友好国の方は両方専制国家だが、送った貴族の独断らしく取り潰して主犯を死刑にするだろう・・・トカゲの尻尾では無さそうだが一応調査しとくよ」


「敵対国の捕虜は?」


 すると爺ちゃんは頭が痛そうに


「自国の者であるコト自体認めて無いし完全に見殺しにする気だな・・・しかも陰謀説まで流し始めて五月蠅くて仕方が無い。マアそんなのは私にとって蚊程度の煩事だが問題は・・・・・」


「国が侵攻されて何もしないでは・・・って事?」


 爺ちゃんは黙って頷いた・・・地球では如何だったのか知ら無いけど、他国に領土を侵され何も言え無い様じゃ舐められる事は間違い無い。

 そしてその意思を明確に知らしめるには・・・・・


「死刑にするって?」


「それしか無いだろうな・・・侵攻した側が非を認め責任を取らない限り、そして奴等は絶対に認めない。各艦隊の司令官に副司令官に部隊長、それに各艦艦長に副艦長この辺りは殺さないと示しがつかん」


 別に余裕があって極力殺さない様にしてた訳じゃ無いけど、それでも無暗に殺さない様にしてたら一割も殺さずに済み、ほゞ3万の敵艦隊が降伏する事に成った。

 あくまで降伏せず戦ったので止むを得ず撃沈したのは、ミーモットの雇った破落戸と最後まで奴隷を連れ帰ろうとしてたアホばかり・・・頭の悪い奴等の巻き添えに成った部下が可哀想だけどコッチが被害を負う謂れは無い。

 で残った3万の艦艇だけど、その艦長と副艦長だけで3万×2で6万人プラス艦隊総司令官に戦隊指揮官に各種合わせて100人ほど殺す事に成る。


「ミーモットよりマシな刑と言え不憫でならん・・・今までは少しでも苦痛が無い様に殺してやるとしか思え何だが、誰かさんの影響で最近は殺すのが可愛そうでな・・・何とか成らんか?」


 おいジジイ、人にアイデアを強請るなら人の頭の上に膝を乗せるの止めろよ!

 と言ってもな・・・


「生かしとく訳に行かないのかな?」


「少しでも国に貢献したと言いたい馬鹿は確実に死刑にしろと言って来る・・・そう言いたいなら本当に貢献すれば良いのに、だが熱り立って意見する事でしか自分の存在をアピール出来ない馬鹿が多いんだ政治家には!だが確かに恩赦を与え徒党を組んで反抗されたら眼も当てられん・・・それで国民に被害が出たら本末転倒、助けるなら頑丈な首輪が必要だ」


「しかし艦長・副艦長レベル以上で6万、全兵士で最低600万以上・・・実際は1000万超える可能性が高い」


 いくら文明が発達し軍艦が少人数で運営出来ても、一隻100人の計算は丼勘定も良い所だ。


「お兄さま、αトライシクルで・・・」


 それは無理な話だった。


「時間や手間の問題じゃ無い・・・今は確かに恭順してたとしても、ノスモーってヴァイラシアンと良い勝負のクソ国家なんだろ?後に成って家族や友人を盾に・・・・・」


 そう成ったら逆らわずに居られるかな?


「何か手を・・・・・」


「無理か?」


「可哀想だが仕方が・・・」


「あっ・・・・・」


 みんなの貌がコチラに集中し・・・・・


「良いコト思い付いちゃった」


 うん自分から相談したクセに爺ちゃんが凄くイヤな顔をしてボクを見てる。




 翌日にはファルデウス帝国いや周辺諸国も巻き込んで大騒ぎに成っていた・・・ありとあらゆる媒体(この世界では驚いた事に、まだ紙媒体「新聞」も生き残ってる)が、次の様なニュースを流して関係者を非難し捲くってるのだ。

 ミーモット・マルドゥース元子爵、拝領した鉱山惑星を自棄に成って破壊!と・・・記事の内容は、


「恩赦を受け子爵として再出発を許されたミーモット・マルドゥース元子爵だったが、現状に我慢出来なかったのか領地の鉱山惑星に無謀な増産を指示それにより限界を越して酷使された地熱プラントを暴走させた。しかも鉱山惑星の崩壊を招きかけ更に証拠隠滅に成ると思い住民を人身販売しようと暗躍、その結果ファルデウス帝国はロイヤルフェンサー全艦隊を派遣・鎮圧・・・そしてミーモット・マルドゥースを救出または暗殺に侵攻して来た敵軍は投降し・・・・・」


 ここ迄は事実なんだけど、数か月後には・・・


「我が帝国は投降した敵軍に恩赦を与え、修理・補給を終えた後に帰国する事を許した!」


 これを聞いた敵対国は恐らく❝この話❞を聞いて爺ちゃんを腰抜けと笑う、でも我慢するのは僅かな間だけ・・・その後で血の涙を流しながら悔しがるだろう!


 この3万の艦体にはエルミス級やジュリア級ほどじゃ無くても修理と言いながら魔改造してあり、それが集まって3万の艦体と成れば地方軍とか辺境軍の相手なら余裕で勝てる火力を付けて有る!

 ミーモットは公爵家の子息と言っても末端も末端、それゆえ貴族間の付き合い特に国外の貴族に大して伝手が無かった(それでも平民よりは影響力が有るけどね)

 今回ヤツから住民を奴隷として買おうとしてた相手は友好国の貴族や有力者、これは外交で片付けて貰う事に成ってるが問題は2か国4団体の敵対国・・・つまりノスモー帝国の貴族3家とヴィエンド連邦の有力者だが、これをボク達の代りに彼等に意趣返しして貰おうと思ってるのだ!

 抑々ボク達いやファルデウスは「帰国しても良い」と言っただけで「故郷に帰れ」なんて言って無い、彼等が各々自分の来た場所に散会して帰る筈も無いのだ!


 勿論この艦隊にはファルデウスの兵士を上層部にはギチギチ末端にまで散りばめて配属、歯向かって来たら少数でも何とか出来る様に対応してある

 そんな艦隊が3万も固まって自分を派遣して来た領主(ヴィエンドは高官)を襲い、その後は彼等の家族を連れて逃亡・・・上手く行けば戦利品だけで無く領星まで奪ってコッチに寝返る(もう既に寝返ってるんだけどね)事に成ってる。


 文句・・・ボクも爺ちゃん達も受け付け無いよ?


 彼等が派遣した艦隊を自国の軍と認め謝罪しなかった様に、こっちだってアレは自国の艦体じゃ無いと言うだけだもん・・・彼等が「オレ達はノスモー(またはヴィエンド)の軍で命令されて行った。だが故国はオレ達を見捨てたから仕返しし、敵だったが良心的な対応してくれたファルデウスに帰順する」と言って貰えば?

 アッチは「そんなの知らん」と言うだろうけど、コッチだって「それ見ろヤッパリお前等だったんじゃ無いか!」と言い返す!


 別にドッチが正しいかなんて後世に歴史家が決めれば良いだけの話、そもそも歴史家ったって言ってる事もコロコロ変わるだろうしねw


 数か月後の話だけど出撃する()()()()の艦体を見送りながら・・・・・


「何と言う悪辣な手だ・・・キッドお前には皇帝の才能があるぞ!」


 と言う爺ちゃん、


「冗談じゃ無い、貴族の爵位だって煩わしいのに帝位何て持って来られて堪るか!ボクとミューズに子供が出来て本人が望んだら考えても良いから、精々健康に気を使って長生きしてよ!」


 ミューズに子供が作れる可能性は低いけど可能性は決して無い訳じゃ無い、それにクローンを造る気はボクもミューズも爺ちゃんも無いけど体外受精とかなら考えても良いと思ってる。


「そうかなぁ、お前こそ最高に良い支配者の素材だと思うのだが・・・その悪辣さ、底意地の悪さ、トリックスターな所とか・・・・・」


「そんな迷惑な奴を皇帝に据えるな!」


 そう怒鳴るボクもコノ時は爺ちゃんが本気で言ってると思って無かった。

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