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新しい依頼は美人の救出♪

 ファルデウスの首都星ミューズでスターシップ貿易を創立すると盛大な記念パーティーが開かれた・・・一応ダイルさんが社長に就任しオーナーはボクとミューズの二人、救国の英雄であるボクや皇帝の愛娘いや愛孫にオーナーさせれば色々ハッタリ効くからね!

 でその創立記念パーティーには呼んでも無いのに爺ちゃんが来たのだが・・・・・


「君が社長に就任したダイル君かね?(貴様も良く言うよな)」


「ははっ、陛下の御孫さま達には良くして頂いております(判ってるなら(つつ)いて来るなよクソジジイ)」


 乾いた笑い声を上げながら笑顔で挨拶する二人、ちなみにカッコの中のは心の声(つまり本音)と言う奴・・・まあ仕方無いだろう隣国と言え財閥の頭首、顔は広い者同士ダイルさんと爺ちゃんに交流が有っても不思議じゃない。

 そもそもダイルさんは見た目が全くと言っても良いほど変わったし、それなのにダイルさんがガネスである事に気が付くんだから結構深い付き合いだったのだろう。


「君はジョンブルソンの・・・・・」


「いえノスモーからの亡命者です」


「前職は?」


「船会社の社長業をこなしながら船の船長をしておりました」


 すると爺ちゃんは鼻を鳴らしながら、


「ふんっ!そう言う事にしといてやろう、下手に暴くとアイツの仕返しが怖いからな・・・粘着質だから執拗そうだし性格も悪いから性質(タチ)が悪いしオマケに・・・へぶっ!?」


「流石陛下・・・御慧眼でへっ!?」


 二人の頭の上へ同時に金盥が落ちて来て怒りを浮かべ見上げる二人にボクは中二階の踊り場から手を振った・・・イヤそこの扉を入った所にある洗い場の食洗器から洗われて出て来る食器を受け取る金盥が有ったから、陛下がダイルさんに近寄ってったから余計な事を言ったらダイルさんに落とそうと用意してたんだ。

 予備用含めて2つ用意しといて良かった・・・ちなみに何でボクがこんな古い突っ込み方を知ってるのかと言うと母さんが大好きだったから、家には土曜8時からの楽しみだったDVDボックスが()()揃っていたからだ。

 それにしてもダイルさんの正体に気が付いてるなんて、さすが爺ちゃんタダのバカじゃ無くて孫馬鹿じゃ無いな?


「では君が(惑星)ミューズの本社に・・・」


「イエ社長は私ですが実質的に副社長のイグニア女史が運営の指揮を、キッドオーナーと同じで私は船長業の方が性に合ってますから・・・彼こそ理想の船乗りで・・・」


 下からマダ会話の続きが聞こえてくる。


「アレは船乗り何て良いモノじゃない、乗員も含めて船の形をした災厄・・・へぶっ!」


 今度は頭の上にバケツを落としてやった。

 次は何を落としてやろうか?


「ホントお爺様ったら懲りないんだから、お兄さま次は手加減無く冷水いえ氷入りの冷水を満タンにしたバケツ落としても良いですよ・・・・・」


「イヤお前それ凶器だからな!爺ちゃんマジで死んじゃうから絶対するなよ!?」


 ミューズの奴、たまに本気で怖い事を言ってくる!


「そうですか?その程度で死ぬ様な人には見え無いのですが、むしろ殺す方が難しそうで・・・・・」


「良いからオマエ黙れ・・・さすがに爺ちゃんが可哀想に成って来た」


 いくらホールの天井が高いと言えボク達が居るのは中二階の踊り場、会話は筒抜けで爺ちゃんが壁に手を突いてシクシク泣いていた。

 すると・・・・・


『会長』


 アノンさんからカチューシャ越しに通信が入る。


『なんだ・・・さっきまでパーティー会場で料理食べてたのに?』


『イヤもう満腹ですよ、これ以上食べたらパンクしちゃう・・・で腹ごなしに外に出たのですがチョッと嫌な物を見て仕舞いまして、スミマセンが御足労頂いてもヨロシイでしょうか?』


『自由な奴だなぁ・・・』


 このホール自体はパーティーとかにレンタルで貸し出されてる会場だが今日は皇帝が来てるのだ・・・普通の人間なら気軽に出入り出来る筈も無く、イヤそれ以前に普通の人が入れる場所で無く成っているんだけど!


『でもアノンさんが、そう言うって事は?』


『エエ・・・来なきゃ会長が後悔するかと・・・』


 ナンだカンだ言ってアノンさん有能だからね・・・・・


『OK今から行くけど会長ってのヤメてよ!』


『でもキッド様だと嫌でしょ、❝さん❞付だとイメンケ氏と被るし』


 被るって何なんだよw

 ボクはミューズに向き直り、


「行くか?」


「うん」


 ボクはミューズを連れてコッソリと会場を出ようとした。

 すると・・・


「お兄ちゃんドコ行くの?」


 イリスに捕まって仕舞った!


「ちょっと外の空気を吸いに・・・」


「私も行きたい」


 困ったな・・・・・


『私の方が庭園に移動しますから大丈夫ですよ』


『オマエ本当に自由だな・・・』


 何度も言うけど今日ここには皇帝陛下が来てるんだよ?

 身内と言えそんな自由に動き回れて良いのかよ、ましてアイツは元殺し屋だぞ!


『元殺し屋だからですよ♪目標(ターゲット)の所まで辿り着けない殺し屋何て存在価値が・・・・・』


『お前も人の心を気易く読むよな!』


 うちのクルーは問題児ばかりの様だ。




 アノンさんに呼び出されたのは会場の敷地内の奥にある池のほとり、そこに在るガゼボにはアノンさんだけと思ってたら背が低くて見え無かっただけで幼い子供が十数名も・・・オマエも子供じゃと思った奴は一歩前に出て歯を食い縛れ!


「えっと・・・これは如何言う状態かな?」


「この子達が会場の正面玄関でキャプテン・キッドに会わせろと、対処に困ってた門番に私から彼等を任せろと言って引き取ったんです」


「アノンさんはボクのトコのスタッフに成ってたけど、それでも門番は良く通したね・・・爺ちゃん来てるのに?」


 するとアノンさんったら眼を逸らしながら・・・


「いったん外で話を聞いて来ると言って裏門に、そして裏門の門番を眠らせて中に引き込みました・・・・・」


「この問題児っ!後で絶対に爺ちゃんから文句言われるパターンだぞ?」


「いや証拠は残して無いので大丈夫・・・それよりですね・・・・・」


 そう言う問題じゃ無いだろうと思いながらも、彼の言葉が急に途切れたので視線を追うと・・・その先には一人の少年が居て手に包帯を巻いてて血が滲んでいる。


「結構重傷ナンで先に手当てをと言ったのですが、キッドさんと話すのが先だと断固拒否されちゃって・・・・・」


 その眼はボクを射貫く様に見てる。


「まあ目立つ訳には行かないからコソコソと・・・植え込みの中を皆で四つん這いで移動してたのですが、棘の有る樹木の枝を手で踏んじゃったんです」


 そう言ってボクの耳に口を寄せ、


「一瞬悲鳴を上げましたが彼は自分の前腕を噛んで耐えました。棘は手の甲を貫通してたのに・・・・・」


 ガゼボのテーブルの上には明らかに血が付いてる枝が、かんきつ類系の植物らしく棘は鋭く5センチを超えてる・・・これが手の甲を貫通したらボクは悲鳴を我慢する事は出来そうも無いね!

 ボクは子供達を見廻すと着てるのは極端では無いけど粗末な衣類・・・ここまで分明が進むと着衣には安くても同程度良いモノが造れる、だから着衣だけで判断する事は出来無いけど普段の生活から態度に現れるモノが有った。


「皆お腹は・・・」


「「「空いてません」」」


 ここでフィクションなら都合良くお腹が鳴るんだけど現実じゃそうは行かない、それでも彼等の顔を見れば鈍いボクでも痩せ我慢してる事くらいは察する事が出来た。


「用件を聞こう」


「ボク達のお母さんやお姉ちゃんを助けて下さい」


 そう言うとリュックから一抱えもある小銭の詰まった袋を出しテーブルの上に乗せ、


「英雄キャプテン・キッドを雇うには足り無いのは解かってます。でも残りは必ず払いますから・・・・・」


「OK、でもその前に依頼内容を・・・」


「このまま聞くなら彼も同席して頂きましょう♪」


 イメンケさんが言うと一人の女性が背後の茂みから、まあ居るのは解かってたんだけど・・・お姉さんの顔は見た事がある。


「ギルドの方を呼んどきました♪」


「有能なのは認める、だけど如何やって連れ込んでるんだよ!」


 思わず突っ込みながらもボクは再び彼等に向き直して


「詳しい話を聞こう・・・・・」


 と口にした。




「それ本当なの?」


 ボクはコメカミに青筋を浮かべながら彼等の話を聞いてたらしい、と言うのは後でミューズとイリスに聞いたから・・・それにマア鏡でも無ければ自分の顔は自分じゃ見られないしね♪


「事実です・・・もっとも奴らの話を信じてる人は一人も居なかったけど」


 それは有り難い話だったがソレでも頭に来る内容だった・・・いやボクだけじゃ無くミューズも無表情に成ってる、コイツ本気で怒っている時は一切表情が無くなるんだ!


「ダーグさん」


 いつの間にかミューズがカチューシャでスターシップと通信し始める。


「スターシップの状況は?」


 勝手に話を進めてるけど叱る積りは無い、事は一刻を争うのだから彼女は必要な事をしてる・・・それを叱るほど狭量だとミューズに思われてるとはボクも思って無い!


「それなら良いです。現在の所在座標は?」


 補給やメンテナンスは済んでいた。


『お前たちの真上だよ、大気圏外だけどな・・・・・』


 スターシップの性能なら惑星の自転に付いてくの何て簡単、そして一方イリスも取り出した端末を操作しながら


「ファルデウス帝国・首都星ミューズ航空管理局ですか?緊急事態に付き200m級・航宙戦闘船スターシップ号の大気圏突入許可を要請します・・・座標データを送付・・・確認しました。えっ?突入時刻ですか?現刻からです・・・ミューズお姉ちゃん許可を取ったよ♪」


 これミューズや・・・お前イリスに何やらせてる、いや教え込んでるんだ?


「ダーグさん、そのまま突入を・・・ハイ私たちの収容迄30分ですね?」


 ボクは溜息と突きながらもカチューシャで、パーティー会場にいる仲間に飲んでても食ってても良いから集合してろと命じた。


「これで良いかな?」


 とミューズがボクを見て言う。


「一刻を争う状況だ・・・ミューズの判断は正しいし、ボクが助けに行かないとは思って無いだろ♪ミューズの回答は満点だったから御褒美は大人のキス3つくらいかな?」


 ミューズが頬を赤らめる。


「あっ、いつもの意地悪お兄ちゃんとデレデレお姉ちゃんに戻った!」


「「こらイリス!」」


 ボクとミューズが言うとイリスもお道化て頭を庇う。


「それにしてもアンナ怖いお兄ちゃん初めて見た、ここの所がビクビクって震えてたよ?」


 イリスが自分のコメカミを指差しながら言ったが、如何やらボクは彼等の話を聞きながら青筋を立てていたらしい!

 さてココは森の中だし池の畔、スターシップが迎えに来るのは会場の方に決まってる。


「みんなも一旦パーティー会場の方へ行こう」


 子供たちと一緒にボク達は会場に戻った。

 歩きながらアノンさんがボクに囁く・・・


「携帯出来る簡易型の装置で測定ですがαトライシクルは中立線から一向にブレ無かった・・・と言う事は少なくとも子供達は嘘を言って無く、また状況から考えても勘違いしてる可能性も低いです。つまりアノ子達の姉や母親は本当に誘拐された可能性が高いって事ですね」


 ギルドのお姉さんも携帯型通信機でギルドと連絡してて、一応(子供達の持って来た)お金は彼女に預けて正式な依頼にして貰わなければ成らなかった。


「だから何を言ってるのです!私と言う職員が中に入りキッド氏は依頼を受諾しました・・・この依頼を通さぬならギルドは腐敗貴族に忖度(そんたく)した事に成り、後日ギルド長が責任取らされる事に成りますからね!あっ・・・ミューズ嬢が通信機で陛下と話を・・・・・」


 この姉ちゃん脅迫が上手いな・・・ミューズはボクにへばり付いてて、そんな連絡は一切して無かった。

 一方・・・・・


「お爺さまは本当に❝お忍び❞でコッチに来てたのね・・・確かに考えたら行き成り皇帝が来てる地点に宇宙船を降下させろと何て、いくらお兄さまの船だって言ったて簡単に航空管理局が許可を出す筈が無いもの」


 そう言いながら呆れていたミューズだった。

 さてと眼の前の森の切れ目から会場の建物が見えて来たが、その頃にはスターシップが自転に逆らった大気との摩擦と惑星に降下した所為で下で潰れる大気の圧縮熱で真っ赤に赤熱しながら降下して来た。


「チョッとコレは一体ナン何だい・・・どうせキッドちゃんの仕業なんだろ?」


 余りにも騒がしいので会場から出て来た所ボクを見付けたジェイナス婆ちゃんに問い質されたが仕方無い・・・上空ではミューズ航空管理局が派遣した監視機がパーティー会場の上空を五月蝿く旋回し、その中を赤熱化してるスターシップが降下してるのだから目立つ事この上無いだろう。

 ただしコノ光景は緊急で船が宇宙空間から突入して来る時の通常の状態の筈、そんなに大騒ぎしなくても良いじゃ無いかと思えるのだが?


「キッドちゃんアンタねぇ・・・コイツ等が大騒ぎしてる理由が分かって無いんだね、私だって大騒ぎしたいのに!まさかマダこんな技術を隠してただ何て・・・・・」


 そう言うとガッチリとチョークスリーパーホールドを掛けられ、


「どこの世界に地表に対して垂直に大気圏外から降下して来れる船が・・・・・」


「えっ!出来無いの?」


 途端に婆ちゃんの手から力が抜け、その手を額にやって頭痛に耐えるジェイナス婆ちゃんであった(笑)


「ワザとやってんじゃ無いだろうね?後で垂直降下の出来る技術について洗いざらい白状させるからね!」


 そう言って溜息を吐きながらよろめく彼女に手を貸し、ミューズがベンチに腰掛けさせると空かさずイリスが冷水のが言ったグラスを差し出した・・・良く気の利く良い子達だ♪

 さてとボクはカチューシャに内蔵されてる通信デバイスを起動し、パーティーに来てたスターシップの仲間(クルー)に声を掛ける。


「悪いけどパーティーは御開き・・・詳しい話は船の中でするけど取り敢えず先にID登録を・・・・・」


 これしとかないと密出入国に成って罰金刑だ!

 ちなみにボクやミューズのしてるカチューシャと同じ物を、腕時計やペンダントそれにバッジにピアスにタブレットなど形を変えスターシップの乗員に配ってあった。

 ちなみにイリスとアイギスさんもカチューシャ型で手続きとか取引で必要ならタブレットも使う。


「どうしたんだい旦那?」


 建物から出て来たジョシュアに声を掛けられる・・・取り巻きの面々と一緒に彼女も今やスターシップのクルーに成っているが、右手に酒瓶・左手に御馳走の乗った皿を持って御機嫌な様子だ。

 でもこれだと両手が塞がってるけど如何やって食べるのだろうと思ってたら、彼女は左手で皿は親指から中指に持ち薬指と小指で酒瓶のネックを絡め持って右手を開けると皿の上の御馳走を笑顔でパク付いた。

 ジョシュアさん器用なんだね?と少し感心したけど行儀の悪さから見直す事が出来無い、うんジョシュアさんは残念美人のポジションで決定・・・言わ無いけどね♪


「緊急の仕事が入ったから今から出立する・・・ジョシュアさん達、次のレースの予定は?」


 彼女達レースの有る時は出来る限り都合を合わせ一時的に離脱出来る様に契約している。

 バイトの感覚が強いかも知れない。


「ん・・・ちょっと待って下さい」


 彼女は手にしてた酒瓶を口に銜えてスマホの様な物を出し操作を、これが彼女達に与えた通信デバイスでスマホかタブレットみたいな感じで使ってる。

 ただ・・・いくら何でもマナーが成って無い、と言うか口に酒瓶咥えてタブレット操作するって如何なの?

 そう思ったけど口にせずに待ってると操作が終わったらしく右手で端末を持って侭で瓶も一緒に手に持つと、


「確認したけど再来週のオープン戦まで無いです・・・アタイ達はポイント足りないから行き成り公式戦から出られ無い、でも旦那が後援してくれるから来月にある次の国際大会でフル出場資格を♪」


 マァ頑張ってくれたまえ・・・


「それより次はチョッとハードな仕事に成るかも・・・ジョシュアさん達の出番に成るかもしれない」


 いつの間にか集まってた取り巻きと合わせ4人でジョシュアさん達がニヤリと笑うと、イメンケさんにポップさんそれにダイルさんイグニアさんも集まって来た。


『そろそろスターシップが着陸態勢に入ります・・・機体表面を強制冷却しますので・・・・・』


 アリスから連絡が入ると、


「いけねぇっ!親分チョッと時間を、すぐ戻りますから・・・お前らも来いっ!」


「チョッと待ちなっ!私も行くよ・・・・・」


 何だろう・・・ジョシュアさんが慌てて会場に、ジェイナス婆ちゃんも後に続いた。

 ボクは残った人の中からイグニアさんに、


「イグニアさんボクが居ない間の商会運営は全て貴女に任せます」


「良いのですか?」


 ボクは彼女の事を殆ど知らない。

 それでも・・・・・


「裏切ったり騙す人間をダイルさんが紹介すると思っていない・・・これで騙されるなら自分の甘さを呪いながら、ダイルさんに八つ当たりして一緒に鯨飲して全て忘れるさ♪」


「そんなに子供の内から、お酒飲むコト覚えちゃダメですよ!そして呉々(クレグレ)も身の安全には御留意を、それと必ず定時連絡は・・・・・」


 何かイグニアさん若いお姉さんなのにお母さんっぽいな・・・こんな感じだったなボクの母さんも♪


「ダイルさんパーティーの続きはアンタに任せる・・・爺ちゃんは?」


「もうパーティー自体がソロソロ終わりですが・・・お帰りですよ陛下なら先に、抑々いつ迄も居られるほど暇な方では・・・・・」


 話付けたかったけど帰って仕舞ったらしい。


「こっちは陛下の爺ちゃんのスケジュールは把握して無いし外せ無い用事も有るだろう、爺ちゃんにタイミングは任せるから出来る限り至急AD通信でスターシップに連絡付ける様に伝言しといてくれない?」


「坊ちゃまの仰せの侭に・・・・・」


 そう言う風に呼ばれるのボクが嫌がってるの分かってるクセに!


「イグニアさ~~~ん」


「はい何でしょうか?」


 ダイルさんの後ろに一緒にいたイグニアさんに声を掛けた。


「ボクが坊ちゃまとか坊ちゃんとか社長会長って呼ばれるコト嫌がってるの、知ってて呼ぶ意地の悪い大人が居るんだ!害無く仕返しし対処するには・・・・・」


「人に因りますが今回の相手ならデスクワークを押し付けるのが一番効果的かと♪」


 途端に泣いて縋ってくるダイルさん・・・スターシップいやファルデウス軍のノリを身体で覚えて来たな♪


「ところで私も如何呼べば良いか困ってて・・・会長と呼ぶのは許して貰えませんか?」


「名前を呼び捨てで良いじゃん」


 ボクが言うが、


「それでは示しが付きません。せめて様付けか会長で呼ぶ事は許可して頂か無いと、坊ちゃんって呼ばれるよりマシでしょう?」


 まあ彼女が言うなら仕方無いが、五十歩百歩と言う程度の変わりしかないんだけどね!


「まあソノ辺りは妥協が必要かな?出来れば❝キッドさん❞位にしてくれると助かるんだけど・・・あとコッチは表向きの社長はダイルさんのまま、まあ会社の顔に成って貰って実質スターシップ貿易の運営は基本イグニアさんに任せるよ。報告は緊急で無い限り全てミューズに、経営の才能はボクなんかより彼女の方が余程有るんだ♪」


 それにアイギスさんって優秀な補佐が付いてるしね!


「失礼ですがキッド様は?」


「ボクに企業運営の才能有ると思う?企業破壊の方の才能なら凄く自信が有るんだけど・・・」


 イグニアさんは呆れ顔をしながら、


「そんな事は言われ無くとも解かってます。私が聞きたいのはキッド様の今後の御予定です!」


 自分で言っといてナンだけどアッサリ認められると悲しい・・・そこは否定してよ!


「自分で言っといて何を・・・そんな事より予定は如何成ってるんです?」


「鬼が島に鬼退治♪」


 途端に視界の隅に警告の文字が浮かびカチューシャから注意を促され、如何やら鬼が島へ鬼退治に該当するファルデウス語が無かったらしい・・・きょとんとした顔をイグニアさんがしている。


「意味は「気に入らない奴が居たからブッ飛ばしてくる」だよ」


 ボクもボキャブラリーは豊富な方じゃ無い。

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