セクハラ姉ちゃんを〆る!
右から左から忙しく襲われてるけど何の事も無く全て叩き落した・・・スターライダーの腕は良かったけど実戦に置けるキャリアが違う、それに集団で来られる方がボクには戦い易かったんだ!
もう数える程しか周囲に見得無い・・・全部落とした訳じゃ無い、殆どが自分の腕を過信したレーサーだったんで落ちたりリタイヤしたりメガギリスから離脱したんだよ。
もっとも腕が無い奴等はソレの所為だけで脱落・・・中には殺し屋さんも居たんじゃ無いかな、でも彼等も非常用のロケットユニット(勿論ボクも)着けてるから落雷に撃たれたりスターライダーで打つかり合ってダメージ受けて無い限り地表か海面に降りる迄は大丈夫だろう。
その後は知らんけどね!
ちなみにロケットユニットってのは非常用のパラシュートの様なモノ、若いビジネスマンが種類とか入れるのに使ってる様なスリムタイプのバックパックみたいな形状をしており非常時には展開、また手足や肩にもオプションの姿勢制御用の小型のロケットユニットが付いてて15~30分位飛ぶ事が出来る。
これを使って趣味で飛んでる様な人も居る位の代物だ・・・これを拡大したモノがアサルト・ノーダー、まあロケットユニット背負っただけの兵士じゃ大量の武器弾薬を持って長時間戦え無いし大容量のエネルギーを運べ無いからね!
「ほとんど片付いたかな?」
敵に廻った奴等を蹴散らした辺りで台風の目に、すると横からマタしてもセクハラ姉ちゃんが襲い掛かって来た!
「追い付いたぜ♪ここからが御楽しみだぁ!」
並んでるボクと彼女の間でバリアシールドが音を立てながら火花を散らしてる!
「何でソコ迄ボクに拘るんだっ?」
「別に当然じゃ無いか?スターライダー三冠王のオマエを倒して優勝すれば、コッチの株は爆上がりだ・・・まぁその為にグランドスラムを逃すオマエには申し訳無いけどな!」
何と純粋に功名心から当たってただけだったんだ?
ボクは女言葉を使うのを忘れて更に問い続ける。
「だったらボクに当たって無いで前に進めば良いだろっ?!」
「アホかっ!オマエみたいに手強いヤツを残しといたら確実に優勝を奪われる、悪いけどココでリタイヤして貰うからな・・・お前にレースじゃ絶対敵わ無いけど、つぶし合いならマダ何とか出来る自信が・・・抑々過去のレースじゃ、こんなに荒っぽい奴じゃ・・・・・」
レースで勝負しろよ全く・・・でもイリーナさんとレースで絡んだ事無いのか?
えっと・・・イリーナさんの振りをして・・・・・
「アレッ?そう言えばアナタとレースで絡んだ事・・・無かったわよね?」
「うっせぇ!前はワメリカーノでレースに出てたんだが、こっちに移籍して最初のレースで一年レース停止喰らってたから・・・復帰したのが先月だったんだよ!」
それで納得した!
「判ったぞオマエその調子でワメリカーノのレース出禁に成って追い出されたんだな!しかもコッチでも同じ事やらかして・・・・・」
「喧しいっ、頭に来ると自分でも抑えられ無いんだよ!」
ただの短気で馬鹿だったんだ!
「ついでに私の首に架けられた賞金も狙ってる訳ね?」
すると意外にも気分を害した様で、
「そんな話に誰が乗るかっ・・・まあ話が来たのは確かだが受けちゃいない、アタイはレーサーで殺し屋じゃ無いんだ!」
アレやっぱり悪党じゃ無いのかな?
「その割にはトランサッドの犬になって私を探してたみたいだけど?」
すると真っ赤に成って怒鳴り出す!
「仕方無ぇだろっ!前回の罰金を払い終わらな無きゃ一年経ったからってレースに出られ無いし、罰金払ったら払ったで今度は参加費も治めなきゃ成らなかったんだから・・・ってアレはトランサッドだったのか?」
まぁコイツに情報を漏らすほどトランサッドの連中も間抜けじゃ無いわな?
「って訳で悪いけど死んで・・・いやリタイヤして貰うぜっ!」
「オマエ今❝死ね❞言うただろ?」
と言ってもコイツは本当にボクを殺そうとは思って無い、抑々殺しに来るチャンスを幾つも与えてた・・・勿論ワザとね!
でもボクを潰そうとはして来たけど殺しには来て無い、短気で馬鹿で悪党だけど外道にまで落ちちゃ無いって所かな?
「素直に高度を落としてリタイヤすれば痛い眼に会わなくて済むよ・・・お嬢ちゃん♪」
「それは絶対有り得無い」
シールドをぶつけ合いながら言葉で揶揄って挑発して来る。
「所詮貴族のお嬢ちゃんには場違いだったのさ・・・アンタみたく可愛いのはオレ達へ移民が妄想してる通り、お茶会や夜会に出てる方が似合ってるんじゃない?」
いやイリーナさんに成って出てるんだから、お嬢ちゃん言われるの仕方が無いんだけど何度も言われるとムカ付いて来る!
「アンタほどの美少女だ・・・男なんか幾らでも下手すりゃ女でも手玉に取れる、レースしてるより社交界でケツ振ってる方が似合ってる」
この女ムカムカさせてくれるなぁ・・・メットの中でシールド越しと言え、至近距離でボクの顔見てるクセに!
「そう言えばアンタ括れたウエストに丸いケツ、チョッと胸は足りないが中々可愛いじゃ無いか・・・ドラビュリティスーツよりドレスの方が似合ってるぜ!」
ブツンッ!
プッツンじゃ無くブツッって感じで音を立て頭に中で何かが切れた・・・ボクは今スッピンだし身体に何も細工をして無い、胸に詰め物すらして無いのに貌だけじゃ無く体型にまで?!
「潰れるのは・・・・・」
「あっ?」
彼女は間抜けな声を上げる。
「オマエの方だ~~~~~っ!」
ボクはアイツのスターライダーに突っ込んで行った!
「ぎゃあぁぁぁぁ・・・・・・・」
セクハラ姉ちゃんも中々美人だが、その彼女が女の子が上げるのには如何よと言う悲鳴を上げている・・・ボクはメガギリスの暴風圏の中で彼女のスターライダーにブチ当たり捲っていた!
先ず側面からギャリギャリ音を立ててシールドを削り、逃がしたと思ったら反対に回って更に削る・・・それでも逃げたら背後からカマを掘りながら、続いて前に廻って急制動と傍から見たら本気で殺しに掛かっている様に見えるだろう!
まぁコレでも手加減はしてるんだけどね♪
「おいコラちょっと待て・・・・・」
彼女が恐怖に怯えた貌でコッチを見てる・・・ヘルメットのシールド越しでも震えながら涙を流している貌が見得た。
「あら貴女って本当おバカさんなのねぇ・・・言葉使いを知らないのかしら、今の立場が分かってる?」
今度は上に乗りあがり上からプレスする様に抑え付けて潰すと、下からイヤ無線で彼女が悲鳴を上げながら泣き叫んでいる!
「ぎゃあぁぁぁ、待って・・・待って下さいイリーナいやイリーナ様、イリーナお姉さまぁぁぁ~~~~~っ!」
ふっ・・・漸く自分の立場を弁えたかしら?
と悪役令嬢に成り切って・・・・・
「何かしら・・・アラそう言えば名前をマダ聞いて無かったわね?」
「ジョシュア・・・ジョシュア・トルーニーですっ!」
地球じゃ男性名だった様な気がするけど、セクハラお姉さんの名前はジョシュアと言うらしい。
「で何か言いたい事が有るの?」
意地悪く聞いてやる。
「これはチョッとラフプレーが過ぎるのでは無いでしょうか?」
「あら?」
ボクは思いっ切り良い笑顔を浮かべ・・・・・
「先っき迄アナタだってやってたじゃない♪」
そう言って更に彼女に伸し掛かる!
「ひぎゃぁぁぁ~~~~~っ!」
ヘルメットの中に彼女の悲鳴が心地良く響いた。
「アレは何だ・・・」
当然オーバーブレークは直接観戦出来る代物じゃ無いから、観客はスタート地点に設えられた大型ビジョンや自宅のTV(の様なモノ実際は壁に映ってたな)や移動先で携帯型のモニターで観戦してる。
その画面に映る実況中継を見てた人々は次の瞬間、
「「「「「「「「「「「ギャハハハハハ!」」」」」」」」」」
と皆が大声を上げて笑っていたそうだけど、まぁソレは当然でそうだよなと思う・・・実際に笑わざるを得ない状況だったからだ。
それを伝えるには先にスターライダーの形状を説明する必要が有るんだけど、ボクはスターライダーをバイクに例えたが決定的に違う点が3点、先ずタイヤは無い事と両サイドは飛行ユニットで塞がれてる事そしてノーズ部分が長い事だ。
バイクには実質ノーズは無いと言って良いだろう・・・構造上タイヤを前に遠くすれば車体を倒しても曲がら無い、乗らない人は知らないけどバイクって基本ハンドルで曲げるんじゃ無く車体を倒して曲がるんだよ♪
だからバイクのハンドル先はライトと前輪が有る位、まあガチのアメリカンタイプでなら前輪は前遠くに有るだろうけどね。
でスターライダーには正面の固体シールドの先に少し長めのノーズ部分が有り中にはレーダーや通信機器が詰まってるんだけど・・・そこにはセクハラ姉ちゃん改め❝ジョシュア❞が進行方向とは逆向きに成って跨り、固体シールドを挟んでボクと対面する感じでへばり付いていた!
『何が有ったのでしょう、いや如何したらコンナ状態に・・・・・』
解説者も笑いが堪えられ無い状態だった。
ちなみにボクとしては受けを狙ってやった訳じゃ無い。
『彼女はジョシュア・トルーニー選手の様ですが、一体如何して・・・彼女は一年間の出場停止で今回のレースが復帰戦だったのですが?』
彼女の言った事は嘘じゃ無かったらしい。
『おっとイリーナ嬢がオープンチャンネルで会話を・・・・・』
実況放送がボクの会話がニュートリノに乗って流れてる事に気付く。
『悪かったよぅ、でもレースじゃキツく当たったこと以外迷惑かけて無いだろう?』
ジョシュアの泣き声が公共放送に乗った。
まぁレース中な訳だし順位に関わるなら見捨てても良かったけど・・・味方とは言え無い迄も少なくとも敵じゃ無かったし、そんな彼女を見捨てて死なれちゃ後味は良く無かった。
それに彼女のスターライダーを潰したのはボクだ・・・暴風雨の中で念入りに乗機を潰された彼女は最後スターライダーから放り出されて宙を舞う、ロケットユニットを装備してたし見捨てても良かったんだ。
ただメガギリスの中でスターライダーを潰し、この嵐の中ロケットユニットのみで放り出されたんじゃ生還率は極端に下がり今までのケースじゃ数%、つまりボクがジョシュアを見捨てると言う事は彼女の死を意味し見殺しにするのと同義語だった。
で仕方無く錐揉状態で落下する彼女を追って降下し落雷に当たる直前でノーズに引っ掛ける・・・ただし地面に届けてる暇は無いし高度は2万越え、すぐに速度も戻さないと上位争いから脱落するから仕方無く乗せたまま飛んでいた。
「好きな方を選んで良いわよ?」
「へっ?」
彼女は本当に間抜けな貌を晒してた。
「選択1・・・この場で放り出される」
「いくらロケットユニット背負ってても、こんな高い場所からこの嵐の中じゃ・・・それにココ迄メガギリスの近くじゃロケットユニットの燃料が持つ訳無ぇだろ!えっ、ぎゃぁぁぁ~~~~~っ!」」
彼女が怒鳴ったので機体を傾けて黙らせた。
「私・・・これでも一応貴族だから言葉使いも知らない人と喋るの苦痛なの、相手が出来るとは言ったけど好んでって訳じゃ無いんだけどな・・・・・」
「ひぃぃ、申し訳アリマセンっ!如何か御慈悲をイリーナお姉さま・・・こんなメガギリスに近い場所で放り出されたら、たとえ無事に着水出来ても確実に死んじゃうよ~~~~~っ!」
メガギリスから出たと言っても、こんなに近い場所じゃ海は大荒れで救助が来る前に藻屑と化す!
まあ彼女の言い分は解る・・・たとえ成層圏でも下の方ならロケットユニットを背負ってれば生還出来るが、それには落下地点が安全な地表である事が絶対条件だ。
海それも荒れ果ててる海上に放り出されたら命の保証は・・・いや命が無く成る保証なら幾らでも出来るって状態だった。
「成層圏(高高度)で放り出される・・・大気圏突破中に放り出される・・・宇宙空間で放り出される」
ジョシュアさんの両眼から涙が溢れ出した。
「お願いですイリーナお姉さま、アタイは焼け死にたくありません・・・・・」
本気で泣いていた・・・ちなみに宇宙空間で放り出されても、重力に引っ張られスグに落ち救出は絶対に間に合わ無い!
「じゃあ・・・少し懺悔をして貰おうかしら?あと大気圏突破が始まるから、大人しくして無いと振り落とすからね!」
彼女がコクコクと首を振ると同時にSFで良く見る赤熱化現象が起きる・・・昔は大気との摩擦で熱が派生すると言われてたけど、実際は高速で飛ぶ物体の前方で大気が潰された事による圧縮熱である事は意外と知られて無い。
ちなみに地球の様にマダ宇宙に進出し切れて無い文明の場合、全ての宇宙船は地球から旅立ち地球に戻るから宇宙空間から帰って来る事を大気圏再突入と言うが、コチラの世界の様に宇宙に進出した場合は人にしろ船にしろ再突入するとは限ら無い・・・宇宙で生まれた人や宇宙で建造する船も多いから❝再❞の字が当て嵌まらないんだね♪
だからコッチでは惑星から離脱して大気圏から出てく事を❝大気圏突破❞そして宇宙空間か入って来る事を❝大気圏突入❞と言う・・・そして突破と突入ではプロセスの所為で突入の方が赤熱化してる様に見得るが、突入並みの速度で広範囲に張ったバリアシールドが大量の大気を潰すコチラでは同程度には発熱し赤く成る。
公共の放送にジョシュアの告白が流された。
「だからレースの出場料と燃料代が足りなかったんだ!それでアタイは職業斡旋センターに行ってバイトを、そこで交通調査に仕事だと言われて参加したんだけどイザ参加したらアンタを探せって命じられて・・・・・」
「アンタ?」
ボクはスターライダーを覆うバリアシールドを狭め、この位ならシールドを張らなくても機体にマダ影響無いだろう。
だけどボク達レーサーは違う・・・だからコクピット中心にシールドを展開してるのだが、当然ノーズに座ってる彼女は中心から遠い所に居る訳で・・・シールドの範囲を狭めれば如何言う事に成るのか?
こう言う事に成る♪
「ぎゃあぁぁぁ~~~~~っ!ゴ・・・ゴメンなさい、お姉さま!イリーナお姉さまを探せと命じられたんです~~~~~っ!ひぃぃぃぃ・・・・・」
シールドの防御範囲から外れかけ、おケツを大気圏突破の熱に晒されてるのだ!
「正直に答えたら、またバリアシールドの中に入れて上げる。依頼主は何者なの?」
「し・・・知りませんっ、本当です!」
ボクは少し考え、
「そんな好い加減な仕事を受けたの?」
と聞いて見る。
「だってギャラが良かったから、嘘は言ってません本当なんです~~~~~っ!」
本気で泣きながら訴えてる・・・チョッと可哀想に成ったのでシールドを広げて中に入れて上げた。
「では次の質問・・・私を殺す依頼を・・・・・」
「イリーナお姉さまを探す様に依頼した雇い主が、方法は問わ無いからレース中にお姉さまを殺せと言って来ました・・・でもアタイは受けてませんっ、神に誓って本当です!信じて下さいよぅ・・・・・」
正直その点だけは疑って無かったりする・・・ジョシュアはボクに言わせれば破落戸のアウトローだけどレーサーの看板を掲げながらバイトで殺し屋したり、普通に涼しい顔でレーサーしながらチャンスを見付けたら殺しに来るようなドクズ共には見得無かったのだ。
このレースそんな奴等が一杯居たからね・・・実は一昨日の晩は出走予定のレーサーの顔見せ的なパーティーが有り嫌々ながらボクも女装して参加、そしたら友好的な顔をして挨拶に来た奴等の中に何か嫌な雰囲気を醸し出してるんが十数人居たんだけど・・・そいつ等は思った通りレースが始まった時はシレッとしてながらチャンスと見るとボクを殺しに来たのだった!
ちなみに最初から突っ込んで来る様な奴は獣の様に、最初から涎を垂らしそうな眼でボクを見てたな・・・全く持って品が無い、そんな奴等に比べたらマダどっかの誰かみたいな職業暗殺者の方がマシだと思う!
「そいつ等の正体は知ら無いの?何か手掛かりは?良く思い出せる様に・・・・・」
再びシールドを狭めオシリを炙ってやる♪
「うわぁぁぁ~~~ん、ほ・・・本当ですっ、本当に知ら無いし何も手掛かり何て残さなかった!本当なんです、信じて下さい!うあぁぁぁ~~~~ん!」」
子供の様に泣き出した・・・如何やら嘘では無いらしい、仕方無いので一旦ボクは通信機器を切断するとシールドを広げ中に入れてやる。
「ケ・・・ケツが、ケツがぁ・・・・・」
全く・・・
「オイ・・・ボクの上を乗り越えて良いから後ろに廻って大人しく座ってろ、言っとくけど下手な真似をしたら大気圏に振り落としてやるからな!」
「そ・・・そんな事しません、アタイそんな事しませんってば!」
シートの上に伏せて彼女に上を乗り越えさせる。
ドラビュリティスーツは熱で焼かれ彼女のオシリは丸出し、でも軽く火傷負ってる位で然程重症と言う訳じゃ無い・・・でもこりゃ恥ずかしいし十二分に痛いだろう。
ボクの逆鱗に触れるからだザマ見やがれと思いながら横目で彼女の可愛いオシリを楽しんだ♪
「しっかり捕まってな・・・落っこちたら助けてやらないぞ!」
「ハイ・・・」
もう女言葉を使わ無いでジョシュアに命じるが、すっかり彼女も萎らしく成ってボクの言う事に従ってた。
が・・・
「ちょっと待って下さい・・・お姉さま、幾ら何でも女として少し御胸が硬過ぎませんか?」
ドラビュリティスーツの上からと言え胸を揉みながらジョシュアに言われる。
「いやチョッと止めなさい、気持ち良いから・・・」
「肋骨が指に当たるんなら兎も角、これ完全に大胸筋でしょ?」
そう言って、
「おいコラそれは止めろと・・・・・」
言って無かったと思いながら、
「やっぱり付いてるっ、しかも此間は口で誤魔化されたけどコレ間違い無く本物だ!」
コイツ・・・またしてもアレを握って来た!
しかも手を放して横からボクのメットのシールドを覗き込み、
「で・・・でも貌は完全に女の子だし・・・・・」
ブッツン!
再びボクをキレさせてくれたねジョシュア君・・・しかも先っきと同じで音が違う、プッツンじゃ無くブッツンって音がボクが本気で切れた証拠だ!
ボクはスターライダーのバーニアを吹かし、
「キャアァァァ~~~~~ッ!」
まだ赤熱化しながら飛び続けるスターライダーを前転の様に半回転させる!
当然進行方向は前後逆、こんな事を大気圏突破中に出来るんだからコノ世界の技術は凄い・・・でも彼が残した技術の方が数十段上だけど!
で・・・この状態でバリアシールドを狭めてやると・・・・・
「いやあぁぁぁ~~~~~っ!」
再びジョシュアへ(お尻限定の)火刑が始まった!
「何か言う事は!」
「ひぃぃ、勝手にイヤらしい所に手を伸ばして御免なさい!もうしません、絶対しませんからぁ~~~~~っ!」
「ボクの事は何と呼ぶ、ボクの性別は?」
「アナタはイリーナお姉さま、貴方は完璧に女の人ですっ!」
うんうん、ボクが女を装ってる事を理解する程度のオミソは持ってるみたいだね♪
「さて今後キミは・・・」
「イリーナお姉さまの指示に従いますっ!何でも言うコト聞くし絶対に逆らいません、アタイはイリーナお姉さまの忠実な犬です!」
「ボクが男と言う事は?」
「絶対に言いませんっ!ですからぁぁぁ~~~~~っ!」
イヤ実は正直に言って彼女・・・お尻はシールドの中にギリギリ収まってる、もっとも我慢出来無い位に熱さを感じてる範囲でね♪
「良いだろう・・・」
ボクはシールド範囲を広げ彼女を熱から遠ざけると、更にスターライダーを半回転させて姿勢を元に戻した。
「今後はボクの指示に従う様に、ボクがイリーナ嬢に化けてる内は女として扱う事、但しボクの容姿に関し過剰に褒めたり女に見得る事を強調しない・・・実は女顔なのコンプレックスなんだからね!」
「ハヒ、何でも言われた通りに・・・」
彼女は凄く素直に良い子に成った。
「レースが終わったからって逃げられたり裏切れると思うなよ・・・ちゃんと対策は練ってるからな!」
「ひぃぃ・・・」
多分脅しは十分通じてる。
一方その頃・・・ボク達は聞いてる余裕は無かったけど、こんな会話が実況中継席で・・・・・
「一体イリーナ選手は何をしてるのでしょうか?」
「さっき迄は会話の内容を盛大に垂れ流してました・・・それを切ってから、こんな真似をしてると言う事は私達に聞かれたくない事を尋問しているのでは?さもなければ余計な事を言うなと脅しを掛けてるんじゃ・・・・・」
と話されていた。
ところが・・・・・
「それは違うんじゃ無いですかね?」
と言ったのはジュリアさんだった。
「聞かれて困る事が有るなら最初からメガギリスの中でしてるでしょう・・・しかも尋問が終わって少し時間が経ってから半回転してジョシュア選手に、あれは尋問が終わった後にジョシュア選手が余計な事を言って折檻されてるんじゃ無いかな?それにしてもアノ手口・・・本当にアノ子の事を連想させるわね?」
お尻の形と行動だけでボクの事を連想してるのかよ!
彼女とタンデムしたままで宇宙空間を飛んでいる・・・ここからは最後の見せ場、デブリの中を突破してゴールに飛び込む事に成る。
当然ながらデブリは細かいシールドで弾けるモノから、人口衛星やスペースコロニーに宇宙ステーションなど当たったら一溜まりも無いモノまで・・・当然ボクは最短距離を真っ直ぐ突っ切る!
でも真っ直ぐ突っ切るうえで障害物や危険物を避けるルートを十分に検討して有った・・・他のチームも予定通りのコースを選んだり、先行するボクに追い付く為に予定を変更するチームが有るだろう。
そんな中デブリに飛び込む事の有るレースで絶対条件が、事故を起こさぬ様に不用意に他のレーサーに接近しない事なのだが・・・明らかにボクを追って来る奴等がマダマダ沢山居たりする!
「そりゃレース終わってからじゃ言い訳なんか効か無いもん、このレース中に何が何でもケリ付け様って思ってるだろ」
「残ってる殺し屋さんは31か・・・レースは終盤、残ってる奴等は暴走族に毛の生えた様なチンピラばっかじゃ無いだろうに!」
正直言ってボクに食い付いて来られてるんだから、それほど腕が悪いと言う訳じゃ無いだろう・・・自惚れてる訳じゃ無いけどコチとら本職の外洋宇宙船乗りなだけじゃ無く、小型のイーグルで戦闘機戦も熟している・・・少なくとも腕に関しては本職のレーサーに引けを取ら無かった。
「そ・・・そうでも無いんじゃないかな?このレースを始めオーバーブレークはオープン戦が多いから、荒っぽいのやプライベートのヘタクソが可成りの数含まれてるんだ。だから看板レーサーを傷付けられちゃ堪らないし燃料代もタダじゃ無い、この時点でポイントに届かないならトップチームはリタイヤしてる。むしろ残ってるのは・・・・・」
「アンタみたいに素行の悪い方なのね?」
振り返って思いっ切りジト目で睨んでやる。
「そんな事言うなよ・・・」
「そんな事より歯を食い縛んな・・・来るぞっ!」
流石に後ろから突っ込み難いのか側面から当たって来るけど、このレースで敵の潰し方は大体覚えた・・・遠慮無くコッチも当たって行き奴等を引っ繰り返して行った!
「それにしても・・・こう何台も殺し屋に鞍替えしやがって如何やったら、こんな殺し屋にデューダさせられるんだ?アンタも誘われた時にギャラくらい聞いただろ、いったいボクの首に幾価くらい懸賞金が掛かってるのさ?」
すると・・・
「300・・・」
ジョシュアは小さく言った。
「300?たった300万なの?」
せこいなぁ・・・トランサッド財団ってジョンブルソンじゃ名の知れた財団、この国で4大財団と呼ばれてるらしいのに出した懸賞金がたったの300万クレジットだって?
ちなみに飽くまでボクの主観だけどファルデウスと友好国の間で使える共通通貨❝クレジット❞は使用感から、1クレジット1円くらいの価値に感じる。
だから300万クレジットなら日本円で300万円・・・多少の差異は有れどもソレほど大きく外してる事は無いだろうから、幾ら何でも300万てセコいにも程が無いだろうかと思ってしまう?
「あの~~~イリーナお姉さま?」
遠慮がちにジョシュアが言って来た。
「300万じゃありませんぜ、300億です・・・アンタをレース中に殺したら300億払うって・・・・・」
「どこかでボクが死んだ振り、いや殺された振りをするからジョシュアが犯人だと名乗って懸賞を受け取れ!山分けで良いから・・・・・」
いや勿論冗談だよ。




