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何とか御宝を取り戻す!

 こちらで気が付かなかった敵のコンテナカプセル・・・最初のより小型と言っても中身は全てドローン、それなりの数が入っていたのは解っていた。

 それをバリバリ撃ち抜いたのだから弾も消費したので、ベルトリンクを繋いで残った20ミリ弾を纏めてダーグに持たせる。

 と言えば聞こえは良いけど訂正しよう・・・あれだけ文句を言ってたダーグもガトリング砲を、いざ使ってみたら大変気に入って仕舞い放してくれないのだ!


「まあ良いけどね・・・」


 最初は文句言ってたクセにと呆れながら、ボクは次の銃を取りに武装兵員輸送車(APC)に向かうと積まれた武器を物色する。


「コイツを持って来てくれた何てミューズの奴は気がきくなぁ・・・お尻叩きが終わったら、その後で御褒美にお尻ナデナデしてあげちゃお♪」


「そこは相殺して、お尻叩きを止めて上げなさいよ!」


 イメンケさんに注意されるけど、


「ヤダ・・・ボクの楽しみ奪わないで!」


「駄々の捏ね方は歳相応ですね・・・捏ねてる内容がスケベ中年のソレですけど・・・・・」


 深い溜息を吐くイメンケさんを放って置き、ボクはAPCに積まれた数ある火器の中から❝スマートガン❞を手に取った。

 ミューズが持って来たコンテナの中身もAPCに移して有った・・・コンテナの中に有ったのは多分だけどラグナレクの技術士官(実際はクランキー大尉と同じくジェリス艦長の右腕)であるラムレーズ少尉から頼まれて持って来た火器、それにスターシップから持って来たボクのコレクションが混ざっている。


「じゃあ次は・・・チョッとばっかりパクリ感の強過ぎる気がするけど、今度はコレ使ってみるかな?」


 スマートガンと言うと現実とフィクションの中で幾つか種類が有るけど、現実じゃ特定の人物しか使用出来無くした銃をスマートガンと言うらしい・・・だけど一番有名なのは某SFホラーアクション映画シリーズの第2作目に出て来た映画撮影用の銃(プロップガン)である架空の銃のイメージが強いんじゃ無いだろうか?

 その映画から(多分だけど)転用され他にも有名リアルロボットアニメの派生作品にも出てたらしい、けど残念ながらボクは映画館では見た事が無い・・・だって古過ぎてボクの生まれる何十年前も前の作品だよ?

 もっともアノ映画の中でボクにとって推しの銃はパルスライフル・・・あの女主人公が敵エイリアンに浚われた女の子を助けに行く時、火炎放射器を括り付けて持ち出したシーンが忘れられない!

 ボクの生まれる前の凄く古い映画だけど大好きだったんだ・・・母さんが大のアクション映画ファンで、ディレクターズカットバージョンのBD(ブルーレイ)持ってたんだ♪

 この頃の映画は母さんの言う事にゃ「昔はシリーズ化された映画は1作目が名作で続きは駄作って言う自称映画通が多かったけど、実際は2作目の方が名作な場合も多かったのよ・・・この映画や〇ーミネー〇ーやリー〇ル〇エ〇ンみたいに!」と・・・まあ個人的な意見の相違は有るんだろうけどね!


「まったくチビ助のクセに体格に似合わないブツばかり持って・・・・・」


「大きいけど軽いし・・・・・」


 皆が呆れてる・・・まあM61は歴戦の勇者達にも担がせてみたけど重くて皆が使いたがって無かったからね、スマートガンも大きくて重いけどコッチの方が取り回しが楽だし実用的レベルで皆が使う事が出来た。


 さてと・・・スマートガンもパルスライフルも映画の設定では弾薬はケースレス弾だったらしい、けど実際には思いっ切り空薬莢の排莢が映り込んでたのは御愛嬌だ。

 だけどこのスマートガンは本当にケースレスでM61の様に空薬莢をバラバラとバラ撒く事は無い、それに両方とも実体弾でパルスライフルと言う名称もパルスレーザーライフルの略じゃ無くレーザーパルスシステムで射出される実弾兵器と言う事らしい(間違ってたらゴメン)

 ウィキペディア先生によるとレールガンだって説もあったかな・・・まあ素人書き殴り状態だから平気で間違いも書かれてるし、あんまりウィキペディア先生は頭から信用出来無いけどね。


 おっと話が脱線した・・・さてこのスマートガンはレールガンで弾丸と電力はバックパックからベルトチューブで給弾され、弾丸は並列加圧方式で押し込まれて来るからリンクベルトも無く何もゴミを排出しない。

 威力はM61・・・もっともボクの造ったM61は❝彼❞の技術で地球のM61の性能を大きく逸脱してるけど、そのM61に威力は及ば無いモノの弾数と軽さでは圧倒的にコッチの方が有利だ!

 形状はアノ映画のスマートガンに似ているけど実際は、もうチョッとSMチックな仕様に成ってるかな?


「そうだっ、どうせなら予備用に同じ映画から造ったパルスライフルも持って行こう!」


 これも劇中と違いケースレス弾を使って完全に設定を再現してるからスマートガンと同じく薬莢は出て来ない、その上ビームやレーザーと違い実体弾だから反射塗料を塗布されたポッドには有効的に攻撃出来る!

 ただしコッチは完全に形状も丸コピ・・・だって形もアノ赤いデジタルで表示される残弾カウンターもカッコ良かったんだもん!

 丸パクリだけどファンのリスペクトだったと言う事で見逃して欲しい、そう大好きだったから遂リスペクトし過ぎちゃったんだ!


「そう言えばコッチも銃も面白い形状を・・・まるで小さなガトリングガンですね?」


 ウンそれも海洋モンスターアクション映画からパクったんだ!

 他にもSFホラー映画から着想を得て銃身が伸び縮みする銃を・・・ただしコッチは外見は全く似て無く実用的な意味で参考に、散弾銃なんだよ銃身が伸び縮みする事によって集弾率を高めたりソードオフにしたり♪


「さてと・・・さっさとミューズのトコ帰りたいし、後半戦も頑張って終わらせるとするかな?」


「そうだな」


「ですね」


 ボクの言葉にダーグとイメンケさんが頷く、


「そしてミューズのオシリを虐め倒すんだ♪」


「このエロガキめ・・・」


「少しは自重なさい!」


 怒られた。




 ボクとダーグを先頭に進んで行く・・・幸いボクの持ってる架空銃の実用化品は、ポッドを焼き払いながら進むのに十分な能力を保有していた。

 面白い様に敵機が落ち戦闘と言うより掃除してる気分に成って来る、実際には残骸で汚してるんだけどね・・・通路を!


「ハッキングした内部情報によると行程も8分目、そろそろ敵の中枢に近付いてる筈なんだが・・・・・」


 クランキー大尉が端末を通路わきにあるターミナルに接続しながら言った。


「あまり敵兵の数を減らした感じがしないんだが、それなのに出て来る敵の数が減って来た・・・温存してて最後に成ったら一気に圧し潰す気か、それとも何か策を弄してるのか?」


「それだけなら防衛プログラムでも余裕で実行出来る・・・やっぱり知的生命体やAIは残って無い可能性が高いんじゃ無いかな?」


「ダーグが生き残ったのは奇跡的なモノですからね・・・キッドさんは如何考えますか?」


 声を掛けられて考えを纏めてから、


「とっくに()ってるでしょ一気に圧し潰す気なら・・・策を弄するなら、ここ迄ボク達を中枢に近付ける必要は無いでしょう?」


 さらに通路は狭まっており普通に人間が動ける広さしかない。


「ハッキングして得た艦内マップが偽装って事は?」


「A級市民が使ってた標準的な機動戦艦の企画、改造してるにしても然程大掛かりに内部構造は変えないだろうし規格も間違っちゃ無い。ただ・・・ここ迄 中枢に近付いたと言うのに敵の抵抗が希薄過ぎる、もっと大慌てで抵抗して来る筈なんだが・・・・・・」


 そう言いながらボク達はとある扉の前に・・・・・


「マァそう言う事は・・・・・」


「入って見れば判りますねっ!」


 扉を蹴飛ばして内部に飛び込む・・・様な馬鹿な真似はしない、扉を蹴り上げただけで全速力で駆け出した!

 開け放たれた扉から敵の銃弾がバリバリと・・・来ないな?セオリーだと開けた途端にコッチがハチの巣に成る筈なのに!


「チョッと失礼♪」


 ジェリス艦長の部下さん達が持ってたレーザードライフルで、壁を切り抜いて穴を開けて貰う為にバッテリーパック一つ空にして貰った・・・そして切り抜いた壁を蹴飛ばし、その穴から飛び込むと内部に銃を向けて牽制する。

 でも必要無かった・・・ここには誰も居らず、この船の中枢であるメインブリッジなのに人どころかマトモに起動してる操作パネルすら無かった。

 ボクは慎重に周囲を見渡した・・・流石にスマートガンは大き過ぎてボクにとっても取り回しし難い銃、だから行き成り飛び掛かられたら対応し切れ無い。

 それでも火力が段違いなので今回は使用してる・・・けど室内を動くのには不利だから、ボクはバックパックごと下に降ろすと腰の後ろに結わえといたパルスライフルを手に取った。


「そんな・・・まるで全く動いて無い、他の場所から艦を操作してたと言うのか?」


 ダーグが驚いた顔をしてる。


「まんまと騙されたんだね・・・ハッキングして得た艦内マップが間違ってた訳じゃ無かった、ただ中枢機能を他の場所に移してたんだ!」


「いや艦内への指令は間違い無く❝この部屋❞から出てたんだ・・・そう言うケースも過去に有ったから・・・・・」


 ボクはコンソールやパネルの裏を覗きながら、


「この部屋に他の部屋からの指示を一旦経由させて・・・・・」


「そうとしか考えられない・・・スマンッ!」


 情報のハッキングを担当してたクランキー大尉とダーグが謝った。


「謝罪の必要は無いでしょ・・・ボクや他の人がハッキングしても騙され無かったとは思え無い、ただ問題はボク達が此処(ココ)に誘い込まれたって事だ!」


 もう一度パルスライフルを腰の後ろに結わえると、ボクはバックパックを担いでスマートガンを構え直す。

 あぁ周囲のダクトやハッチがカタカタ揺れスマートガンの本家が使用された映画を思い出す・・・映画ではレーダに映った敵影で天井裏から忍び寄るクリーチャーを発見し銃撃戦に突入したけど、コッチはダクトの揺れで敵の接近を感じさせられクリーチャーでは無く戦闘ポッドが押し寄せて来る筈だ!


「もう一度ダーグとクランキー大尉は端末にアクセス、ハッキングし直して敵の指令がドコから来てるのか調べてっ!」


 ボクはスマートガンを構え直すと同時にダクトの蓋が吹っ飛んで・・・・・




 暫く応戦してたけど結局は敵の物量に押し流される様にブリッジから追い出され、ボク達はジリジリと元の通路に押されて行く・・・そこで恐らく待ち伏せられ囲んで圧し潰す積り何だろう。


「今度こそ絶体絶命かな?」


 ジェリスさんが額に汗を光らせながら言った。


「あの先程の十字路で待ち伏せられてるのは間違い無いだろう・・・キッド何か策は有るのか?」


「既に仕込み済み♪」


 敵に応戦しながらも皆の口が暫く閉じられる。


「ホントか?」


 疑わしそうにダーグが言った。


「仕込もうと思ったって事は、何か気に障ってたんですか?」


 イメンケさんもレーザードライフルを撃ちながら聞いて来る。


「何かが気に障ってたんじゃ無い、何も気に障らなかったのが異常だと思ったんだ!」


 クランキー大尉と並んでスマートガンを撃ちながら言った。

 彼にもボク特製スマートガンを1丁貸して有る・・・ボクは3丁造っててミューズが全部持って来てくれた、もう1丁もクランキー大尉の部下に貸して有る。


「この艦は生きてる・・・近くを通ったスターシップを襲い、今考えたら物資を奪おうと考えてたんだろうね。ボク達は逃げ(おお)せたけど、切り離した方舟は・・・多分だけど追い掛けて来て最近になって見付けたって所じゃ無いか?」


 ダーグのM61とボク達3人のスマートガンで敵と膠着状態に持ち込めてる。


「つまりプログラムにしろ誰か生き残ってるにしろ、このA級市民側の戦艦はマダ生きてるんだ・・・そこへボク達が乗り込んで奥へ進んでるのに、ボク達が戦ってるブロック以外は平和そのもの・・・普通は敵部隊が艦内に乗り込んで来たら、艦内総出でお祭り騒ぎに成るんじゃ無いかな?」


 皆は今一つピンと来て無い様だ。


「ボク達が格納庫から中枢に向けて進み始めたら、少なくとも艦内は大騒ぎになる筈・・・ボク達は身を隠したり隠密行動して無いんだもん。それなのに最初っから静か過ぎると思ってたんだ、ボク達が戦ってるブロック以外は・・・だからミューズに「これ以上は付いてこれないから」と言いながら・・・・・」


 例の十字路に到達すると4方向から囲まれて敵の戦闘ポッドが、だけどその一か所の背後からハッチを打ち破ってピンクと白を基調にしたアサルト・ノーダーが出現!


「お兄さま、この通路上から退避をっ!」


 ミューズが怒鳴ると同時にボク達は十字路を走り抜け、その直後ボク達の進行方向を横に交わる通路を盛大に爆炎が走り抜ける!


「こんなタイミングで良かったですか?」


 ノーダーのスピーカーからミューズの声が、


「バッチリだ♪御褒美だから何でも好きなモノを言え、無茶なモノじゃ無ければ叶えてやる!」


「大人のキス3回!」


「5回でも良いぞ!」


 ノーダー内のミューズが歓喜の声を上げている。


「皆さん伏せて下さいっ!」


 流石に緊急時だから圧縮空気のブーストでボク達を飛び越え、先ずは進行方向にある敵の集団を・・・続いて、もう一度ボク達を飛び越えると背後の敵を一瞬で焼き尽くしてくれた。


「約束ですよ!破ったら私がお兄さまにオシリぺんぺんですからね?」


 ミューズが興奮しながら言っている。




 ミューズが実体弾の火器を届けてくれた時、アサルト・ノーダーのコクピットに攀じ登ったボクは彼女にキスしながらメモを手渡していた。

 メモには「何とかスターシップに帰艦したと見せ掛けて、この艦の外にへばり付いてて」と書いて置いたのだ!

 電磁場嵐の所為でスターシップを始め仲間の艦とは連絡が取れなかったけど、この艦が張ってる耐電磁場嵐シールドの中に居たミューズにはボクのカチューシャからの通信機能は届いてたんだ。


 ちなみに電磁場嵐が始まる前のやり取り、すぐにスターシップを退避させないとの(くだり)は完全な演技、彼女はエクセリオンの中からスターシップやラグナレクに機密通信で指示してた訳だ!


「この艦から離艦すると同時に、信管を抜いたミサイルを内蔵ジェネレーターを限界まで廻しながらスターシップに向かって撃ったんです・・・ミサイル射出の反動で戻り、この艦の外壁にステルスジャミングを展開しながら張り付いてました・・・そしたら電磁場嵐が始まってビックリしましたよ」


 ミューズはレールガンで通路ごと、敵ノーダーを吹き飛ばし興奮しながら言ってる。


「それにしたって良く敵に気が付かれ無かったな?」


「この艦から私が出たハッチは、お兄さま達と合流した地点から一番近かった資材搬入ハッチです。途中に監視カメラが3台有りましたが、私が興奮した振りをしながら吹かしたバーニアのエアプレッシャーで・・・艦外のカメラも設置して無い所に張り付いて一か所だけ岩を投げつけて事故を装い破壊を」


 あそこでエアプレッシャーを吹かしたのも計算ずくだったのか?


「艦内カメラですけど戻る時に見られない様に・・・・・」


 破壊する必要があった訳だ?


「ミューズ、オシリ叩きは免除だ・・・と言うより叱られなければ成らない様な事、オマエはしてないからな」


「ハイお兄さま♪」


 ミューズが嬉しそうに答えるとイメンケさんがボクの写真を・・・ミューズの吹かしたエアプレッシャーのバーニアで、ボクの頭がアロエの鉢植えの様に成ってる所を見せていた。


「ブフッ!ククク・・・・・」


 ミューズは笑いを我慢し切れ無かった。


「ミューズ・・・やっぱ、お尻叩き50な!」


「そんなぁ~~~っ!」


 ミューズがイメンケさんをポカポカ殴っていた♪




 しかし依然として遼艦とは連絡が途絶えたまま、それどころか帰艦も合流も出来やしない・・・未だに電磁場嵐で分離させられていた。

 ただしコッチの戦力にノーダーが1機加わった事は大きい、さてコレを如何使うのか・・・・・


「ハッキング・・・私がやって見ましょうか?」


 ミューズが言ったので許可を出すとターミナルに端末・・・では無くノーダーのAIを接続し敵のシステムに対しハッキングを、敵の指示がドコから出てるのかを探ってる様だ。


「何重にもフェイク情報が、初見これじゃあ騙されても仕方無いですよ。でも裏を返せば、その情報を裏どりしながら・・・動力炉の上階に在るフロア、その中ほどに指令所らしき部屋が有ります!」


 ボク達全員は踵を返す。


「その手前まではノーダーでも行けますよ!」


 ミューズが率先しノーダーを歩かせる。




 彼女が広い通路を迂回しながら敵の防衛機構を潰し、その中でボク等は出来る限り最短距離で動力炉に向かった・・・先行するミューズは時折合流しながら敵のポッドを破壊して行く。

 程無くしてボク達は動力炉(ジェネレーター)ルームへ、その上に登る階段を見付けて駆け上がりながら・・・・・


「制御室だ・・・そこが指令所に成ってるみたいだね?」


 ハッチ開くと中から大型の防衛ポッドが数体入って来たが、ケンタウロスを連想させる4本足で上に砲台の様なモノが乗っている戦闘ポッドだ。

 ボクが(スマートガン)を向ける前に別のハッチを蹴破って入って来たミューズが、先頭の1機に飛び蹴りをかませて横転させると残りの敵機にビームガンを・・・対人用のポッドと違いアンチビームコーティングが施されていなかった。

 そして瞬く間に敵機を沈黙させると・・・飛び蹴りし横転させた後に踏み付けてた最初の1機に、無言でビームガンを打ち込んだ。


「クールだな・・・カッコ良いよミューズ、この映像を爺さんの所に送ってやろう♪」


「イヤですよ・・・どうせマタ「お兄さまに影響されて」とか「昔の野花の様なミューズがドコに」とか言われるんだから」


 爺さんも人が悪いな(笑)


「あの爺がオマエの活躍を見て喜ばない筈が無い、あれでも照れてるんだよ」


「そうでしょうか・・・・・」


 これは後日の事だがミューズがノーダーで活躍する記録映像を見た爺さまが、知人の映画監督を唆してミューズが主人公の映画を作って公開し大ヒットさせて仕舞ったのだ。

 そのワールドプレミアムで怒り心頭のミューズさんは、爺さまと監督とプロデューサーの3人を並べて正座させ大説教をかました♪


 まあダーグ達の先古代文明には実際に人が搭乗する人型機動兵器は有ったが先古代文明の滅亡と同時に消失、このファルデウス帝国の在る世界でも人型ロボットは創作物の中にしか無かったそうだ。

 その存在を❝彼❞の下で知ったボクが実用化し実現しちゃったから、それを主人公のギアにしただけで話題性に成ったんだけどね!


「さてと・・・あの中に入れば、鬼が出るか蛇が出るか・・・・・」


 ボク達は制御ルームの中に入る。




 この艦の指令所は結論から言えば、この制御室が改造され指令所にされていた・・・ボク達が飛び込んだら自爆でもせんだろうなと警戒してたけど敵は負けを認めて抵抗を停止した。


「こう来るとは思わなかったな・・・・・」


 ボク達が飛び込んだ制御室には中央に柱状のカプセルが有り、中には一目で豪華と思える着衣を纏ったダーグと違い頭が大きなトカゲ型人類が浮かんでいる。


「彼は・・・生きてる訳じゃ無いよね?」


「私のケースが特異中の特異だったと言ったじゃ無いか・・・これはタダの標本いや記念碑かな、いや墓標なのかも知れない」


 このカプセルの中の彼は生きてる訳じゃ無い、彼の魂は既に抜き取られ背後の有機AIに移されている。

 ただ・・・・・


「長い間・・・放置され過ぎたんだな、既に限界まで精神汚染が進んでいる。オイッ、まだ意識は有るのか?」


 すると壁面のモニターやコンソールが起動し、画面の一つにメッセージが表示される・・・それは日本語に直せば一言「GAME OVER(ゲームオーバー)」に該当する単語だった。


「A級市民にしては潔いな・・・私は自由銀河同盟軍・第7位ダーグル・コンティノアール4289だ」


「世界統制委員会・・・艦名は思い出せぬが、この艦の司令官だ。名前・・・も思い出せんが今更だろう。戦争は我々が勝ったのか、それともまさかオマエ達 劣等種が・・・・・・」


 ダーグがボクを見たがボクは好きにしろと言う意味で頷き返すしか無かった。


「戦争は・・・と言う意味なら勝者など()らん、共倒れで我等の文明は滅んだ。私の同行者を見ると良い・・・今では彼等、霊長類ベースの人類が世界の主役だよ」


「正当な所有者に世界を渡さなかったから・・・・・」


 ダーグが牙を剥く。


「フザケルナよ・・・貴様ら狂信者に統治される世界なら亡んだ方がマシと言うモノ、最も戦争では痛み分けだが勝者は我等・自由銀河同盟だ」


「何だと?」


 モニターに表示される文字が大きく成った。


「私はヒュンケルズに捕らわれてたが、ここに居る彼キッドに救い出された・・・もう一人 亜空の先の世界に避難してた者が居たらしいが彼も死亡してる。そして貴様も躰を捨てAIの状態で健全で成熟してる人類は私一人しかいない・・・・・」


 ダーグの言ってる人類とは先古代文明での人類の事だ。


「なら貴様が死んだ時点で劣等種も亡びる、それとも今から生き残りを探してみるか?死ぬ迄に見付けられるか?」


 と揶揄う様に言ってる・・・もといモニターに表示してる。

 とっくに普段のボクなら頭に来てモニターを吹っ飛ばしてる、でも何故か今はダーグだけじゃ無くイヤな態度をとるコイツも悲しそうに思えて殴れない。


「成熟した人類はと言ってるだろう・・・自由銀河同盟は卵を亜空間に疎開させる計画を決行してた、既に救出してコノ世界のファルデウス帝国に保護されてる。今は孵化してベビィーラッシュだろうさ・・・・・」


 モニターに新たな文字が表示されなかったが、暫くすると・・・・・


「そうか・・・なら我々の敗北だ。何処かでA級市民が生き残ってても・・・・・」


「私の生存すら奇跡だった、オマエの仲間が残ってる可能性があると思うか?」


 再びモニターが沈黙した。


「理解した・・・完全に我々の敗北だ」


 そうモニターに表示されると床の一部が開き、中から有機AIの非揮発性メモリーのカプセルが出て来た・・・その横に在る動力パイプにダーグは腰から抜いた拳銃を向ける。


「私はオマエ達A級市民を絶対に許せない、それでも戦争は終わり国ばかりか文明も滅んだ・・・だが私達は次の世代を残せるし、我等❝リザーダー❞には未来がある」


 ダーグは銃の安全装置を外した。


「お前の罪は消滅する・・・眠れ」


「くくっ・・・感謝する」


 最期のセリフはモニターに表示されて無い・・・間違い無くボク達の耳に届いたが、それを聞いてもダーグは冷静に引き金を引き動力パイプを撃ち抜いて奴の人生を終わらせた。




 電磁場嵐を起こしてる装置を停止させると、この艦にスターシップだけが横付けされた・・・すぐに大量のドローンが流れ込んで来てゾンビ兵の死骸の清掃や艦内の状況調査、そしてオーバーテクノロジーの回収と封印そして破壊を行った。

 幸いな事にオーバーテクノロジーと言える程のモノは多く無く、幾つかの対艦兵器と電磁場嵐発生装置を分解・破壊するだけで封印は済む。

 そして箱舟を回収・・・彼の技術を使い頑丈に造られていた為、奴等には中に手が出せなかったのだ。


「でも後3週間も有れば外壁に穴を・・・そうしたら貴重な遺伝子基盤が、あの間のAIの養分に・・・・・」


「それは怖いな・・・・・」


 この艦や方舟を修繕・改修し通常空間に戻れる様にしている。

 ボクはミューズの報告を聞きながらジェリスさんの所から失敬したブランデーを手に、あっ・・・言っとくけど盗んだ訳じゃ無いよ!

 最初にゾンビ兵と遭遇した時にファーストショットをドッチが決めるかで賭けをしてたんだ・・・そこでボクが欲しそうなモノをジェリス艦長が持って無かったのでジュリアさんに相談、ターゲットとの遭遇をジェリスさんに取られて拗ねてたジュリアさんは良い笑顔で教えてくれた。


「お父さん・・・いえジェリス艦長は部下への御褒美と、自分の隠れた楽しみの為に艦長室に特上のブランデーを一本隠しているの。それを要求したら泣くわよ~~~~っ♪」


 そうして一昨日前にジェリス艦長がこの世の終わりが来た様な顔をしてボクに渡したのが❝このブランデー❞で、それを手にしたのを見てミューズはボクが何をするか分かったらしく一言「行ってらっしゃい」と言った。




 ボクはリビングルームを出て格納庫に向かうと、そこではダーグが自分用にしたカブリヌスを鼻歌交じりに掃除してる・・・でも陽気なリズムなのに悲しそうだ。

 多分だけどアノA級市民がマトモな躰を持ってたなら、ダーグは殺さずに赦して共に生き様と誘ったんじゃ無いかな?


『オ~イ、ダーグさんや♪』


 ボクはワザと声を出さずにテレパスで呼び掛け、実は彼等❝先古代文明人❞は日常会話を言語で無くテレパスで行ってた・・・現在 極力言語で語ろうとしてるのはボク達テレパス能力が低い霊長類型人類に合わせようとしてるからだ。


『なんだ?』


 ボクは唇に人差し指を当てると彼のカブリヌスの上に登った・・・カブリヌスに限らずノーダーは上半身にコクピットが有り、頭ごと胸部が上に開く様に成っている。

 ボクは登って来たダーグに酒瓶を見せると彼は笑顔に、他のカブリヌスの要員やジュリアさんはコクピット内を掃除してるので気が付いて無い。


「気を使わせてる様だな・・・・・」


 ダーグが小声で言った。


「お互い様だよ、ボクが使って貰ってる時だって有るでしょ?」


 そう言って持って来た2つのグラスにブランデーを注ぐ。


「確かに正直言えば何かが心に引っ掛かってる。だけど私は軍人で・・・いやもう元軍人だが、それでも奴は撃たなければ成らない敵だっただけなんだ」


「違うでしょ・・・敵だから撃ったんじゃ無い、これ以上ヤツを苦しませない為に撃ったんだ」


 ダーグはグラスを打ち鳴らす、先古代文明でも乾杯の作法は同じらしい。


「キッドのテレパス能力は高いな・・・でも人の心の中を覗くのはマナー違反だぞ?」


「覗いて何か無い、見てれば解かるって」


 そう言ってグラスを掲げ、


「奴の冥福を祈って」


「苦しみを終わらせた優しき隣人に」


 そう言ってグラスを煽り、


()()・・・こんな物を良く大人は!」


「ちょっとキッド君達、何飲んでるのよ!」


 ボクが咳き込みながら言ったのでジュリアさん達に勘付かれる。


「それ私が教えて上げたから手に入ったんじゃない!()()()()は狡いぞ!」


「と言っても賭けで勝ったのボクだし、それにグラスが無いし・・・・・」


「持って来るから残しといてよ!」


 ジュリアさんとスターシップに来てたファルデウス軍人の数人が、グラスを取りにリビング奥の台所に走った。


「見付かって仕舞ったか・・・奪われる前に並々と注いでくれ!」


「そう成っても良い様に大きなグラスを持って来たんだ♪」


 すぐにジュリアさん達が氷を入れたロックグラスやストレートグラスを持って駆け付ける。


「子供のクセに、こんな良いお酒を・・・・・」


「それ言ったらジュリアさんだって未成年でしょう!しかも学生だし・・・・・」


 驚く事にファルデウスの飲酒は16歳から取得可能な免許制だが、更に驚く事にジュリアさんには免停の記録が2回も付いている・・・余程普段から酒癖が悪かったのだろう!


「さぁダーグ乾杯しましょう!なにせ お父さん秘蔵の お酒ナンだから・・・キッド君、お父さんの艦長室の・・・・・」


「戸棚の奥の隠し扉の中に有った1本だよ」


 そこまでボクに密告する(ジュリアさん)は鬼だと思う!


「では皆さん、ダーグさんの健康と御多幸を祈って・・・乾ぱ~~~いっ!」


「「「「「乾杯っ!」」」」」


 一気に格納庫が喧しく成った・・・そう思ってると誰かが後ろからボクの耳を引っ張り、痛くて怒鳴ろうと振り向いたらジェイナス婆ちゃんが笑顔でボクにグラスを突き付ける。


「あれ・・・終わっちゃった?」


「何だいコレっぽっちかい?そう言えば()っきキッドは不味いと言ってたね、飲みかけで良いから私によこしなさい!こんな上等な酒は・・・・・」


「駄目です」


 横からミューズに奪われるとグラスを一気に飲み干した!


「お酒だけならジェイナスお婆さまに譲っても良かったのですが、お兄さまの関節キスは絶対に譲れま・・・ヒック♪」


「こらミューズ・・・オマエ無免許じゃ?」


「保護者と一緒なら・・・」


「16歳からOKだけどな・・・・・」


 しばし沈黙・・・・・


「ミューズお尻を出しなさい!」


「きゃはは、お兄さまのH♪」


 残念な事に酔っ払ったミューズにオシリ叩きは通用し無かった・・・でも翌朝に成ってから痛い痛いと泣いている!

 合唱・・・・・

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