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色々考える・・・

この度は私の稚拙な作を手に取って(?)頂き、また誤字報告をして下さる方々には感謝の念も御座いません・・・重ね重ね感謝させて頂き本当にアリガトウ御座いました。


さて実は先日「漢字が本来と全く違うルビが降られてる」「漢字の使い方がくどい」と言うコメントを頂きましたが、コレは意図的なモノなので修正しておらず気分を害されてないと良いのですが・・・



 イメンケさんは ああ言ってたけど、実際アズミーナ・マルドゥースが如何考え行動するか分から無い・・・それにアノ女以外にもミューズの命を狙う者が現れる可能性もあった。

 と言うのもジュリアさんの話では次期皇帝の座に一番近いのは実質ミューズであると言われ、その事に関して陛下の爺様に問い質したが(はぐ)らかされて仕舞ったのだ・・・本当に次の皇帝はミューズなのかも知れない。


「なぜハッキリ答え無いの?」


 と言うボクの質問とジト目と圧力に顔を逸らす爺さま、如何やら完全に正解して無くても間違ってると言う程では無いのだろう。


「じゃあコレだけは答えてくれ、答えられないのなら本気でミューズを連れてファルデウスから逃げ出さなければ成らないから・・・「ファルデウスから去る」んじゃ無い、アンタの判断の所為で「去らなければ成らなくなる」んだ!」


 爺さまが怖い顔をしてボクを睨むけど知らん!


「正直に答えて・・・爺さんの親族にダラス以外、本気で腐ってる奴は居るの?もっと解かり易く言うなら次期皇帝がミューズである可能性を知った時、皇帝の玉座に眼が眩んでミューズを害そうな奴が・・・・・」


 ボクの貌をチラリと見て本気である事を理解すると、溜息を()きながら眼を瞑って少し考えてから答える。


「継承権2位は私の弟だ・・・私と同じくジジイなのだから、私が死んだ時に継承するのは無駄と言うモノだろう。その以降の者の事は安全や警護の問題上あまり言いたく無いのだが、ミューズも私の直系で尚且つ頭脳明晰である以上は高い順位に設定されてる。ただし性格は明らかに向いて無いだろう・・・むしろ性格ならジュリアの方が向いてる、ただアイツは結構 脳筋で猪突猛進で無鉄砲、玉座に座らせるには少し所か可成り心配だ」


 な・・・何気にディスってんな、まあボクもソノ通りだと思うけど!


「と言う事で皇位継承権3位から7位までは私が性格まで把握してるが、この7人に関しては そう言う事を考える心配は無いだろう。但しソレ以降の者は正直考えてても不思議では無いな」


 そりゃチョッと怖い!


「アレッ・・・7人と言っても1位が抜けて無い?継承権1位の奴って如何なのよ?」


 ボクが問い詰めると、


「正確にはソイツが持ってるのは継承権では無く力だ・・・この宇宙で一番帝位に相応しい力を持ってる。その気に成れば力尽くで私から帝位を簒奪出来る位に・・・だがソイツが一番権力に一切の興味が無い、それ処か玉座になど欲も色気も感じて無いのだ」


「そんなバカな・・・そんな無欲な奴なんていねぇ!」


 と言うと・・・何故か陛下は呆れた様な馬鹿にした様な貌でボクを見、何でソンナ貌でボクを見るんだヨ!


「しかもソイツは性格に難が有っての・・・皇帝に向いてはるんだが最高に捻くれてて皮肉屋で悪戯好きで、その上に性格破綻者でトリックスターで始末に負えない奴なんだ!」


「イヤ爺さま・・・ハッキリ言わせて貰うけど周りの者が迷惑する、そんな奴を皇帝にするな!させるな!」


「だが一番皇帝たる資質を備えておるんだよ!」


 ヤケに強くプッシュしてるな・・・そんなに魅力的な男なのだろうか?いや女って可能性もあるよね?女皇帝(エンプレス)って奴だ・・・そこでボクは周囲の雰囲気が可笑(おか)しい事に気が付く。


「皆、如何したの?」


 何故かジュリアさん以外の人が皆で苦しそうな貌をしている。


「マ・・・マア話を戻そう、兎に角だ・・・皇帝の座に欲の皮を突っ張らせそうな奴は幾らでも居るが、このタイミングで狙って来そうな度胸のある奴は相当限られて来る。先のミューズとジュリアを狙ったナスティーズはイリスと言う鬼札(ジョーカー)を持ってたから思い切れたが、そう言う奥の手が無い以上は早々迂闊に事は出来まい・・・・・」


「そう言う奴等は後でリストアップしてね・・・で失礼を承知で聞くけど陛下が清廉潔白と判断した中で、実は内心反意を持ってる様な腐ってる御親族は・・・」


「私も神では無いんだ・・・騙されもすれば見抜けぬ事もある!だがその7人に関しては自信を持って腐って無いと言える、もちろん私の眼が節穴で騙されてる可能性は否定しないがね」


 と言う事なら・・・今の所、皇位に近い奴等からの横槍を心配する必要は無いかも知れない。


「それでも警戒は必要だよね?8位以降の連中が何かの拍子にチャンスを見出すかもしれないし、そもそも陛下が信頼してたってソレはアクマで現在の話・・・未来に何かの拍子で・・・・・」


「勿論その可能性も否定は出来無い」


 善人と悪人の境界線は曖昧、チョッとした切欠で間違いを犯す可能性はあるだろう!


「まあ良いさ・・・この際ミューズを狙う者が他にも居るなら、纏めて全て狩り出し掃除して仕舞いたかったんだ♪アズミーナや他から差し向けられた殺し屋も来るかも知れないし・・・・・」


 周囲の状況はアリスが全力で監視(スキャン)しているが完璧では無く、不測の事態に備えてミューズにはスターシップで缶詰めに成ってて貰う!


「情報を流して報道を誘導し・・・」


「実行は10日後位ですかね?」




 スターシップが大気圏突入それも思いっ切り赤道に沿って飛び込んだ・・・当然だが自転で廻ってる大気に擦られ赤熱化、と言っても摩擦熱を生じてるのはシールド外側なのでスターシップ本体に影響は無い。

 ほゞ惑星ミューズは地球と同大きさで自転速度も一緒と言う事は赤道付近で時速1700㎞出てる事に成り、そんなモノに擦られれば赤熱化もし様と言うモノ、だから地球でも大気圏突破に緯度や軽度に沿って飛び込ま無いし赤道付近は避けた筈だ・・・そんな話をデスカバリーか何かで見た記憶があるけど間違ってるかも知れない。


「厳密には自転速度には差があり、地球の閏年ならぬ閏時間の長さに差異があります。ところで何で赤道に対して・・・・・」


「万が一の事があった場合に一番被害が少ないからだよ・・・陸地の率が一番少ない」


 まあスターシップがそのまま海に落ちたら結構大きな津波が起きるかも知れないけど、それにしたって万が一の時に備え被害が一番少ない方向を選ぶさ・・・ミューズは絶対死なせないけどね。

 スターシップは最悪コクピットブロックのみをパージして脱出艇にし、本体を自爆と言うか強制パージしてバラす事も出来る様に成っている。

 そんな事に成られちゃ溜らないけどね!


「大気圏突破・・・水平航行に移行し現在 時速350㎞まで減速、自動航行に移行しコントロールをアリスに・・・・・」


 ミューズのアナウンスを聞きながら勿論モニター越しだけどボクは久し振りに本物の青空と海を見、そんな筈が無いのに潮の匂い迄してる様な気がしていた。

 着陸地点が近付いたから速度は落とされて今なら甲板に出ても問題無い、外に出て新鮮な空気を吸いたい衝動に襲われるけどでも気を引き締める為にも我慢する。


「まだ着陸には時間が有るし、ここはボクが見てるから皆は外に出て空気を吸って来たら?」


 そう皆に言ってみたけど、


「そんな強張った顔をして何を言ってるんだい?」


 ジェイナス婆ちゃんに言われて顔を揉み解す・・・如何やら緊張しているのが暴露(バレ)てるらしく、お道化た調子で誤魔化してみるけど多分誤魔化せていないだろう。


「戦艦戦なら相当不利な状況でも緊張もしないクセに、さすがに対人戦は勝手が違うのかな?」


 ポップさんに言われる。


「見得て無い敵に狙われるのは正直気色悪いね・・・いやボクを狙って来るなら返り討ちにするだけだけど、ボク以外を狙われたら如何対応すれば良いのか分からないんだ。対応するコト自体出来るか如何かも・・・でもアッチはボクを見逃す気が無いんだから、早目に片付けてサッサとバカンスと洒落込みたいモンだ!」


 大嘘だ・・・けど説得力はあった様で現在スターシップに乗り込んでるクルーは、ボクの説明に疑問を持った者はいない様に見得た。

 いや全くのウソでも無くボク以外ミューズにダーグ、そしてジェイナス婆ちゃんにポップさんを狙われるのが怖い事は確かだ。

 でも今ボクが緊張してるのはミューズの実の父親だけで無く、これから母親も手に掛け様としてる事と・・・その事をミューズに悟られない様に気を付けているのが原因だった。


「さてと・・・そろそろクリッパーから応援が来ますので、キッドさんは用意の方をお願いしますね?」


 ゲスト用シートに座ってたイメンケさんが言うので渋々と言う風に部屋に向かう、皆ボクが女装する事をホントは嫌がっている事を知っているからね。

 でも実は今回はイメンケさんと一緒に成って演技をしてた、敵を欺くには先ず何とやら・・・って奴さ♪

 ボクの後を追って部屋に(つい)て来て、手伝おうとしてたミューズをイメンケさんが身体で遮り塞いだのを感じた。




「あの・・・イメンケさん?」


 私の失礼な行動に怪訝な顔をされるミューズ様を、珍しく真面目な顔をして押し留め・・・だが少し殺気を殺し切れず皆が表情に警戒を浮かべさせてしまった。


「今回の計略について皆様に、お願いしたい事が有りまして・・・・・」


 何とか殺気を封じ込めると何時(いつ)もの笑顔に成る様に心掛ける。


「何だい・・・何か有るのかい?」


 ジェイナス夫人が怪訝な顔をし、いや皆が怪訝に思ってる事だろう。


「今回に限ってはスタンドプレー無しでお願いします。すべてキッドさんの指示通りに・・・特にミューズ様に至っては勝手にキッドさんの手伝いをし様などと、スターシップから出て現場に駆け付けたりしない様に・・・・・」


 そこ迄する程ミューズ様が馬鹿だとは思いませんが、今回は万が一の事も有っては成らないので私からクギを刺しましょうとキッドさんに言ったんですよ。


「そ・・・そんな事はしませんよ」


 ミューズ様は言うけど言葉に力が無いのは多分、前の戦闘でウチのお嬢様と共闘した際に敵の増援が来た事を隠して自分で対処し叱られた事を気にしてられるのでしょう。

 まあアレも褒められた話では無いですが、敵の量や質を見て自分で対処出来ると判断したから・・・マアそれでもキッドさんには報告すべきでしたけど。


「私が・・・バーカンディ・グループに入社する前は、帝国の暗部にいた事はキッドさんから聞いてるでしょう?そしてキッドさんも対人戦では私の方が上と認めて下さいました・・・その上で今回ジョブ・トゥーニックが差し向けた暗殺者は、私と同等のレベルに至っていると判断致しました」


 キッドさん以外のスターシップのクルー4人は緊張した顔をしてる。


「私もアナタ方を馬鹿だとは思ってませんし、進んで愚かな行為に出るとも考えてません。でも今回ナニか不測の事態が起こった場合、そのリスクは全てキッドさんが追う事に成ります・・・死と言う形で」


 皆の眼が緊張に見開かれる。


「今回の計略は必ず成功させなくては成りません・・・特にトゥーニックの差し向けた殺し屋は、全員捕らえるか殺さないと・・・特に私が取り逃がした暗殺者だけは絶対に、何故か解かりますか?」


 誰も答えられない・・・まあ当然ですね?


「それは既に2度失敗した彼が次も失敗したら、彼に暗殺者としての値打ちが完全に無く成るからです。そうして手負いの獣を取り逃がした場合、もう次はプロとしてでは無くタダの狂人としてキッドさんの命を狙って来るでしょう。周囲の被害も考えずガムシャラに・・・・・」


 あれだけレベルの高い暗殺者です・・・その看板を完全に奪った場合、その後の事は考えたくありません!


「その時キッドさんを守る自信は私には有りませんよ・・・だから今回確実に殺すか捕らえなければ成らない。その為にも余計なリスクを増やしたくない、取り逃がした後に逆襲されキッドさんが殺されたり、周囲の方が被害を被った場合に責任が取れる人はいないでしょう?」


 特にミューズ様に強く言い聞かせる、彼女がキッドさんのアキレス腱なのだから・・・・・


「ミューズ様、ジェイナス夫人、ポップさん・・・あなた方はキッドさんの指示が有るまで絶対にスターシップから出ない様に、ダーグさんも3人から眼を離さない様に・・・ダーグさんがスターシップに残る理由は解ってますよね?」


「チャンと理解してるスターシップの警護だろう?それにステーションコロニーみたいに、アヴァ元帥がマタ警備兵を送ってくれる手筈に成っている」


 私はダーグさんにもキツク言いますが、この中で実はミューズ様以外は本当の話を・・・彼女の母親を排除する計画である事を知ってます。

 つまりこの猿芝居は絶対にミューズ様をスターシップから出さない為のモノなのです!


「間違っても何処かのアニメのヒロインみたいに勝手な行動をとって敵に捕らわれ、人質にされて私達の命を危険に曝さない様に御願い致します。いや私の命ならマダ我慢が出来ますが、間違ってもキッドさんの命を危険に曝すマネは・・・・・」


 ミューズ様が泣きそうな眼をしている。




「あそこ迄ミューズを集中砲火で虐めなくても・・・・・」


 コクピットでの会話をモニターしてたから、ボクが変装してる部屋にイメンケさんが来たら早速文句を言ってしまった。


「でも万が一にも彼女を現場に来させる訳にいかないでしょう?もし母親の差し向けた殺し屋に・・・・・」


 そうミューズの母親がボクを狙うかミューズを狙うか明確な答えが出ていない、ミューズを直接狙う可能性だってある・・・そんな状況でミューズに出て来られちゃ堪んない!

 何かの拍子にボクを狙ってるのが自分の母親なんて知れたら・・・絶対ミューズに教える訳にはいかない、この秘密を知ってる者には全員責任を持ってアノ世にまで持って行って貰う!


「でもアニメやラノベやコミックの定番って、こう言うのがミューズ様に暴露(バレ)て余計に面倒な事に・・・・・」


「だからワザとフラグが立つ様な会話をしないで!」


 ボクは艦内で遊ぶ為に造ったエアガンを向けられて、イメンケさんが必至でボクを押し宥める。

 ボクの造ったエアガンは文字通りエアガン、BB弾みたいな個体の弾が飛んで行かないから痛くは無いけど代わりに冷たい炭酸ガスが噴き出して滅茶苦茶 寒い思いをする・・・バラエティー番組なんかで罰ゲームに出て来るアレだよ♪


「それにしてもマタ女装とは、実はキッドさん新しい趣味に眼覚め・・・ダァァァァ!」


 炭酸ガスの噴霧に凍てつくイメンケさん、固体化した粉状のドライアイスを前面に張り付け・・・もっとも凍傷に成ら無い様リミッターは付いてる。


「冗談ですよ・・・酷い」


「結構本気でコンプレックスを刺激されてんですよ・・・前にするか後ろにするか分からないけど、今度言ったらズボンの中に銃口突っ込んで引き金引くからね!」


 お道化た調子で謝罪するイメンケさん、もちろんボクも彼が場の空気を和らげ様としてるのは解ってる。

 ミューズからジュリアさんの部下が到着した事を告げられ、暫くすると扉をノックされ入室の許可を求められ許可を出す。


「失礼します・・・ロイヤルフェンサー第一艦隊 エルミスⅡC/H級・巡洋艦バージリアン所属 ミカ・ハクキヤネン少尉であります」


「すいません・・・危険な上にプライドを傷付ける様な事、お願いしちゃって・・・・・」


 ボクは来訪した彼女に謝罪する。


「ハッ?何の事を言われてるのか・・・私は別にプライドを傷付けられる様な事は言われてませんが、むしろ救国の英雄キャプテン・キッドからの要請を受け同僚にやっかまれる位で♪」


「でもボクが要請した対象条件が・・・・・」


 一応ボクも同じ理由でコンプレックスを刺激されてるので悪い気がしてたんだが・・・・・


「出来る限り身体が小さく、キッドさんに変装が可能な容姿と言う事がでしょうか?確かに体が小さいと体力的に劣る部分も有りますが、むしろ小柄だと部隊の上官や同僚から可愛がって貰えるので劣等感を感じる事は有りません。それにキッドさん似の愛らしい外見なら、男性にも女性にもマスコット的に可愛がられ特に男性からモテモテ・・・・・」


「ミ・・・ミカ少尉、止めてあげて下さい!言葉の矢がキッドさんに刺さり捲っている!」


 もう少し早く()めてよイメンケさん。


「この船に内密で来られ今回の作戦に間に合う範囲に居る軍人さん、その中で一番小さくて際立って童顔なのがミカさんなんだ」


 本人が気にして無いと言うなら、言っても問題無いよね?


「なら彼女にミューズ様役をやって貰えば、キッドさんが女装する必要はありませんよね?」


「やい、イメンケさん・・・分かってて言ってるなら殺すしますよっ!」


 ボクは少々キツ目に脅すとミカさんの背後に隠れ様とし、その態度から分かっていながら言ってる事がアリアリと伺えた。

 そう・・・この宙域にいる女の子の軍人いや男性も含めてボクやミューズに変装出来そうな極端に顔型に差異が無く細身の人間、その中で一番背が低いのがミカさんなのだが彼女すらボクより大分身長が高い!

 彼女をミューズに仕立てるのはボクは大分厚底の靴を履いても間に合わない、ボクは身体はクリーチャー体で自己調整機能が付いてるけど身長や体躯などを変えるのは大分時間や手間がかかる。

 それに成れない身体は戦闘時に思わぬミスを誘う、違和感が結構洒落に成ら無いのだ!


「身体を調整するにしても厚底ブーツを履くにしても、戦闘に成った時に動きが阻害される!ミューズとは何度も並んで新聞出ちゃったし、今更ミューズの方が背が高かったと誤魔化せる筈も無いし・・・・・」


 つまりミカさんを男装させてボクに仕立て、ボクが女装してミューズに成らざるを得なかったのだ!


「ところで今更ですけどボクは命を狙われてて、ミカさんはボクに変装する事に付いて理解してます?」


 ボクの代わりに狙われる事を解ってるのか、一応気に成ってるので聞いてみると頼もしい返答が来た。


「私の所属は重巡洋艦バージリアン配属の宇宙海兵隊・装甲歩兵連隊なんですよ♪撃ち合い・斬り合い・殴り合いはドレも得意分野ですし、狙撃に関しては全く心配して無いので」


「何で?」


 と聞いてみたらミカさんは言葉に詰まる・・・そしたらイメンケさんが気を利かせて、彼女の代わりに答えてくれた。


「ジュリアお嬢様には狙撃者へは私が対応すると言ってあります・・・彼女なら私の事は聞いてるでしょうし、ミカさんもキッドさんに限っては私がエージェント上がりである事は知ってますので・・・・・」


 ミカさんにも他の者には口外しなければ言って良いとイメンケさんは言う。


「そう言う事なら・・・イメンケさんもチョッとした有名人でしたから、彼が守ってくれてるなら私も心配して無いんです」


 そんなに有名人だったの?


「そりゃミスター・エアって、半ば伝説化してましたからね♡」


 そう言うミカさんに、如何やら黒歴史らしくイメンケさんが顔を反らす。


「ミスター・エアって任務達成率97%の伝説の工作員だったんですよ・・・ドコにも居るけど、ドコにも居無い・見得無い・捕まえられない!なのに必ず仕事は果たしてくって・・・・・」


「そう言う事は軽々しく口にしない方が良いんじゃ?」


 ボクはスカートの中で太腿に銃を仕込みながら言ったが、


「最後のミッションは作戦は成功したけど敵に身バレしちゃいましたから♪名前や顔を全面公開された訳じゃ無いけど、ミスター・エアが存在が暴露(バレ)た以上は現役を続けられ無い・・・つまり諜報員としては引退なんですよ」


「ファルデウスいや陛下は国の為に戦った人間を邪険にしませんよ・・・ボクも整形手術して貰ったし、新しい戸籍も作って下さいました。いつか言ったでしょ?イメンケってファルデウスでは、ありきたりな名前だって・・・つまり目立たない名前だったから戻した。元々本当の名前だったし」


 成程・・・そう言う事だったのね?


「とにかくミカさんの方が背が高いんだから、彼女にはボクを演じて貰って ボクはミューズに成るしか無いでしょ?」


 用意が整ったので立ち上がると、ミカさんも銀の長髪のウィッグを被って男装していた。


「ではミューズ姫、お手を・・・・・」


「イヤだなぁ・・・・・」


 ボクは仕方無く彼女の腕を、女の子に見得る様に気を付けながら取った。


「キッドさんは歩き方が男の子のソレです・・・それじゃ暴露(バレ)てしまうので、私いや俺の腕にブラ下る様にして下さい」


「了解・・・それとキャプテン・キッドの一人称は、俺じゃなくてボクね♪」


 あぁ嫌な お出かけが始まるよ・・・スカートの中が涼しくて落ち着かない!

 良くアニメや漫画で主人公とかが女装すると「スカートの中がスースーする」と文句を言うけど、アレッて本当だったんだなと思ったボクでした。




 この世界は購入した新車が届くのも早く、ボクがイメンケさんに買って上げた車は色々とオプション付けたのに翌日には・・・何故かスターシップに届いた?


「防弾使用にしてありますから、狙撃銃はおろか対戦車ライフルでもビクともしませんよ♪」


 とイメンケさん、でも・・・・・


「でも良いの?狙撃されたらボク達に被害無くても新車に傷が・・・・・」


 新しい車を運転したかったんだろうけど、そこまで考えて無かったらしくイメンケさんの言葉が詰まる。

 この人・・・本当にトップエージェントだったんだろうね?


「キ・・・キッドさぁ~~~ん」


「狙撃手に狙われた分は修理代くらい出して上げますよ、ところで・・・敵は如何言う風に襲ってくると思ますか?」


 全く・・・この人も何かスターシップのクルーと合いそうだ!


「間違い無く狙撃手は来るでしょう・・・最低でも一人、私の逃がした奴が・・・・・」


 イメンケさんは確信してる様だ。


「まだ携帯出来るほど小さな光学(ビーム)兵器は開発されてませんが、設置するなら何とか使えます・・・でもビーム・レーザー・メーザー兵器は共通して反射や拡散・湾曲が容易で、熱戦銃(ブラスター)は防弾服に弱いです。多分ですが実弾兵器を使って来るんじゃないかな?」


「炸薬式の銃とか?」


 するとイメンケさんは声を上げて笑い出し、


「そんな骨董品の玩具を使ってるヒト居る筈が・・・ちょっとキッドさんっ!私の後頭部に何か固いモノが当たってるんですけど、まさかですよねっ?冗談でもアレじゃ無いですよね!?」


「炸薬式の銃が何だって?」


 ボクは脱いだパンプスの踵をイメンケさんの後頭部に押し付けながら囁く。


「いや~ロマンに溢れてて良い銃だな~~~っ!」


「そうでしょ♪」


 マアこの辺で許してやるか・・・・・


「冗談はさて置き・・・と言う事で私なら確実に()るのに実体弾を使う、と言う事は携帯型の電磁加速砲(レールガン)であるリニアガンを使用すると・・・・・」


「実体弾の方のブラスターを使う可能性は?」


 とミカさんが言う・・・ブラスターには火炎放射器や熱戦銃など熱兵器の意味と同時に、吹き付ける(ブラスティング)の意味から来る空間圧縮射出砲の意味も持ち、前者は熱戦ブラスター・後者はマルチブラスターと呼ばれる。


「ブラスターは光学(ビーム)兵器より小型化が難しい、据え置き型にしたって警戒範囲に持ち込める筈が無い」


「じゃあ炸薬式の狙撃銃は?」


 ミカさんが意地悪く聞いた。


「無い無い絶対に無い、そんなの使ってるモノ好きはキッドさん位しか・・・・・」


 思いっ切り馬鹿にしてる・・・けど・・・・・・


「イメンケさん」


「ひゃいっ、何でしょう?」


 叱られると思って返答が可笑しく成ってるけど、そんな事にボクは気が付いていなかった。


「第一警戒地域内に・・・狙撃銃を持った敵に入られたら、イメンケさんは対応出来る?」


 第一警戒地域とは防御計画の中で一番狭い範囲、近接銃撃戦を想定した範囲内の事だ。

 少し考えてから彼は答えを返した。


「絶対に無理ですね・・・でも、その心配は無いでしょう?」


「なんで?」


 イメンケさんはタバコを銜えながら、


「いや持ち込ませませんよ、その為の警備計画と第一警戒地域なんですから・・・・・」


「その根拠は?」


 怪訝な顔をしながらも返答してくれた。


「人間が携行する大きさのエネルギー源なら、液体酸水素燃料(HOC)を利用した簡易電解ジェネレーターか圧縮電離電池を使用する必要が有るでしょう?でもドチラも使用の際スタンバイ状態にしただけで物凄い高エネルギーが発生し、ソレを見逃すほどファルデウスの司法機関も軍も馬鹿じゃ無いですよ」


 もちろん外部にエネルギーを漏らさないプラズマジェネレーターなら感知不可能だけど、それ等は流石にコッチの世界でも人が持ち運べる程、小型化・軽量化には成功していない。

 まあワイズマンズ・ライブラリーの知識を使えば可能、スターシップに搭載されてる航宙戦闘機❝アイアンイーグル❞にも搭載されてんだけどねw


「炸薬式の狙撃銃なら外部に音と臭いは漏らしても、事前に感知出来るエネルギーは発生させないよ?」


 途端に2人の顔が強張るが、


「でもまさか・・・」


「そんな骨董品を今更持ち出しますか?」


 もちろん奴が必ず使うとは限らないけど、


「なんで?ブラスターやレールガンだって無音と言う訳じゃ無い、レールガンに関しては完全非接触化すれば無音化が可能だけど・・・人間が持てる範囲に収まると思う?それに そう言うの使って暴れてる実例が君達の前に居るでしょ、ボクの愛銃が炸薬式な事は結構ニュースや新聞で流れてる・・・チョッと浪漫武器的に語られてるのを見た事が有るよ?」


 確か無音レールガンはワイズマンズ・ライブラリーの技術を動員しても、人が持つには難の有るサイズに成った筈で据え置き型か車にでも搭載しないと使えない。


「まあ奴が必ず使うと決まってる訳じゃ無いよ、そう言う可能性も有ると言う事だから・・・・・」


 ちょっと空気が重くなったので、お道化た感じで締め括ってみた。

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