呆れるほど邪悪・・・・・
「それでは我がファルデウス帝国・皇帝陛下と、救国の英雄にしてミューズ姫の騎士・キャプテン・キッド殿の会見を開かせて頂きます。この会見には他にもアヴァ元帥とジュリア中佐、そして先古代文明人のダーグ氏も同席させて頂きます」
凄く嫌なんですけど文句が言えなかった・・・子供の人権問題が絡んでいるとかで、要はボクの口から強制的な戦闘では無く自主的に手を貸した事を言わせたいらしい。
まあ要するにファルデウス帝国が幼いボクを強制的に戦争に駆り出して、革命軍やヴァイラシアン帝国軍と戦わせたのでは無いと公言させたいのだろう。
「重複防止と時間の節約の為、前もって質問はコチラで纏めさせて頂きました。先ずはキャプテ・・・・・」
「長いからキッドで良いよ?」
司会者が頭を下げる。
「感謝します・・・ではキッド君に最初の質問、キッド君が戦闘行動について帝国からの強制や命令は・・・・・」
「頼まれた事は有っても強制や命令は無かったね・・・抑々最初の戦い何てヴァイラシアンの連中に、目撃者を消せって感じで問答無用で襲い掛かられた訳だし・・・・・」
そんな感じで質問に対する返答が始まった・・・地球の会見と違い、面接を受けてる様な感じなんだな?
いくつかの質問が続きプライベートな問題やチョッと答え難いのは、遠慮なくノーコメントで撃退して行く。
「ファルデウス帝国内にもキッド君の命を狙・・・・・」
ウン今も背後から狙いすませてボクに銃口を向けてる奴が居るらしい・・・がウェルム少将の部下に無力化されている、矢張りプロだけあって護衛としてはボクより余程腕利きである。
そして・・・いよいよ最後の質問、
「では今後もファルデウス帝国にて・・・・・・」
「の予定だけど必ず残るとは断言出来無い、ボクが納得出来無く成る様な事が有ったら出てく事も検討しかねないよ?」
首輪を繋がれる積りは無かった。
「あそこは流石に気を使って欲しかったんだが・・・・・」
陛下が不貞腐れた様に鼻を鳴らした。
ボクが頭に来たら国を出て行く事も有ると断言したからだ。
「ボクと陛下が仲の良い事は十分知られてるでしょ、でも首輪を繋げられると思われたら馬鹿な考えを起こす奴も出て来る・・・・・」
ボクは鏡を覗き込みながら自分の顔を確認しながら、頬の内側に詰め物を入れてミューズに似せる・・・ミューズはボクより少しだけホッペがフックラしているからね♪
そして履いていた靴を脱ぐ・・・シークレットブーツみたいに上げ底に成ってる、先程の会見は全国に生放送されており見た人間にはボクの大きさを誤認出来たかも知れない。
実はミューズを狙って暗殺者が動き出したのを察知したので、ボクがミューズに化けた上で囮と成り奴等を捕らえ様と思ったのだ。
「ミューズに黙ってろと言われたのだが・・・・・」
着替えてると陛下に声を掛けられた。
「この計画の一部がミューズに暴露て仕舞った・・・ミューズは狙撃銃を持って、屋根裏部屋に待機している」
「いやチョッと待ってよ!そう成らない為に・・・・・」
ボクはドレスを着ながら皇帝に詰め寄った。
「不可抗力だが悪いのはオマエだ・・・スターシップの工房で今入れてる内頬の詰め物を造っただろ、それをミューズに見られたのだ。その為そのカチューシャでアリスが警告する事も出来ぬ、ミューズが監視してるのでは・・・だからアリスに私から伝えて欲しいと頼まれたのだ」
そりゃボクのミスだ・・・
「ミューズにはドコまで?」
「母親が生きている可能性は知らぬ、だがオマエが女装して自分の振りをし敵に狙わせてる事に・・・まだ自分を狙う者が残ってて、そいつを炙り出す為にオマエが囮に成ってる事は解ってる。ただ・・・」
頭が痛く成って来た・・・ナスティーズを捕らえた以上は女装したボクを狙って来る奴が居たら、そいつは間違いなくミューズの母親アズミーナの手の者だ!
本人が直接襲って来るとは考え難いが、もし来た場合はミューズに母親殺しをさせて仕舞う・・・そう成らない為にミューズを出さない積りだったのに!
「オマエの言付けを守って出る事は言ってから出掛け護衛も就けてる、だが銃だけは手放さ無いし・・・この現場から離れさせ様とすれば必至で抵抗するだろう」
ジャジャ馬め・・・でもボクもミューズに内緒で行動してたから強く言え無い!
「そんな事より後でミューズの機嫌を取った方が良いぞ、オマエその頬の詰め物を造る時アリスに胸の方の詰め物は如何するか聞かれ不要だと答えただろ?そう言う事は本当の事でも言っては成らん、いや本当の事だからこそ・・・あとで思い出した時に強烈に拗ねて来るだろうから何か機嫌を取る物でも用意して置くと良い」
う~むジュリアさんかミントさんに聞いて、何処かで美味しい御菓子でも購入しとこう!
「ところでアリス・・・アズミーナが直接殺しに乗り込んで来る・・・・・」
「可能性は有りませんがミューズ様の泣き崩れる顔を見に来るかも、あの女は母親として如何こう言う前に異常・・・いえ完全に狂ってますよ。現在もフルタイム怪しい人間が居ないかチェックを・・・チョッと待って下さい!」
アリスが何かを確認している。
「ミューズ様が隠れてる照明部屋に誰かが接近してます!あの部屋は狙撃に適してる、キッド様を狙う狙撃手かも・・・」
全部聞く前に銃を掴んで控室を飛び出す、狙撃ポイントで鉢合わせは洒落に成らない!
そのまま階段を駆け上がり舞台装置の裏を走り抜ける・・・程無く足を忍ばせ、何か楽器ケースの様な物を抱えている一団に出会った。
「狙いはキャプテン・キッド?それともプリンセス・ミューズ?」
ついでに変声薬の調子を確かめる・・・元の声から大分高く成ってるので、女の子・・・は無理だけど女の人の声に聞こえた。
その一団は足を止めコチラの様子を伺ってるが、誤魔化す事は無理と判断したらしい。
銃を抜くとボクに向かって発砲し始め、ボクは物陰に飛び込みながらガバメントで応戦する。
女装したボクを見て最初から殺しに来はし無かった・・・なら女のミューズでは無く、男のボクを狙い殺しに来た方の暗殺者・・・それも女装したボクを見ても即殺しに来れない二流の暗殺者だね?
ボクは屋根裏で銃撃戦を始めるとミューズに付いてる護衛も気が付き、下の会場でボクの出番を待っていた貴族や帝国の有力者・報道陣も騒ぎ出した。
『ミューズ様以外に不審な女性は居ません・・・つまりアズミーナは来ていないと言う事です!』
『ミューズは不審者?』
言い回しが可笑しいので確認するが、
『ミューズ様自身が不審者と言う訳じゃありませんが、警備兵以外で銃を持ってる女が居たら即不審者と判断出来るかと・・・・・』
『ご尤もで御座います』
改めて確認したアリスの報告に、安心しながらボクは敵を一人また一人と屠った!
しかも同じ屋根裏?のホールの反対側でも銃撃戦をしてる、一体誰だろうと思ってたら・・・・・
『遠距離からキッド様を狙う狙撃手が・・・いえイメンケ氏が対処したので問題ありません?』
「えっ?」
まだ助けてくれてたんだ?
あれは女物のドレスを纏って女装してるがターゲットに間違い無い、インタビューの時に上げ底の靴を履いて体格を紛らわせるとは憎い真似をしてくれる。
ミューズと言う姫の身代わりに成り暗殺者達を誘き寄せる積りだろう・・・子供にしては中々頭が廻る様で、一流の暗殺者で構成されたチームがムザムザと罠に掛かって行った。
矢張り恐るべき少年だ・・・救国の英雄であると言う現実は伊達では無い、受け止めないで甘く見るからコンナ手に引っ掛かる。
ですが私は違う・・・この位置からなら長距離射撃で、彼の側頭部を狙い撃つ事が出来る。
そう思ったのが・・・周囲に全く人の気配を感じ無かったのに、行き成り後ろから声を掛けられた。
「次は肩では済ましませんよ、大人しく投降して頂けませんかね?」
背筋に冷たいモノが走る・・・これでもコノ世界で超一流と言われて来た自分が、気配も感じる事無く背後を取られるなんて!
「次は肩では済ましませんよ、大人しく投降して頂けませんかね?」
そう声を掛けましたがコノ男が言う事を聞くとは思ってませんし、寧ろ私の言った事で敵意を剥き出しにして来る事でしょう・・・先日彼の肩を打ち抜いたのが私だと暗に言ってる様なモノですからね!
現に私を伺いながら自分の脚を置いている位置をずらしている・・・私は溜息を吐きながら、彼の脚元に一発お見舞いしました。
「!?」
跳弾が脹脛を抉ったのに呻き声さえ出さないのは流石、まあこの程度で悲鳴を上げる様じゃ職業暗殺者としては失格です。
彼が銃を抜きながら横っ飛びに・・・私は即座に反対側に走りながら発砲し、同時に左手に握っていた発信機を押します。
「!!!」
彼が飛んだ先にはグレネードを仕掛けて有りましてね・・・彼が飛んだ先で爆発し可成りのダメージを与えましたが、そのまま梁から飛び降りるとガラスを破って消えてしまいました。
「私とした事が2度も逃がしてしまうとは・・・・・」
かなりの腕利きだった様です。
ミューズの護衛が応戦してるので敵はボクとミューズ達に挟まれる形に、そしたらボクの背後からも敵らしき団体が現れた・・・何で皆が屋根裏に集まるの?
『上から集中砲火を浴びせる積りなんでしょう、向こうもキッドさまを簡単に殺せないと思い定めた様です』
人を雑草みたいに・・・ボクはドレスを捲って太腿に結わえ付けといた❝フラッシュグレネード❞を抜き、一瞬迷ってから前後に放ってミューズに向かって走り出した。
「な、なん・・・」
襲撃者を片っ端から撃ち抜いてミューズの護衛が造った簡易バリゲードに飛び込んだ!
「これはキッド様・・・」
アヴァ元帥の就けてくれた護衛の皆様と御対面、に囲まれてミューズが手にしてる重機関砲を見て呆れる。
「こらミューズ・・・陛下からは狙撃銃を持ち出したと聞いてたが?」
「でも役に立ったでしょ?」
バリゲードを組んで敵にパルスレーザーの連射をしてるのは携行用重レーザー機関銃、確かに敵は一歩も近付けて無いし遮蔽物から出て来る事も出来無い!
しかも後続は別団体だったらしい・・・殺し屋同士でも打ち合いが始まるかと思ってたが、すぐに共闘してコッチに銃撃し始める。
「させるかよ!」
ミューズから受け取ったパルスレーザーを抱えてバリゲードの上に片足を乗せ、そして有りっ丈の弾を連射で打ち込むと・・・敵が白旗を上げ、駆け付けたウェルム少将の部下達に捕縛されて行った。
「ちょっと帰るのが大変そうですね・・・・・」
足場や梁が穴だらけ、これを渡って帰るのは非常に怖い。
「ウェルム少将が責任者だっけ?」
「ドゥービィー大佐が責任者ですが、こう言う歩兵戦はウェルム少将の独断場なので協力してくれてるんです。首都星の治安維持は本来ロイヤル・ディフェンサーの仕事ですし・・・・・」
下で指揮を取ってるウェルム少将に、
「ウェルム少将、下に降りても大丈夫ですか?」
「殺し屋は全員捕縛したよ・・・今チェックさせているが、館内に暗殺者は居ないと思う」
これ以上ミューズを敵兵の居る場所に置いときたく無いボクは、ミューズを小脇に抱えると緞帳を吊ってる縄を掴んで会見会場に飛び降りた。
驚いた警護の人もザイルを使って下降し始め、後から飛び降りたのにボク達より先に床に下りて警戒する辺り流石だ!
そしてボク達が会場に降り立つと周囲から撮影されながら・・・この時ボクは初めてミューズに化ける為、ドレスを着て女装してた事を思い出した!
翌日の新聞にはドレスを着たボクが片手でミューズを抱き、もう片方の手でロープを伝って降りる姿を掲載された・・・その為ボクの女性疑惑が更に強まりミューズとは同性の恋人つまりレズビアンだと言う噂まで流れる!
その世間の無責任な噂にボクは暫く引き籠る・・・暇は無かったが、それでも頭痛を覚えるには十分な話だった。
スターシップに戻る車に乗ろうとしたらウェルム少将に引き留められ、ボクのファンである奥様から先日と同じエビも含めて海鮮のプレゼントが有ると言われた。
車に詰め込むとトランクルームだけでなく後部座席まで満載、助手席だけ空いてるのでミューズは先に帰って料理して待ってると言う・・・ので先日ウェルム少将が食べてたエビフライ・タルタルソースたっぷりVerをリクエストする。
ミューズを見送ってるとジュリアさんや陛下やアヴァ元帥まで現れ、皆が集まって顔を突き合わせながら・・・・・
「上手い事やったなウェルム・・・これならミューズ様も意図的に帰らされたと思うまい」
「送りの車がミューズを届けて戻る迄と、スターシップに我々が向かう間だけ・・・あまり相談の時間は無いですね」
アヴァ元帥とジュリアさんが言った。
「なら早速 密談を・・・今回のミッションは失敗だ!捕らえられたのは一流の下から二流の殺し屋、ジョブ・トゥーニックやアズミーナ・マルドゥースに繋がる手掛かりなど出て来はしまい。キッドを狙撃した、あの男が狙いだったのに・・・・・」
陛下が重々しく言った。
「でもイメンケさんを責められない、あの男を感知出来たのは彼だけ・・・正直ボクでは捕らえられると思えない、殺す事も難しいと思うな」
イメンケさんと正対してたアイツは本当に強い、離れて見てるだけで解る程に・・・・・
「過ぎた事を考えても仕方が無い、次の手を考え・・・・・」
「失敗でも無いと思いますし、次の手を考える必要は無いかと思いますよ」
そう咥えタバコで現れたイメンケさんが言った。
するとジュリアさんが彼に問い掛け、
「イメンケ君、それ如何言う意味かしら?」
「あの男は間違い無く超一流の殺し屋ですね・・・その彼が一度ならず二度までも、私に仕事を邪魔され失敗した・・・・・」
タバコに火を点けると携帯灰皿を出す、喫煙マナーは悪く無い様だ。
『屋外でタバコを制限する法律は有りませんが、タバコの灰を地面に捨てたら5万 吸い殻を捨てたら15万クレジットの罰金ですからね♪』
うわっ、ファルデウス怖い・・・その罰金の金額ナニよ!
まあボクはタバコを吸った事無いし、これからも吸う機会が有るか解んないけどさ・・・その罰金額が凄い事だけは理解出来る!
でも・・・そうすれば日本も喫煙マナー良く成るかもね♪
ボクが出国するまで、月極駐車場の端とかで灰皿ぶちまけてる馬鹿な大人居たから!
「2度も暗殺に失敗したのです、彼の殺し屋としてのブランド力は地に落ちました・・・そのブランド力を取り戻すには相当努力が必要、先ずは何よりターゲットであるキッドさんを暗殺しないと話に成ら無いでしょう」
この世界ではそう言う物なのだろう。
「でも何より・・・その前に私を殺さなくては成ら無い、それ抜きではスタートラインにも立てません」
「イメンケ君、まさかアナタ・・・キッド君の防波堤になる為に?」
彼はニヤリと笑い、
「そう言う積りじゃ有りませんよ、ただ私も少々の義侠心と・・・」
言いながら懐から取り出すのは封筒、この世界で紙媒体とは随分珍しい・・・彼は人好きのする柔らかい笑みの侭で凄まじい殺気を放つ!
「大分プライドを傷付けられて仕舞いましてね!」
ボクは顔も知らないんだけど死んだ父さんは大のマンガ好き、お蔭で家にはチョッとしたマンガ図書館かって位の蔵書が溜まっていた!
それ等は家で大切に保管されてたんだけど、父さんが死んだ後も母さんが続きを読みたくて買い集めたモノも有り・・・その量は1.5倍に膨れ上がったそうだ!
正確には父さんだけで無く爺さんの代からの者も有り、その影響で母さんもドチラかと言うと(女性向け漫画も読むが)男性向きの漫画を好み・・・勿論その影響をボクも受けてる♪
その中で当時の地球 現代を舞台にした殺し屋の漫画は、ボクの選ぶ4大古き良き名作漫画の3位にノミネート中!
エッ、他の3つは何だって?
エ~ッと先ずは1位はセクシー過ぎるコスチュームのオシリにドキドキさせられた❝宇宙海賊❞モノと、2位は巌窟王にインスピレーションを得た❝戦闘機乗りの外人部隊❞モノ、そして4つ目は悩むけど無免許の❝お医者さん❞モノかな?
4つ目は本当に悩んだんだけど、もう片方の候補の泥棒さんモノは漫画よりアニメのイメージが強過ぎるんだよね!
それらの漫画はスターシップを造って❝彼❞の居た星から出発した後、一旦地球に寄り地球を旅立つ時に仲の良かった友人に上げたけど、スターシップには個人的にデータ化して持ち込んでたんだ。
最近はイメンケさんがポップさんと一緒に成って休憩時間読んでる、勿論ミューズ達やジュリアさん達も読んでいた。
で・・・その殺し屋モノについて殺し屋がルール違反や裏切りを許さない事を、宗教的な戒律や男の拘りの様に思ってる読者が居るんだけど・・・それって当然の事でルールは絶対じゃ無いだろうか?
だって身バレ即手配されるんだよ暗殺者って・・・殺し屋を主人公にした小説やアニメに漫画と色々あるけど、リアリティを求めるなら絶対に裏切りとルール違反は許してはいけない!
例えば・・・依頼人が何の許可も無く「アイツを殺したのはオレだ!オレが雇った殺し屋が殺したんだ」とか言い出すとするでしょ、殺し屋が依頼人の前に現れた時に違い無く言うと思うんだ。
「何故だ!オレは裏切って無い、オマエの名前は出して無い!」ってね・・・これって確実にアウトでしょ?依頼人は9割9分9厘 眉間を撃ち抜かれる!
だってこんな事を発言されちゃ捜査は依頼人の周囲に集中、今迄「アイツ怪しいから周辺の様子を・・・」位の感じだったのが「絶対に見逃すな!徹底的に洗え!」に成る訳だ!
依頼人や家族・使用人に至るまで徹底的に周辺を洗われ、「依頼人の秘書がイオンモールに・・・」「その日の防犯カメラを全て洗え」「秘書がモールに入る2時間前にコイツが・・・」「コイツは予てから怪しいと噂の有った・・・・・」なんて事に成りかねない!
勿論前以て殺し屋に許可を得てたなら問題無いけど現実じゃ脚の付く可能性のある行動に、殺し屋が許可を出す事は先ず無いと言い切れる・・・その漫画の主人公はフィクションだし許可を出すけどw
まあ長々と何を言ってるのと言われるだろうけど、要は殺し屋何て殺伐さを極めてる様な職種の人は究極の合理主義者で超現実的・・・ターゲットのボクは兎も角イメンケさんを狙って来る筈が無い!
そもそも暗殺計画何て露見したら本来終了、その段階で大概の殺し屋は手を引くのは確実だ。
ボクを狙ってるトゥーニックの様に自分の終わりが掛かっているとか、ミューズの様に理不尽な逆恨みでキ〇〇イに狙われてるので無い限り、暗殺と言うのは殺害後に犯行が明らかに成るのが普通なのだから!
「それでも私を狙って来ると思いますよ♪」
とイメンケさんは爽やかな笑顔で言う・・・この人って名前はギャグみたいなのに、本当に人当たりの良い二枚目だ!
「本当にキッドさんって自覚しながら失礼な人ですよね・・・ボクの名前って元々古い言葉で「イメンの人」って意味なんです、イメンってのは肯定すると言う意味で古い祈りの言葉から・・・・・」
じゃあ否定すると言う意味の言葉も有るのかな?
聞いて見ると、
「アノン・・・がソレに当たりますね?ファルデウス人の元に成った古代人には大きな勢力を持った宗教が有って、その信者の系譜の名字がイメンケやイメンセ・イメンス・・・逆に信者で無かった人達の末裔にアノンの名字が多いです。そして頭にイメンが付く苗字はファルデウスでも多い方の性なんですよ」
と説明しながら・・・彼はボクのスケジュールを検索し始める。
「スケジュールと言っても全てキャンセルしたぞ・・・何と言っても殺し屋に狙われてるのだから、おいそれと出せる筈も無・・・・・」
「それに今からキャンセルを取り消したら・・・モロ誘ってると言い触らしてる様な物、殺し屋がソレに乗って来る筈が・・・・・」
ウェルム少将とアヴァ元帥が否定的な事を口にするが、
「先ず今回の殺し屋はフリーランスの殺し屋で無くトゥーニックの子飼いという所がポイントです・・・出て来なければトゥーニックが終わると言うシチュエーションを用意すれば、例え誘われてると分ってたとしても奴は出て来るしか無い・・・・・」
イヤそんなシチュ用意出来ますかいな!
「それに自尊心なら未だしも看板を傷付けられては、個人事業者としては終わったも同じで・・・」
「個人事業者では無くトゥーニックの専属じゃ・・・・・」
「トゥーニックと専属契約してるだけで個人事業主と変わりません、と言うより殺し屋の社員なんて在り得ると思います?暗殺者の活躍する部署が有る会社何て、法治国家で存在出来ると思いますか?」
呆れる様に言うイメンケさんがチョッと小憎らしい!
「適当なイベントが無いですねぇ、勲章授与の式典何かをデッチ上げて・・・」
「そりゃ勘弁してくれっ、救国の英雄に対する勲章授与など諸外国から国賓も集まるんだ!そんな舞台で殺し屋と立会など・・・・・」
イメンケさんの言葉に陛下が慌てるけど、正直ボクでも帝政の専制国家でソレは無いだろと思って仕舞う・・・絶対に後でジュリアさんにツッコミ入れられる、イメンケさんがボクの影響受けてるって!
「ところでキッドさんが我が国に提供する真偽解析機は、そもそも如何言う成り行きで譲ってくれる話に成ったんです?」
「エッと・・・例の革命騒ぎで投降した将兵を尋問するのに使ったら、当時は首都星と呼ばれてたミューズから軍監として司法長官が来てて・・・ズボン脱がすのかって勢いで縋り付かれて提供を約束させられたんだよな(怒)!」
思い出したら少しムカッと来た、皆が見てる前で半ケツ晒されたんだからね!
「その後はスターシップの工房で5機ほど試作して貰って内密に実証実験を繰り返し、もうソロソロ終わる筈だがソコ迄は露見して無いと思う」
「露見してたらボクが狙われる筈無いからね・・・・・」
陛下達が滅茶苦茶 気にしているが、正直あんまりボクは気にして無い・・・銃撃戦に成る事を承知の上でジュリアさんを助けに駆け付けたのはボクだし、自分から危ない事をしてたクセに汚したら文句を言う様な真似はしたくない。
そもそもウソ発見器の事が無くたってボクは狙われている、簡単に殺せ無いと手を出すのを躊躇われてるだけに過ぎないのだから・・・まあボクもゴキブリより執拗い自信が有るしね!
「でも投降した将兵を散々 真偽解析機に掛けたんだし、その事は多くの将兵が見てる・・・その上に司法長官が半泣きに成って売ってくれと騒いだんだ。そりゃ噂に成るし嘘で塗り固めた人種には恐ろしいだろう、政治家とか官僚とか公務員とか・・・・・」
「ワ・・・ワシ等も一応軍人何で、その括りに含まれて居るのだが・・・・・」
「キッド君・・・公務員とかに恨みでもある?」
うん地球にいた時にタップリとね♪
だからファルデウスの軍人さんには恨みは一切無いよ!
「じゃあコンナのは如何でしょう・・・キャプテン・キッド氏より先古代文明の技術による真偽解析装置を正式に寄贈!サンプルとして造られた数機と設計図を受け渡し権利を貸与する調印式を、それと原理と構造そしてシステムを教授して頂く為に帝国大学において特別講演会を開催する・・・なんてのは!」
「ま・・・間違い無く襲ってくるけど・・・・・」
ボクを思いっ切り囮として前面に出す気だ!
「と同時にキッドさんがミューズ様と一緒に合同で、緊急記者会見を開くと内容はボカして広めるんですよ・・・」
「ちょっと待って・・・それじゃ丸でキッド君とミューズちゃんの・・・・・」
ジュリアさんが引き攣りながら呟く、
「そう思わせるんですよ、アズミーナ・マルドゥースにね!」
「どう思わせるの?」
如何言う意味か良く解から無いので聞いて見ると、
「この感じでキッド君とミューズちゃんが記者会見を開いたら、大抵の人は婚約発表か何かだと思い込む・・・そうかっ!」
「そう言う事です♪」
ジュリアさんが何かに気が付いた様だけど、この歳で婚約会見とか嫌だなぁ・・・・・
「マダだっ!マダ早っ、むぐぅぅ!!!!!」
怒鳴りかけた爺さまの口をジェリス艦長が後ろから塞いで言った。
「用意だけすれば本当に会見はしなくても良いだろう・・・がキッド君とミューズ様が婚約会見を開こうとするなら、アズミーナ・マルドゥースは間違い無く何かのアクションを起こす!」
「なら反対だ!ミューズを危険には晒せ無い、ミューズを囮にすると言うなら・・・いやボクがマタ女装すれば良いのか?」
正直言うとアンマリ女装はしたく無い、コンプレックスを刺激され捲るんだよアレはっ!
「その必要は無いかも知れませんよ?」
イメンケさんが悪い笑みを浮かべながら言う。
「ミューズ様を一番酷く傷付け苦しめたいなら、彼女を直接狙うのは愚策です・・・少なくとも私ならミューズ様の見てる前でキッド君を殺す!それが一番ミューズ様を苦しめる方法です」
そこまで逆恨みで実の娘に憎悪を燃やせるモノなのだろうか?
でもアズミーナの事はミューズには聞け無いので調書や裁判記録等で散々調べ、その上でアノ女の事を考えると本当に企んでそうな気がする。
その悍ましさにボクは少し背中に冷たく成った気がした・・・人間が本当に怖い思いをした時、背筋に冷たいモノが走るってのは本当だったんだ!




