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取り合えず、やり過ごす為に隠れてる!

 全ての物資を積み込んで、スターシップの中に籠った。

 ジェリス艦長の話では、それほど時間は掛からなそうだ。


 ボクはジュリアさんやココさんとモニター越しに話した・・・ボク等は宿舎に居る事に成っている。


「キッド君が襲われ次第、お父さんは帝都に向かう。最初はフリッパーで私達が出る・・・フリッパーを攻撃したら、奴等も正当性を口に出来ないから」


 ジュリアさんは楽しそうに言った。

 軍人にも貴族は多く、派閥争いとかで大分虐められてるそうだ。


「奴等、出来る事なら・・・私も殺っちゃおうかしら?誤射って事にして・・・・・」


 隣のココさんが必死に止めている。

 イヤ冗談でしょ・・・エッ、本気だったの?

 すると警報が鳴り響いた。

 コロニー内で爆発が有ったらしい。


「宿舎が爆破されたわっ、作戦開始よっ!」


 アイツ等・・・拉致する相手が寝てる宿舎を爆破って、アタマ大丈夫なのか?


「アナタに変装した娘が軍用通路を走ってる・・・彼女は途中で変装を解いて逃げるけど、タイミングを見計らって出発して」


 ボクも銃弾の中を潜って、ここまで逃げる自信は無かった。


「お別れね・・・寂しいな」


 ココさんが言った。


「ボクもですよ」


「最後に一つお願いしても良い?」


 何だろう?


「何ですか?」


「キッド君が買ったパンツが、小さ目のボクサーブリーフに掏り替ってたでしょ?」


 やっぱりオマエが犯人か!


「あれを穿いたセミヌード一回見せて・・・・・」


「死んで仕舞え!」


 ボクが毒吐くとアラームが鳴った。

 宿舎からココまで走り切る時間だ。


「アイスコフィンへ・・・スターシップ、出航します」


「こちらアイスコフィン、良い旅を!」


「私達も出るわよ!」


「了解♪」


 フリッパーが先導しアイスコフィンを出る。

 こちらが沈められる唯一の危険は、アイスコフィンからの出航時だ。

 するとアイスコフィンの周辺でスターシップを監視してたであろう艦船が・・・・・


「えっ?撃って来た!」


「アイツ等、何考えてるの?」


 ココさんとジュリアさんが驚いた。

 勿論ボクも・・・帝国軍人は破落戸(ならず者)か?


「「私達も帝国軍人ナンですけど!」」


 二人からクレームが届く。

 しかしフザケて居られない・・・フリッパーとアイスコフィンのシールドが破られたら大変だ!


「悪いけどボク行くね!」


 アイスコフィンの出口に居たフリッパーの、下を擦り抜ける様に出航する。


「ヤンHっ!」


「よ・・・良い旅を・・・・・」


 宇宙船で狭い隙間を擦り抜けると言うマナー違反を犯し、ボクはスターシップを滑り出させる。

 すぐ眼の前に軍艦が4隻・・・停船し降伏する様言ってくるが、ボクは何時から戦争してるんだ?


「ジェリス艦長から提供されたリストに載ってました。帝国貴族ジェリド子爵、ジュリア大尉を見初め執拗に求婚してますが、嫌われてるうえに政敵です」


「一番奥の大きい船ね!」


 ボクは急加速しながら艦橋を掠め飛び、そのチャンスにレーザーを放った。




 さて真っ直ぐ国境を目指しては、ジェリス艦長が帝都で謁見する前に国境を越えて仕舞う。

 かと言ってモタモタ彷徨ってたら、こちらの意図が暴露(バレ)て仕舞う・・・イヤ最初っからバレバレだろうが、一応突っ込まれた時に言い訳出来る様に心掛ける。


「取り合えず5000ベッセル前方に帝国軍駐留艦隊が居ます。彼等に驚いて逃げる仕草を装います・・・私で十分ですから、お休みに成ってて下さい」


「いや流石にボクも無理だから!」


 軍隊が待ち構える前に飛び出すんだ。

 そんな時に寝てるほど神経が太く出来てはいない!


「それにしても先程の狙撃は見事でした」


「イヤ狙った訳じゃ無いんだけど」


 アイスコフィンから飛び出した時、ブッ放したレーザーはジェリド子爵ごと艦橋だけを吹き飛ばした。

 まさかアレほどキレイに艦橋のみ打ち落とすとは・・・誓って言うが先程の行き成りの遭遇戦で狙って出来る事で無い。


「ファルディウスとヴァイラシアンは帝政でワメリカーノとジョンブルスンが民主制、ヴィエンド連邦が社会主義でノーマが宗教国家に近い形態か・・・・・」


 この銀河で特に大きな国家は、この6つ・・・その他にも数多の国が点在している。

 ファーレンからだと、ヴァイラシアンとヴィエンドの国境が近い。


「駐留艦隊を掠めたら、一度ヴィエンド方面に向かって見ようか?」


「それより引き返してファーレン手前の、小惑星群に隠れて見るのは如何ですか?アイスコフィンを襲って来た、海賊が隠れていた小惑星群です」


 確かアステロイドベルトほどで無いにしろ、結構大きな小惑星群だった筈だ。


「あの海賊達が居るでしょ?こないだの仕返しと襲い掛かって来るんじゃないかな?」


「そんな筈は無いかと・・・ジェリス艦長が提供してくれたデータによると、あそこで帝国軍と海賊がイタチゴッコを繰り広げてたそうです。でも先日アナタに大半の船を沈められ、しかも帝国にチョッカイ出したと言うケチが付きました。余程バカじゃない限りは、帝国軍が仕返しに来る前に逃げてる筈です」


 そうか・・・ならアソコに逃げ込んで、暫く時間を稼ぐとするか。

 そろそろ前方に艦影が見えて来る。


「こちらファーレン第38駐留艦隊、スターシップ応答願います。こちらは貴方を不当に拘束する積りも、攻撃する意図も有りません」


「ジェリス艦長によると、司令官は悪人では無いですが・・・・・」


「上から船を奪えと言われたら逆らえないでしょ?」


 ボクは船首を巡らした。


「ハイ、だから投降しない様に言われています」


 だろうね!




 と言う訳でボクは小惑星群に・・・逃げ込んで隠れている。

 かなり予定と違う感じで・・・・・


「アリスさんやい・・・」


「全く申し訳ありません・・・彼等は余程の馬鹿だった様です」


 アリスが困惑している。

 根城にしてた海賊達が、今だに逃げておらず居座っていたのだ。


「取り合えずコッソリ忍び込んだから見付って無いだろけど、コイツ等は帝国軍が仕返しに来ると思って無いのか?」


「無線を傍受した限り警戒だけはしてるみたいですね。ただ今まで小惑星群の中で逃げ回ってたんだから、今後もソレでイケるだろうと考えてる様です」


 脳みそ甘過ぎるんじゃない?


「外に対しては警戒してますが、一旦中に入ったモノに全く警戒してません。この人達は完全なるバカです・・・ここで暫く時間を稼ぎましょう」


「そうだね少し考えを纏め様、アリス・・・スキャンしたボクの記憶の整理は出来たの?」


 ボクはシートをリクライニングさせた。

 アイスコフィンを製作した・・・と言うより、あれは艦船を繋ぎ合わせただけなんだ。

 その時にアリスが脳内のデータを読み取る事が出来ると言ったので、失った記憶の手掛かりが無いかと実行して貰ったのだ。


「記憶では無く知識しかサルベージ出来ませんでした。アナタの脳にある知識は、この船どころか現在周囲を囲む国々より格段に遅れた世界❝地球❞のモノしか有りません」


 やっぱりね・・・この船の操縦などは出来るモノの、生活するのに違和感しか感じなかったんだ。


「地球は宇宙に進出出来てない一惑星、しかもその惑星上で国家が群雄してる様な未開の文明です。その中の日本と言う国のデータが多い事から、アナタは日本人だった可能性が高いと思われます」


「ボクの忘れてる記憶の手掛かりは?」


 そうアリスの脳内スキャンは忘れてる記憶もサルベージ出来る。


「残念ながらアナタの親兄弟や思い出に当たるモノは全く存在しませんでした・・・これは本来有り得ない状態です」


「全く無駄だったか・・・手間かけさせてゴメンね」


 流石に少々心細く成った。


「いえ、そんな事も無いかと思います。この一月半の間、アナタの味覚パターンと記憶の反応パターンを解析しました。その結果、材料さえ揃えばあなたが過去食べたモノを思い出通りに再現する事が出来ます」


 そんな事・・・いや有難いか?


「記憶が元々無いのか完全に失われてるのか判りませんが、思い出の味覚を味わえば何か思い出すかも知れません。気長にやりましょう・・・・・」


 慰められてるのかな?


「じゃあ現実的な話をしよっ♪正直言ってジェリス艦長達は信用出来ると思うけど、頭っから信用し切るのも問題だと思うんだ」


「その通りです・・・彼にも軍人・貴族としての立場も有りますし、ジュリアさんや奥様を人質に取られたら、こちらを害さないとも言い切れません。実はファーレンのステーション・コロニーに停泊中、出来る限りデータを吸い取って来ました。我々の現状と、この世界の常識を少し擦り合わせておきましょう・・・・・」


 そう言うと周囲の景観が一変した。

 前にも言ったがコクピットの中は床だけ平らだが、卵の中に居るみたいに長楕円体の内側の様に成っている。

 周囲はおろか天井も床すらもモニターで、操縦桿やアクセルペダルなど操縦する機器は全て操縦席に付属している。

 その他の操作はボクの様にカチューシャ経由で思念操作を行い、必要に応じて副操縦士やナビゲーター用の席を増設する仕様だ。


 モニターに大きくスターシップの多角面図を表示する。


「この船の武装は光学兵器と実弾兵器で構成されてます。荷電粒子砲は金属素粒子を使用するので実弾兵器とも言えますが、一応今回は光学兵器として分類させて頂きます」


 説明しながら兵器類がアップにされた。


「先ずは光学兵器から・・・主武装と成るのは中性子粒子砲と荷電粒子砲を兼用する単装❝ビームキャノン❞4門、および2連装❝レーザーキャノン❞4門です。副兵装としてとワープ技術を転用し、エネルギー弾を射出する❝プラズマブラスター❞が24門、さらに小口径の20連装の連射ビーム砲❝ビームファランクス❞2門、こちらは本来防御用ですが小型機なら打ち落とせます」


 こないだヤッた♪


「実体弾は船体上部に8連装小型❝ミサイルランチャー❞2門、下部に❝大型ミサイルランチャー 兼 魚雷発射管❞4門、および二股に別れた船体前方は大型レールガン❝電磁加速射出砲(リニア・ランチャー)❞に成ってます」


 武装のハリネズミだね?


「防御面では全方向防御障壁❝フォース・シールド❞と、前出の対ミサイル・魚雷にビームファランクスが使用出来ます」


「ビームファランクスも中性子と荷電粒子を兼用出来るの?」


「出来ます」


「・・・・・メインは中性子にして5発ごとに1発ほど荷電粒子を発砲して」


「あらゆる攻撃に対応する為ですね・・・了解しました。それとコレは最重要機密なのですが・・・艦体前方のレールガン部分は、実は本来はレールガンでは有りません」


 な・・・何が出て来るの?


「疑似ブラックホールを生成し射出する反物質重力兵器❝ブラックホールダウン❞、簡単に惑星一つ・・・処か星系ごと消滅させられ兵器です!強力なリニアランチャーは、ブラックホールダウンをカモフラージュする為に装備されたのです」


「ウン、封印!」


 んなモン使えるかっ!


「しかし使わざるを得ない状況に成るかも知れません。一度使えば20時間以上のクールタイムが必要な事も含め、記憶の中に留めて置いて下さい」


 予想以上に恐ろしい話が飛び出した!

 冗談抜きで下着が若干湿っている・・・この会話で明らかに発汗量が増したんだ。


「次に当艦の船体性能です。当艦はハイパードライブ・ワープドライブ可能な高速巡洋船で、この世界でも艦隊相手にタイマンが張れる戦闘能力を有するチート船です」


 アリスって喋り方が人間っぽいと言うか御茶目さんだ。

 その事を口にして見る。


「私は長い航海で船長を退屈させず御世話する為、拡張記憶領域を別にコアは有機AIを使用しています。おそらくソレが原因かと思われます」


「なのにボク達の目的とかの情報は残って無いのか?」


「私も不可解に思います・・・船内を捜索しましたが、隠された記憶領域・デバイスは見付かりませんでした」


「OK!自分達の事で判ったのは、その位かな?」


「イイエ・・・実はマスターの身体に関して、新しい事実が判明しました」


 何だろう?


「マスター、アナタは人間では有りません!」


 この日一番の爆弾が投下された。

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