今度はミューズに下りて見る(惑星ミューズの事だからね!)
この世界では各国の首都が置かれる星を❝首都星❞と呼び、例えばファルデウス帝国の首都星なら❝ファルデウス帝国の首都星❞と固有名詞が味もそっけも無いモノに成っていた。
偶々ボクが「大事な孫娘の名前でも付けたら」くらいな事を言ったら爺様がファルデウス帝国の首都星に❝ミューズ❞と名付けたのが記憶に新しい♪
と言う事でボク達は爺さま達に頼まれてた事も有り、スターシップでファルデウス帝国 首都星❝ミューズ❞に向かう。
「そう言えば❝彼❞の居た惑星でスターシップを造って出立してから、この船で居住可能惑星に着陸するのは初めての事じゃ無いのかな?」
「そう言えばそうですね」
そこでダーグが口を開く。
「それは良いのだが・・・陛下達を置いて来ても良かったのか?」
だって遅いんだもん・・・最初はアトロペルス内にスターシップごと収容して航行するとか言われたけど、遅過ぎるので抜け出して先行させて貰った!
「コッチは10日で着けるのに1ヶ月も掛けられて溜まりますか!スターシップの方が3倍速いんだ♪」
「艦体を赤くしてみましょうか♪」
スターシップの外装には特殊な塗料が塗布されており、特定周波の電波を流す事で色を自在に変えられる・・・早速スターシップを赤く染めて見たが中々カッコ良く仕上がった!
「実際の戦闘では落ち着いた色の赤なら視認性は高く無いのですが・・・・・」
例のガスターを宇宙に放り出した作戦の際に使った塗料を、船内の工房で作製しスターシップの外壁に使用した。
その為にスターシップは現在マイカ塗装の様な光沢を放っており、赤くしたら自棄に目立つ色に成って仕舞った。
「外壁の塗料自体が透明素材だしキャンディ塗装の様な効果も表れてます。これで赤くするのは目立つ事この上ないので・・・・・」
「流石に派手過ぎるね・・・却下だ!」
色を元のダークグレー系の色にした。
「いや別にコノ船は軍艦じゃ無いんだから多少派手でも良いのじゃ無いか?」
「そうですよ・・・薄い紫やピンクなんか如何ですか?」
そうダーグとミューズに言われたので色を色々と変えて見る。
「まあ戦闘に成る気配が有ったら調色すりゃ良いんだし、別に派手でも悪いと言わないけどさ・・・流石に赤くピカピカ光る船は落ち着か無いかな?」
そう言えば長編のスペースオペラ小説で純白の船が出て来たな?
「あっ、これ良いです♪」
「これは美しい・・・・・」
「キッド様はセンスが良いようですね」
皆が褒めてくれたのはパールホワイトのスターシップ、確かに何気無く次々と色変えて見たけど名前にも合ってる気がした。
だが・・・
「こちらファルデウス帝国 首都星ミューズ管制センター、ようこそキャプテン大気圏へはスグに突入しますか?」
このまま進めば数時間で惑星ミューズの重力圏に入るけど、その後に大気圏突破と着陸をするなら10時間は掛かる。
数日前から艦内時間を着陸予定の惑星ミューズにある首都に合わせて有る、けど現在時刻は23時相当で17時間連続活動してる・・・その後に10時間活動するのは寝不足でミスを誘発するかも知れない。
と言う事でボク達は安全の為に、一度ステーションコロニーで休息してからミューズに降下する事にする。
ちなみに23時相当と言う言い方をしたのは・・・この世界は地球の様に一つの惑星に生活してるのと違い幾つもの惑星に跨って発展しており、一日の長さは惑星の自転速度によって異なるからだ。
その為この世界では❝時間❞と❝時刻❞は別のモノと考えられている。
先ず❝時間❞の方から説明すると・・・これは例えばボク達のように宇宙船で生活する者が普段使ってる時間❝ファルデウス標準時間❞の事を指し、一日は24時間(0時~24時で表す事も午前・午後で12時づつ分け事も有る)で一時間は60分そして一分は60秒その長さは奇遇な事に地球のソレと全く変わら無い。
ただ一年は12ヶ月372日有り一ヶ月は綺麗に31日づつに成ってて、そして閏年は無いけど生じる誤差で5年に一回、新年と大晦日の間に閏年ならぬ閏時間の様な物が存在・・・その時間は31時間この間はブッ通しで宴会に成る(寝たい人は勝手に寝るし、宴会が嫌なら好きな事をしてて良いらしい)そうだ!
それに対して時刻は❝該当惑星❞の一日を24で割り❝時❞更に60で割って❝分❞を表し、それに該当惑星の名前と起点に成る都市名を頭に付けて表示するそうだ。
例えば「ミューズ時間(または時刻) ○○時○○分」と言う感じで、また更に頭に○○星系とか恒星系を入れる場合も有るそうだが大抵省略され・・・と言うのも星の名前は極力被らない様にしてるし、被ったとしても番号を振る(例えば今後「ミューズ」と言う名前の星が増えたらミューズⅡとかミューズⅢとか)ので惑星名だけで事足りるし抑々番号しか振られて無い惑星だってゴロゴロしてるのだ。
そして この❝○○分❞の部分だけは星によって違いファルデウス標準時を使っており、だから一時間が数十分で終わる星も有れば数時間さらに下手すると数日分に及ぶ惑星も在る!
ちなみにファルデウス標準時間(標準時)は現在の首都星ミューズでは無く、ファルデウス帝国の建国した地であるファル星系 惑星ゼウス・・・つまりファルって名前の恒星(太陽?)が在ってソコに有るゼウスって星が指標に成っている。
基本的に就学や就労はファルデウス標準時を基準にされてるし、どこにも行く当ての無い(つまり惑星に降り立たず宇宙で生活する)宇宙船乗りもファルデウス標準時を使うが、寄港する惑星が有るなら船が惑星の重力圏から離脱すると早々に目的地ならぬ目的惑星の時間に合わせる事も有るが任意・・・ちなみに照らしてくれる恒星が無かったり、自転をして無いので一日と言う概念の無い惑星は時刻が存在しない。
「一旦ステーションコロニーで休憩してから地表に降下します。最寄りのコロニーへの誘導を御願いしたいのですが・・・・・」
「了解しました・・・誘導電波を送りますので、それに従いNo7ステーション・コロニーに向かって下さい」
おっと偶然にも反乱時に御世話に成ったコロニーだ。
「直接コロニーに着床するにはキャプテンは有名過ぎます。そこで現在コロニーNo7とドッキング中のアイスコフィン2に着床を、そこからなら軍用エレベーターで中に入れますので街に出るにも都合が良いでしょう」
出たいけど有名人だから変装が必要だ。
「了解、お気遣い感謝します」
4時間ほど航行してコロニーNo7に接近、アイスコフィンが見えてきたが・・・・・
「これもオマエのデザインか?」
「戦闘艦じゃ無いし形状が性能に影響しないから趣味に走っちゃった♪」
ボクの造った初代アイスコフィンはマカロニ型だったけど、建造データを流す時にアイスコフィン2および3はミューズがデザインしたらしい。
3は文字通り透き通った鋼材で作った棺桶状だったけど、2は六角柱状の水晶か氷の結晶の様な形をしていた。
ちなみにアイスコフィン1もボクの造った時は鋼材剥き出しの銀色をしてたが、首都星ミューズで再開した時には氷晶鋼を多用して改造されており今では半透明マカロニと化している!
「趣味に走り過ぎだよ・・・・・」
「綺麗でカッコ良いじゃ無いですか!」
ミューズは性能や安全性に問題無い限りトコトン外見に拘り、その辺は祖父である皇帝陛下とは違う様だ。
「まあアイツの立場上ハッタリや見栄も必要だろう、でも性能なら未だしも安全性に影響を出す様では・・・その点はジュリアの方がハインツに近い考えかもね」
ジェイナス婆さんから残念そうな一言が聞こえた。
さて・・・
「首都星ミューズの遠実点に到達しました・・・最遠軌道上を10分開周回した後、コロニーNo7に接近します」
惑星の重力影響圏は楕円形をしてる・・・これは恒星系の惑星は恒星や他の惑星の重力にも影響されるからで地球の軌道も楕円形をしており、その中心からも外れた場所に地球は在った筈だ。
この楕円軌道で該当惑星から一番遠い場所が❝遠実点❞そして近い場所を❝近実点❞と言うが、地球の天文学上?は❝実❞に当たる場所に地球なら❝地❞が太陽なら❝日❞が入るそうだ。
英語の場合?
そんなの知らないよ?
「ステーションコロニーに接近を開始します」
「良きに計らえ♪」
アリスに任せて今後の予定を考えなくては、でもその前にミューズがタブレットを持って相談に来る。
「お兄さまに面会依頼が、もの凄い数のメールが届いてますよ?」
「どんなのが来てるの?」
何かイヤな予感がする。
「パーティーや催しへの招待状が2千8百通、ほとんどが貴族や財閥・財団から・・・・・」
「失礼に成らない程度に全て御断りのメールを!」
「他には映画関係や番組制作関係からの出演依頼や映画化権の交渉」
「同じく御断わりのメールを!」
「怪しい宗教や商社からも・・・」
「以下同文・・・とにかく今迄ボク達と絡みの無かったモノは全て省き、顔見知りだったり必要性のある物だけをピックアップして・・・・・」
「3件だけですね」
「・・・・・整理済みなら最初から言いなさい!」
コイツ・・・揶揄ってやがったな!
「久し振りにオシリ叩きかな?」
「じょ・・・冗談ですよぅ♪」
ミューズがボクのシートに来て抱き付いて来る。
「違うな・・・構って欲しくてワザと揶揄ってたな!」
「えへへ♪」
抱き付いて頬擦りして来た!
「冗談はさておき・・・アイスコフィンの艦長さんと、ジェリスさん所のイメンケさんが面会を希望しています。後お兄さまの所属するギルドからも一度 顔を出して欲しいと・・・・・」
重要そうなのだけピックアップして貰う。
「アイスコフィン2見えてきました」
眼の前に水晶の結晶の様な艦がコロニーに係留されている。
「成る程・・・実は結構 実用的な形だった訳だ」
アイスコフィン自体は横に置いた長い六角柱の前後に六角錐を付けた水晶結晶の形をしており、その❝辺❞の部分に太い柱と面の部分を覆う格子の様な
トラス状の細めの柱で囲まれた形状をして居る。
そして面の部分には外壁が存在せず透明な材質で出来てる柱と相俟って、内部では係留されてる艦が丸見えの状態だ。
アイスコフィンは時には戦地に赴き味方の艦を修理する移動ドック艦、これなら緊急時に独自にアイスコフィンから離れる事が出来る。
「こちらアイスコフィン2艦長ブリトニー大尉、歓迎するよ女神様・・・いやゴメンなさい冗談です!謝ります!だからビーム砲台をチャージしないで!」
ビーム砲台の砲口が光ってるのでビビッて謝罪して来た・・・その辺り事情を知ってる上で揶揄って来てたな(怒)
でも・・・
「チャージしてませんよ?砲塔内を清掃中なのでドローンが照明を当ててたかも知れませんが♪」
それを聞いたブリトニー大尉、
「こ・・・この悪戯坊主め!ドローンで掃除するのに照明で照らす必要が有るか、それに高が照明がアンナ明るい筈無いだろ・・・全く聞いてた以上のトリックスターだな」
「知ってて人を女の子呼ばわりする方が悪い、それより大分接近してるけど大丈夫なの?」
するとブリトニー大尉は大慌てで、
「おっと誘導データ送るからリンクしてくれ」
誘導データ以外にもアイスコフィンの表面に誘導灯が灯り、従ってくとアイスコフィンの外壁上で停止する様に命じられる。
そこに停止するとアイスコフィンの外壁と言うか柱が展開、係留フックやアームがスターシップをキャッチして内部に引き込んで行く。
そして内部で係留するとボーディング・ブリッジや供給パイプが接続され、スターシップへの補給や整備が始まると・・・同時に外から通信が入る。
「お疲れさんキャプテン、実はチョッと頼みが有るんだ・・・メールで面会を申し込んでたけど、先古代文明のロストテクノロジーで造られた船に興味が有る。お話序でに見学させて貰え無いかな?」
「そりゃ良いけど、もうロストテクノロジーじゃ無いよ?技術提供してるからエルミス級やジュリア級が就航してるし・・・・・」
まあマダ隠してる技術はタップリ在るけど♪
「ジュリア級?ジュリア・バーカンディから?」
「そう・・・元々ヴィダーシュペンスティガー級なんて長い名前付いてたから、同じジャジャ馬って意味だしジュリア級にし様って父親のジェリス艦長が・・・ジュリアさん知ってるの?」
そう言えばブリトニーさんも女性の軍人、年齢も近そうだし友人なのかも?
「私の方が歳上だけど帝国士官学校では同期だった、まあアッチは飛び級し捲ってた天才だしね・・・最初に乗った艦も一緒だったし」
「海賊に襲われて死にかけた時、大逆転でブッ飛ばした時の?」
すると
「そりゃ次の船の事、その前の練習艦に一緒に乗ってたのさ♪次に実際の軍艦に乗って別々に実習受けてたんだけど、ソッチは襲われてジュリア以外は・・・・・」
そう言えばそんな事言ってたね?
「まあアレは普通の神経で反撃出来る代物じゃ無かった・・・もし敵艦が砲撃で爆発したら、ジュリアの乗ってた艦だって誘爆する可能性が有ったんだから」
「度胸の良い女性ですからね」
と言うとブリトニーさんは
「ありゃ度胸の良いなんてモノじゃネェ、ハッキリ言ってキレてるって奴だよ!」
コッチと向こうが爆笑に包まれり笑い終わってから、
「と言う事で見せるほどのモノじゃ無いと思うんだけど・・・・・」
「そんな事は無いと思うんだけど、正直に言うと私は艦船マニアでスターシップに興味が有るんだ!嫌じゃ無いなら乗せて欲しい・・・こんなにスタイリッシュな船は見た事が無い♪」
なんか・・・危なそうな人でチョッと嫌だった。
でもジュリアさんとも仲が良い様だし如何しようかな?
「もし乗せてくれるなら今まで封印してた士官学校時代のジュリアの恥ずかしい秘蔵の話を五つ・・・その全てを君に提供する!」
「いらっしゃいませ♪」
ボクは笑顔で彼女を迎えた。
「ブリッジタイプじゃ無く、完全にコクピットタイプなんだな・・・なぁシートに座って見ても良いか?」
「どうぞどうぞ♪」
ボクは上機嫌で彼女の要望に応える。
彼女から聞いた話が予想以上、それも斜め上にって感じで面白かったからだ!
「でアイツを強姦しようとした馬鹿は半殺しにされた上、学校前の街灯に全裸で吊るされて晒し物にされたんだ!しかも大事な所に重い木の板を吊るされ、それには「危険物!誰かれ構わずに暴発します」と・・・・・」
「ヤダァ♪」
ミューズも嫌がる素振りを見せながら楽しそうに聞いている。
「で・・・その高位貴族の馬鹿息子達は女であるジュリアに対し、ことも有ろうか学校帰りに取り囲んで決闘を申し込んだんだ!しかも4対1で・・・・・」
「決闘は1対1で行う筈、ジュリアさんは了承したのですか?」
ブリトニーさんは貌を顰め、
「ジュリアが受ける受けない言う前に行き成り襲い掛かって来たんだ・・・だけど軽々と4人を打ち倒し、しかも現場の状況も撮影されてて盛大に報道をされて・・・・・」
「その貴族は終ったね・・・・・」
恥を晒したなんて代物じゃ無い、それともファルデウス貴族じゃスタンダードなの?
「そんな筈が無いだろ・・・陛下だけじゃ無く全ての貴族から白い眼で見られ、その内3家が降爵させられたんだから!その時陛下は一言「ファルデウス貴族として家の処し方くらい心得ておろうな?」と言っただけだったんだ」
それは爺さん反って怒ってる証拠、それでも一つ気に成ったので聞いて見る。
「1家は助かったの?」
するとブリトニーさん、両手を上に向けて開くと・・・
「そこの家は親がマトモで周囲以上に両親と兄弟が怒ってた、父親が息子を廃嫡しただけじゃ無く、弟が兄である当人に決闘を申し込んでボコボコに・・・それで次期当主交代に成った」
面白い話を聞いた♪
今度ジュリアさんに会ったら揶揄ってやろ!
「暴露るだろうけど私から聞いたって言わないでくれよ」
さて十分スターシップ内を堪能したブリトニーさんと、コクピット後部のリビングで寛ぎながら喫茶を楽しみながら真面目な顔に成って言い出した。
「じゃあチョッと真面目な話をしても良いかな?」
「どうぞ」
彼女はタブレットの様なモノを提示しながら、
「先ず今日までの功績とソレに対する褒賞として、今後キッド君の船スターシップに関するメンテナンスとオーバーホールそれに修理や万が一の際の廃棄も全て、補給も勿論ファルデウス帝国が面倒を・・・・・」
「見ると言う名目にして情報を漏らすな、最悪の場合はコッチで処分させろと言いたいのね?」
ブリトニーさんは溜息を吐きながら、
「頭が廻り過ぎる奴も考え物だな・・・でも「させろ」じゃ無く「させて下さい」と思ってる、君が本気に成ったらファルデウス帝国全軍をもってしても・・・・・」
「いや流石に勝て無いでしょ♪」
ボクは笑いながら言うけど、
「勝て無い迄も手痛いダメージを与えて逃げ出すでしょ?しかも後で執拗く嫌がらせしそうだし・・・・・」
とミューズ、
「その時は手加減しませんから遠回しに言っても帝国に大ダメージを与えるかと・・・その際は本気で国は傾くでしょうし、キッド様本人が直接しなくても他国に介入されて国が滅びかねない!」
とはアリス、
「イヤ何か奇策を用意て直接本気で滅ぼす可能性も有るんじゃ無かろうか?」
ダーグ君はボクの事、そう思ってたんだね?
「キッドちゃんの悪質さなら、寧ろ間接的に国を傾け滅亡までリードするんじゃ無いかい?」
ジェイナス婆ちゃん迄・・・・・
「このヒト絶対、隠し玉を持ってますよ!それも究極に邪悪な奴ソレを一番最悪なタイミングでぶっ放す、そう言う才能に溢れている人ですキッド君は!」
やいポップ・・・てめぇボクの事そう言う眼で見てたんだな?
「と言う訳で・・・性格破綻者のキッド君を野放しには出来ないと・・・・・」
「あのクソ爺いが言ったんだね・・・よしならば戦争だ!」
皆がボクを宥めに入ったw
さて冗談は置いといて・・・ボクの造り出したスターシップがエルミスの母体に成ってる以上、軍事機密として隠したい気持ちは十分に理解出来た。
その為にスターシップを差し出せと言われたら打ん殴って逃げる気満々に成るけど、出来る範囲で協力と言う事なら無碍に扱う積りは無い。
しかも秘密にする報酬として補給とかもしてくれる、コッチにしたら十分以上に美味しい話だった。
「それと・・・これは陛下だけで無くファルデウス帝国の総意として聞いて欲しいのだが、キッド君には帝国貴族として爵位を受けて貰いたい」
即お断りの返事をし様としたら手で制され言葉を続けられる。
「今すぐと言う話じゃ無く、むしろキミが腰を落ち着ける時の話で良いんだ・・・最終的にはキミとミューズ様の間に出来た子供を一人、ファルデウス帝国 次期皇帝として迎え入れたいと思っている」
イヤイヤ、一軍人さんから行き成り言われる話では・・・・・
「これでも私は帝国貴族の娘でね、家は弟が継いでいるがイングリッド侯爵家の一人娘なんだ。忠誠を誓った身としては陛下の望みを叶えてあげたい、ミューズ様の子に帝国を継いで貰いたいと言うね」
「つまりブリトニーさんは帝室派貴族の代表として来たんだね?」
まさか高位貴族の令嬢様だったとはね?
「勿論だが陛下の性分じゃ資質が無いなら継がせ無いだろうし、そう言う事を自分から頼んでくるタイプじゃ無い。だから私達の余計な御世話なんだが、まあ考えて見るだけ考えてくれると有り難い・・・どのみち暫くは列爵しろって話は来るだろうけど」
「領地とか役職が付かないなら、爵位だけ貰っといても良いのじゃ無いですか?」
とミューズさん、冗談じゃ無い!
「ミューズはボクに貴族が似合うと思うか?」
「全く似合いませんね」
少しだけ考え笑顔で言った。
「兎に角だ・・・キッド君は船に関して帝国軍から無条件に協力と補給を得られるから、それを利用して大いに活躍してくれ」
「なんかズルしてる様な気がしてヤダなぁ・・・」
途端にブリトニーさんは噴き出して、
「キッド君がやらかした活躍にしたら安い褒美、本来ファルデウス帝国は天文学的な報酬を払わなければならないけど、そんな事をしたら国が傾く・・・だからこう言う御褒美や爵位を付けて誤魔化してるだけ、君が気にする必要は無いさ」
そう言って最後に・・・スターシップをバックに写真を撮らせてと強請られ、本当に彼女は重度の艦船マニアだったようだ。
さて彼女がホクホク顔で帰ろうとした時には、その向こうでニコヤカに手を振っている人当たりの良さそうな お兄さんが立ってた。
「どうも毎度お世話に成ります」
コイツからも面会希望が来ていたな・・・そう思うとブリトニーさんは帰ると言い、陛下からステーションコロニーに居る間は別荘を使えと言われてると言伝して帰って行った。
「お邪魔しちゃいました?」
と言うイメンケさん・・・取り合えずコールドスリープで保存していたメダカや熱帯魚の卵を提供し、精神衛生に良くないので売却価格の確認と決定はミューズに任せる。
その間イメンケさんはミューズの入れた練乳タップリのベトナム珈琲を飲みながら・・・・・
「ミューズ様の その衣装はもしや・・・・・」
「ハイお兄さまの故郷である地球のとある地域の民族衣装❝アオザイ❞です♪」
最近ミューズがお茶の時間に出すメニューに合わせボクを喜ばそうと地球の民族衣装を着て来る・・・ボクがホームシックに成って無いか心配なんだそうだが、不思議なほど地球に未練が残っていない。
「ヴァイラシアン討伐では御活躍と聞きまして・・・・・」
「そんな前置きは良いから御用件は?」
切り捨てるとイメンケさんはボクに迫って来る!
「キッドさん・・・お嬢さまに聞きましたけど、随分お宝を隠してたそうじゃ無いですか?」
如何言う意味だ?
イメンケさんはジュリアさんやジェリス艦長の家である、バーカンディ伯爵家の経営する企業❝バーカンディグループ❞の社員である。
農業と重工業分野に強く艦船は造って無いモノの、そのパーツであるエンジンや武装は評価が高いらしい。
元々は重工業部門の営業だった筈なんだけど・・・・・
「いえキッドさんと出会った時は偶々重工業部門の納品に来てただけで、元々私は総合商社部門の人間だったんです。実はキッドさんから買い取ったゴミの販売価格が恐ろしい事に成りまして、予想以上に高値が付いた為にキッドさんに追加報酬を払おうと思いまして・・・・・」
律儀な人だ
「そんなの良いのに・・・それに黙ってたら解らないだろうし」
「あまりに安く買い叩いて高く売ると追加で重税を課せられて仕舞うんですよ、キッドさんに受け取って貰わないと私のボーナスが3割ほど削られるんで助けると思って受け取って下さい」
仕方ないなぁ・・・
「まさか私もココまで値上がりするなんて・・・と言う事でお支払いするクレジットは29億に成りま・・・・・」
思いっ切りソファから滑り落ちるボクだった。
「い・・・一体いくらで売れたの?」
「バーカンディ・グループの経営するオークションに出した所、最終的には62億クレジットまで値上がりして・・・それがオリジナルの全て込みでの販売価格、あとレプリカの作成権利を売却した所そちらも46億に成りましたが、コチラは権利の管理に手間や費用が掛かるのでキッドさんの取り分は低くさせて貰えると・・・15億クレジットで如何でしょう?」
ボクは天を仰ぎながら、
「アリス、悪いけど頭痛薬を調合して・・・ミューズ如何しよう」
ミューズが脱力してるボクの代わりに水を汲んでくれ、ドローンが持って来た頭痛薬を受け取る。
「そんな事で頭痛を起こして如何するんです!そんな事じゃ本番の話を聞いたら・・・・・」
「そう言えばお宝隠してとか言ってたね・・・何の事だ?」
心当たりは全く無い。
「地球の音楽に映画やアニメをデータ化して持ち込んでるそうじゃ無いですか♪あれも結構良い値段で・・・・・・」
そう言われるけど勝手に作るって事は海賊版って事に成るだろうし、アレを売るのは如何かなって思ってしまう・・・・・
「他にも美術品やデザインもデータ化してると聞きました。ソレ等をお任せ頂ければ今ファルデウスは英雄であるキッドさんがムーブメント、きっと莫大な利益に・・・・・」
と言ってもボクが利益を得るのは間違ってる気がするんだけど、
「じゃあ私が手続しますね♪」
「おいミューズ勝手に・・・」
止め様としたけど、
「お忘れですか・・・私達は二度と地球に行く事は出来ません。そしてアチラの人がコチラに来る可能性も・・・・・」
マアそう何だけどな・・・ボクはミューズが自分に気を使い、地球の料理や衣装で気を紛らわせ様としてる理由に気が付いた。




