敵の度肝を抜く♪
ボクは施設に残ってたドローンに水鉄砲を取りに行かせると、彼等の遺体を並べ身体の上で手を握らせる。
そして水鉄砲の中に有ったブランケットを上に掛け、その彼等の冥福を誰とも無く祈った・・・祈った先は神様じゃ無いけどね、悪いけど信じちゃ無いんだよ♪
『手間をかけたな・・・キミは人間じゃ無い様だが?』
「立派な人間だよ(怒)、今は霊長類ベースの人間が最大勢力なのさ!むしろアナタみたいな爬虫類ベースの人間の方が、世間じゃトカゲのお化けって呼ばれて攻撃されるかもよ」
『失礼な!』
そもそも先に人の事を人外扱いしたのアンタじゃ無いか!
ラボに戻って左側の一つだけ塞がってたカプセルに向かった。
「この中に居るのがキミなのか・・・如何したら開くんだい?」
『そうだが開けるのは止めてくれ。すでに肉体が崩壊しかかっている・・・肉体が崩壊し切ったら、霊体じゃ長時間持たないんだ』
「AIに・・・駄目だな。人格を保管できる様な大きなメモリーじゃ無いし、そもそも有機AIじゃ無いんだ」
人間の精神を収めるには大きな容量を持つ有機AIが必要だ。
マタどんなに容量が有っても無機AIに人の精神は収まらない。
『確かにキミの腰に下げてるユニットじゃ容量は足りないな。ところで私の同志達は勝利したのか?それとも敗北したのか?戦争の行方は?』
ボクは暫く沈黙し答える。
どうせ嘘を吐いてもスグ暴露るだろう。
「多分共倒れだと思う、キミ達の文明は数千万年から数億年前に滅んでる。今じゃ先古代文明と呼ばれてるんだ・・・・・」
ボクは現状から自分の目的まで全て本当の事を話し、同時に彼の身の上話を聞いた。
彼は自由銀河同盟・・・どこかで聞いた様なネーミングだな、まあ自由銀河同盟軍・第7位ダーグル・コンティノアール4289通称ダーグさんだそうだ。
ちなみに第7位と言うのは軍での階級で全部で16階級有るそうだが、これは士官の階級で下には一般兵士の階級が10階級有るそうだ。
数字的には中間でも軍隊の中では上の方らしく、話を聞く限り独立した100人程の中隊を指揮していたそうだけど、自分で先頭に立って戦ってたらしいから今の軍隊に合わせると大尉さん位なのかも知れない。
そして4289ってのは識別番号で、つまり同姓同名の人が当時4289人以上居たって事だw
『そうか・・・なら私の事など気にせず、この悍ましい施設を破壊し尽くしてくれ。キミの事は恨んだりしないから・・・・・』
「絶対ヤダね!」
当然ながら即答する。
『軍人たる者、犠牲を恐れては・・・・・』
「そう言う軍人的考えは断固拒絶、第一ボクは軍人じゃ無い!」
彼は驚いてるらしい。
『軍人じゃ無いのか?その戦闘センスでか・・・キミが倒した3人は私の元同僚だった。直接の部下では無いが特殊部隊の兵で、練度は他とは比べ物に成らない。そのうえ非人道的な改造処置を・・・・・』
って事はダーグさんも特殊部隊の、それも隊長さんだったって事だね?
『私は航宙騎兵隊だから零距離直接格闘戦から携帯火器銃撃戦、それに航宙戦闘機戦まで何でも熟すよ。ただキミが相手にした3人は強行突撃隊だから、私より格闘戦レベルは高かった筈だ』
何気に強敵だった訳ね♪
『どちらにしろ私はカプセルから出られない・・・出たら身体が崩れ落ちるからね。それにキミが戦ってる相手は、この施設の力を手に入れたら実際に使いそうだ。早いトコロ破壊した方が良いぞ・・・・・』
「ボクがアナタを騙してる可能性は考えないの?」
『実は今君と話してる様に私には超能力を持ってて、多少は施設に介入出来るんだ・・・それで会話中ずっと君にαトライシクルを掛けていたんだ。キミが嘘を吐いてる可能性は低いと見たね・・・・・』
随分と念の入った事で、
『とにかく私は逃げられないし、キミが身を寄せてるファルディウス帝国も完全には信用出来ない。なら・・・私の事は構わなくて良いから、この施設は破壊すべきだと思うよ』
「この施設は跡形も残さず破壊し尽くすさ・・・でもアンタも絶対に連れ出す!」
そう言うと彼の雰囲気・・・会話からの威圧感が落ちた様に感じた。
『気を使って貰える事は嬉しいが、どうせ私は一人きりだ・・・我が人類は滅亡する運命、今さら一人で生き延びても・・・んっ?』
「どしたの?」
彼は何か思い当たったらしい。
『キッドはポワント・シィーゲルと経由してヒュンケルズに来たんだよな・・・なら次の目的地はサンティアラか?』
「そうだよ・・・彼に聞いていた自由銀河同盟サンティアラ文化研究所だ」
すると彼は途端に慌て出す。
『上手く行ったら・・・そこには我々人類の種族が生き残ってるかも知れない』
「トカゲ人類の?」
『トカゲ言うな!』
如何やら彼等の感覚だとトカゲ呼ばわりは気に入らないらしい。
まあボク達もサル呼ばわりされたら頭に来るよね?
「じゃあ旧人類?」
『それも馬鹿にされてる様な気がする』
「先古代文明人・・・は長いからボクが嫌だ」
『自分の都合だけでだな・・・まあ私もイヤだがな』
「同じ理由で爬虫類型人類もイヤだ・・・先古代文明の方が技術進んでたんだから、超人類なんてのは?」
『鳥人類と被るから嫌だな』
「我儘な奴だな・・・」
『そんな事言ったって・・・』
「もうトカゲ人類で良いじゃん!」
『じゃあオマエ達の事も、今後はサル人類と呼ぶぞ』
「絶対イヤだ!」
『我儘な奴め!』
なんかコイツもノリが良いな・・・ファルディウス帝国に来ても上手くやってけそうだ。
「このリザードマンめっ、チョットは自分でも考えろ!」
『んっ・・・今何と言った?』
「リザードマン」
『良いじゃ無いか♪』
エッ?
良いの?
「あの~リザードマンってのは空想上のモンスターで、モロ意味はトカゲ人間何だけど・・・・・」
『いや悪く無い♪ただ我が種族にも当然だが女性も居るので、リザードマンは拙いな・・・リザーダーと言うのは如何だろうか?』
う~ん、トカゲ人間は駄目でリザードマンは良いのか・・・彼等の判断基準が今一解らない。
「まあ・・・アナタ方が気に入ったなら良いんじゃ無いかな?それで話が脱線してるけど、サンティアラに何が有るんだ?」
『亜空間には時間が流れて無いと言う事は知ってるな?』
そうだね・・・ミューズは2回、ボクも1度は亜空間を突破した。
『ワープ技術を転用して、我等リザーダーの卵を亜空間で疎開させる・・・そんな計画が有ったんだ!私の事は良い、彼等の復活を手伝ってくれないか?』
当然答えは・・・
「嫌だ!」
『そこは嘘でもイエスと答える所だろ・・・・・』
怒って怒鳴り散らさないだけ大したモンだが、これはボクには最終的に見捨てられない事を完全に見透かしてやがるな!
「ここから絶対に連れ出してやるから、助けるのは自分でヤルんだね!ボクは絶対に助け無いから、可愛い子供達を救いたかったら自分で何とか助けるんだ」
と言いながら・・・何となく助けてる未来が脳裏に浮かぶ。
ボクは倒した3人の所へ戻った・・・彼等の体がシュウシュウと音を立て、煙を発しながら崩壊している。
冷凍冬眠が長過ぎて肉体が持たなかったんだ・・・・・
「彼等の身体・・・申し訳無いが、使えるなら使わせて貰いたかったんだが・・・・・」
『彼等の身体で、クリーチャーボディをクリエイトする積りだったのか?』
「正解♪」
カチューシャの中のAIは、この施設の設備は修繕すれば一度だけならクリーチャーボディ作成に使えると教えてくれた。
エネルギーは節約されてたので十分にあるが、問題は金属以外の資材が全く無く、有機物は殆ど崩壊・蒸発・劣化し切っており使えそうな物と言ったら水くらいしか無かった。
そして残念ながら現在の状況下、この施設で有機AIの作成は難しそうだ。
「流石に元素からは先古代文明の化学でも作れない・・・水は勿論大量に必要だけど、人体をクリエイトするにはタンパク質にカルシウムなど各種有機物に無機物・・・駄目だなミネラル由来の物以外は全く足り無い!仕方ないな・・・有る所から持って来よう♪」
簡単な事じゃ無いか♪
「こうして見るとヴァイラシアンの奴等を笑うのは少々失礼だったかな・・・・・」
ヒュンケルズが存在する未完天体は、その構成する素材が粗全て金属質鉱物と金属の比率が非常に高い。
構成物質を金属の種別ごと比率別に分析出来るアイアンイーグルと違い、普通のメタリウム・スキャナーじゃ只の金属の比率が高い岩石の塊にしか見え無いだろう。
ヒュンケルズの概要を内部から確認し・・・・・
「ヒュンケルズから未完天体の反対側まで天体を貫いてエレベーターが有り、その反対側には緊急避難用の小規模な基地が有ったんだな・・・んっ?エレベーターの反対は分岐していて・・・ヤダなぁヴァイラシアンの奴等、その内一か所しか気が付いて無いんじゃ無いか?!」
天体貫通エレベーターは中が回転式で上下が入れ替わる様に回転する。
当然だがコッチで乗り込んだ場合、向こうに着いたら天地が逆に成っているからだ。
いくら重力が軽いと言ったって、逆さまじゃ作業しずらいだろう。
「一応ヒュンケルズの反対側は、出口で使えそうなのが3か所ほど残っているな・・・ヴァイラシアンの発掘してる部分が、一番滅茶苦茶に成ってるんだ。天体上に艦のジェネレーター用の・・・・・」
周辺の状況をスキャンして、良い事を考え付いた。
「何だ必要なモノ全部有るじゃ無いか♪」
ボクはヒュンケルズのデータを吸い出しさせながら、内部構造を検索し把握しておいた♪
ヴァイラシアンの連中は天体と言うより、ヒュンケルズの表面に施設を建築し固定していた。
まるで其れは「この遺跡は自分達のモノだ!」と主張してる様だ・・・安心しな奪ったりはしない、吹き飛ばすけどね!
ボクは基地近くの点検用出入り口から外へ出ると、徒歩でヴァイラシアン艦隊駐留基地に潜り込んだ。
敵の監視の眼は緩い・・・真空・無重力近い天体上に徒歩で移動する奴など想定して無いだろう。
いくらニュートリノレーダーでも徒歩で歩行する人間まで識別出来無いし、先古代文明技術製の宇宙服なら熱源トレーサーも誤魔化せる。
堂々と敵の基地の中を歩き・・・とは流石に行かないが物陰に隠れながら敵施設に接近、一番近いトコロから作業に手を付ける。
「ここに保管されてる物の中で一番爆発性の高い物は、やはり軍艦のジェネレーターに使う核分裂触媒の複合素材だよね♪」
それ自体を燃やす訳では無くても、無温核融合に使う触媒物質は大きな爆発力を持ってるんだ♪
「HOSもタップリ備蓄してるね♪ほかにも爆発物は・・・個体火薬は搬送出来無い分は、この場で爆破だね♪それとヴァイラシアンのネットワークに潜り込んで、奴等のドローンも暴露ない程度に拝借してと・・・・・」
さあ忙しく成るぞ♪
予定より大分かかって10日間が経過した。
クリーチャーボディを作る材料をヴァイラシアン艦から盗むのに3日、実際作成するのに1週間かかって仕舞ったのだ。
さぞミューズが心配してるだろうから、早いトコロ帰らなくちゃ♪
同時に破壊活動も進行させた。
爆発物を盗み出し燃料を抜き盗り、それをヒュンケルズに運び込んだ。
「何か手伝う事は無いか?」
「ボクの邪魔に成らない事だね♪」
クリーチャー体で復活したダーグが不機嫌に成る。
ちなみに発声器官の変更と言語の強制学習は勝手にさせて貰った。
「これでも航宙騎兵隊のエースだったんだぞ!戦闘に置いて足手まといに成らない自信は有るのだが・・・・・」
「だからだよ、今は戦闘の時間じゃ無い。悪ズ・・・いや破壊工作の時間、この後派手に戦闘パートが有るから暴れるのはその時にして♪」
「いまオマエ・・・悪戯と言いかけて破壊工作と言い直しただろ・・・・・」
呆れた表情に成るダーグの貌は、美しい濃い緑色のメタリックな輝きを放っていた。
コールドスリープしてた身体は経年劣化で色褪せてたんだね?
「この色は、私本来のウロコの色さ・・・選民狂信者共に捕らわれ、ウロコのお手入れも満足に出来なかった」
リザーダー達は男性でも美容意欲が旺盛だったそうだ。
「良しっと♪コレで燃材や爆発物がエレベーターを通ってヒュンケルズに流れ、向こうの設備で使用出来る。後は全自動で事が進むさ・・・・・」
「チョッと質問良いかな・・・・・」
ダーグがボクの顔を覗き込んで言った。
「ここまで大掛かりな仕掛けをする必要有ったのかな?ヒュンケルズを破壊し脱出するだけなら、もっと簡単に出来た筈だと思うんだが・・・それにヒュンケルズを破壊した後に迄・・・・・」
「あの船に乗ってるクソジジイの、肝を冷やしてやりたかった・・・だけだよ♪ボクは義理の妹でフィアンセの娘にも、最高に悪質なトリックスターだと言われた位なんだw」
天空に浮かぶヴァイラシアンの旗艦を指差し言うと、ダーグは頭が痛そうな顔をして目を覆う。
「あのクソジジイは・・・一度死ぬほど怖い眼に会って、自分が如何に迷惑な存在か自覚した方が良い♪」
そう言って時間を確認した。
用意は全て整ってる・・・後はタイミングを見計らうだけだ。
ボクは用心してか未完天体上に着地せず、宙に浮いているヴァイラシアン皇帝の座乗艦を見上げた。
アレに何とか潜り込めれば面白い事が出来たんだが、流石にココからは届くと思えなかった。
仕方無い・・・メインディッシュは御預けだね♪
そろそろボクの仕掛けが動き出す事に成ると思うんだけど・・・そう思ってたら座乗艦の横に浮いていた戦艦が火を噴いて爆散する。
敵の通信を傍受する。
「戦艦マダルヒ爆散しました・・・敵の攻撃の形跡無し!」
「爆散直前にジェネレーターの暴走を確認・・・・・」
ウン予定通り♪
「その他にもジェネレーター暴走が警告された艦が2隻、戦艦マグルヒ・戦艦マノタヒ・・・マノタヒは爆発しました!」
少し離れた所で火の手が上がる。
「如何したんだっ!何が原因だ・・・・・」
「中央管理AIに暴走艦の・・・・・」
「旗艦の管理AIより緊急連絡、暴走艦に共通する項目は一昨日に補給基地にてジェネレーターの融合触媒を交換しています」
これで艦隊は大騒ぎに成った。
融合触媒の汚染は船にとって最悪の事故案件だった。
「同時に交換してた艦は何隻残ってる?」
「戦艦マウカホと戦艦マカウア・・・他に巡洋艦マーベラス・・・・・」
「該当艦に即刻下船命令を・・・・・」
「バカな事を言うな!何とか被害を食い止めろっ!」
偉そうな指揮官が、安全な場所で怒鳴り続ける。
最も・・・この艦にもキッドの魔手が迫ってるのだが、
その頃、名前が挙がってる巡洋艦マーベラスでは・・・・・
「何を言ってる!ジェネレーターの緊急停止と動力パイプを遮断・・・・・」
そう言ってる間に宙に浮かんだ戦艦が一隻爆散する。
「だ・・・脱出しろ~~~~~っ!」
さっき迄とは態度を180度回頭させ、偉そうに宣ってた司令官が我先にと逃げ出した。
爆散する戦艦を見ながらボクは思った。
アレどの艦だろう・・・まあマーベラスで無い事は確か、だってマーベラスはボクの眼の前で着地し補給の最中なのだ。
最も今は大勢の乗組員が我先にと必死で逃げ出している。
この船を残したのには理由が有る。
マーベラスの乗員は殆どが無理矢理集められた、まさに寄せ集めの兵士だった。
その為に艦に残って対処し様など、殊勝な心掛けの軍人は殆ど居ない!
「じゃあ潜入戦しますか♪」
「たった二人でなw」
ドローンに造らせたハッチから、マーベラスの真下に飛び出し、燃料等補給用の小ハッチから中に飛び込んだ。
「先程逃げ出した司令官が、部下に艦へ戻る様に強要してましたが全員に逃げられました。上層部から艦が吹き飛んだら責任を取らせると言われ、司令官本人が渋々戻って来た様です」
カチューシャの中から声が届き、ボク達は携帯火器の安全装置を外す。
開いたままの側面部の搬入ゲートから入って来るランチに向かって、ボクとダーグさんが携帯型ミサイルランチャーを構えた。
「ランチは全部で5艘、それだけでも取り敢えず落とそう」
「その後は白兵戦に持ち込んで、何とか私一人で封鎖する。その間にキッドは艦の操縦系統を・・・・・」
ボクはギリギリまでランチを待った・・・あんまり遠いと最初の発砲で逃げられ、かと言って中に入られたらコッチが不利だった。
ミサイルランチャーは日本人の感覚から言うとバズーカ砲的な外見をしてる。
しかし一発ごとの使い捨てで、用意出来たのは6発のみだった。
「もっと近付けるんだ・・・キミが左・私が右を狙う。4・・・3・・・2・・・」
戦闘に関しては彼の方がプロ、素直に従ってランチャーを構えたまま敵を待つ。
「1・・・ゼロッ!」
見事に命中し2艘のランチが火を噴いた。
すぐに次のランチャーを構えて安全装置を外す。
後続は機首を巡らそうとして、ぶつかって動きが一瞬止まった。
同時に発砲し更に2艘が吹き飛んだ。
最後の1艘は最初に潰した2艘の残骸に頭から突っ込んで、そのままスロープ状に転がった。
ダーグは残る2本のランチャーを左右の肩に担ぐ。
「ここは任せて貰おう。キミは一刻も早く・・・・・」
「ラジャ♪」
艦内には現在ヴァイラシアン兵は居ない、ボクは身を翻して艦橋に走った。
すぐカチューシャの指示に従い迷わず艦橋に着くと、すぐにバックパックから取り出した機器を周囲の操縦機器に接続する。
「ジェネレーターはアイドリング状態だけど動いてる・・・通常起動に移行してメインハッチ以外の出入り口を閉鎖!」
「メインハッチも閉める事も提案・・・・・」
やっぱりアリスとは切れてるんだな・・・彼女が接続されてるなら、こんな判断ミスはしない。
「この艦を取り戻せないと、敵に判断されたら艦砲射撃の集中砲火さ。敵には奪還の希望を残したまま、何とか時間を稼げれば良いんだけど・・・・・」
「上空の戦艦2隻が射撃位置に移動し、射撃体勢を整えてます」
「まあコッチの思い通りに動いちゃくれないか・・・・・」
ボクの思い通りには成らなかった様だ。
「敵の攻撃体勢が整うのに約5分、こちらが出航準備にも5分です」
「ジェネレーターは全開で廻してシールド展開!更にフルチャージ次第、全速航行で前進し距離を取ってから浮上する。今後の指示はカチューシャで経由で音声指示、リンクは・・・・・」
指示しながら艦橋を出て、そのままメインハッチに向かう。
ハッチに着く直前に艦体に振動が走った・・・敵の艦砲射撃が始まったらしい。
「手伝いに来てくれたのか?」
レーザーカノンを構えてダーグが言った。
太い砲身を腰だめに抱えている姿は、スタちゃんかシュワちゃんがガトリング砲を携帯してる様に見える。
まあコッチの世界の技術なら現実でM134を携帯可能に出来るけどさ・・・ダグちゃんよ、それって艦艇の固定武装用なんだけど!
「出発より敵の攻撃の方が早かったね・・・大丈夫、集中放火されても2~3分は持つ!その間に出航用意が・・・・・」
「また来たぞ!」
今度はランチより長い船体の船、如何やら揚陸艇らしいのが突っ込んで来る。
「まだ一本残ってて良かったよ」
ミサイルランチャーをぶっ放し一隻は沈めたが、もう1隻がその背後から突っ込んだ。
同時にマーベラスが動き出し、カチューシャから声がする。
「出航準備が整いました!3~500㎞前進して浮上を開始します」
「それまでに侵入者を倒せると良いんだけど・・・・・」
擱座した揚陸艇から戦闘員や戦闘ポッドがワラワラと溢れ出す。
こう言うのを見るとノーダーで艦内戦もアリだと思うのだが・・・・・
「流石に生身でポッドの相手は厳しいな・・・・・」
「もっと携帯型ミサイル用意出来たら良かったんだけど・・・でもダーグさんが持ってるレーザーカノンは、この艦の武装用ナンだからね!」
戦闘ポッドを次々打ち落として行くが、一発撃つ毎に2秒のチャージの時間が煩わしい。
艦体に直結すれば安定した電流と電圧で電力を供給出来るのだが、大型と言え携帯型バッテリーなら仕方が無い。
・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「チョッと待って、これって・・・・・」
ボクは近くの壁に有る配電盤を開けると、延長コードを引っ張りながらバリゲードに移動する。
そしてソレを電力ユニットに繋げて通電させれば・・・問題は全て解決した。
「早くやってくれ・・・」
「ソッチだって気が付いてよ・・・」
マアこう言う使い方するモンじゃ無いし・・・・・
「じゃあ再開しますか?」
「そだね・・・」
ボク達は敵に向かって銃を構える。
数分でポッドが全滅し、敵兵は我先にと逃げ出した。
その時、丁度良いタイミングでカチューシャから声がする。
「浮上を開始します。数隻の敵艦が後を追って来ますが・・・」
「問題無いよ、それ所じゃ無く成るからw」
その時・・・未完天体に大規模な地震が発生した。
ヴァイラシアン側も最初は何が起きたのか誰も解ら無く、いや当然だが後でも判る筈も無いだろう・・・未完天体の反対側でヒュンケルズ宇宙軍基地が爆発してるのだ。
しかもヴァイラシアンの補給基地を燃料タンク、天体貫通エレベーターを燃料パイプ兼コンプレッサーとして圧力を掛け、そしてヒュンケルズをイオンエンジンに見立て地下で核融合させながら・・・これが如何言う事なのかと言うと未完天体を丸々宇宙船に見立ててるのだ。
「キッド急ぐんだ、天体が移動し始めたぞ!」
「まさか微弱と言え重力を持つ天体が、こうも簡単に動き出すとは・・・・・」
少々計算違いが有った様だ。
明らかに加速しながら未完天体が動き出す。
『侵入した兵士・戦闘ポッドは全滅、メインハッチ閉鎖します』
「ダーグ、艦橋に行くよ」
彼を連れて艦橋に戻った。
最初から未完天体の重力下に居たマーベラスと違い、行き成り動き出した未完天体の重力に捕まった艦船は大慌てだった。
未完天体に艦尾を向けて必死でスラスターを吹かしたりしているが、殆どの艦はコマの様に回転したり、もっと酷いのは真っ直ぐ地表に向かって落ちて来る。
「まるで流星雨だな・・・次々重力に捕まってる。アレはキッドが言ってた皇帝の座乗艦じゃ無いのか?」
必死でスラスターを吹かし、重力から逃れ様としてる大型戦艦が見える。
艦橋で大騒ぎしてるんじゃ無いかな?
「ここからじゃ遠いか・・・一発お見舞い出来れば面倒が終わらせられるんだけど」
「そう上手く行かないだろうが、全力航行でも20%の余力が有るんだな・・・良い機会だから打ち落としとこうか!」
ダーグがコンソールを操作し様として・・・・・
「駄目だ・・・リザーダーの機械とは操作が全く違う。直感で操作するのは難しそうだ・・・・・」
「確か先古代文明の艦船はキーボード(実際にはキーボードが有る訳じゃ無く、モニター上をタブレットの様に直接触って操作する)で操作するんだよね?でも艦砲を直感的に操作しないでよ!」
カチューシャで機械を操作し、使える様に表示させる。
「よしコレでゲーム程度に簡略化で来たぞ!ダーグ、操作方法は解るか?」
「見てたから何とか行けると思う。キッドは操船に集中してくれ!」
自動操縦ではパターン読まれて攻撃を集中されるがオチだった。
流石に初めて扱うシステムで戦闘しながら操船するのは難し過ぎ、自信が無かったから敵を落とすのはダーグに任せる事にする。
「見ろよ・・・敵に向かって覆い被さる様に天体が迫って行く!敵の皇帝は何とか逃げ切ったみたいだがな・・・・・」
「ヴァイラシアン皇帝が落ちてくれれば良かったのに・・・・・」
まあ星が襲い掛かって来るなんて、向うだって思わなかっただろう。
「と言うより星自体をミサイルに見立てたんだな・・・オマエいくら小さな天体だからって、こんな話は見た事も聞いた事が無い!」
敵艦隊の中を突き進んで行く未完天体、背後から敵の怨嗟の声が届く様な気がする。
敵が追って来るけど距離は有り、充分こちらも速度が乗った。
「浮上開始・・・ダーグ、正面より敵艦3隻ほど来るんだけど・・・・・」
「任せろ!しかし此の侭だと・・・・・」
まあ艦隊の中に有る補給基地なんだから、敵が雲霞の如く湧き出て来ることは仕方が無い。
スターシップの様な高性能船に乗ってる訳じゃ無く敵から奪った普通の巡洋艦タイプ、当然逃げ切れる筈が無かった。
「少なくとも見える所で待機してる手筈に成ってるし、ソロソロ来てくれると思うんだけどな・・・アイツのこったから態とコッチがピンチに成るまで、待ち構えてる可能性は有るな・・・・・」
レプトン通信を広域モードにしたままダーグと喋った。
「もしそうなら手加減全く無しのガチ百叩きだな!当然みんなの見ている前で・・・・・」
言い終わる前に周辺の空間を、中性子ビーム砲の青白い光が切り裂いた。
援護してくれたらしい・・・背後に迫っていた敵艦後部を貫いて、エンジンを直撃したのか爆発して四散する。
「コノヤロ・・・本当に出て来るタイミング見計らってたんだな?」
「な・・・何の事でしょう?」
挙動不審なミューズさんである。
だが一人で来てるとは考え難い。
「ジュリアさん居るの?」
「ハイ居ますよ♪」
やっぱり陛下が付けてたかw
「戦闘が始まってから何分待機してました?」
「およそ5分ですね・・・10まで言って無いと思いますよ♪何でスグに来させ無かったって私のオシリ叩くのは勘弁して下さいね、帝国軍人が皇女様に逆らえる筈無いし・・・・・」
「ジュリアさんだって皇女様じゃ無い!」
責任転嫁する相手を探してるのか、それとも巻き添えが欲しいのかミューズが騒ぎ出す。
「私は傍系ですもの、皇族とは言えても皇女では有りません。直系の殿下に逆らう訳には・・・・・」
「そんな事言わないで、一緒にオシリ叩かれ様よ!」
「ナニ言ってるんですかっ!冗談じゃ有りません恥ずかしい・・・」
往生際悪いなあ・・・・・
「ミュ~ズッ!」
「ヒャ、ヒャイッ!」
地の底から響く様な声を上げたら、ミューズの奴が飛び上がって怯えてる。
「助けて貰ったんだから皆の前では勘弁してやる・・・オシリ100叩きの刑っ!」
「ゴ・・・ゴメンなさ~~~いっ!」
ミューズの鳴き声が聞こえて来る・・・が、艦砲射撃だけは止めないのは立派だ♪




