変なモノ見付ける!
射出されるとすぐ、眼前に衛星が迫って来た。
運の良い事に砲台が幾つか潰され、宇宙港に直接飛び込む事に成功する。
構造は先程と同じで迷う事は無い・・・ボクはエクセリオンを奥へ進ませる。
「テュホーン3は歩行兵器出て来ないな・・・コッチは警備体制緩いのか・・・・・」
そう言いながらハッチを開いたら、その向こうには首無しダチョウがズラリと並んでいた!
「そんな筈無いよね―――っ♪」
サイドバーニアを全開に吹かして、ボクは右に飛び逃げる。
さっきまでボクの居た場所に銃弾が降り注ぎ、ボクを追って横に移動して来た。
同時にエクセリオンの右脇腹に装備されている、2連ミサイルポッドが火を噴いた。
敵の中心に飛び込んで、辺りを巻き込みながら爆発四散した。
「これで終われば・・・んな筈も無いよねw」
今度はUFO型浮遊砲台が溢れ出し、エクセリオンに向かってパルスレーザーを放つ。
今度は左脇腹のミサイルポッドが火を噴いた。
ドチラにしろ自立型攻撃兵器で反応は悪く、身体を強化されたボクの敵では無い・・・ミサイルを撃墜出来ずに密集域に入られ、そのまま中で爆発してしまう。
一瞬光が辺りを覆うと、UFOの残骸が大量に飛んで来た。
それに逆らう様にして内部に侵入すると、今度は6本脚の肢は足りないが蜘蛛に砲台を乗せた様な敵が前を塞ぐ。
「これも・・・自立行動型か?でも砲撃は激しいね・・・・・」
ただコストが罹るのか大きい所為か台数は少ない。
全部で僅か8機、先ずは正面に3機に向かってリニアガンを構える。
3発発射したが、正面の3機を突き抜け背後でも2機にダメージを与える。
「流石凄まじい破壊力だな・・・・・」
ボクが居た頃の地球で研究されてたレールガンは研究段階の代物だが、実際に21世紀初頭には秒速8000m程度の弾速は実現出来てたと何かで読んだ事が有る。
そもそもレールガンは電力や摩擦・熱問題など技術的な問題が多々有ったが、それ等をクリアし更に空気抵抗や電気抵抗・重力の影響を無視すれば、理論上電気が流れる速度である光速と同等の秒速30万kmの弾速を実現出来る!
まあそう簡単には行かないんだけどね♪
その数々の問題を先古代文明の進んだ技術でクリアしたボクは、従来の常識を凌駕し艦載砲(または艦砲)で秒速20万km前後、リニアガンの様な携行型の電磁加速砲で(消費電力の都合上)秒速10万km前後の弾速で発射出来るレールガンを実現した。
実はコチラの世界でもレールガンはビーム砲・レーザー砲に並ぶ主要艦載兵器であるが、技術的問題が解決し切れておらず秒速1万km前後の所でウロウロしていた。
ただしはエルミスシリーズやロイヤルガードでボクが手掛けた船は、秒速5万km程の弾速を実現している。
技術の出し惜しみをしてる訳では無いが、スターシップと同等のモノを乗せるには他の技術も提供する必要が出て仕舞い、済し崩し的に他の技術が流出する恐れが有るのだ。
皇帝陛下にも明言して有るが、オーバーテクノロジーをダダ漏らしにする気は無かった。
ちなみにレールガンに対し光学兵器は、コチラの世界でもスターシップと同じ、ほぼ秒速30万kmの弾速を誇っている。
まあスターシップの方がエネルギー効率つまり省エネ性に置いて圧倒的に優れているが・・・ところが光学兵器の方は弾(?)速こそレールガンと比べ物に成らない速度を誇るが、何分その速度とエネルギー弾の特性の所為で貫通力が優れ過ぎ、破壊力・打撃力に関しては逆にレールガンの方に軍配が上がる。
エネルギー弾より実体弾の方が優れる場合も有るのだ。
残り3機は散開しボクを包囲しようとするが、その前に3機とも撃破する。
そのまま奥に向かい変電・分配と予備電源の両システムを破壊した。
さすが同じ行動を繰り返すのだから手慣れてくるだろうが、こんなに構造が単純で良いんだろうか?
「サブジェネレーターが起動した様です。照明が復活します」
非常灯から通常灯に切り替わり当たりが明るく成ったが、それでもテュホーンの電力は低下し不安定に成った様だ。
この世界の武器は光学兵器も電磁加速兵器も電力で動いている・・・電力供給の低下は正に死活問題だ。
その電力が落ちている間が突入のチャンス、程なくして見方が突入して来たと連絡が入る。
「ウェルム少将の海兵隊が港湾部から突入して来ました。ここは任せて次に向かいますか?」
「そうだね・・・エクセリオンじゃ火力が高過ぎる。これでドンパチしたら、被害が大き過ぎるからね・・・」
と言うよりノーダーが敵のポッドに比べて攻撃力が高過ぎるのだ。
敵の戦闘ポッドを撃った弾は確実に貫通し、その背後の施設に風穴を開けて行く。
「非貫通弾や爆裂弾頭を用意しないと駄目だな・・・これでも標準的な対ノーダー戦闘用弾なんだけどねw」
先古代文明の軍事スペックに比べると、現在の平均的軍事スペックは大分低い。
これが先古代文明時代の機動兵器が相手なら、互角に戦える程度の破壊力しか無いのだが・・・この時代の機動兵器が相手では常に的の背後まで気にしてなくては成らなかった。
事実アサルト・ノーダーは戦艦や要塞の外壁を貫通出来る兵器だって搭載可能(ただし敵も強力なバリアシールドを張ってるので実用的では無い)であり、そのコンパクトさに比べて凶悪な破壊力を持ってる兵器だ。
それでも小回りが利く以外は火力・速度共に、やはり艦船の方が数段上のレベルで勝っている。
宙域空間戦つまり遮蔽物の無い宇宙空間や大して密集して無いアステロイドでの戦闘に置いて、総合的に考えて艦船に大きく水を空けられている。
「ファルデウス首都星での戦いなら、敵が密集し過ぎてロボットでも使えただろうけど・・・ああノーダーで艦船を次々にってのやって見たかった・・・・・」
そんな訳でノーダーの活躍の場は先古代文明時代から地上戦・コロニーや要塞・基地など軍事施設の制圧戦・巨大戦艦の表面に取り付くか内部に侵入(流石に人用の通路は通れないので、艦載機発着施設や搬入経路のみだが)して破壊工作などがメインになる。
ちなみにノーダーと言う名称はボクが名付けた。
先古代文明人の素の発音は、ボク達おサルさんベースで進化した人類には少し辛いのだ。
「キッド君・・・」
港湾施設を通過中にウェルム少将の部下の方から通信が入った。
この世界、軍人さんも含めて若い人が多い。
「キミが乗ってるソレ・・・配備予定は?」
こう言うのに憧れる心は万国いや万世界共通のモノらしいw
当初の予定通り3基目のテュホーンに当る前に、ジェリス艦長とジュリアさんが周辺で大規模な艦隊戦を始めた。
最後に残ったテュホーン1は艦隊に目掛けて凄まじい砲火を浴びせ続け、まあ落ちたら戦争が終わるので必死に成るのも当然だろう。
減退分を考慮してもシールドで耐えうるギリギリの状態だった。
兵站云々と言っていたが、皇帝も総攻撃にゴーサインを出したので全軍出張って来ており、まあテュホーン3機をモノにすれば戦争が終わるのでチャンスと見たなら当然だろう。
兵站は完全に整って無いモノの全軍が国境を超えて来たのだ。
コッチの本隊が迫ってきた時ヴァイラシアン本国はギブスン指令に、一隻も応援を寄越さ無いで「防衛ラインは死守せよ!」なんて言って来たのだ・・・それでギブスン指令が切れてファルデウスに降伏した事に成っている。
まあ体裁を整える必要が有り・・・ギブスン指令はそれなりに顔が効く人物で、戦争終結後に利用したいファルデウス側と、見所のあるヴァイラシアンの人物を引き立てファルデウスに編入させたいギブスン指令の思惑が同調した利害の一致で有る。
守りに着いたギブスン指令が呆気なくファルディウス帝国軍を通したのでヴァイラシアン帝国軍は集結が遅れて仕舞ったのだ。
「それ以前にワープで首都星まで肉薄すると思って無かったんだろう」
流石に首都星近郊には宇宙要塞が設置されていたが、それはギブスン指令の呼びかけに従い悉くファルデウスに降ってしまった。
ワープアウト後も安心して楽に態勢を整えられたのだ。
「もう少し敵艦隊の相手をしててくれ・・・復旧にさほど時間は掛からない」
ウェルム少将の艦隊は占拠したテュホーンの復旧作業に追われ、それが終わればテュホーンで加勢する予定だ。
「最悪テュホーン同士で打ち合いするしか無いな♪」
アップルトン大尉も能天気に言っているが、ミューズが露骨に嫌な娘をしていた。
敵は冷静に撃墜するし、たまにボケてトンデモナイ事を言い出すが・・・基本的にミューズは優しい子で民間人の犠牲など考えたくも無いらしい。
そんな事に成ったらドッチか又は両方が撃沈される・・・テュホーンには民間人も大勢居る。
「ミューズは操船に集中しろ!」
流石に必死なテュホーン1、中々ミューズも近寄れない。
彼女に指示をしながら、ボクは応急処置用の絶縁シールをレールガンの外側に張り付ける。
レール接触部以外は絶縁しとかないと、先程の様にボクが感電する事に成る。
ふと下を見下ろすと、地表の基地から艦船が大気圏突破を試みてる様だった。
大型の戦艦が補助ロケットに押されながら飛び上がる。
「ギブスン指令達が言ってた腐って無いリンゴのお歴々か?」
大気圏を突破する艦船には、どちらの陣営も砲口を向けて無い。
ヴァイラシアン側も離脱者が乗ってるとは思って無い様だ。
そうこう言ってる内に敵の守備艦隊が後退を始めた。
「いま上がって来た艦船は、離脱者だけでは無かった様です。ヴァイラシアンの皇族やコチラの反乱軍が登って来たのですね」
アリスが言った。
「流石に追いかけられ無いか・・・背中を見せたらテュホーン1に攻撃されるモンな。仕方ないからメインディッシュは御預けでテュホーン1から片付けよう」
だが攻撃が激しく中々近寄れない状況だった。
ジュリアさんとパインさんが互いの艦隊を率いて対峙しているが、攻撃が激しくて近寄れない。
「その他の皆さんは艦隊を攻めるのに忙しそうだし、やっぱりココは私達だけで何とかしないと・・・」
ミューズが言った。
「アリス、ボクの身体が耐えられる最高重圧ってどの位だろう?」
「如何でしょう?爬虫類ベースの先古代文明人の身体は、現在の霊長類ベースの人類よりは強靭ですが・・・それでも昆虫ベースの人類に比べれば、誤差程度の強さの差でしかありません。それ等から考えると多少誤差は出るでしょうが・・・普通の人間がノーダーを操縦出来る限界は瞬間最大加速重は10G、短時間なら15G・その後の健康状態を考慮しないなら瞬間的100Gまで耐えられる可能性は有ると考えられます。ただしソレはあくまで可能性の話、そしてキッド様の身体は御存知の通り人造ボディのミュータント体で、霊長類型人類ながら能力は昆虫型人類と同程度です・・・・・」
ボクの身体をミューズの再生に利用する際、代わりにボクの身体に成った❝この身体❞は❝彼❞によって最高の状態にカスタマイズされた。
ミューズを助ける為に身体を差し出したボクに対するサービスだったんだが、その為にボクの身体は単体で飛べないモノの完全にスーパーマンと化している。
アリスがワイズマンズ・ライブラリーの知識を総動員して、ボクの耐えられるGの限界を計算し始めた。
「お兄さま、一体何を企んでます?」
「良い事♪」
そう言えば地球でもギネスブックに認定された最高記録は、レーサーが事故時に体験した200弱のGを体験したんだったかな?
飛行機が墜落した時の衝撃が大体125だと言うし・・・間違ってたらゴメンね♪
「計算しましたがキッド様はイレギュラー性が高過ぎ、予測に幅が出るのは許して下さい・・・ノーダーを問題無く操縦出来るのは30G、短時間なら100G前後も行動可能域と考えられます。瞬間的なら300Gに耐えられる可能性が有りますが、あくまで可能性で全く保証出来ません!」
「その時の速度は?」
何を考えてるのか感付いた様で、3人が言葉に詰まる。
「ざっと亜光速には迫れるんじゃないかと思います」
「幾ら何でも危険すぎます。ノーダーは光速で移動する様に設計されてません」
ミューズは早速反対するが、
「そこまで出したら逆に止まれない!超音速は余裕で出るんだし、至近距離なら十分に狙えない速度だろ?」
「いや人型のモノを超音速でって、それに障害物にぶつかったら文字通り木っ端微塵よ?」
ジュリアさんも忠告して来るが。
「そこはチャンとスペース・ポートを掠める様に狙って貰うから♪とにかく良い感じで機首をテュホーン1に、後は此方で操作するから・・・・・」
何だかんだ文句を言いながら二人は機首をテュホーン1に向けた。
タイミングを見計らい自分で射出するが、
「チョッと戦艦が前にっ!お兄さま何考えてるんですかっ!!!」
「ぶっ、ぶつか・・・・・」
ミューズとジュリアさんが悲鳴を上げると、同時に艦首両サイドの大型プラズマブラスターが火を噴いた。
旋回中で横を向いている戦艦の胴体を吹き飛ばし、船体を真っ二つに圧し折った。
「行って来ま~~~すっ!」
「お兄さまの馬鹿~~~っ!」
気の抜ける挨拶で3度目の出撃をすると、ミューズの怒鳴り声が帰って来た。
ちなみにジュリアさんは、この時シートで泡を吹いていたそうだ。
正面から見ていれば、撃沈される味方の戦艦から飛び出して様に見えただろう。
だが奴等には爆散する戦艦の破片に紛れ見えて無いと思われた・・・まあソレを狙ってやったんだけど♪
レールガンをマスドライバーの代りに何てSFじゃ良くやるパターンだろうが、その前にプラズマブラスターをぶっ放すなんてミューズ達も思って無かったに違いない。
その証拠にレプトン通信のコール音が鳴りっぱなしだ。
「流石に100Gは堪え・・・ゲッ!125も出てる?速度は・・・・・」
「毎秒0.5づつ減速中ですが、現在の速度はマッハ35付近です」
姿勢制御も出来ず射撃体勢も取れないが、それでも減速だけはしなくては成らない。
もう少し速度が落ちれば減速率を上げ、姿勢制御も出来る様に成るだろう。
「敵要塞が防御レーザー網展開、コチラは狙われてません」
その為に直撃コースを外らしたんだ・・・減速に間に合わず直撃したら眼も当てられないからでも有るんだが、要塞に直撃コースを取ったなら防御レーザーに打ち落とされる。
周囲に明るいオレンジ色が広がり、シールドで跳ね返せない様な大型の残骸が焼かれて行った。
その中を飛び続ける破片に紛れてテュホーン1に近づいた。
「テュホーン1、防御シールド展開しました」
「こちらも中和シールド展開♪」
光学兵器を打ち当てて無理矢理破る事も可能だが、敵に気付かれるんで今日はヤラナイでおく。
スポンジに突っ込んだ様な抵抗を覚えたが、すぐ突き破って内側に侵入する。
シールドの内側には、まだ敵の残存艦隊が犇めいていた。
ギブスン指令が離反した以上、この艦隊が首都星最後の防衛線だった。
「ノーダーで艦隊に喧嘩売るのは非常識だろうけど、コレだけ密集して停船してるなんて・・・狙ってくれと言ってるみたいだね♪だけど・・・」
シールドの中は比較的安全だが、こんな所に艦隊を温存して何する気なんだ?
これが補給中・修理中ならマダ話が分かるんだが、現にシールドの向こうじゃ艦隊戦の真っ最中だ。
「アリスなら状況を分析して貰えるんだが・・・・・」
エクセリオンの搭載AIは、そこまで性能が高く無いだろう。
「おいスターシップに連絡が出来るか?何とかアリスと話が出来れば良いんだが・・・・・」
「広域戦闘中でジャミングが激しいですが、レプトン通信は繋がっております。ただ・・・御存知無いのですか?」
何だか奥歯に何か物が挟まってる様な言い方するね?
「何の事?」
「私、アリスですよ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「御存知無かったのですね・・・・・」
んな筈無いでしょ?
「ノーダーのAIにキミが入る筈が・・・・・」
「当然じゃ無いですか!フルタイムでレプトン通信で繋がってるだけです。勿論レプトンまたはレーザー・ニュートリノ全ての通信が途切れればノーダーのAIのみでのサポートに成りますが、それ以外はフルタイムでサポートしてますよ?」
気が付かなかったが、それには理由が有った。
「何で一々ノーダーとスターシップで声を使い分けてるの?」
「そうキッド様が設定したんじゃ無いですか!」
別の疑似人格だと思ってたから・・・・・
「呆れた・・・・・」
そう言うオマエだって、ノーダーの時は畏まってたじゃ無いか!
「そりゃ戦闘中は・・・・・」
機内で漫才かましてる間にテュホーンが眼前に迫って来る。
「とにかく今は作戦に集中しよう!」
「その方が互いの精神衛生に良いでしょうね・・・今の内に言って置きますが、艦載機のアイアンイーグルも同じサポート付きですよ!そもそも下船してコロニー等を散策中だって、カチューシャ経由で会話してたじゃ無いですか・・・・・」
思いっ切り呆れた様に機械に言われた。
「元々説明書は熟読するタイプだったのに・・・そうかっ!スターシップには説明書付いて無かっ・・・・・」
「良いですから戦闘に集中して下さいっ!」
また叱られたw
十分に減速してから一気にテュホーン1の港湾部に飛び込んだ。
爆散した戦艦の残骸と思っていた敵が慌ただしく反応する。
隔壁が閉まり出したので大急ぎで中に飛び込むと、今度は内側の隔壁が開き始める・・・ボクはリニアガンの出力を上げて隔壁に一掃射する。
開き掛けている隔壁の向こうから爆炎が溢れ出した。
案の定、首無しダチョウが並んで出迎えてくれていた様だ♪
炎と爆風が溢れる中にミサイル一発・・・先程より更に大量に爆炎が、円盤型自立兵器と共に吐き出された。
隔壁は途中で止まってしまったが、ノーダーなら問題無く通過出来そうだ・・・ボクはノーダーを屈ませながら侵入しようとする。
「大型の自立兵器が銃口を向けて待ち構えてます」
アリスに言われて飛びずさった。
気付かれた様で光学兵器の火線が隔壁と床の間から飛び散った。
なかなか熱烈な歓迎だ。
ミサイルを2発打ち込んで眼暗まし、そして中に飛び込むと蜘蛛型の戦闘ポッドが数機待ち構えていた。
片っ端からレールガンで薙ぎ倒し、中に進んで行く。
「しかし・・・幾ら同タイプの軍事施設と言え、こうまで同じ形状で良いのかな?内部構造を変えて、侵入された時に敵を惑わす様に造らないと・・・・・」
「地球それもキッド様の場合、日本の城などに当てはまる発想ですね?ただ普通は要塞に行き当たりばったりで単騎突入しませんし、攻略する場合は綿密な下調べをしますから意味が無いのでは?」
何気に行き成りばったりだとディスられる。
「そんな事を言っても先古代文明の時代から、敵要塞に単騎掛けで下調べもせずに飛び込んだ事例が無いのですよ・・・・・」
お願い・・・追い打ちを掛けないでっ!
「エネルギープールに到着しました。配電施設は正面に・・・すみませんが敵が他のテュホーンが攻略された時の情報から、コチラの動きを予測していた様で待ち伏せされてます」
蜘蛛型砲台が配電施設の前にズラリと並んでいた。
配電施設は艦船を繋げば代用できるので吹き飛ばしても問題無いのだが、やられる方は攻撃力が弱まって制圧部隊が突入する隙を作られるので堪ったモノでは無い。
「いっそプール自体をぶっ壊してやろうか!」
そう冗談を言いながら敵の中に突っ込んだ。
敵の中を潜り抜けて反対側に抜け、エネルギープールを背に振り返った・・・ボクの攻撃がプールに直撃しない様にする為と、敵が攻撃を躊躇う様にと・・・・・エッ!
オマエ等・・・躊躇わないのか?
「そこまで考える知性を持って無いのでしょうか・・・・・」
「オマエ等、バカかぁ~~~~~っ!」
先程ボクが冗談では行ったが、エネルギープールを吹き飛ばしたらテュホーンごと爆散するんだよ!
何を考えてるんだろう?
ボクは今度は必死にテュホーンを守る為、全ミサイルを敵に向かって一斉掃射する。
両脇腹・左肩・両大腿部と脛の外側に設置されていたミサイルポッドが一斉に展開し、有りっ丈のミサイルを吐き出した。
辺り一面が火の海に成り、周囲で敵の戦闘ポッドが爆散しながら吹き飛んでいく。
連鎖爆発が止まらず暫く周囲に轟音が響き続ける。
「キ・・・キッド様、チョッとヤリ過ぎでは・・・・・」
軽くアリスが引く程のプッツンを披露し、ボクは滅茶苦茶に成ったテュホーンの動力区画で放心する。
そして空に成ったミサイルポッドを切り離して投棄する。
「そ・・・そうだね・・・少し反省するね・・・・・」
何とかソレだけを吐き出した。
ただエネルギープールは壊さないで済んだ様だ。
「港湾部に戻って残っている防衛戦力を潰してから、なかの中枢部分も制圧しましょう。テュホーン1の指揮官は少しオツムが足りない様です。ほっといたらテュホーンごと・・・・・」
それを聞いて少し嫌な予感がした。
「ワザとテュホーンを落とそうなんて考えてたんじゃ無いよな・・・ボク達の所為にして?」
アリスが言葉を失った・・・確かにエネルギープールを吹っ飛ばせば、如何成るか奴等だって解るんじゃ無いか?
それ何に動力区画で遠慮無く銃撃戦なんて、普通なら考えられないだろ?
テュホーンを民間人ごと殺したら諸外国にファルデウスが悪いと喧伝出来るし、ワザとソレを狙ってるとしたら・・・・・
「アリスっ、テュホーン内部の防衛システムをハッキングしろ!司令官の所在地や、エネルギープールの破壊以外でテュホーンを効率的に破壊出来・・・センターピラーだっ!」
「コロニーのセンターピラーに接近中のリフターを一機発見っ、おそらく工作部隊でピラーに爆発物を設置する積りです!それにキッド様が突入した宇宙港とシャフト反対に有る港から戦艦が出港中・・・・・」
司令官は先に逃げを打ったか・・・工作員は後で逃げるか、逃げる手段が有ると騙されているのか?
「ミュ―――ズッ!聞こえるか?」
「了解っ、その船は任せて♪」
戦艦はミューズに任せると、センターピラーに爆発物を仕掛けている工作員に向かった。
漫画肉を連想して貰いたい・・・それが柱状型コロニーだと連想すると、骨の部分をシャフトまたは❝センターピラー❞で肉の部分がコロニー本体に成る。
センターピラーを軸に回転してコロニー内壁部に人工重力を与え、つまりコロニー内で上昇?してセンターピラーに近付くにつれ重力が弱くなる。
センターピラーから補強の為にコロニ内壁に幾つも柱(柔軟性も持たせてるので遠くからだとワイヤーにも見える)が延び、それはアラウンドピラーと呼ぶ。
センターピラーは芯棒でも有りコロニーを支える重要な部分、そこを圧し折られたりアラウンドピラーを断ち切られたら・・・コロニーは自重で瓦解して崩れながら地表に落ちる!
ボクはエクセリオンごとピラー内に飛び込んだ・・・中は貨物専用のリニアラインが敷設されてるが、重力は無いモノの気圧は保たれてる。
「3つ目のゲートを出て、そのまま眼の前で爆弾設置中・・・・・」
「了解っ♪」
ボクは戦闘中の為に停止してる、リニアラインの車体を避けながら鉄道区画を疾走する。
少々焦っている・・・間に合えば良いんだけど・・・・・
まあ何人も殺して来たし正義に味方を気取る気も無いけどさ、ボクは軍人じゃ無いし自分が関わった戦闘で民間人が殺されるなんて許容出来ない。
戦闘員は敵に銃を向けてるんだから、自分が向けられても文句を言う権利は無いと思うけどね・・・あくまでボクが思ってるだけだけど♪
それに民間人だって戦争に成れば巻き込まれる事も有るだろう、しかし不特定多数の人間しかもボク達に罪を着せて殺すなんて!
指示通り3つ目のゲートを出ると、ほぼ無重力の空に放り出された。
バーニアを吹かすと正面に有る一際大きなアラウンドピラーに、エアリフターが横付けされ何かドラム缶の様な物を設置し様としていた。
あれが爆発物なのだろうが一か所だけで破壊出来るなら、相当強力な爆発物なのだと考えられる。
「中性子爆弾ですっ、絶対に弾を当てないで下さい!一発でコロニーが瓦解しますよ」
そりゃ、おっかないね!
ボクは3機のリフターをレールガンで打ち落とし、コクピットハッチを開いてガバメント風ハンドガンを発砲する。
ドラム缶を運んでた工作員を片っ端から射殺すると、奴等がライフルの様な光学兵器で応戦して来る。
ボクはコクピットから飛び出して更に2人射殺、ピラーに隠れながらマガジンを交換して敵の方へ飛び出した。
「一発撃つ毎に吹っ飛ばされるのが煩わしいんだけど・・・・・」
まあ無重力じゃ仕方ない。
「キッド様、リフターの陰に二人隠れています」
カチューシャ経由で視界に敵の位置が表示される。
ガバメントで無く腰に差して置いたリボルバーを抜くと、リフターごと貫通させて射殺した。
M29の貫通力を舐めないで貰いたい。
「確かに炸薬式の銃弾は有効かも知れませんね」
アリスが呟いた。
ハリウッド映画の様に大袈裟に吹っ飛びはしないが、それでも炸薬式の銃しかも柔らかい弾頭の弾丸を使用すれば敵は背後に吹き飛ばす力が働く。
そりゃ重力下では微々たるモノだろうが、無重力で敵は撃たれて背後に飛んで行くのだ。
爆弾から遠ざけるには丁度良く、敵も行動不能になり武器を落とす事も多い。
これがビームやレーザーだと、その場で崩れ落ち銃を手放さないから最後の力を振り絞って一矢報いるなんてやられかねない!
「スターシップが敵戦艦とエンカウント、戦闘に入りましたが二人に良い様に玩具にされてます。他の艦も戦闘領域に入りましたし、ウェルム少将の陸戦隊も突入し始めましたが・・・・・」
なんか歯切れが悪いな?
「どした?」
「この施設には敵が殺したがってる収監者が居る様です。処分する様に通信が送られて来ましたが、一応妨害して有ります。如何しますか?」
ボクは躊躇わずに答える。
「気に入ったら助ける♪気に入らないなら見殺し!カワイイ女の子なら飼い馴らし、男なら抹殺・・・・・」
「面倒臭い・・・結局は老若男女無差別で助けるんだから悪ぶらないで下さい!」
オイ・・・有機AIの疑似人格、主への対応が最近悪く成ってるぞ!
接敵した敵兵を蹴散らしながら、ボクはエクセリオンでメインピラーから地表に降り立った。
遠心力で作った人工重力と言え、重力下に居ると心が落ち着くな・・・人間の習性何だろうか?
ボクも宇宙に出たばかりの時は喜んで・・・違った!
初めて地球の重力圏を突破したボクは、頭に血を登らせ本気で怒りながら火星を掠める所まで飛んで行った。
酸素不足で死にそうになりながら・・・搭載した酸素容量がギリギリだったのだ!
そしてスターシップに追い着いたら、ミューズの横っ面にビンタの一発も入れ様と思ったが・・・彼女もボクの事を考えて置いてきぼりにしたのは解ってたので流石にビンタは許して上げた。
その代わりにオシリ叩きは手加減しなかったけどね♪
ボクの手も痛く成って翌日の午前中まで手が痺れてた位だからな・・・当日はマグカップも持てなかったw
なんせ100以上は叩いたからな・・・200まで入って無い筈だけど、100と2~30?ヒョッとしたら150位叩いちゃったかも知れない♪
泣いてるミューズが可愛くって、ついつい叩き過ぎてしまった・・・アレでイケない何かに、チョッと目覚めちゃったのは内緒だ。
と言う訳で・・・ボクが宇宙を楽しむ余裕が出来たのは、木星の周回軌道を超えた辺りだった。
まあ最初は楽しんでたよな・・・すぐ飽きたけどw
「思い出に浸ってる所、申し訳ありませんが・・・収容施設に到着します。敵の戦闘ポッド8機展開中、迎撃後に内部突入して、その後は歩兵戦に成りますが出来ますか?」
「キミがサポートしてくれるならね・・・ボクは素人だよ、素でプロと撃ち合いしたら勝てないよ」
早速ボクは建造物の陰から現れた戦闘ポッドを撃ち抜きながら言った。
「先程は複数の工作員と互角以上に戦ってましたよね?」
「機動宇宙服と銃とクリーチャー体の御陰だよ♡」
なにせ炸薬式の銃は一発撃つ毎に、使用者のボクも背後に吹き飛ばしてくれた。
それを計算しバーニアでほゞ元の位置に留めてくれたのは宇宙服の御陰、じゃ無きゃ敵と同じく後ろに吹っ飛んでく事に成る。
「この服の名前何か考えないと・・・」
「直訳で良いじゃ無いですか?」
「かぶるの嫌なんだモン」
コダワリって物が有るんだよ!
そうこう言ってる内に動く敵が無くなったが、ボクは6機しか撃墜していなかった。
「左11時方向の建物の陰に1機、収容所入り口に1機が隠れています」
「了解♪」
ボクが無双してる様に見えるけど、実際には各種サポートでズルしてるだけだ。
「いえ反応速度や戦闘センスはアナタ独自のモノです。肉体強化(と言うより頭脳の乗せ換え)や知識の焼き込みはしましたが、元々スポーツとゲーム鍛えられたキッド様の力です」
そんなんで職業軍人と渡り合えるのか?
「ここまで自動化された世界では、反射神経と状況判断に個人の力量を求められるのは当然です。ですからこそ若い軍人が多くなり、ロクに経験も無かったジュリア中佐が初陣で海賊船と言え元軍艦を撃沈する事が出来たのです」
そうなのか・・・ならボク個人の戦闘能力は結構、様に成っていると考えて良いのかな?
「状況判断能力は経験が少ない分は不得手ですが、反射神経と戦闘センスが群を抜いて高いと考えます。ファルデウスの宇宙軍を基本に考えると、上位3%に入る個人戦闘能力かと・・・ちなみにヴァイラシアンを入れて計算すれば1%以内に入れま・・・・・」
そ・・・そんなに高いとは思わなかった
「つまりヴァイラシアンは基本的に戦闘能力低いのね?」
「数が多いのですが貴族の縁故採用や横槍入れが激し過ぎ、全体的レベルがガタ落ちです!しかし中にはアップルトン大尉やギブスン指令など、叩き上げの力量の高い軍人も居ます。ですが彼等は貴族や取り巻きなど縁故採用された者から圧力を掛けられ、結局イヤに成った軍人が辞めてしまい結果的にレベルダダ下がりに・・・・・」
「ファルデウスは大丈夫なの?」
「完全にでは有りませんが、皇帝が性格的に一切許していない状態です。現に息子を軍に無理矢理入れ、昇任試験や実績も無いのに高い地位に就けようとした貴族が居まして・・・・・」
「如何成ったの?」
「お家御取り潰し・全財産没収・強制重労働懲役刑・・・のオンパレードです。ちなみに貴族と息子だけでなく、関係した協力者全員が悲惨な末路を辿りました。ちなみにコレはミューズ様の一件直後だったので、特に思い上がった奴等に厳しく当たった事は否めないかと・・・・・」
「息子の嫁一家も、相当酷い目に会ったらしいしねw」
「何分主犯でしたから・・・息子も個人資産は残したモノの、王位継承権と王族としての地位を剥奪され市井に放り出されたのだから厳しい対応だったと思います」
「産んだ子供の責任取らなかったんだから当然だな」
「道を歩けば生卵に当たる・・・と言う格言がファルデウスにはあります。ダラスの行いに因って造られた格言ですが、キッド様の知識に該当するモノは・・・・・」
「自業自得!」
「その通りです♪」
ボクは収容施設の入り口に飛び込むと、正面から最後の敵戦闘ポッドを破壊した。
すぐに最大出力でセンサーを働かせる・・・この周囲に敵兵は居ないが、奥の収容施設には居そうだ。
「しかし刑務所か捕虜収容所なんだろ・・・人出が少な過ぎないか?」
「警備兵を増員する・・・つまり目撃者を増やす事は出来なかった様ですね?この施設は内密の強制収容所、ファルデウスなら・・・いいえヴァイラシアンでも非合法の誹りを免れない場所です」
つまり非の無い様な人を、無理矢理攫って閉じ込めて置く場所らしい。




